兵庫医科大学卒業
大阪警察病院勤務
大阪大学医学部附属病院勤務
一般財団法人住友病院勤務
医学研究所北野病院勤務
一般財団法人住友病院勤務
某美容皮膚科クリニック勤務
RURI clinic開院
*望月瑠璃子先生は、2023年にRURI clinic院長を退任され、2024年現在では大嶋恭輔先生が統括院長をお務めになっておられます。
*ニキビ痕の原因と対策の全てがわかる!|エイジングケア化粧品のナールス
- 1 1.医師に聞くシリーズ「ニキビ跡は4種類!炎症後の色素沈着はどう治す?望月瑠璃子先生に聞いた」
- 2 2.ニキビの発症の原因と悪化していく段階
- 3 3.ニキビ跡の種類と治療について望月瑠璃子先生に聞いた
- 3.1 Q1.ニキビ跡とは何でしょうか?
- 3.2 Q2.ニキビ跡にはいくつかのタイプがあると聞いたのですが、詳しく教えていただけますでしょうか。
- 3.3 Q3.どんなタイプでも、早く皮膚科や美容クリニックを受診した方が良いでしょうか?
- 3.4 Q4.ニキビ跡での治療で最も多いタイプは4つのうちどれでしょうか?
- 3.5 Q5.ではまず、炎症後色素沈着によるニキビ跡に絞って、その原因や治療法について教えていただきます。まず、原因は何でしょうか?
- 3.6 Q6.それでは、色素沈着が原因のニキビ跡の治療法についておしえていただけますか?
- 3.7 Q7.ニキビ跡がクレーターのように凹んだタイプはどんな治療をするんでしょうか?
- 3.8 Q8.光治療(IPL)もニキビ跡の治療に使われると聞いたことがありますが、いかがでしょうか。
- 3.9 Q9.ニキビ跡の治療期間はどれくらいかかるのでしょうか?
- 3.10 Q10.それだけ長い期間がかかるなら、ニキビ跡ができないようにすることが大切ですね。
- 3.11 Q11.予防が大切なことがよくわかりました。一方で、今、ニキビ跡を治療している方もおられます。ホームケアで大切なことは何でしょうか?
- 3.12 Q12.ニキビ跡の治療中でも食生活は大切ですよね。
- 4 4.ニキビ跡の治療に関するよくある質問
- 5 5.まとめ
1.医師に聞くシリーズ「ニキビ跡は4種類!炎症後の色素沈着はどう治す?望月瑠璃子先生に聞いた」
ナールス美容医療アカデミーでは、美容医療に携わる現役の医師に、施術や医療機器、肌老化や肌悩みについてお話を伺った内容を動画や記事としてお届けしています。
今回は、RURIクリニック院長の望月瑠璃子先生に、ニキビ跡の種類や炎症性色素沈着によるニキビ跡ついてお話を伺いました。
ニキビ跡はかなり目立つので、多くの方が気にする肌悩みです。
本記事については、動画でもお届けしていますので、ぜひ、そちらもご覧くださいね。
また、ニキビに関する関連治療の記事もありますので、あわせて参考にしてください。
<望月瑠璃子先生ご出演:手ごわいニキビ跡はどう治す?>
<加藤雄一郎先生ご出演:皮膚科で治らないニキビ!切り札はこれ!>
<参考記事>
RURI clinic院長|望月瑠璃子先生に美容内科の考え方などをインタビュー
<望月瑠璃子先生からのメッセージ>
ニキビ跡の治療は、半年以上の長い期間が必要です。
そのため、できればニキビ跡をつくらないように、早めの皮膚科や美容皮膚科で治療をすることをおすすめします。
とはいえ、すでにニキビ跡で悩んでいる方もおられると思います。
今では、美容クリニックで受けられるニキビ跡治療の選択肢が増えています。
だから、さまざまな面からアプローチが可能です。ニキビ跡を改善したい方は、根気よく治療を続けていただければと思います。
また、治療期間中に新しいニキビを作らないことも大切です。
日々のスキンケアや良い生活習慣が大切ですが、時には美容クリニックに頼っていただき、肌を診断してもらうなど、自分の肌と向き合う時間を取っていただくと良いと思います。
<参考記事>
2.ニキビの発症の原因と悪化していく段階
望月先生にお話を聞く前に、ニキビの発症の原因と悪化していく段階について簡単に整理します。
1)ニキビの原因と発症メカニズム
ニキビができる主な原因は次の3つです。
- 皮脂の過剰な分泌
- 毛穴の詰まり
- アクネ菌の過剰繁殖
脂性肌といった肌質やストレス、食生活の乱れ、睡眠不足、ホルモンバランスの乱れなどによって引き起こされるこの3つが重なりあって、ニキビが発生します。
<ニキビ発症のメカニズム>
2)ニキビの進行
ニキビは最初、毛穴に皮脂が詰まっただけの「面ぽう・コメド」という段階から始まります。
それがだんだん悪化していくと、「白ニキビ」「黒ニキビ」「赤ニキビ」「黄ニキビ」と進みます。
炎症があるニキビは、治っても最終的にニキビ跡になることがあります。
だから、ニキビは予防することや、早い段階で適切なケアや治療を行うことが大切です。
なお、今回はニキビの予防や治療には触れず、ニキビ跡に焦点を当てた内容をご紹介します。
<ニキビが悪化していく段階>
ニキビの治療全般に関しては、日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡治療ガイドライン2017」で詳しく紹介されています。
<出典>
林伸和ほか,尋常性痤瘡治療ガイドライン2017.日皮会誌 127(6): 1261-1302, 2017
<参考記事>
初期のニキビの治し方!毛穴の詰まりを解消する効果的なスキンケア
3.ニキビ跡の種類と治療について望月瑠璃子先生に聞いた
Q1.ニキビ跡とは何でしょうか?
ニキビ跡とは、ニキビが治った後の肌に残る色素沈着やクレーターなどのことです。
ニキビが軽症の場合はきれいに治ることが多いので、ニキビ跡が残ることはあまりありません。
しかし、ニキビがひどい場合には炎症が長く続いて、表皮の奥にある真皮にまでダメージが届くことがあります。
炎症によって真皮に与えられたダメージは、自力では修復することが難しいので、ニキビ跡として残ってしまうことが多いのです。
Q2.ニキビ跡にはいくつかのタイプがあると聞いたのですが、詳しく教えていただけますでしょうか。
ニキビ跡には、4つのタイプがあります。
1つ目は、「炎症後色素沈着」と呼ばれる茶色いシミのように見えるタイプです。
2つ目は、「炎症後紅斑」と呼ばれるニキビの炎症が赤い跡として残っているタイプ。
3つ目は、ニキビ跡がクレーターのように凹んだタイプ
そして、最後は、ニキビによる炎症が治まった後、肌の表面が固く膨らんでしこりが残るタイプがあります。
多くの場合、4つのうちいくつかのタイプが混じっています。
そのため、人によってさまざまなパターンのニキビ跡があります。
Q3.どんなタイプでも、早く皮膚科や美容クリニックを受診した方が良いでしょうか?
ニキビ跡は、セルフケアでは改善することができません。
また、原因となった炎症が重症かつ長引いているほど対処が難しくなります。
だから、皮膚科や美容皮膚科で治す必要があります。
一方、ニキビは軽いうちなら、スキンケアで治すことが可能です。
しかし、適切なケアを行わないと、キレイに治らないばかりか、ニキビ跡が残る可能性もあります。
だから、ニキビが気になる場合は、早めに受診することがおすすめです。
まずは、皮膚科で保険診療の治療を受けることおすすめします。
Q4.ニキビ跡での治療で最も多いタイプは4つのうちどれでしょうか?
最も多いのは、炎症後色素沈着によるニキビ跡です。
といっても、先ほどもお話したように、他のタイプも混じっている場合が多いです。
例えば、ニキビを潰してしまった場合は、ニキビ痕がクレーターになることもあるので、治療は異なります。
Q5.ではまず、炎症後色素沈着によるニキビ跡に絞って、その原因や治療法について教えていただきます。まず、原因は何でしょうか?
炎症後色素沈着によるニキビ跡は、ニキビの炎症で表皮の奥のメラノサイトが活性化され、メラニンが過剰に生成されることが大きな原因となります。
赤みのあるニキビ跡を放置すると、茶色いシミのような色素沈着が引き起こされます。
また、もしメラニンが真皮でできると「真皮性の色素沈着」といって、青黒く見えることもあります。
Q6.それでは、色素沈着が原因のニキビ跡の治療法についておしえていただけますか?
色素沈着によるニキビ跡は、溜まっているメラニン色素を肌の外に出す治療法があります。これは、ターンオーバーを改善するための治療です。
もう1つは、メラニン色素を小さく砕いて、見た目を薄くする治療法があります。
これは、レーザーなどの医療機器でメラニン色素を薄くする治療です。
具体的な治療法としては、次の3つです。
- レーザーによる治療
- 内服による治療
- 外用薬による治療
レーザーによる治療は、表皮にとどまっている表皮性のニキビ跡と真皮までダメージを受けている真皮性のニキビ跡に有効で、機器の種類を変えたり、照射方法を変えるなどで工夫します。
ニキビ跡がありながら、ニキビもある場合は、保険診療で使える内服の医薬品を使います。
例えば、皮膚科ではアダパレン(製品名:ディフェリンゲル)や過酸化ベンゾイル(略号:BPO)(製品名:ベピオゲル2.5%)BPO)を使って健康保険による治療が可能です。
外用薬には、保湿や血行促進、抗炎症などの効果を持つ「ヘパリン類似物質」や、ニキビの炎症を抑えたり色素沈着を改善する「ビタミンC誘導体」、美白剤として知られる「ハイドロキノン」などがあります。
症状に応じて、適切な外用薬を選択します。
Q7.ニキビ跡がクレーターのように凹んだタイプはどんな治療をするんでしょうか?
この場合は、ダーマペンを使った治療が1つの選択肢です。
ダーマペンとは、とても細い針で肌の表面に一時的に小さな穴をつくり、肌に備わった自然治癒力でニキビ跡や毛穴の開きなどを改善する治療です。コラーゲンやエラスチンが生成されることで、傷ついた真皮組織を回復させることでニキビ跡の改善をもたらします。
<ダーマペンのメカニズム>
また、ピコレーザーを使って、ピコフラクショナルという照射モードで治療を行うケースもあります。
ピコレーザーとは、ピコ秒(1兆分の1秒)という、とても早い速度で照射するレーザーです。
<ピコレーザーのパルス幅>
ピコフラクショナルとは、ピコレーザーで、真皮に微小な穴を空け、肌が持つ再生能力によって徐々にニキビ跡を修復する治療法です。
ピコフラクショナルの場合、従来のフラクショナルレーザーよりもダウンタイムが短いので受けやすい治療といえます。
<ピコフラクショナルのメカニズム>
<参考記事>
ピコフラクショナルの効果はいつから?何回で毛穴やシミに効果が出る?
Q8.光治療(IPL)もニキビ跡の治療に使われると聞いたことがありますが、いかがでしょうか。
IPLは、IPL(Intense Pulsed Light)という複数の周波数の光を照射することで、シミをはじめニキビ跡や赤ら顔など、さまざまな肌悩みに対応している治療です。
その代表的な医療機器がフォトフェイシャルです。
だから、フォトフェイシャルとIPLは同じ意味で使われることが多いです。
IPLは、比較的軽いニキビ跡にはある程度の効果を発揮します。
ただし、クレーターになってしまっている場合や、肌の表面が固く膨らんでいる場合のニキビ跡には反応しません。
<IPLの肌悩みへのの作用>
ニキビ跡の治療には、ほかにもいくつかありますが、患者さまの状態に合わせて、施術方法を選んだり組み合わせたりします。
<参考記事>
フォトフェイシャルの効果がすごい!?毛穴やシミにはいつから効果出る?
IPLの効果は何日後に表れる?治療にかかる期間や回数について解説
Q9.ニキビ跡の治療期間はどれくらいかかるのでしょうか?
個人差はありますが、平均的には半年程度かかります。
長い場合は、1年以上から数年かかることもあります。
ニキビ跡の重症度の違いや肌の再生能力には個人差があるため、治療期間は異なります。
Q10.それだけ長い期間がかかるなら、ニキビ跡ができないようにすることが大切ですね。
その通りです。
ニキビ跡は、治療が遅れると、それだけ改善するのに時間がかかってしまいます。
だから、ニキビができてしまった時点で、早く皮膚科や美容皮膚科で治療を受けることをおすすめします。
もっと言えば、ニキビができにくい肌質や体づくりをしていただければと思います。
男性でも女性でも、バランス良く栄養素を摂るなど日頃の食生活や生活習慣も大切です。
Q11.予防が大切なことがよくわかりました。一方で、今、ニキビ跡を治療している方もおられます。ホームケアで大切なことは何でしょうか?
まず、ニキビ跡やその周辺の肌を擦らないなど、刺激を与えないようにすることが大切です。
また、スキンケアで保湿をしっかり行うことや、ビタミンC誘導体入りの化粧品などで補うことも大切です。
Q12.ニキビ跡の治療中でも食生活は大切ですよね。
はい。大切です。
新しいニキビの原因を防ぐ上でも、暴飲暴食は控えていただきたいです。
糖質をたくさん摂ったり暴飲暴食すると、ビタミンBがたくさん消費されます。
そのため、体にビタミンBが不足してしまいます。
ビタミンBは、皮脂腺のはたらきをコントロールしているので、不足すると皮脂分泌が過剰になってしまいます。
その結果、ニキビができやすくなるのです。
暴飲暴食をしないことや糖質を摂り過ぎないことが良いのですが、もし摂り過ぎてしまった場合などは、サプリなどでビタミンBを補うなど対策することも大切です。
ニキビ跡の治療中は、スキンケアと正しい生活習慣で新しいニキビを作らないようにしていただければと思います。
4.ニキビ跡の治療に関するよくある質問
Q1.ニキビ跡は自然に消えますか?
赤み(炎症後紅斑)と黒ずみ(炎症後色素沈着)に関しては、多くの場合、放っておいても自然に消えます。
しかし、凸凹やクレーターになったニキビ跡は自然に消えません。
Q2.ニキビ跡は美容皮膚科では保険診療で治せますか?
美容皮膚科でのニキビ跡の治療は自費診療です。そのため、保険診療では治せません。
Q3.ニキビ跡を治す内服薬はありますか?
ビタミンCを含むシナールやビタミンB1、B2、B6、B12が配合されているノイロビタン、
ビタミンEが配合されてるユベラなどで、赤みのあるニキビ跡や茶色っぽくなったニキビ跡の改善効果が期待できます。
Q4.望月先生に教えていただいた以外のニキビ痕治療はありますか?
はい。いくつかのニキビ痕治療があります。
たとえば、LED治療(ヒーライトⅡ)は、ニキビ痕の赤みや色素沈着におすすめです。
また、最新マイクロニードルRF(高周波)を使った治療法であるシルファームXもニキビ痕治療に使われます。
これは、微細な針で肌に穴をあけ、肌奥の真皮層に直接熱を与えニキビ跡などに効果を発揮する治療です。
さらに、特殊な専用の針を使用し、ニキビ痕直下の固くなった皮膚の繊維を切り離すことでクレーターを治す「サブシジョン」という治療法も登場しています。
サブシジョンは、クレーターの原因となっている瘢痕組織を剥離するため、物理的にクレーターを改善させる効果が期待できます。
<参考記事>
シルファームXの効果は?ダーマペンやポテンツァとの違いも解説
Q5.紫外線はニキビやニキビ痕に悪影響を与えますか?
はい。ニキビの炎症部位に紫外線ダメージが加わるとメラニンの合成が促進されるため、色素沈着が残ってニキビ痕になるリスクが高くなります。
ニキビ痕を防ぐためにもニキビが気になる場合が、紫外線対策を怠らないようにしましょう。
5.まとめ
RURIクリニック院長の望月瑠璃子先生をお迎えして、ニキビ跡の原因や治療にについてお話をお伺いしました。
ニキビ跡は、ニキビがひどい場合に炎症が治まったあとに目立ちます。
一度、目立つと治療には長い期間かかってしまいます。
だから、予防することが最も大切です。
しかし、できてしまっても諦める必要はありません。
今では、ニキビ跡を美容医療で治療する方法がたくさんありますので、自分に合うクリニックを見つけて改善を目指しましょう。
もちろん、合わせてスキンケアや正しい生活習慣を身につけることも大切です。
この記事が、ニキビ跡に悩んでいて何とかしたい方のお役に立てば幸いです。
SNS Share
\ この記事をシェアする /