初めて美容医療をお考えの方へ

美容医療を受けてみたい思う方が増えています。しかし、受診するとなると種類もさまざま。効果や副作用、費用などについての不安も。この記事では、はじめて美容医療を受ける方のために、施術内容やおすすめ、メリットとデメリット、効果、副作用、トラブル対処法をご紹介します。

この記事の監修医師
■経歴
藤田保健衛生大学卒業後、橋本市民病院で初期研修、湘南美容クリニックにて勤務後、梅田ビューティークリニックで勤務
2021年6月Bella Beauty CLINIC開業
■保有資格
医師免許
■資格・所属学会
日本美容外科学会
日本美容皮膚科学会
日本化粧品学会
アラガンボトックスビスタ認定医
アラガンジュビダームビスタ認定医
■メディア出演実績
カスタムライフ
週刊女性
MRB
anan
ボーチェ
目次

1.初めて美容医療を受けたいと思うあなたへ

「はじめての美容医療は何から始める?選び方やおすすめの施術!」をお届けします。

美容医療に興味があってSNSやインターネットなどで情報収集はしていても、実際に受診するとなると悩んでしまいますよね。

美容医療の人気が高まり、今までより手軽に施術を受けることができるようになりましたが、まだ実際に受診されたことのない女性も多くいます。

顔のたるみしわほうれい線シミなどの肌老化顔のくすみニキビ跡などの肌悩みがあって、スキンケアやエイジングケアだけでは解決できないので、美容医療を受けてみたいという方の中にも少なからず、そんな方がいます。

この記事では、そんな初めて美容医療を受けようと思っている方のために、効果や副作用、費用、施術内容やおすすめ、メリットとデメリット、トラブルの予防法から起こった際の対処法を幅広くご紹介します。

「美容医療ってどんな治療法があるの?」

「美容整形やエステとは何がどう違うの?」

「初めての美容医療はどんな施術がおすすめ?値段がどれくらい?」

「美容クリニックの選び方は?何をチェックすれば良いの?」

「トラブルが起こらないようにするには?また、起こった場合の対策は?」

などが知りたい方は、ぜひ、続きをチェックしてくださいね。

<監修医からのメッセージ>
美容医療を受けてみたいと思う方が増えている一方で、トラブルもまだたくさんあります。私たちは医師として、それを減らすために可能な限り患者様と密接にコミュニケーションを取り、ご理解、ご納得いただけるように心がけています。

しかし、美容医療の主役は患者様です。トラブルを減らし、満足できる効果を得ていただくためには、患者様にも受診前に十分な知識を持っていただき、リスクや副作用などの理解を深めて頂ければと願っています。

この記事ナールス美容医療アカデミーや本記事「はじめての美容医療は何から始める?選び方やおすすめの施術!」が、そんな患者様の一助になればと考えて、監修を引き受けさせていただきました。私たち医師も患者さまの「キレイ」のために全力で取り組んでいきます。

<美容クリニックを探すなら>

2.美容医療は医師が行う美容目的の治療

1)美容医療とは?

美容医療とは、医療技術を用いて人の見た目を内と外からより良い状態、つまりキレイにするための施術のことです。

医療の一つなので、国家資格である医師免許を持つ医師のみが、そのサービスの提供が可能です。

施術には、メスを使った施術だけでなく、レーザー治療やヒアルロン酸注射、内服薬や外用薬による治療などさまざまです。体の構造・機能に影響を与える高度な施術は、医療機関である美容クリニックでしか行えません。

<参考記事>
美容医療って何ですか?

2)美容クリニックとは?

美容医療を受けられるのは、美容クリニックです。

美容クリニックには、メスを使う施術を行う美容外科、美容医療機器や医薬品を使った治療を行う美容皮膚科、内科的な治療を行う美容内科などがあります。

また、矯正歯科も美容クリニックの1つです。

3)美容医療はほぼ保険適用外

美容医療と一般的な病気の治療との大きな違いは、健康保険の適応の有無です。

キレイになるための美容医療のほとんどは、健康保険の適応がないため、自費診療となります。

逆にいえば、健康保険の枠にとらわれない、美と健康のためのさまざまな治療を受けることができる点がメリットです。

次のような施術は、すべて保険適応外です。

  • 二重まぶた整形(埋没法・切開法)
  • 隆鼻形成(鼻を高くする施術)
  • 豊胸手術
  • 脂肪吸引
  • シミや毛穴の開きなどの医療用レーザー治療
  • 表情ジワを和らげるボトックス注射(ボツリヌストキシン製剤の注射)
  • シワやたるみへのヒアルロン酸注入やコラーゲン注入
  • HIFU(ハイフ)やダーマペンを使う治療
  • 高周波やレーザーによるシミ治療
  • ケミカルピーリングによる毛穴の開きの治療
  • レーザー脱毛や光脱毛、ピアスの穴開け
  • 美白のためのビタミンC導入や白玉点滴

<参考記事>
二重整形の全て!施術方法・ダウンタイムから病院選びまで解説!
ボトックス注射とは?おでこや目尻のしわへの効果はある?
ヒアルロン酸注射の肌への効果・持続期間はいつまで?ボトックスとの違いも解説!

4)保険適応の治療もある

美容クリニックによっては、一部、疾患・症状によって保険適用での診療が可能な場合があります。

同じ疾患でも症状や希望する治療方法によっては保険適用外になる場合もありますが、次の疾患の治療を受ける場合は、保険証を持参してカウンセリングを受けてみましょう。

  1. ワキガ

    ワキガの原因であるアポクリン腺をハサミで除去する剪除法(皮弁法)での治療は保険適応です。

  2. 眼瞼下垂

    眼瞼下垂は美容的な治療が目的ではない場合、保険診療で治療することが可能です。

    <参考記事>
    眼瞼下垂は加齢が原因の目の病気!症状と治療法・予防法は?

  3. ホクロ

    ホクロの除去は美容目的の治療ではない場合、保険診療で治療することが可能です。

  4. ニキビ

    ニキビ(尋常性挫創)では、赤く腫れている活動性のニキビ(赤ニキビや黄ニキビ)の治療は保険適応です。

    尋常性痤瘡治療ガイドラインで提唱されている「コメド治療」も保険適応です。

    治療薬は内服薬として、抗生物質・ビタミン剤のほか、外用薬として過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)、アダパレン(ディフェリンゲル)、過酸化ベンゾイル/アダパレン配合ゲルを使用します。

    主に皮膚科で治療可能です。

    一方、美容皮膚科でニキビのできにくい肌質にするために受けるケミカルピーリングやレーザー治療、ニキビ跡の治療は保険適用外となります。

    <参考記事>
    初期のニキビの治し方!毛穴の詰まりを解消する効果的なスキンケア

    <参考情報>
    尋常性痤瘡治療ガイドライン2017.日皮会誌 127(6): 1261-1302, 2017

3.はじめて美容医療におすすめ施術7選

はじめて美容医療におすすめ施術の条件としては、次のようなポイントがあります。

  • 痛みや刺激が小さく副作用のリスクが小さい
  • 費用が抑えめで経済的な負担が小さい
  • ダウンタイム(施術後に安定した状態に仕上がるまでの期間)が短い、またはない

これの条件を満たすのが、次の7つです。

初めて美容医療を受ける際の参考にしましょう。

1)ケミカルピーリング

ケミカルピーリングとは、グリコール酸、サリチル酸(マクロゴール基剤、エタノール基剤)、トリクロロ酢酸(TCA)、乳酸、ベーカーゴードン液、フェノールといった薬剤を使って、肌表面の不要な角質を剥離する施術です。

日本人の肌にはグリコール酸が最もマイルドで比較的安全に使用できるため、汎用されていますが、肌質や肌状態に合ったものを選んで使用します。

ターンオーバーが遅くて、毛穴のつまりや黒ずみ・毛穴の開きで悩んでいる場合やくすみ、ニキビなどの肌悩みがある方、お肌のハリをアップさせたい方におすすめです。

刺激や痛みは大きくありませんが、ヒリヒリとした痛みを感じるケースもあります。また日焼けしやすくなるため、十分な紫外線対策が必要です。

一度で大きな改善効果は期待できないので、治療目標の達成のためには中長期的に根気よく続けることが必要です。

費用は各クリニックによって、また部位、使用薬剤などによって異なりますが、1回5,000円程度から15,000円の範囲に収まることが多いです。

最近では、ケミカルピーリングは進化を遂げ、コラーゲンピールなどの浸透型ピーリングも登場しています。

これらも初めての美容医療におすすめです。

ケミカルピーリングのお肌の効果を表したイラスト
<参照元>日本皮膚科学会ケミカルピーリングガイドライン(改訂第 3 版) 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「ケミカルピーリング」

<参考記事>
ケミカルピーリングの効果はいつから?ニキビ跡や毛穴にも効果が?
浸透型ピーリングが常に進化!種類と効果・デメリットを解説
コラーゲンピールの効果はいつから何回で出る?料金とあわせて紹介

 

2)フォトフェイシャル

シミやくすみ、しわ、赤みなど複数の肌悩みがあるという場合には、フォトフェイシャルがおすすめです。

フォトフェイシャルは、複数の波長を持つ特殊な光(IPL)を照射することで、メラニンや線維芽細胞、毛細血管にアプローチすることで、さまざまな肌悩みを改善することができる施術です。

本来、フォトフェイシャルは機器名ですが、有名になりすぎてIPL治療指すことが多いです。

しみやそばかす・赤ら顔(酒さ)・毛穴の開きの改善に向いています。

また、肌のハリを出したり、キメを整える効果もあります。

薄いシミやくすみ、そばかすなどは、比較的短期で効果を実感できることもありますが、シミが濃い場合や深いしわなどは、複数回の施術で効果がじっくりと現れてきます。

一時的に赤みや腫れなどを生じることもありますが、多くは時間の経過とともに軽快していきます。

費用は各クリニックによって、また部位、使用機器などによって異なりますが、1回15,000円程度から35,000円の範囲に収まることが多いです。

フォトフェイシャルの肌への作用と改善される肌悩み

<参考記事>
フォトフェイシャルの効果がすごい!?毛穴やシミにはいつから?
IPLの効果は何日後に表れる?治療の期間や回数について解説

3)エレクトロポレーション

エレクトロポレーション(電気穿孔法)とは、メソアクティスやメソナJなどの機器で、微弱な電流を流すことにより、イオン化した薬剤(美容成分)を真皮にまで皮膚浸透させることで、さまざま肌悩みを改善させる施術です。

通常の化粧水美容液では、美容成分や保湿成分は、表皮バリア機能で角質層までしか浸透しません。

しかし、専用の機器を使うことで薬剤を肌の奥へと届け、しわやニキビ痕、しみ、くすみなどの肌悩みにアプローチします。

エレクトロポレーションでは、イオン導入では浸透させることができない美容成分まで肌の奥へ届けることが可能です。

薬剤としては、ビタミンCやトラネキサム酸、グリシルグリシンなどが使われます。

ビタミンCはメラニンの生成抑制作用によるしみやくすみの改善、コラーゲンエラスチン生成の促進による肌の弾力アップ、皮脂抑制によるにきび予防などの効果があります。

トラネキサム酸は、メラニンの生成抑制以外に、炎症を抑える作用があり、施術後の敏感なお肌や日焼け後の肌を鎮静化させて、しみやそばかすを改善、予防する効果があります。
また、肝斑にも効果的です。

グリシルグリシンは、毛穴の開きを改善します。

ケミカルピーリング、フォトフェイシャルの後で行うことで高い効果が期待できます。

まれですが、高濃度の成分を肌の深部まで届けるため、炎症や赤みがでることがあります。

費用は各クリニックによって、使用機器や薬剤などによって異なりますが、1回5,000円程度から15,000円の範囲に収まることが多いです。

また、ヒアルロン酸などの分子の大きな薬剤導入も可能です。

イオン導入の肌への効果としくみを表した図

<参考記事>
イオン導入器の美容効果とエイジングケアから考える注意点
イオン導入に適したおすすめエイジングケア化粧水の選び方と使い方

4)ハイドラフェイシャル

ハイドラフェイシャルは、次の3ステップで皮脂や角質を吸引しながら美容液導入を行う施術です。

  • ディープクレンジング+ピーリング
  • 毛穴吸引+保湿
  • 美容液導入+保護

最初のステップでは、ケミカルピーリングと同じく不要な皮脂や角質を取り除きますが、薬剤ではなく水の力を利用していることが特徴的です。

その後、毛穴吸引で毛穴に溜まっている皮脂や汚れを吸引します。

同時に保湿成分や美容成分の導入を行い、肌を保護します。

毛穴の詰まり・開きの改善、ニキビの予防、オイリー肌の改善、くすみの改善、小じわの改善が期待できますが、1回で劇的な効果は期待できません。

ダウンタイムがなく刺激の小さな施術ですが、まれにピリピリとした痛みを感じたり、施術後に赤みが出ることがあります。

費用は各クリニックによって、使用機器や薬剤などによって異なりますが、1回10,000円程度から50,000円の範囲に収まることが多いです。

たとえば、顔の場合は、10,000円から20,000円、背中なら30,000円から50,000円などです。

ハイドラフェイシャルの3ステップイラスト

5)白玉点滴・注射や高濃度ビタミンCの美容点滴・注射

より手軽に美白や美肌を目指したい方におすすめなのが、白玉点滴・注射や高濃度ビタミンCの美容点滴・注射です。

点滴と注射の美肌効果に本質的な差はありませんが、施術の所要時間と効果発現時間が異なります。

点滴の場合は、1回30分程度かかりますが、注射なら1回5分程度で済みます。

注射と比べて点滴は効果をすぐに実感しやすいとされています。

  1. 白玉点滴・注射

    白玉点滴・注射の成分はグルタチオンで、強い抗酸化作用によってシミの原因となるメラニン色素の過剰な生成を抑えてくれます。

    その結果、シミやくすみの予防や改善が期待できます。

    また、お肌の酸化を防ぐことで、肌老化や紫外線ダメージによる光老化を防ぎます。

    ほかにも、ストレス・慢性疲労回復、二日酔い改善、湿疹・皮膚炎などの肌トラブルの予防も期待できます。

    副作用はほとんどありませんが、ごくまれに発疹、食欲不振、嘔気嘔吐があります。また、注射部位の発赤もまれにありますが、数日後には消失します。

    費用は各クリニックによって、グルタチオンの配合量などによって異なりますが、1回3,000円程度から15,000円の範囲に収まることが多いです。

    <参考記事>
    話題の白玉点滴の主成分「グルタチオン」の効果に迫る!
    グルタチオンの効果は抗酸化!医薬品や化粧品に活用

  2. 高濃度ビタミンC点滴・注射

    高濃度ビタミンC点滴とは、サプリメントやドリンクの摂取では補えない高濃度ビタミンCを点滴によって血液に取り込む、美容効果の高い点滴です。

    グルタチオンと同じくメラニン抑制による美白や抗酸化作用によって、お肌の悩みを改善しながら若々しく美しいお肌を目指せます。

    それ以外にも、皮脂を抑えて毛穴の悩みやニキビ跡の改善、コラーゲンやエラスチンの生成促進でしわやたるみの予防が期待できます。

    さらに、生活習慣病の予防、ダイエット風邪の予防、ストレスの緩和、疲れやすさ、だるさの改善、アレルギーの予防・改善、二日酔いの改善などの効果も期待できます。

    副作用はほとんどありませんが、ごくまれに発疹、食欲不振、嘔気嘔吐があります。

    また、注射部位の発赤もまれにありますが数日後には消失します。

    費用は各クリニックによって、グルタチオンの配合量などによって異なりますが、1回10,000円程度から30,000円の範囲に収まることが多いです

    <参考記事>
    高濃度ビタミンC点滴療法とは?カラダや肌への効果と危険性を検証
    高濃度ビタミンC点滴の効果はいつから?即効性はある?

6)ピコトーニング

ピコトーニングとは、ピコレーザーを使った照射方法の1つです。

ピコレーザーとは、ナノ秒よりも照射時間の短いピコ秒(1兆分の1秒)単位で照射が行えるレーザー治療器です。

ピコトーニングでは、低出力の光線を超高速で満遍なく照射することで、痛みやダウンタイムもほぼなく、シミやそばかす、肝斑などの症状を徐々に改善していく治療法です。

そのため、初めて美容医療にもおすすめの施術の1つです。

<参考記事>
ピコトーニングの効果はいつから?施術間隔やダウンタイムも解説

7)ジェネシス

ジェネシスは、ロングパルスYAGレーザー)を使って皮膚から1~2cm離して中空照射し、表皮層に作用することで肌の代謝を促す治療です。

毛穴の開きやニキビやニキビ跡などが改善可能です。
また、小じわ、赤ら顔、くすみなど幅広く肌悩みを改善します。

さらに、痛みやダウンタイムも無い治療です。

そのため、初めて美容医療にもおすすめの施術の1つです。

<参考記事>
美容医療のジェネシスとは?効果は何回目で表れる?値段は?

4.はじめてでも一歩進んだ美容医療を受けたいなら!

前の章でご紹介した7つの施術を比べると、施術時に痛みを感じたり、ダウンタイムが必要な場合もありますが、より大きな効果が期待できるものを3つご紹介します。

また、肌悩みにはさまざまなものがありますが、3大悩みといえば、毛穴、しみ、しわが挙げられます。
これらの3大肌悩み及び関係の深い2つの肌悩みについて、美容医療の組み合わせによる治療をご紹介します。

美容医療が初めてでも悩みによっては、これらもおすすめです。

1)ダーマペン

ダーマペンとは、皮膚に髪の毛よりさらに細い超極細針を使用し、肌表面にとても小さな穴を一時的につくって、肌の自然治癒を促す施術です。ダーマペンの施術の後に美容成分を入れることもあります。

このプロセスを経ることでコラーゲンが増え、肌の表皮のターンオーバーが促進されることで、色素沈着によるニキビ跡や毛穴の開きの改善が期待できます。
また、真皮の線維芽細胞が活性化し、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸が増えることで、小じわが改善したり肌のハリが出るなどの効果が期待できます。

針の深度によっては強い痛み、出血や赤みをともなうことがあります。
また、ダウンタイムに3日〜10日要することがあります。

なお、最近では、ダーマペンの進化型と呼ばれるポテンツアやエリシスセンスなどのマイクロニードルRF治療も登場しています。

これらはダーマペンより痛みやダウンタイムが小さくなっています。

ダーマペンの肌への作用と効果

<参考記事>
ダーマペン4の効果まとめ!値段やダウンタイムまで徹底解説
ポテンツァとは?効果やダウンタイム、費用、ダーマペンとの違い

2)HIFU(ハイフ)

HIFU(ハイフ)とは正式名称High Intensity Focused Ultrasoundの略称で、日本語では「高密度焦点式超音波治療法」と呼びます、

お肌の真皮やSMAS層、さらに奥の皮下組織・皮下脂肪層に、高密度の超音波エネルギーを与えて、点状の無数の熱凝固を発生させる施術です。
もともと、前立腺がんの治療に使われていましたが、そのメカニズムが美容医療に応用されたものです。
HIFUは顔のあらゆる箇所に対応可能ですので、額のしわ目の下のたるみ、ほうれい線、ゴルゴラインマリオネットライン、二重アゴが気になる方などは試してみる価値があります。
ただし、切開リフトよりも効果は緩く、効果の発現に3ヶ月程度の時間がかかります。また、3ヶ月~6ヶ月に1回の定期的な施術が必要になります。

痛みは多くありませんが、個人差があります。機械の種類や個人差はありますが、ダウンタイムはほとんどなく、あっても1週間以内です。

そのため、エイジングケア世代のたるみなどの初めて美容医療でも試しやすい施術です。

HIFUエネルギーが届く深さによる効果

<参考記事>
HIFU(ハイフ)の効果はいつからいつまで?持続期間と施術頻度を解説

3)スレッドリフト(糸リフト)

スレッドリフトとは、特殊な糸(スレッド)を皮膚内部に入れてフェイスラインを引き上げることでたるみを治療する施術です。
糸を使って物理的に皮膚を引き上げるので、HIFUや注入剤、レーザー治療よりも高いリフトアップ効果が高く期待できます。
使われる糸も次々に新しいものが開発されていて、進化を続けています。

切開と比べると、リスクが小さいですが、施術後、痛み・かゆみ・痺れを感じるケースがあります。
また、施術後は、炎症の原因になるため激しい運動や飲酒は避ける必要があります。
ダウンタイムは、個人差がありますが、1〜2週間程度です。

スレッドリフトの効果のイメージ

<参考記事>
糸リフト(スレッドリフト)で失敗しないために知っておきたいメリット・デメリット

ここからは、一歩進んだ美容医療の初心者におすすめ!お悩み別施術メニューを5つご紹介します。

4)毛穴の黒ずみ・開きにはレーザーや内服・外用で治療

毛穴の悩みには、いくつかのタイプがあります。
皮脂が詰まる毛穴の黒ずみ、たるみ毛穴、すり鉢のように開く毛穴などです。
毛穴の詰まりには、ケミカルピーリングやイオン導入、ビタミンCの内服や外用を組み合わせることがあります。
たるみ毛穴は、レーザー治療とレチノールやビタミンC、ナイアシンアミド、グルタチオンなどの外用、イオン導入などを組み合わせることがあります。
すり鉢毛穴は最も治療がやっかいなので、レーザー、ケミカルピーリング、イオン導入などさまざまな施術を組み合わせます。

<参考記事>
毛穴の開き・たるみを引き締めたい!美容皮膚科で行う治療法9選
毛穴の開き・黒ずみ・たるみの治療!費用と美容クリニックの選び方
ボコボコ毛穴を改善したい!おでこや鼻など顔のパーツ別の治療法
たるみ毛穴を改善したい!おすすめの美容医療12選!

5)加齢によるシミと肝斑では治療法が異なる

加齢によるシミ、つまり、老人性色素斑には、シミ取りレーザー、フォトフェイシャル、ビタミンA,
ハイドロキノンなどの美白成分の外用、ビタミンCなどの内服の組などがおすすめです。
一方、肝斑は大きな刺激を与えると悪化するので、マイルドな治療がおすすめです。
トラネキサム酸などの内服やピコトレーザー(ピコスポットやピコーニング)がおすすめです。
そばかすなら、フォトフェイシャルやピコレーザーで治療可能です。

<参考記事>
シミ取りレーザーの種類と効果は?失敗しない選び方や料金相場を解説
美容内服薬は美白&シミ改善を!種類・効果と使い方の注意・副作用
ピコスポットの効果と経過・ダウンタイムのかさぶたの防ぎ方

6)しわやたるみは種類によって施術を選択

しわは原因によっていくつかの種類があります。
表情グセが原因のしわには、ボトックス注射(ボツリヌストキシン注射)、真皮の衰えによる大きなしわやたるみによるしわには、ヒアルロン酸注射、目尻の小じわなどにはダーマペンなどの施術がおすすめです。

<参考記事>
しわの原因とメカニズムを理解してエイジングケア!
しわの種類(小じわ・真皮じわ・表情じわ)と原因別のエイジングケア
たるみによるシワは消えないの!?予防・改善の対策と治療
顔のたるみに一番効果がある治療法!種類・タイプ別おすすめは?
たるみ治療におすすめの施術はどれ?種類や特徴を比較して解説!
顔のたるみの改善法!頬・目の下・口元・顎下・フェイスライン対策

 

7)ニキビ跡や色素沈着は、内服薬と症状で治療を選択

ニキビ跡や炎症性色素沈着は、炎症が治まった後に治療を行います。
トラネキサム酸などの内服薬にフォトフェイシャル、ダーマペン、マイクロニードルRF治療、フラクショナルレーザー、ピコフラクショナル、ピコレーザー、ケミカルピーリングなどを組わせるのが選択肢です。

クレーターになってしまうと治療に1年以上かかることも少なくありません。

<参考記事>
ニキビ痕の原因・種類と正しい治療法!キレイに消すには?
フラクショナルレーザーの効果は?治療期間とダウンタイムも解説
ピコフラクショナルレーザーの効果はいつから?毛穴や小じわに効く?

8)くすみも原因がいろいろ。レーザー照射と光治療

くすみには、肌の乾燥、メラニンの沈着、ターンオーバーの遅れ、糖化ほかさまざまな原因があります。
また、産毛が原因で肌がくすむこともあります。
メラニンの沈着が原因の場合は、ピコレーザーによるピコトーニングがおすすめです。
ターンオーバーの遅れが原因ならケミカルピーリング、糖化が原因の黄ぐすみならフラクショナルCO2レーザーなどが選択肢です。
産毛によるくすみなら、脱毛で改善します。

<参考記事>
肌老化の原因「糖化」を予防する対策は5つのポイントで!

<参考書籍>
予約の取れない神ドクターが指南! はじめましての美容医療(KADOKAWA ライフスタイル編集部 (編集)

5.美容医療とエステティックサロンの違いは?

ここでは、よく比較される美容医療とエステティックサロンの違いについて理解しましょう。

大きな違いは、美容医療が医師免許を持つ者が行う医療行為であるのに対し、エステティックサロンは、主にリラクゼーションを目的としたサービスであることです。

1)カウンセリング

美容医療でもエステティックサロンでも、施術前にカウンセリングを受けます。

美容医療では医学的知識を持った医師が対応し、エステティックサロンでは美容の専門知識を持ったエステシシャンが対応します。

ともに、施術の内容や料金、効果、副作用や注意事項などいろいろなことに関し

て説明があります。

その際の、大きな違いは同意書の有無です。美容医療の場合は保険外の治療となるので、その旨などを記載した同意書にサインをする必要があります。

2)施術内容

美容医療では、医師や看護師といった国家資格を持つ医療の専門家によって医療機器の使用や投薬などが可能です。

一方、エステでの施術は、エステでも使用できる機器を使ったり、ハンドトリートメントを行います。

<参考記事>
エステティックサロンの選び方ならここが大切!

3)効果

美容医療の効果は、少ない回数で治療が完了したり、即効性や大きな改善効果が期待できます。

一方、エステでの効果は、基本的に改善を実感するまで回数や期間が必要です。

たとえば、よく比較されるのが脱毛です。

美容医療でもエステでも脱毛機器を使用しますが、美容医療で使うものは、パワーが強く効果は半永久的です。

<参考記事>
レーザー脱毛は医療!種類とメリット&デメリット
光脱毛はエステで行える!メリットとデメリットは?

4)料金

一般的に、美容医療の施術の料金は治療内容によっては高額になる場合も考えられます。

一方、エステでの料金は、キャンペーンやお試し価格などもあり、1回あたりの費用は、美容医療に比べて小さいケースが多いです。

ただし、施術完了までの期間が異なるため、期待する効果が出るまでの金額を考える必要があります。

6.美容医療と皮膚科・形成外科・美容整形の違いは?

1)皮膚科は悪いところを直し、美容医療はよりキレイにする

皮膚科では、アトピー性皮膚炎や酒さ、乾皮症や皮脂欠乏性湿疹ほか、皮膚の病気を健康保険の適応で治療することが主な目的です。

一方、美容クリニックは、特に病気ではない場合でも、さらに美しくなることを目的として、自らが望む治療を行うことが可能です。

つまり、皮膚科では病気を治すのがゴールで、美容医療ではキレイになることがゴールです。

<参考記事>
セラミドが少ない!皮膚の病気「アトピー性皮膚炎」の原因は?
【皮膚科医監修】乾皮症と皮脂欠乏性湿疹の症状・原因と予防・治療
老人性乾皮症は乾燥とセラミド不足!予防と改善の対策は?

2)美容外科と形成外科の違いは?

実は、美容外科は形成外科の中の一分野です。

美容外科や美容クリニックに形成外科医が多いのはそのためです。

どちらも外見が美しくなるように治療するという点では同じです。

形成外科では、見た目が問題となる顔などのケガや骨折、皮膚腫瘍、外見の先天的な異常などを、病気や怪我などの診断を行った上で、健康保険で治療します。

一方、美容外科は、医学的には異常のない外見をさらに美しくする医療です。

二重マブタや鼻を高くする手術、豊胸手術、脂肪吸引などが美容外科の施術の代表的な例です。

3)美容医療と美容整形は同じ?

なお、かつてよく耳にした美容整形は、正式な名称ではなく、美容外科が正しい呼び方です。

今でも以前ほどでではありませんが、美容整形という言葉が使われることがあります。

美容整形は美容外科なので、美容医療の1つになります。

4)再生医療も美容医療の利用されている

最近では、美容医療の範囲はますます広がり、再生医療による美容医療といった選択肢もあります。

たとえば、加齢とともに真皮線維芽細胞が減少することにより起こるしわやほうれい線などの肌老化を改善させるため、自分自身の真皮線維芽細胞を、細胞培養を行う専門のラボで増殖・培養し、その細胞を直接肌に戻し細胞を補充することによって、肌の機能そのものを改善する治療があります。

また、グロースファクター(成長因子)による毛髪再生治療は、薄毛の大きな要因である「成長因子の不足」に着目した毛髪再生治療です。

7.初めて美容クリニックを選ぶ7つのポイント~安さだけで選んで後悔する前に~

2017年に日本美容外科学会(JSAPS)が、日本美容外科学会(JSAS)、日本美容皮膚科学会(JSAD)の協力を得て、国内の美容医療実態調査を行った際に、美容外科もしくは美容皮膚科を標榜している医療機関をリストアップしたところ、総数は3,656施設ありました。
今ではもっと施設数が増えていますが、はじめて美容医療を受ける方が、この中から自分に合った美容クリニックを選ぶにはどうすれば良いでしょうか?

<参考情報>
第1回全国美容医療実態調査 最終報告書(公表用)

1)まずはウェブサイトで情報収集!注意点は?

今では、多くの美容クリニックがホームページを持っているので、受診前にインターネットから多くの情報を得ることが可能です。

たとえば、施術の費用も簡単にチェックができます。
そうすると、同じ名前の施術でもクリニックによって値段が異なることがわかります。もちろん、施術のレベルや質が同じなら安いほうが良いですね。
しかし、使用する医療機器の違いをはじめ、薬剤や糸の品質の違いなど、価格を左右する要素がたくさんあります。だから、はじめて美容医療を受ける方には、高いか安いかの判断が難しいのです。
一方、最近では美容クリニックの競争が激しくなっていることや患者さんも賢くなっていることから、過度な高額料金を設定するクリニックも減っています。
そんなことから、値段だけで美容クリニックを選ぶのではなく、ほかの要素をしっかりチェックすることが大切です。
なお、最近では減っていますが、誇大広告にも注意しましょう。

<参考情報>
厚生労働省ホームページ 医療法における病院等の広告規制について

2)重視すべきは医師の実績や経験

美容クリニックを選ぶ際には、自分が受けようと考えている肌悩みへの専門性や施術に対する実績・経験のある医師を選ぶことも大事です。
ホームページには、医師の専門性、得意分野、経験年数、所属学会などが掲載されていることが多くなっています。
経験症例数が豊富であるということは、その肌悩みの治療や施術に対する理解が深いといえます。
まずは、医師の情報をチェックしてみましょう。

3)口コミサイトは信じて良い?

また、口コミサイトや人気ランキングサイトなどがあって、受診経験者の声が掲載されています。
これは、第3者の声という点では参考になります。
とはいっても、口コミサイトや人気ランキングサイトはランクや評価の基準が曖昧であったり、偏っていることもあります。
もちろん、施術経験者の情報交換やホンネなども掲載されていることもあるので、妄信するのではなく、参考情報として活用しましょう。

4)受診前に候補を絞る

以上の3つは、受診前に十分チェックできる情報です。
まずは、自分が通えるエリアの美容クリニックの中から、これらの情報をもとに候補を絞りましょう。
そこで候補を選んだあと、実際に複数の施設でカウンセリングを受けて、最終的に施術を受ける施設を選びましょう。
もちろん、施術を受けてみないとわからないこともあります。だから、一度、1つの美容クリニックを選んでも変えることは問題ありません。
実際に、いくつも美容クリニックを転々とする方もいます。
しかし、できれば最初から長くお付き合いできる美容クリニックや医師を選びたいですね。

ここからは、初めてカウンセリングを受けた際にチェックしたいポイントを3つご紹介します。

5)話しやすくデメリットも説明する医師を選ぼう

カウンセリングでは、医師が自分の話を聞いて希望をしっかり理解してくれているか、また、治療後の理想と現実のギャップを埋めたり、メリットや効果だけなくデメリットやリスク、トラブルがあった場合のリカバリー方法をしっかり説明してくれるかが大切です。
また、費用についても1回目だけなく2回目以降についても十分に説明してくれるかも大切です。
さらに、施術後の仕上がりやゴールを共有できること、こちらから何でも質問できるような話しやすい雰囲気をつくってくれるかも確認しましょう。
逆に、こちらの話を聞かずに、いろいろなメニューをどんどん勧めてくるようならば、その美容クリニックは避けたほうがベターです。

6)スタッフの対応を見て選ぼう

医師だけでなく受付スタッフの方や看護師さんの対応をチェックすることも大切です。医師が本当に患者さんのことを大切に思っているなら、教育や指導がクリニックのスタッフにも行き届いているはずです。
カウンセリングに訪れた際の受付スタッフの対応なども美容クリニックを選ぶポイントの1つにしましょう。

7)長くかかりつけ医として通えるかも考えよう

美容医療を始めるにあたって、「長期的に・継続的に通えるか」という視点も大切です。
美容医療は1回の治療、施術で効果がでるものより、継続する必要のある施術のほうが多いです。
また、1度で効果が出ても、持続期間が永久である施術は多くありません。
さらに、年齢とともに肌のメンテナンスが必要になることもあります。
だから、長期にわたって美容医療のかかりつけ医を選ぶつもりで、経済事情やライフスタイルなども考えて美容クリニックを選ぶことをおすすめします。

<参考情報>
美容皮膚科・クリニックの選び方。外せない7つのポイント
美容看護師から見た良い美容皮膚科の選び方のコツ
ほうれい線は美容皮膚科で消す!クリニックと施術の選び方
毛穴の開き・黒ずみ・たるみの治療!費用と美容クリニックの選び方

8.美容医療のトラブルを避けるためにこれだけチェックしよう

ここまで、しっかり記事を読んでいただければ、はじめての美容医療でも安心して大丈夫と思われた方も多いのはないでしょうか。
もちろん、今では多くの美容クリニックは患者さんのために真摯な姿勢で美容医療に取り組んでいます。
そのため、患者さんに十分な知識と医師との相互理解があれば、多くの場合はトラブルになることはありません。
しかし、現実にはトラブルが起こることがあります。
ここでは、それを防ぐポイントや万が一トラブルが起こった場合の対処法をまとめます。

1)過度な理想や100%の満足を望まない

どんな施術であっても、また、どんなに事前に医師とすり合わせを行っても、結果が100%イメージ通りになるとは限りません。
効果や副作用には個人差がありますし、医師が100%の技術と誠意で取り組んでも、それが結果的に患者さんの理想を実現できるとはいえません。
はじめて美容医療を受ける方は、過度な理想や100%の満足を望まないことも大切な心構えです。

2)施術前後の経過を事前に理解する

美容医療にはさまざまな施術があり、治療経過が異なります。また、個人差もあります。
自分が受ける施術について、医師の説明をしっかり聞いておくことが大切です。
確認すべきポイントは次のとおりです。

  • 効果が発現するまでの期間
  • 効果の持続期間
  • ダウンタイムと施術後のスキンケアや日常生活の注意
  • 考えられる副作用
  • 副作用が起こった際の対処法
  • 何かあった際の連絡先

3)異常を感じたらすぐにクリニックに問い合わせを!

事前に説明を受けた話よりも副作用がひどい場合や聞いていなかった異常が現れた場合は、
躊躇せずに、早く治療を受けた医療機関に問い合わせましょう。
多くの美容クリニックは、親切かつ真摯に対応してくれますし、必要に応じて診察してもらえるはずです。
もし、対応に不安や不満がある場合は、医療安全支援センターに相談してみましょう。

医療安全支援センター総合支援事業のホームページに、全国の医療安全支援センターの連絡先が掲載されていますので、参考にしてください。

<参考情報>
医療安全支援センター

4)契約や費用を事前に確認しよう

美容医療では、1回目の治療の費用だけでなく、2回目以降の契約を行うこともあります。
契約によっては、回数が増えればディスカウントが適応されることもあるので、患者さんにも美容クリニックにもメリットがあります。
しかし、一部では強引な勧誘や緊急性を煽るなどが原因でトラブルになるケースもあります。
現在では、「契約期間1ヶ月以上で、費用が5万円以上」の美容医療については、特定商取引法の対象となっています。
そのため、対象となる治療では、内容を書面で説明することや契約書を交付することが義務化されています。
また、誇大広告の禁止、意図的に故意に不都合な事実を伝えないことなど患者さんやはじめて美容医療を受ける方を守るための法律が整備されています。
さらには、契約から8日間以内であれば、無条件で契約の申し込みを撤回・解除できるクーリング・オフが適応されます。

しかし、こうしたことにならないことが大切です。
カウンセリングで魅力的な提案があっても、その場の勢いで契約せず、あらためて冷静になって、治療の必要性や費用が生活を圧迫しないかなどを再考しましょう。

<参考情報>
消費生活センターWEBサイト

5)それでも最終チェックを

厚生労働省では、美容医療によるトラブルを防ぐために、「美容医療を受けようと考えている方は、施術前にチェックを!」として、次に4つを確認することを推奨しています。

  1. 使用する薬などがどのようなものか、自分でも説明できますか?
  2. 効果だけでなく、リスクや副作用などについても知り、納得しましたか?
  3. ほかの方法や選択肢の説明も受け、自分で選択しましたか?
  4. その美容医療は「今すぐ」必要ですか?最後にもう一度、確認しましょう。

もし、説明を受けていなければ医師に聞いてみましょう。

<参照記事>
厚生労働省「確認してください!美容医療を受ける前にもう一度」
消費者庁・厚生労働省制作リーフレット

9.はじめて美容医療を受ける際のよくあるご質問

ここでは、美容医療を初めて受けようと考える方からの質問についてまとめてみます。

1)未成年ですが親の同意は必要でしょうか?

2022年4月1日より、法律上は18歳から親権者の同意なしに美容医療を含むさまざまな契約が可能となりました。
だから、未成年でも18歳以上なら親権者の同意は不要です。

しかし、政府広報や各自治体からの注意喚起として、美容医療の契約も消費者トラブルが多い例として取り上げられています。
そのため、安心・安全な医療を提供するために、20歳になるまでは保護者の同意を必須とする医療機関もあります。

はじめて美容医療を受ける場合は、未成年の場合は、18歳以上でも親権者や保護者と相談の上、理解を得た上で行う方がベターといえます。

2)美容クリニックへ行く際に持参するものは何でしょうか?

まず美容クリニックへ行く上で必須になるのが、運転免許証・保険証・パスポートなどの身分証明書です。
最近では、マイナンバーカードなどの顔写真が付いたものが望ましいです。身分証明書がないと当日の施術ができない場合もあります。

また、肌の施術や輪郭の施術をする場合、肌が過敏になったり、乾燥したりする場合があります。そのため、肌が守れる日傘や帽子などを持参しておくと良いでしょう。

さらに、ダウンタイムがなく施術直後からメイクができる場合もあるので、メイク道具も持参しましょう。

ほかでは、目の施術や麻酔を使用する施術をする場合、コンタクトを使用している方は外す必要があります。
また、施術直後はコンタクトを入れられない場合もあるため、コンタクトケースと、眼鏡を持参すると良いでしょう。

もう1つ気をつけたいのが、金融機関発行のキャッシュカードと口座の届出印。
医療ローンでの施術の支払いを検討している方は、金融機関発行のキャッシュカードと口座の届出印を持参する必要があります。
医療ローンを組む際に記載する書類には、口座情報と印鑑を捺印する箇所があるからです。
そこでローンが組めない場合、当日の施術ができません。
クレジットカードで決済を予定している方は限度額を事前に確認するようにしましょう。特に、学生の場合は限度額10万円で設定している場合が多いので、スムーズに契約を進めるためにも来院前に確認しておく必要があります。

3)美容医療は何歳くらいから受けるべきでしょうか?

美容医療には年齢制限がないので、何歳からでも受けることが可能です。
たとえば、ニキビ、アザやほくろなどの治療の場合は、未成年でも受診されるケースもあります。
しかし、美容面で考えれば、18歳以上がおすすめです。
また、肌老化の対策も20代から行うことで、予防効果も高くなります。

4)カウンセリングだけ受けて施術を受けずに帰っても良いのでしょうか?

もちろん、大丈夫です。
カウンセリングを受けて納得できない場合や、納得してもほかのクリニックでも話を聞きたい場合は、施術を受けずに帰りましょう。
美容医療ではかかりつけ医を見つけることも大切です。
はじめての美容医療では、そうした点も意識して複数のクリニックでカウンセリングを受けることをおすすめします。

5)ダウンタイムとは何ですか?副作用との違いは?

ダウンタイムとは、美容医療を受けた後の赤みや腫れなど、皮膚の状態が落ち着くまでの期間(治療後に絆創膏を貼っている期間)のことです。
施術の種類によって、また、個人によって長さはさまざまです。
施術箇所が顔の場合、ダウンタイム中はメイクができない期間も発生します。また、施術や症状によっては、仕事やイベントなどの予定に支障が出てしまう可能性もあります。
そのため、必ず施術前にダウンタイムの程度や期間について確認しましょう。

副作用とは、施術が原因となって起こる良くない症状です。
たとえば、ダウンタイムの間の症状として、施術部位の赤みや内出血、腫れなどがおこります。これらは、施術による副作用の一種です。

6)美容医療がおすすめの人や向かない人は?

美容医療がおすすめの方は、スキンケアやエイジングケアだけでは肌悩みや肌老化が改善しない方です。
また、将来の肌老化を防ぐために、専門家によるメンテナンスを受けたい方もおすすめです。
もちろん、ある程度の出費を覚悟できることや、しっかり医師と対話ができて自己責任で施術を「受ける、受けない」の判断ができることが条件となります。

一方、美容医療が向かない方としては次のような場合です。

  • すごく心配性で少しでも副作用があると嫌な方
  • 施術後の理想像が過度に高い方
  • 勢いで施術を決めてしまう方
  • 予算ありきで施術を決める方
  • 勧められた施術を断れない方

7)美容医療を受ける際に季節を考慮する必要はありますか?

ダウンタイムがない治療の場合は、特に季節を気にする必要はありません。
しかし、シミ取りレーザーなど紫外線ダメージを受けて日焼けする方やダウンタイムがある治療の場合は、春や夏より秋や冬がおすすめです。

8)美容医療ではクーリング・オフが100%適応可能でしょうか?

いいえ。条件を満たす必要があります。
特定継続的役務提供に該当する美容医療サービスにはクーリング・オフ制度があります
医療脱毛などを含む一部の美容医療サービスは、期間が1カ月を超え、金額が5万円を超える場合は特定商取引法が適用され、契約書面を受け取った日を含む8日間はクーリング・オフが可能です。
また、クーリング・オフ期間を過ぎた場合でも、契約期間内であれば決められた金額を支払うことで中途解約も可能です。
ただし、すべての美容医療サービスの施術でクーリング・オフや中途解約ができるわけではないので、契約に不安があったり、やめたいと思う場合は、消費生活センターなどに相談しましょう。

<参考記事>
独立行政法人国民生活センター「美容医療サービスはクーリング・オフできる?」
独立行政法人国民生活センター「クーリングオフ」

9)初めて美容医療を受ける男性ですが、おすすめの施術は?

男性でも初めて美容医療出おすすめの施術は女性と変わりません。

ケミカルピーリングやフォトフェイシャル、エレクトロポレーション、ハイドラフェイシャル、美容点滴、ピコトーニング、ジェネシスなどがおすすめです。

<参考記事>
男性の美容医療!体験済みのおすすめ&やってみたい施術一挙公開

10)美容医療のメリットとデメリットを整理していただけますか?

美容医療のメリットは、専門性を持った医師が診断して治療するため、それぞれの肌悩みや症状に合った施術を提案してもらえることです。

スキンケアやエイジングケア、エステティックサロン、薬局で買う治療薬などより高い効果が期待できます。

一方、美容医療のデメリットは、保険適応ではなく自由診療なので費用負担が大きいことです。また、肌悩みによっては通院回数が増えます。

10.まとめ

はじめて美容医療を受ける方のために、クリニックの選び方やおすすめの施術をご紹介しました。

また、初めて美容医療を受ける際のおすすめの施術も紹介しました。

さらに、エステティックサロンとの違いや診療科による治療法の違いについても説明しました。
いかがだったでしょうか。
美容医療を受けてみたい思う方が増えている一方で、トラブルもまだたくさんあります。それを減らし、満足できる効果を得るためには、受診前に十分な知識を持つことや正しく理解することが必要です。
この記事「はじめての美容医療は何から始める?選び方やおすすめの施術!」が、ナールス美容医療アカデミーの読者の皆様のお役に立てば幸いです。