本当にシミが早く取れる美容治療は？加藤雄一郎先生と体験者が対談

このテーマの回答者

東中野皮フ科クリニック

院長　加藤雄一郎先生

日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/日本医師会認定 産業医
【所属学会】
日本皮膚科学会 会員/日本美容皮膚科学会 会員/日本皮膚悪性腫瘍学会 会員/日本美容外科学会（JSAS）会員
【診療外実績】
アラガン・ジャパン株式会社　ボトックスビスタ® 認定医
東京医科大学病院 皮膚科勤務を経て、大手美容外科の院長となる。

＊しみの原因と対策の全てがわかる！|エイジングケア化粧品のナールス

1.医師に聞くシリーズ「本当にシミが早く取れる美容治療は？医師と体験者が対談」

ナールス美容医療アカデミーでは、美容医療に携わる現役の医師に、施術や医療機器、肌老化や肌悩みについてお話を伺った内容を動画や記事としてお届けしています。

今回は、東中野皮フ科クリニック院長の加藤雄一郎先生に、シミを早く取る美容治療や費用、注意点についてお話を伺いました。

一度できてしまったシミは化粧品で消すことはできないので、シミを取りたい場合はレーザーなどの美容治療を受ける必要があります。

美容医療というと、市販の美白化粧品に比べて随分敷居が高く感じられるかもしれませんが、シミ治療は美容治療の中でも比較的低予算で行うことができます。

できるだけ早く、かつ効果的にシミを取りしたいとお考えの方は、ぜひ続きをご覧ください。

本記事については、動画でもお届けしていますので、ぜひ、そちらもご覧くださいね。

＜加藤雄一郎先生ご出演：大きなシミ２つと小さなシミ３つ。レーザーとIPLの費用は？＞

＜参考記事＞

シミを消す対策は、美白だけに頼らない紫外線対策と美容医療

老人性色素斑はシミ！原因と予防・治療・メイクの方法は？

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2.シミを早く取るための美容治療について加藤雄一郎先生に聞いた

Q1.紫外線や加齢が原因で目立つシミ「老人性色素斑」に対する最も効果的な美容治療はズバリ、何でしょうか？

ズバリ、IPLとレーザーの組み合わせた治療だと思います。

Q2. IPL治療について詳しく教えていただけますでしょうか。

IPL治療は、IPL（Intense Pulsed Light：インテンス・パルス・ライト）という複数の周波数の光を照射することで、シミだけでなく、そばかす、くすみ・毛穴の開き、赤ら顔などにも効果的な施術です。

実は麻酔も不要で、ダウンタイムもほとんどありません。

比較的小さなパワーで光を照射するので、1回あたりの施術効果はマイルドですが、治療のあとの痛みや腫れ、赤みなどが少ないといったメリットがあります。

IPL治療では、照射できる光の周波数の範囲が広いため、波長を調整することでシミ・くすみ・ニキビ・赤ら顔・美肌・美白・毛穴の開きといった様々な肌悩みに直接アプローチできます。

なぜ、シミが消えるかというと、メカニズムが３つあります。

1. 光がシミの原因であるメラニンに反応して色素を分解。
2. 分解されたメラニンは少しずつ表皮のほうへ浮かび上がる。
3. ターンオーバーというお肌の代謝によって、老廃物として皮膚の外に出していく。

このように、目に見えない隠れたシミもターンオーバーでなくなっていくので、目に見えるシミだけではなく、将来のシミに対しても予防効果が期待できます。

IPL治療で使われる代表的な医療機器がフォトフェイシャルです。

だから、IPL=フォトフェイシャルという意味で使われることが多いです。

しかし、最近では、ルメッカやフォトシルクプラスなど、フォトフェイシャルが進化したIPLの機器が登場しています。

また、フォトフェイシャルそのものも進化し、今では「ステラM22」という最新機が登場しています。ステラM22は、9種類のフィルターが搭載されていて、肌質や肌悩みにあわせて波長域を選択します。また、照射面積も選ぶことでき、顔全体に照射するものから、特定のパーツにピンポイントで照射することも可能です。

だから、一人ひとりの肌悩みや症状に合った光治療を行うことが可能になっています。

＜参考記事＞

フォトフェイシャルの効果がすごい！？毛穴やシミにはいつから効果出る？

IPLの効果は何日後に表れる？治療にかかる期間や回数について解説

フォトシルクプラスの効果はいつから？回数や持続期間について解説

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Q3. IPLでシミを改善する場合の回数と費用はどれくらい必要ですか？

IPL自体の1回の治療時間は20～30分程度です。

それを月1回続けていただいて、３～４回、多い時は5回くらい続けていただくという流れになります。

シミの状態によっては、それ以上の回数が必要な場合もあります。

費用はクリニックによって異なりますが、１回あたり10,000～35,000円くらいで行うことが多いです。

Q4.IPLのデメリットや注意点はありますか？

例えば、適切な施術を行わないと肝斑の悪化を招くことがあります。

そのため、正しく診断を行い、適切な設定値で行うことが大切です。

また、設定値の強さにもよりますが、軽い火傷や水ぶくれになることもあります。

施術中の注意点としては、眩しさや痛みを感じることがあります。

他のデメリットとしては、一回では効果を感じづらいというのはあります。

ただ、その分マイルドな治療になるので、受けていただきやすい治療かと思います。

なお、次のようなケースに該当する方は、治療をお受けいただくことができませんので、ご注意ください。

• 妊娠中あるいは授乳中の方
• 重篤な疾患や感染症がある方
• アトピーや皮膚病などの皮膚疾患をお持ちの方
• アレルギー体質の方
• 強い日焼けがある方

Q5.効果がマイルドなのでレーザーと組み合わせれば効果がアップするということでしょうか？

そうですね。IPLに反応しないシミもありますので、すべてのシミが消えるというわけではありません。そのため、IPLとレーザーを組み合わせるのが効果的になります。

また、IPLはシミだけではなく、くすみや小じわ、ハリ改善といった美肌効果が期待できますので、お顔全体のエイジングケアができるという点でも、組み合わせでの治療はおすすめです。

Q6.それでは、レーザーについて詳しく教えていただけますでしょうか。

レーザー治療にもさまざまな種類がある中で、Qスイッチレーザーという機器がシミの治療に多く用いられています。

Qスイッチレーザーは、色素沈着にだけにレーザーが反応し、素肌への負担は極力下げて、治療が行えます。

皮膚に沈着したメラニン色素を破壊することで、肌の外に排出させる効果があるとされています。

機器には、波長が異なるものが数種類あり、症状に応じて使い分けることにより、幅広い治療に対応します。

例えば、Qスイッチレーザーの中には、YAGレーザー、アレキサンドライトレーザー、ルビーレーザーがあり、使い分けることでシミやソバカスだけではなく、アザの治療や刺青の除去などにも使用することができます。

また、レーザーには3種類の照射方法があります。

スポット、トーニング、フラクショナルです。

特定の大きなシミには、スポット照射を行いますが、今回のレーザーによるシミ治療のお話は、まさにQスイッチレーザーのスポット照射についてです。

＜参考記事＞

シミ取りレーザーの種類と効果は？失敗しない選び方や料金相場を解説

シミの種類別おすすめのレーザー

YAGレーザーとは？シミへの効果やダウンタイムについて解説

アレキサンドライトレーザーとは？シミへの効果や値段について解説

ルビーレーザーとは？シミ治療にかかる料金やダウンタイムなど解説

Q7.Qスイッチレーザーでシミを取るのに必要な時間、回数や費用について教えていただけますでしょうか。

処置時間は、照射数や範囲によりかなり差がありますが約5～30分です。

費用はシミの大きさや数で異なります。

たとえば、レーザー1照射で収まる約5mm以下のサイズなら、1回5,000円前後。

小さなシミを3個取りたい場合は、その3倍になるので15,000円くらいです。

大きなシミ(6mm~20mm)の場合は、1つ10,000円~15,000円程度になります。

回数は、通常、1回～2回で終わるものがほとんどです。

だいたい1回で終わる方の方が多いです。

濃いシミに関しては、例えば１回照射後の2～3か月後に追加照射して治療が終わることが多いです。

ただし、2～3か月後の段階で、照射前よりもシミが濃くなっている場合は、基本的に追加照射はしません。照射後の状態には個人差がありますので、医師と相談しながら治療を進めてください。

Q8.Qスイッチレーザーを照射するときの痛みやダウンタイムについてはいかがでしょうか？

個人差はありますが、痛みに関しては、輪ゴムでパチンと弾かれたような瞬間的な痛みがあります。ただ、つらいとおっしゃる方はあまりいません。ほとんどの方が我慢できるぐらいのものです。

痛みに弱い方に関しては、塗る麻酔薬を使用したり、よく冷やしてから治療することで、痛みを緩和するよう対応しています。痛いのが苦手な方は、事前に医師に伝えていただくとよいと思います。

ダウンタイムは、だいたい1～2週間みていただいたらと思います。

メイクをする方もいらっしゃると思いますが、照射した後は、保護テープを貼りますので、テープの上からメイクすることはできます。

テープをはがすタイミングは、ダウンタイムが終わる1～2週間後なので、治療個所に直接メイクをするのはそのタイミングでしていただいて問題ありません。

入浴は治療当日からできます。

ちなみに、入浴時などにテープが剥がれてしまった場合は、石鹸などをよく泡立てて幹部を優しく洗っていただき、入浴後に水分を拭きとって、再度テープを貼る措置が必要です。

ダウンタイム終了後に一時的に色が濃くなることがあります。このような場合でも、色が濃くなってから3～6か月程度で次第に色が薄くなっていきますので、あまりご心配なさらないでください。

＜参考記事＞

シミ取りレーザー後に色素沈着？ダウンタイムや経過は？

Q9.例として大きいシミが２つ、小さいシミが3つある方の場合の、治療計画を教えてください。

数が数えられるシミと、数えられないシミがあると思います。

そのため、まずは数えられないシミやうっすらとくすみのようなもの、薄いシミを治療していくために、お顔全体にIPLを月1回のペースで4～5回続けていただきたいと思います。

IPL治療を受けることで、顔全体がトーンアップして、シミも徐々に薄くなっていきます。

小さなシミが消えることもあります。小さなシミが残っていたとしても、治療開始前よりもずいぶん薄くなっていると実感されるケースも多いです。

その後は、最後のIPLのタイミングから1か月空けて、残ったシミに対してQスイッチレーザーを当てていきます。

それによって、かなり治療効果が高くなることが期待できます。

それでも消えなかったシミに対しては、2～3か月後にQスイッチレーザーを追加照射することで、多くの場合、治療が完了します。

Q10.今回の治療計画を実際に受ける場合、費用は総額でいくらくらいになりますでしょうか？

クリニックによって異なりますが、相場としては、

IPLが1回あたり1～2万円で施術することができます。

それがだいたい4～５回なので、そこで4、５万円～8、10万円になるかと思います。

Qスイッチレーザーは、数や大きさにもよりますが、2～3万円くらいみていただけると良いかと思います。

合計すると、診察料などを含めて8～10万円くらいでおさまるのではないかと思います。

1回でシミが消えなかった場合、2回目のQスイッチレーザーは、無料で行ってくれるクリニックもあります。

無料ではなかったとしても、トータルでいくと、8～15万円くらいまででおさまるのではないでしょうか。

例：IPLを5回、Qスイッチレーザーを2回受けた場合の費用

3.編集後記（まとめ）

東中野皮フ科クリニック院長の加藤雄一郎先生をお迎えして、シミの効果的な治療方法についてお話をお伺いました。

シミは一度できてしまうと、セルフケアで消すことは難しいです。そのため、まずはシミができないように予防することが大切ですが、それでもできたしまったシミを消すなら美容医療での治療が必要になります。

治療の選択肢はいくつかありますが、料金だけで考えると、Qスイッチレーザーをシミの箇所に照射するだけの方が安くなります。でも、これからできるかもしれないシミ（隠れシミ）のことや、お顔全体の美肌効果も得られると考えると、長い目でみたら、IPLなどの他の治療と組み合わせる方が良いこともあります。

目に見える目立つシミのことだけにとらわれず、自分にとって最も効果的で早く治療できる方法はどんな方法なのかを考えることも大切かもしれないですね。

そのあたりも考慮して、まずは、クリニックでじっくり話を聞いてみることから初めてみてはいかがでしょうか？

この記事が、美容医療でのシミ治療をお考え方のお役に立てば幸いです。