YAG(ヤグ)レーザーは、シミやそばかすなどの色素斑の治療から美肌治療、医療脱毛にまで広く使われています。なぜなら、波長の違う3種のタイプがあるので幅広い肌悩みにアプローチできるからです。この記事では、YAGレーザーの特徴や種類、効果からダウンタイムや副作用などのデメリットまで幅広く解説します。
日本美容外科学会、日本内科学会所属 順天堂大学卒業。
大学病院、市民病院に勤務後、大手美容クリニックにて美容外科・美容皮膚科の経験を積む。
現在は東京都新宿区 ALMOND CLINIC院長として美容医療・再生医療に携わる傍ら、
医療に関する記事の監修も多数行っている。
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1.YAG(ヤグ)レーザーの施術を受けてみたいと思っている方へ
YAG(ヤグ)レーザーは、美容医療においてさまざまな目的で使われるレーザーです。
加齢や紫外線の蓄積で出てくるシミやそばかす。高い美白化粧品やエイジングケア化粧品を使ってもなかなか改善しないどころか、年齢を重ねるほど気になってきますよね。上からコンシーラーを塗っても隠しきれなかったり、逆に化粧を重ねることで肌の負担が増し、肌トラブルが相次いでしまう。
そんな経験はありませんか?
そんな方におすすめなのは、シミやそばかすだけでなく、ニキビ跡や毛穴など幅広い肌悩みを解決できるYAGレーザーです。
YAGレーザーは、タトゥーやアートメイク、気になっていたあざやほくろの除去も可能です。
<美容レーザーの種類と特徴>
本記事では、ヤグレーザーは気になるけど、デメリットに不安があるという方に向けて、効果はもとより、ダウンタイムや痛みなどについても詳しく解説しています。ぜひ、最後まで読んでみてください。
<監修医からのメッセージ>
YAGレーザーとは、美容医療の施術において、シミをはじめ、さまざまな肌悩みに使われている性能の高い医療機器です。また、歯科治療などでも使われています。
使える範囲が広いのは、波長が3種類あることが1つの理由です。
基本の波長は1064nm(Nd:YAGレーザー)ですが、医療脱毛に使うロングパルスレーザー(照射時間が長いレーザー)としてよく知られています。その半分の532nm(KTPレーザー)の場合は、平坦なシミやそばかす、あざなどの治療に用いられます。さらに、波長が2940nmのEr(エルビウム)YAGレーザーは、皮膚にドット状(フラクショナル)に照射することで、ニキビ跡や毛穴の開きの治療に使ったり、トーニングと呼ばれる弱い出力で肝斑などの治療にも使われています。
そんなYAGレーザーはさらに進化し、「Qスイッチ」という照射時間を短くして出力を高める機能が付いたものや、「ピコ」と呼ばれる1兆分の1秒単位で照射できる超高速のものまで登場しています。
そのため、美容医療では、従来以上に使える目的が幅広くなっています。
一方、脱毛に使うロングパルスのYAGレーザーは、痛みが強いというデメリットがあり、ほかのYAGレーザーでも色素沈着や痛み、赤みなどのリスクがあります。
だから、YAGレーザーはメリットとデメリットを考え、選択の可否を決めることが大切です。
しかし、美容レーザーが多種多様になった現在では、医師でもレーザーの特性を十分に理解することが難しくなってきました。
だからこそ、YAGレーザーをはじめ施術を受ける場合は、経験が豊富で技能の高い医師がいる美容クリニックを選ぶことが大切です。
美容レーザーの施術を受けようと思った際は、まずホームページなどでクリニックの情報をチェックし、信頼できるかどうかを確認しましょう。その上で、カウンセリングを受けて不安点や不明点を解消し、納得した上で施術を受けてくださいね。
「スペクトラ」という名前のQスイッチYAGレーザーによる肌の引き締め治療を受けました。
ペースは、2ヶ月に3回程度、約半年間で合計10回の施術を受けました。
美容医療やスキンケアに関する仕事をしている関係で、日々、エイジングケアを行い、化粧水でのケアや紫外線対策をしていますが、50代も後半を迎え、それだけでは限界を感じていました。
そんなことから、肌の引き締めや毛穴の開き予防の選択肢として、「スペクトラピール」という施術を受けました。これは、1064nmのYAGレーザーを照射し、熱を真皮層にまで届けることでコラーゲンを活性化させ、肌質を改善する照射モードです。
10回の施術を通して、毛穴が引き締まったり、肌質の改善を実感しています。
痛みに関しては、線香花火の炎が飛んで顔に当たるような小さな痛み(熱さ)を感じますが、痛みに弱い私でも十分に耐えられる範囲でした。
<YAGレーザーの1種「スペクトラ」>
<参考記事>
シミ取りレーザーの種類と効果は?失敗しない選び方や料金相場を解説
2.YAGレーザーとは?3種類のレーザー治療の総称
<YAGレーザーをはじめとするレーザーの色素の吸収スペクトラム>
YAGレーザーとは、光源となるイットリウム(Yittrum)、アルミニウム(Aluminum)、ガーネット(Garnet)の頭文字を取って名付けられました。
レーザーの光源には、宝石や鉱石が使われます。
たとえば、YAGレーザー以外でも、アレキサンドライトレーザーやルビーレーザーなどがありますが、これらは光源としてアレキサンドライト、ルビーを使っています。
YAGレーザーには、ネオジム(Nd)やエルビウム(Er)などのレアアースを、レーザー活性イオンとしてYAGに添加したNd:YAGレーザーやEr:YAGレーザーがあります。
医療脱毛やシミ治療に用いられるのは、「ロングパルスNd:YAGレーザー」です。
シミやあざの治療に用いられるのは、短波長の「YAGレーザー(KTPレーザー)」で、ニキビ跡治療やトーニング、脂漏性角化症(やや盛り上がったシミ)に用いられるのは「Er(エルビウム)YAGフラクショナルレーザー(ErYAG)」です。
また、1つの機器で、1064nmと532nmの波長を使い分けることができるQスイッチYAGレーザーもあります。
さらに、最近では、ピコ秒で照射できるピコNd:YAGレーザーも登場しています。
このように、YAGレーザーといっても波長が違ったり、照射速度(パルス幅)、照射モード(照射方法)が異なると、特徴や効果が異なります。
また、ダウンタイムや痛みも違ってきます。
さらに、YAGレーザーは、さまざまな機種があるため、それによっても効果やダウンタイムなどが異なることもあります。
ここでは、波長によるYAGレーザーの特徴の違いをまとめます。
ロングパルスNd:YAGレーザー | KTPレーザー | Er(エルビウム)YAGフラクショナルレーザー | |
波長 | 1064nm | 532nm | 2940nm |
特徴 | ・医療脱毛に多く用いられる ・シミや脂漏性角化症の治療などにも用いられる | ・平坦なシミ(老人性色素斑)の治療に多く用いられる ・扁平母斑やベッカー母斑、そばかすへの治療にも用いられる | ・ニキビ跡治療や盛り上がったシミの除去に用いられる ・皮膚にドット状の小さな穴をあけるフラクショナルレーザーの1種 |
3.YAGレーザーの8つの効果
今、ご説明したように、YAGレーザーは波長などの違いで、シミ治療以外にもニキビ跡の改善や毛穴の改善など、幅広い美肌効果を得ることができる美容医療の施術です。そんなYAGレーザーの効果について詳しく解説していきます。
1)老人性色素斑(シミ)や脂漏性角化症
一般的に、シミと呼ばれるものの大半が老人性色素斑です。シミは加齢や紫外線によるメラニンの蓄積が原因で出現します。早い方は30代から肌表面に現れます。
YAGレーザーにより皮膚へレーザーを照射すると、シミの原因となるメラニン色素がレーザーの光を吸収し、熱エネルギーを発生させます。その熱エネルギーによって熱破壊が起き、シミが除去されます。
YAGレーザーは、シミの種類や厚さによって使用する波長が異なります。平坦な老人性色素斑や脂漏性角化症には、QスイッチYAGレーザーやNd:YAG(ロングパルスヤグ)レーザーが使われます。また、Nd:YAGレーザーと同様、KTPレーザーも老人性色素斑や脂漏性角化症の治療に用いられます。
一方、厚みのある老人性色素斑や脂漏性角化症にはEr(エルビウム)YAGレーザーが使用されます。
ただし、肝斑や炎症後色素斑、ADM(真皮メラノサイトーシス)に対しては、1064nmのNd:YAGレーザーの効果のエビデンスは不十分です。
そのため、施術はおすすめできません。
<参考記事>
2)脱毛効果
1064nmのNd:YAGレーザーは、脱毛効果も高いレーザーです。特に、脇や髭、VIOなどの毛が濃く太くなりやすく、深いところに毛根がある部位に対しても脱毛効果が実感できます。また、産毛にもしっかりと効果を発揮します。それだけではなく、Nd:YAGレーザーは硬毛化リスクが低いレーザーです。そのため、硬毛化してしまった毛の治療にも用いられます。
また、従来のレーザー脱毛では火傷のリスクがあり、照射が難しいとされる肌の色が濃い方や色素沈着がある部位にも照射可能です。照射時には痛みをともないますが、肌質や肌色を選ばず、産毛にも濃い毛にも高い脱毛効果が得られるため、Nd:YAGレーザーを医療脱毛機として採用している美容クリニックは多く存在しています。
<参考記事>
3)薄いシミ・そばかす・肝斑への治療効果
QスイッチYAGレーザーの中には、ルートロニック社の「スペクトラ」など、低出力でシャワーのように照射していくレーザートーニング治療が可能な機器もあります。
そのため、そばかすや従来のレーザーでの治療が難しい肝斑の治療も可能になりました。肝斑とは、主に両頬あたりに左右対象にできるモヤっとした境界線のないシミのことです。30代〜40代の女性に好発します。均一で低出力のトーニングモードで照射していくことで、肝斑を悪化させることなく徐々に薄くしていくことができます。
ただし、レーザーによる肝斑治療については、まだ臨床でのデータが十分でなく、エビデンスが確立されているとはいえません。
<参考記事>
肝斑は女性ホルモンの乱れが原因!シミとは違う予防や改善・治療法
4)あざや赤ら顔
532nmのKTPレーザーは、皮膚への浸透度が浅いため、黒や扁平母斑などの茶あざと呼ばれるメラニン由来のあざの治療にも効果を発揮します。また、赤色の酸化ヘモグロビンにもよく反応するため、顔面紅斑や赤ら顔の改善が期待できます。
一方、太田母斑や異所性蒙古斑などの青あざ、灰色または褐色のあざが特徴のADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の場合に、ロングパルスレーザーを使用すると、肌ダメージが大きく火傷や炎症、傷跡が残りやすくなります。そのため、Qスイッチレーザーなど、パルス幅の短いYAGレーザーを使います。
ADMは肝斑や多発性老人斑、太田母斑などと似ています。そのため、治療の前に鑑別診断がとても大切です。
なお、2020年4月1日から、Qスイッチ付YAGレーザーを使用した、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症のレーザー照射が保険適応されています。保険適応外のレーザーもあるため、詳細はクリニックにお問い合わせください。
<参考記事>
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)はシミ?症状・原因と治療
5)ニキビ・ニキビ跡への治療効果
ニキビ治療に特に効果を発揮するのが、フラクショナルレーザーの1種でもあるEr(エルビウム)YAGレーザー(ErYAG)です。深度の深い場所へ治療ができる「アブレイティブフラクショナルレーザー」とダウンタイムが少ない「ノンアブレイティブフラクショナルレーザー」の2つのモードを使い分け、赤みのあるニキビ跡や深い凹凸状・ピック状のクレーターの治療ができます。
Er(エルビウム)YAGレーザーは、CO2(炭酸)レーザーと同じようなはたらきをしますが、CO2(炭酸)レーザーよりも痛みが少ない、傷の治りが早いなどの特徴があります。
<参考記事>
フラクショナルレーザーの効果とは?期間やダウンタイムについても解説
6)肌の引き締め効果
YAGレーザーは、肌の引き締め効果やタイトニング効果も期待できます。ドット状に照射するEr(エルビウム)YAGレーザー(ErYAG)のノンアブレイティブフラクショナルレーザーモードや、ロングパルスYAGレーザー、QスイッチYAGレーザーのトーニングモードが多く用いられます。
肌に照射したレーザーは、皮膚の奥の真皮層まで到達します。真皮層にある細胞を刺激し、美肌に欠かせないコラーゲンやエラスチンを生成します。さらにレーザーの照射によって肌表面のターンオーバーが促進するため、より美肌効果を高めることができます。
肌の引き締めやタイトニング目的の場合、低出力のレーザーを繰り返し照射するため、ダウンタイムや痛みはほとんどありません。痛みがないかわりに施術後に赤みやほてりが出現することがありますが、翌日には落ち着きます。
7)毛穴の引き締め効果
Er(エルビウム)YAGレーザーは、皮膚の奥の真皮層にまで熱エネルギーが到達するため、そこでコラーゲンやエラスチンが増生されます。その結果、美肌効果や毛穴の引き締め効果を得ることができます。肌や毛穴が引き締まることで、皮脂量がコントロールされ、ニキビの予防にも繋がります。
8)タトゥー・アートメイク、ほくろの除去効果
1064nmのNd:YAGヤグレーザーは、アートメイクやタトゥー、ほくろの除去ができるレーザーです。アートメイクやタトゥー、ほくろは皮膚の深いところに色素を入れていきます。そのため、通常のレーザー施術では深さやパワーが足りず、除去が難しいといわれてきました。
Nd:YAGレーザーは、アートメイクやタトゥーで使用される色素との相性がとても良い機種です。1回で取ろうとすると副作用のリスクが高まるため、回数を重ねて徐々に除去していきます。また、皮膚の深い層に局所的にメラニンが溜まることが原因でできるほくろも、メラニン色素がある部位にのみレーザーが反応します。肌への負担やダウンタイムを最小限に抑えて除去することができる優れたレーザーです。
4.YAGレーザーのリスクと2つのデメリット
YAGレーザーは、シミ治療や美肌治療にとても優れたレーザーです。ただし高出力のレーザーを当てることができる一方で、レーザー照射によるリスクや副作用もともないます。ここでは、YAGレーザーのリスクと2つのデメリットについて詳しく解説していきます。
1)施術中の痛みが強い
YAGレーザーは、皮膚の深い所にまで高出力で照射したレーザーの光が届くため、その分痛みを感じやすい施術です。一般的なレーザー治療がゴムで弾かれるくらいの痛みに対して、YAGレーザーは針で刺されるようなチクッとした鋭い痛みを感じる方が多いです。また、波長が長ければ長いほど、痛みは増強します。
特に、脱毛ではショット式の脱毛方法であり、ピークパワーも高いので、アレキサンドライトレーザーやダイオードレーザーよりも強い痛みを感じる方が多くなっています。
脱毛施術では、特に髭や脇、VIOなどの毛が太くて毛根が深い部位や、剛毛な方は痛みを感じやすいです。
もちろん、痛みに耐えられない場合に備えて、麻酔を用意しているクリニックもあります。オプション料金がかかる可能性もありますが、痛みに耐えられそうにない方は麻酔クリームや笑気麻酔を利用して、痛みの軽減を図りましょう。
1回目の施術の痛みが1番強く、回数を重ねてシミや毛が薄くなるにつれ、痛みは軽減していきます。そのため、1回目の治療を乗り切れば、後は続けやすくなります。
2)副作用で紫斑や炎症が起きるケースも
YAGレーザーの副作用には、内出血(紫斑)や炎症後色素沈着、色素脱失などがあります。YAGレーザーで皮膚の深い層にまで及ぶシミやあざなどを除去する場合、肌の奥深くまで届く波長が長いレーザーを高出力で照射します。出力が高ければ高いほど、メラニン色素の破壊効果は上がりますが、その分副作用の出現やリスクも高まってしまいます。
また、高出力のレーザーを当てた照射部位は、レーザーによるダメージを回復するためにメラニンの過剰生成を行います。そのため、照射前よりも色が濃く見える炎症性色素沈着が起きる可能性があります。
中でも、酸化ヘモグロビンへの反応が高い532nmのKTPレーザーは、血管が破壊され紫斑ができるリスクや色素沈着のリスクが高いと考えられます。
これらは、照射後のクーリングや保湿、徹底した紫外線対策を行うことで、ある程度予防できることがあります。
タトゥーやアートメイクの除去は、さらに皮膚の深い場所に高出力のレーザーを当てるため、内出血(紫斑)が起きるリスクが高くなります。いずれも時間経過とともに薄くなるものですが、気になる方やご不安な方は診察時に担当医師に相談してみてください。
なお、稀に照射部位が白く見える色素脱失(白斑)が起きる可能性があるため、強いレーザーを当てるときは1回ではなく、回数を重ねて徐々に気になる部位を薄くしていくことが推奨されています。
5.YAGレーザーのダウンタイムは?種類や治療によって異なる
1)シミのスポット治療なら1週間程度のダウンタイム
YAGレーザーのダウンタイムは、機器の種類や治療、肌の状態によって大きく異なり、出力が強いほどダウンタイムが長くなります。シミを部分的に除去する場合は、照射部位に約1週間保護テープを貼り続けます。
施術直後は、強い赤みやヒリヒリとした痛みが出現します。その後、1週間ほどかけて照射部位にかさぶたが形成されます。この時にかさぶたが気になって自分で剥いてしまうと、痕が残ってしまう可能性があるため、自然に剥がれ落ちるまで触らないようにしましょう。かさぶたは、1週間〜2週間を目安に自然と剥がれ落ちます。その後、炎症性の色素沈着が起き一時的にシミが濃くなったように感じますが、時間経過とともに薄くなって改善していきます。
<参考記事>
2)トーニングならダウンタイムはほぼない
QスイッチYAGレーザーのトーニングモードや、タイトニングや引き締め目的の場合、低出力のレーザーを照射するため、ダウンタイムはほとんどありません。照射中、部位によってはピリピリとした痛みを感じたり、照射後赤みやほてりが出現することもありますが、長くは続きません。ほとんどの方が翌日には引きます。
<参考記事>
レーザートーニングの毛穴への効果は?回数やダウンタイムについても解説
3)ニキビ跡治療なら1週間〜2週間程度
ニキビやニキビ跡の治療の場合、施術中も熱感や痛みを感じることがあります。治療直後は、強い赤みや腫れが出現し、ヒリヒリとした痛みを感じます。その後かさぶたが形成され、肌へのダメージによって乾燥もするため、肌のザラつきが気になったり、化粧ノリが悪くなります。しかしこれは一時的なもので、1週間〜2週間かけてかさぶたが剥がれ落ちると、ザラつきはなくなり、新しく生まれ変わったツルツルのお肌が出現するので安心してください。
4)脱毛の場合は1週間~2週間程度
脱毛の場合、施術部位の赤みやかゆみ、ひりつきが3日程度、乾燥が1週間程度持続します。施術部位の冷却や、保湿をしっかり行いましょう。また、脱毛後に日焼けをすると、炎症性色素沈着や水疱ができてしまい、ダウンタイムが伸びる可能性があるため、日焼け対策の徹底も大切です。
5)アートメイクや刺青の除去は1週間~2週間程度
アートメイクやタトゥーの除去をする場合、施術直後は出血や内出血が出現することがあります。また、クリニックによっては、1週間〜2週間前後テープの貼付や軟膏などの薬を処方されることがあります。
6.YAGレーザーは何回で効果が出る?効果ごとに頻度や施術周期を解説
1)YAGレーザーによる脱毛治療
YAGレーザーでの脱毛に関わらず、レーザー脱毛は施術をしてもすぐに効果を実感することはできません。
個人差があり、また脱毛部位や毛質によっても脱毛回数は異なりますが、目安は次のとおりです。
部位や毛の種類 | 施術回数 |
顔 | 5〜6回 |
腕や足 | 5〜6回 |
脇 | 5〜8回 |
VIO | 5~10回 |
産毛 | 5~10回 |
2)YAGレーザーによるシミ・色素沈着治療
シミが老人性色素斑の場合なら、1回の治療で取れることが多いです。しかし、濃いシミや深いシミなどは2、3回照射が必要な場合があります。
3)YAGレーザーによるほくろ除去治療
ほくろは根が浅いものから深いものまであります。根の浅い場合でも3回〜5回くらいは施術が必要です。また、根が深いものは20回以上かかることもあります。そのため、YAGレーザー以外の治療を選択したほうが良い場合もあります。
4) YAGレーザーによるあざ・タトゥー除去治療
扁平母斑のような茶色のアザの場合は、1回〜数回で消えることがあります。
一方、ADMや太田母斑、異所性蒙古斑の場合は、5回〜6回程度は施術が必要です。
タトゥーの場合は、5回〜10回程度が目安です。
5)YAGレーザーによる肌の引き締め治療
YAGレーザーによる肌の引き締め治療の場合は、5回〜10回程度が目安です。
いずれも目安なので、クリニックのカウンセリングで医師と相談しましょう。
7.YAGレーザー治療の費用相場は?
YAGレーザーによる施術の費用は、美容クリニックによって異なります。
また、対象となる肌悩みの違い、シミの場合では大きさや数などによっても料金が異なります。
さらに、レーザー機器の種類も違うため、料金に幅があります。
そのため、最終的には施術を受ける美容クリニックで確認することが必要です。
ここでは目安となる価格をお示ししますが、あくまで参考としてください。
施術内容 | 費用相場 |
顔全体のシミ治療 | 15,000〜30,000円程度 |
2mm未満のシミのスポット治療 | 3,000〜10,000円程度 (1mm大きくなると、3,000〜5,000円+) |
1cm四方のタトゥー | 10,000〜15,000円程度 |
肌の引き締めや毛穴(顔全体) | 20,000〜40,000程度 |
8.YAGレーザーとほかのレーザーの違いを解説
1)アレキサンドライトレーザーとの違い
アレキサンドライトレーザーは、755nmの波長をもつレーザーです。皮膚の深い層まで届くという特徴があります。
YAGレーザーと同様に、主にメラニン、あざ、刺青、シミ、そばかすなどに効果を発揮します。中でも、黒色の色素性病変に反応しやすい特徴があります。
また、脱毛にも使われる点もYAGレーザーと同じです。
しかし、酸化ヘモグロビンへの吸収率が低いため、正常な血管へのダメージが小さい点でYAGレーザーと異なります。
そのため、脱毛の場合は、YAGレーザーほどの痛みはありません。
<参考記事>
アレキサンドライトレーザーとは?シミへの効果や値段について解説
2)ルビーレーザーとの違い
ルビーレーザーは、694nmの波長を持つレーザーで、メラニンへの光吸収が高い一方で、酸化ヘモグロビンへの反応が非常に低いことが特徴です。
美容医療に使うレーザーのシミに対する効果は、メラニンへの光吸収が高いほど効果的です。一方、酸化ヘモグロビンへの光吸収が低いほうが、周囲の組織への影響を最小限にとどめられます。
その点では、ルビーレーザーはシミ治療にはとても良い選択肢です。
YAGレーザーの中でもKTPレーザーは、メラニンへの吸収が非常に高いので薄いシミへの反応が良く、シミ治療に効果的です。しかし、酸化ヘモグロビンにも反応するため、血管にも吸収されて、深いシミへは効果は高くありません。また、血管が破壊されることで紫斑が出たり、色素沈着のリスクもあります。
ただ、レーザーとしての性能はYAGレーザーのほうが高く、波長が3つあるためさまざまな肌悩みに対応が可能です。
<参考記事>
ルビーレーザーとは?シミ治療にかかる料金やダウンタイムなど解説
3)ピコレーザーとの違い
ピコはパルス幅(照射時間)、YAGは光源なので、比較するポイントが違います。
だから、この2つは本来比較の対象にはなりません。
しかし、従来、YAGレーザーといえばQスイッチYAGレーザーのことを指していたため、ピコレーザーとの比較が「パルス幅」の大小の視点で行われてきました。
そんな中、最近ではピコ秒のYAGレーザーの医療機器「スペクトラピコ」が登場しました。
このレーザーは、ピコスポット、ピコフラクショナル、ピコトーニングの3つ照射方法が可能なピコYAGレーザーです。
<ピコレーザーと他のレーザーとパルス幅の違い>
<参考記事>
ピコレーザーとはシミ取りに効果ある?種類やダウンタイムについても解説
ピコトーニングの効果はいつから?施術間隔やダウンタイムも解説
ピコスポットの経過とダウンタイム。かさぶたにならない過ごし方は?
9.YAGレーザーに関するQ&A
Q1.YAGレーザー治療後のアフターケアは必要?
レーザー治療後のアフターケアはとても大切です。
レーザーで施術を受けさえすれば、すぐにきれいな肌になるのではありません。
治療部位は、バリア機能が低下して特にデリケートな状態です。高保湿で刺激が少ないセラミドやアミノ酸、コラーゲンなどを配合した化粧品でしっかり保湿しましょう。
また、洗顔やクレンジングも擦らず優しく行うこと、優しい洗顔料・クレンジング料を使うことが大切です。
さらに、日焼け止め、帽子、日傘などを使って紫外線対策を行い、しっかり肌を守ってください。
なお、シミの状態によっては、レーザー後にビタミンCやハイドロキノンといった美白剤が処方されることがあります。
Q2.YAGレーザー脱毛ですぐにつるつる肌になれる?
YAGレーザーによる脱毛は、毛周期に沿って2ヶ月~3ヶ月ごとの間隔で施術を行います。
個人差や部位によって違いますが、施術回数は5回〜10回程度必要です。
そのため、脱毛によってつるつるの肌になるためには、1年~2年程度の期間が必要です。
Q3.YAGレーザーでシミが濃くなった?どうすれば良い?
YAGレーザー治療には、シミの再発のような状態に見えたり、一時的にシミが濃くなったりする場合があります。これは、施術後の「炎症性色素沈着」です。多くは時間の経過とともに薄く目立たなくなり、きれいになります。
長い場合は数ヶ月かかることもありますが、大きな心配は不要です。
ただし、はやく改善させる方法もありますので、気になる方は早めに施術を受けたクリニックで医師に相談しましょう。
Q4.YAGレーザーの施術が受けられないケースはありますか?
次のような方は、YAGレーザーの施術が受けられないか、その可能性があります。
- 妊娠または授乳中の方
- 日焼けをしている方
- 光線過敏症の方
- 光感受性を増強させる薬剤を服用している方
- 皮膚がんを患っている、またはその疑いのある方
- 出血性疾患を有する方
- 肝斑のある方
- リウマチ既往歴がある、または金製剤の服用歴がある方
- 顔に金の糸を入れている方
- 肌色、白色の刺青を入れている部位への施術
これ以外でも既往歴があったり、治療中の病気のある方、服用中の薬があるか方は、カウンセリングや診察時に医師に伝えましょう。
Q5.YAGレーザーは眼科や歯科でも使われているってホント?
Er(エルビウム)YAGレーザーは、虫歯の治療法のひとつとして使われることがあります。
また、Nd:YAGレーザーは、白内障の手術後に眼内レンズを包んでいる水晶体嚢に濁りが生じる状態、いわゆる「後発白内障」の治療に使われています。
10.まとめ
YAGレーザーの特徴や種類、効果、メリットからダウタイムや副作用などのデメリットまで幅広く解説しました。
いかがだったでしょうか。
YAGレーザーは、シミやそばかす、あざなどの治療から、肌の引き締めなどの美肌治療、医療脱毛まで、とても幅広く使われています。
それは、波長の違う3種のタイプがある上に、Qスイッチレーザーなどパルス幅(照射時間)が短いものなど、機器によって性能やアプローチできる肌悩みが異なるからです。
そのため、一般の方にとっては、その全貌を理解するのが難しいのが現状ではないでしょうか。
自分の肌悩みにYAGレーザーが合うかどうかは、美容クリニックでカウンセリングを受け、医師に相談することをおすすめします。
この記事が、YAGレーザーが気になる方や施術を検討している方にとって、お役に立てば幸いです。
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