PRP再生療法とは?効果や費用、ダウンタイムなど徹底解説

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PRP再生療法(多血小板血漿療法)とは、自分自身の血液から抽出した「多血小板血漿(PRP)」を、施術部位に注射する再生医療です。近頃、根本的なお肌の改善を目指せる方法として注目を集めている肌再生医療の一つです。
メスを使わずに注射をするだけで、お肌の悩みを短時間で手軽に改善することが可能なことから、人気が高まってきています。
この記事では、PRP再生療法の効果やメリット、デメリット、ダウンタイム、費用を解説します。

この記事の監修医師
■経歴
日本美容外科学会、日本内科学会所属 順天堂大学卒業。
大学病院、市民病院に勤務後、大手美容クリニックにて美容外科・美容皮膚科の経験を積む。
現在は東京都新宿区 ALMOND CLINIC院長として美容医療・再生医療に携わる傍ら、
医療に関する記事の監修も多数行っている。
目次

1.PRP再生療法は自分の血小板を利用した注射

PRPとは「Platelet-Rich Plasma」の略語で、日本語で「多血小板血漿」と訳されます。
血小板は、赤血球や白血球と同様に、骨髄の中で産生される血液成分の1つです。血管が損傷した場合に、その傷口に集まって出血を防ぎ、止血する役割を果たしています。

また、人の体や肌においては、血小板は傷んだ組織の修復を促進する物質、すなわち「成長因子」を供給し、傷んだ組織を元通りにしようとする自己治癒の仕組みがはたらいています。

PRP再生療法は、自身の血液から分離・濃縮した血小板を体内に注入することで、自己治癒をサポートする血小板のメリットを活かした治療法です。
注射を使うため、施術をPRP注射と呼ぶこともあります。

PRP再生療法は、変形性膝関節症や筋腱靭帯の疾病などの整形外科領域や、形成外科領域においても適応されていますが、アンチエイジングや美肌を目的に美容医療の領域でも人気が高まりつつあります。

 

PRP療法による再生医療

 

従来、注入治療といえば、ヒアルロン酸注射などがよく知られていますが、PRP再生療法は肌への再生能力にアプローチして、効果が長期に持続する点で異なります。

また、オールマイティーなお顔全体の肌再生が可能な点でも異なります。
全体のたるみやリフトアップ、さまざまな部位のシワ、ニキビ跡、凸凹毛穴、目の下のクマなど、さまざまな肌老化や肌悩みに効果を発揮します。

そのため、特定の肌悩みを解決したい方から顔全般のアンチエイジングを望む方、体のパーツの改善を望む方など、多くの悩みに適応が可能です。

PRP再生療法は、初回診察時に検査を受け、その結果でPRP注射が可能か判断します。

可能な場合は、適切な量や時期を医師と相談して治療計画を立てます。

そして、PRP注射当日は適量の血液を採血し、精製キットを使用して遠心分離を行います。血液中の血小板のみを精製し、血小板濃度を通常の血液の約3~7倍に濃縮したPRPを作製。これを患部に注射します。

 

<監修医からのメッセージ>
再生医療とは、人間がもともと持っている組織や機能をあるべき形に回復させる医療のことです。
最もよく知られているのは、京都大学の山中教授がノーベル賞を受賞して話題になった「iPS細胞」を活用したもので、今も研究が進んでいます。

そんな再生医療は、病気の治療だけでなく、美容医療での実用化が進んでいます。
その1つが、PRP再生医療です。
PRP再生医療は、ご自身の血液にある血小板を使うため、アレルギーなどのリスクが少ない比較的安全な施術です。
また、自然なアンチエイジング効果が得られるとともに、100,000円くらいから施術をうけることができるため、かなり普及が進んでいます。

しかし、PRP作成の技術的な違いがありますし、純粋なPRPを使うかどうかは美容クリニックに委ねられています。

そのため、クリニックによって効果や安全性が違うといったデメリットがあります。

ですから、PRP再生医療を受ける場合は、適切なクリニックを選ぶことがとても大切です。

この治療を受ける際には、いくつかの美容クリニックでカウンセリングを受けて、最も信頼できるクリニックを選ぶことをおすすめします。

 

<参考記事>

肌の再生医療とは?効果や種類からメリット・デメリットを解説

2.PRP注射の特徴やメリット

1)自然な形にアンチエイジングや治療が可能

PRP再生療法は、線維芽細胞の活性化によって肌再生や創傷治癒をもたらす治療法です。

施術後に即効性があるのではなく、時間をかけて徐々に改善していくため、違和感のない治療が可能です。

そのため、肌老化はもともとの若い頃のような自然な状態に改善します。また、創傷も自然な形で治癒していきます。

2)損傷治癒効果がある

打ち身や捻挫などの怪我や、変形性関節症や腰椎椎間板症などの疾患においては、血小板から組織の修復を促進する物質「成長因子」が供給され、傷んだ組織を元通りにしようとする自然治癒力がはたらいています。

PRPには血小板のさまざまな「成長因子」が多く含まれており、これを注入することで組織の修復が促進され、自然治癒効果が期待できるのです。

たとえば、ある程度膝の軟骨がすり減ってしまった方では、PRPを膝関節内に注入することで損傷の修復が促されることが確認されています。

スポーツ外傷・障害に対しても有効性が確認されており、靭帯損傷、肉離れ、腱炎などに対してPRP注射を行うことがあります。プロ野球選手の大谷翔平選手や田中将大選手が受けたことをご存知の方も多いでしょう。

3)疼痛の軽減が可能

PRPには組織の修復を促し、組織の炎症を抑制することで痛みを軽減する効果もあります。

変形性膝関節症には、これまで鎮痛剤内服やヒアルロン酸の注射などをおこなってきました。

こうした従来の治療法が無効であった方の中に、PRP注射をすることで痛みが取れる方がいることがわかってきたのです。

4)日帰りで治療可能でダウンタイムも短い

PRP注射そのものは、日帰りで治療可能です。メスを使う必要もなく、採血も含めて1時間~1時間30分程度で終わることがほとんどです。

そのため、ダウンタイムもほとんどありません。

原則として麻酔も必要ありませんが、針の痛みが苦手な方は局所麻酔薬クリームやテープも使用可能(別途費用)ですので医師とご相談下さい。

5)副作用やアレルギーのリスクが低い

PRP注射は、自身の血液中に含まれる血小板の成分だけを高い濃度で抽出し、注射する治療法です。

従って、肝炎などのウイルス感染の危険性やアレルギー反応を起こす心配もなく、副作用のリスクが低く安全といえます。



3.PRP注射の6つの主要な効果

年齢を重ねるとともに、血小板からの「成長因子」は減っていきます。

シワやたるみといった肌の老化に対して再生する力が追いつかなくなり、老化が進行していくのです。

PRPを注射すると、皮膚の細胞が活性化されます。つまり、PRP注射は自己の細胞を若返らせる根本治療ともいえます。

また、人間が本来持っている自然治癒力や細胞の再生力を引き出すことが可能です。シワに対するボトックスやヒアルロン酸などの異物を注入する療法とは異なります。

それは、PRPに含まれる成長因子の効果によるものです。

 

PRPに含まれる成長因子の種類成長因子の効果・はたらき
FGFコラーゲンの産生・ヒアルロン酸の産生、真皮の修復
EGF上皮細胞の成長促進・血管新生・創傷治癒を促進
PDGF細胞増殖・血管新生、修復・コラーゲンの産生
VEGT血管内細胞増殖、新生
TGF-β上皮細胞、血管内皮膚の増殖、新生・創傷治癒を促進

 

ここからは、そんな成長因子の作用によるPRP注射のお肌への主な美容効果を6つご紹介いたします。

1)目元の凹みや老化肌の解消

目の下のクマや腫れぼったいまぶたは、血行不良や脂肪の蓄積や眼輪筋の衰えによるたるみなどが関係しています。

寝不足で一時的に血流が悪くなってクマが出現するということもありますが、多くの場合、年齢とともに皮膚や筋肉、脂肪が老化してしまい、常に目元が凹んでいる状態です。

根本的に解決するためには、肌細胞そのものを再生させるPRP注射が効果的です。

PRPに含まれる「成長因子」は、肌の細胞コラーゲンの生成を促成し、目の下のたるみの改善が期待できます。

また、老化したお肌全般の若返り効果が期待できます。

そのため、肌のハリアップも期待できます。

 

<参考記事>

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目の下のたるみの原因と予防法及び改善法

肌のハリとは?弾力がなくなる原因と取り戻すための方法・対策

2)皮膚の保湿能力の改善

肌はたくさんの層によってつくられており、一番表側に角層という層があります。

角層には、肌の水分を保つセラミドや、肌のうるおいを正常な状態に保つ天然保湿因子によるバリア機能が備わっています。バリア機能は年齢を重ねると衰えて、肌の水分は不足し、乾燥するのです。

水光注射でPRPを注入すると、肌全体が保水力を持ちみずみずしくなり、皮膚の保湿能力が改善されます。水光注射で使うヴィタールインジェクターという機械を用いて、お顔全体の真皮の浅い層に細かく均一にPRPを注射することで、お肌に水分を補給できます。

 

<参考記事>

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3)ニキビ跡の治療

PRP注射は、ニキビ跡や肌の凸凹、クレーターの改善にも効果を発揮します。

また、PRPを極細の針で肌に穴を開けるダーマペンを使って注入していくことで、「傷ついた肌が再生する」という作用を加えることが可能です。

針で肌を傷つけると、皮膚と皮下組織で出血し、血小板から「成長因子」が放出されます。そうして施術を行った部分の細胞の再生作用が活性化することで、内側からコラーゲン・エラスチンがつくり出され、みずみずしいお肌の再生へと導かれるのです。

このダーマペンとPRP再生療法の組み合わせは、ヴァンパイアフェイシャルと呼ばれます。

 

<参考記事>

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4)皮膚のリフトアップ

顔の筋力の衰えや老化など、さまざまな原因で筋肉が垂れ下がり、顔にたるみができることがあります。PRP注射には、リフトアップの効果があります。PRPを注入すると真皮の組織再生が起こり、ヒアルロン酸やコラーゲンの産生が盛んになるためです。

 

<参考記事>

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5)ほうれい線やシワの改善

紫外線や加齢にともない、コラーゲンやエラスチンが変性することで、頬の皮膚や筋膜がたるみ、ほうれい線として現れてきます。

また、目元や口元ほか、さまざまなパーツにシワが目立ってきます。PRP注射は、そうしたほうれい線やシワに悩む方にもおすすめです。血小板の「成長因子」が持つ組織修復能力によって、細胞を若返らせることにより、シワやほうれい線などを改善します。

 

<参考記事>

ほうれい線の症状・原因と対策

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6)マリオネットラインの改善

口角からあごに向かって下へ伸びるラインを「マリオネットライン」と呼びます。ほうれい線と同様に、加齢とともに頬の位置が下がってくることで生じるものです。

そのままにしておくと、皮膚のたるみや溝の深さが進行しますので、早めに対処してハリを取り戻しておくことが大切。PRP注射で組織の再生力を上げ、皮膚の再生をはかることで、マリオネットラインも改善します。

 

<参考記事>

マリオネットラインを消す!?その原因と解消のための対策

7)毛穴の引き締め

毛穴の開きが発生するメカニズムにはいくつかのパターンがありますが、主な原因は皮脂の過剰分泌と皮膚のたるみです。

皮脂分泌量が多すぎると毛穴が開いてしまい、元に戻りにくくなります。

また、皮脂が毛穴に詰まってしまった状態を角栓といいます。角栓が酸化すると色が黒ずみ、黒ずみが発生すると毛穴の開きがますます目立ちます。

そのほか、老化により皮膚の弾力が衰えて重力に逆らえなくなると、たるみにより毛穴が開きます。

毛穴の開きを改善するには、それぞれの原因別の対策が必要ですが、根本的な改善を目指せる方法として期待されているのが、PRP注射です。

PRPにはダメージからの肌の回復力を高め、皮脂の過剰な分泌を抑え、毛穴の開きを抑制する効果があります。また、お肌のたるみを改善し、リフトアップする効果があるので、毛穴が引き締まります。

 

<参考記事>

たるみ毛穴の原因とスキンケア・エイジングケア対策と治療法

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4.顔・肌の美容だけではないPRP注射

これまで、主にPRPの注射による美肌効果について説明しましたが、ここではPRP注射のそのほかの美容効果や疾患の治療効果についてご紹介します。

1)PRP注射による豊胸

豊胸術にはバッグを用いる人工乳腺法、自分の脂肪を用いる脂肪注入法、ヒアルロン酸を注入するヒアルロン酸注入術の主に3つの方法があります。

その中で、脂肪注入法にPRP注射をプラスすることで、豊胸の効果が上がることがわかっています。

脂肪に添加されたPRPが周囲の組織から血管を呼び込むことで、注入した脂肪に早期の段階で酸素や栄養が供給されやすくなるので、脂肪の定着率が上がります。

従って、痩せていて注入する脂肪が採取しづらい女性に適しているといわれているのです。

また、脂肪豊胸術後にできるしこりの発生リスクも低下させます。

シリコンバッグやヒアルロン酸など、人工物を使った本格的な豊胸術には抵抗があるという方にもおすすめです。

2)PRP育毛療法

PRPは頭皮の毛母細胞を再生し、発育不全の毛根に対して育毛を促進することがわかっています。

具体的には、PRPに含まれる「成長因子」により活性化された「抗アポトーシス調整因子」が、毛母細胞の細胞死の数を減少させるのです。

抗アポトーシスとは、細胞死に対して抵抗すること。この調整因子が活性化されることにより、毛周期中の毛乳頭細胞の生存期間が延びます。

「成長因子」は、さらに血管新生、毛母細胞の増殖、毛母幹細胞の分化を促進します。細胞寿命を延ばし、毛周期の成長期を延長させることで「抜けにくく、増えやすい」環境を生成。男女共に薄毛・抜け毛の改善につながるため、髪にハリやコシを蘇らせたい方、育毛剤や内服で効果が見られなかった方などにおすすめです。

 

<参考記事>

女性の薄毛(FAGA)の原因と対策。確実に治す方法はある?

3)肩・肘・腰・股関節の治療にも

スポーツ選⼿にとって、肩・肘・腰・股関節のケガは、パフォーマンス低下や治療のための競技活動制限につながります。そのため、多くの選⼿は早期の復帰を望みます。そうしたニーズへの解決手段として、体への負担が少なく、ケガを早く治す治療としてPRP注射が注⽬されています。

また、変形性膝関節症・変形性足関節症・変形性指関節症・変形性股関節症、腰痛、アキレス腱炎、テニス肘などの慢性疾患による炎症や痛みの治療としても注目されています。

たとえばPRP注射は、変形性膝関節症で活性化している病的な炎症を抑制し、疼痛緩和、軟⾻破壊の抑⽌などの効果が確認されています。



5.PRP再生療法のデメリット

残念ながら、PRP再生療法は万能ではありません。

ここでは5つのデメリットをご紹介します。

1)効果に個人差がある

人間の血小板の中には、さまざまな多数の成長因子が含まれており、それが混ざり合った状態になっています。

成長因子の割合や数などには個人差があるため、PRPの能力には個人差が生まれます。

そのため、PRP再生療法の効果は比較的個人差が大きくなります。

2)即効性に欠ける

PRP再生療法の効果発現のタイミングには、個人差があります。また、損傷や悩みの大きさでも発現までの時間は異なりますが、おおむね2週間から2カ月ほどかけて少しずつ現れてきます。

これは自然な改善を目指す方にとって、必ずしもデメリットではありません。

しかし、即効性を求める方にとってはデメリットとなります。

3)処置部位の腫れ・痛みがある

PRP再生療法は、基本的には副作用が少ない施術です。

しかし、副作用や合併症がまったくないわけでもありません。

人によっては、PRP再生療法を実施した後の数日間は、処置した部位に痛みや腫れ、発赤などの症状が出ることもあります。この痛みや腫れについても個人差があり、ひどい場合は、数日間腫れが強い人もいます。

ただし、腫れや痛みは一過性のものであり、抗生物質などの治療を行わなくても自然経過によって改善することがほとんどです。

また、まれに処置部位が感染することもあります。その場には、抗生物質による加療が必要なこともあります。

さらに、PRP注射も予想以上に組織の再生が起こり、しこりになるリスクは少ないながらもあります。

ただし、いずれも事前の適切な診察と正しい施術を行えば、多くは未然に防ぐ事が可能です。

4)治療費が高い

PRP再生療法は、再生医療という新しい治療法であり、美容医療では全額自費負担の比較的高額な治療です。

また、整形外科領域でも健康保険の適応がない疾患が多いため、保険診療でPRP再生療法を受ける機会は多くありません。

5)適応できないことがある

妊娠中・授乳中や癌、リウマチ、自己免疫疾患のある方は、PRP注射ができませんのでご注意ください。

また、血液検査の結果、血小板数の異常があると判明した場合や、ステロイド剤を服用している場合などは受けられない可能性が高くなります。

このほか、治療中の病気があったり、服用中の薬がある場合は、カウンセリングや診察時に医師に相談しましょう。

6.PRP再生療法の施術の流れ

まずは、PRP再生療法を受けることができる美容クリニックを選んでカウンセリング予約を行います。

その後の流れは次のとおりです。

1)カウンセリング・診察

カウンセリングで、悩みや効果への希望、予算などを伝えます。

また、PRP再生療法に関しての不明点や不安があれば、この場で遠慮なく聞きましょう。

そこで納得したら、次のステップへ進みます。

もし、納得できない場合や不安があれば、施術を受けずに一旦帰宅しましょう。

なお、自分自身が施術を受けたくても、健康状態などの理由で受けることができないこともあります。

2)血液採取・麻酔・血漿分離

老化の気になる部位への注入の場合は局所麻酔を、お顔全体に注入する場合は表面麻酔を行います。

そして、施術箇所により約10~20cc採血します。

採取した血液を遠心分離機にかけ、PRP(多血小板血漿)を作成します。

ここで、再生効果を安定させ成長因子(FGF)を加えるクリニックもあります。

3)PRP(多血小板血漿)注入

抽出したPRPを注射で注入します。

水光注射を使うクリニックや、マイクロカニューレという特殊な針を使うクリニックもあります。

4)施術後

施術後は患部を清潔にします。

施術後の状態によって、外用剤の塗布、内服薬の服用が必要な場合もあります。

特に問題がない場合は、施術当日からメイクが可能です。

また、当日から洗顔・シャワーも可能です。

しかし、激しい運動、サウナ、入浴は避け、飲酒は控えましょう。



7.施術費用はどれくらいかかる?

気になるのが、PRP注射にかかる費用です。最先端で持続性のある再生治療のため、かなり高額な料金がかかるのではないかとお考えのことと思います。

1)PRP再生療法は保険が適応されない自由診療

PRP再生療法は、美容医療では健康保険は適応されません。そのため、治療を受ける方は自由診療となります。

また、混合診療とならないように、初回診察・検査とPRP注射は別の日に行います。費用の内訳は以下のとおりです。

 

  • 血液採取
  • 血液感染症検査費用
  • PRP作成費用
  • 施術料

(麻酔)

2)治療を受ける施設によって、数万〜数十万円まで幅広い

PRP注射が登場したばかりの頃は、顔全体の施術を受けると100万円を超えるほど高額な費用がかかりましたが、現在はそれほど高くありません。

治療を受ける施設によってさまざまで、1回あたり10万円前後〜50万円ほど。現在PRPを作成するキットは複数あり、性能や料金が異なります。

クリニックによって効果や安全性に対する考え方も異なりますし、施術を行う医師の技量に対する費用も含まれるのが要因ともいえます。

具体例を挙げると、目の下(両側)で10万円弱〜20万円、ほうれい線は10万円弱〜30万円程度、顔全体で20万円〜50万円といったところです。

クリニックの規模の大きさ、注入部位や範囲によって費用が異なるため、カウンセリングで必ず確認しておきましょう。

PRP再生療法は、厚生労働省による再生医療の資格を取得した医療機関でなければできない施術です。適切なPRPを作成するには、時間も労力もかかります。だからこそ、PRP再生療法は費用が高く設定されているのです。

8.PRP注射のダウンタイム期間・症状と過ごし方

1)ダウンタイム期間

PRP皮膚再生療法のダウンタイムは、施術後2日~2週間ほどとされています。

症状には軽い方から重い方まで個人差があります。

2)症状

代表的なダウンタイム症状は、痛みや赤み・腫れ、内出血です。

  1. 痛み

    痛みの大きさには個人差があり、感じない方からまれに痛み止めが必要なほど強い痛みを感じる方も。

    多くの痛みは、約2~3日で自然と治まることが多いです。

    もし、痛みが長引いたり、強い痛みを感じたりした時は、医師に相談しましょう。

  2. 赤みや腫れ

    施術後、赤みや腫れといった症状が現れることもあります。

    ほとんどは、3日~2週間ほどで消失します。

    もし、腫れが大きかったり違和感を感じた場合には、医師に相談しましょう。

  3. 内出血

    内出血が出た場合、1~2週間ほどで治まることがほとんどです。

    ただし、症状が現れている部位を刺激しないように注意しましょう。

3)ダウンタイムの過ごし方の注意

ダウンタイム期間をできるだけ短くするために注意することを紹介します。

  1. 施術箇所への刺激を避ける

    ダウンタイム中は、施術箇所に刺激を与えないように注意してください。

    なぜなら、施術箇所は敏感な状態で、バリア機能が低下しています。

    摩擦などの外部刺激、紫外線、肌の乾燥に注意しましょう。

    特に、刺激の強いゴシゴシ洗顔やミネラルオイルのクレンジング料を使うことなどは控えましょう。

    また、紫外線対策も大切です。

    日焼け止めを塗ったり、日傘やUVカットのアイテムを使うと良いでしょう。

    日焼け止めは、刺激の少ないノンケミカル処方のタイプがおすすめです。

    さらに、肌が乾燥しないよう保湿ケアもしっかり行いましょう。

     

    <参考記事>

    ノンケミカルの日焼け止めの選び方とおすすめは?人気11選をご紹介!

  2. 施術箇所を圧迫しない

    施術箇所を圧迫しないことも大切です。

    手やタオルなど、何かで施術箇所を抑えることは控えましょう。

    たとえば、施術後しばらくの期間は、フェイスマッサージなどは控えたほうが無難です。

  3. 血行が良くなる行動を避ける

    ダウンタイム症状が残っている場合は、施術当日だけではなく、翌日以降も入浴や激しい運動、飲酒などの血行が良くなる行動を控えましょう。

  4. 医師の指示を守る

    施術後は、医師の指示をしっかり守りましょう。

    もし、薬が処方された場合は、指示に従い正しく使用しましょう。

    ほかにも指示事項がある場合は、必ず守りましょう。

  5. 気になることは医師に相談を

    ダウンタイムの症状が強かったり、違和感がある場合は、医師に相談しましょう。

    気になることがあれば、自己判断せずにクリニックで相談すれば、適切に処置をしてくれるはずです。

    後遺症や瘢痕などを残さないためにも、気になることがあれば、医師に相談することをおすすめします。

9.PRP注射のよくある質問

Q1.PRP再生療法と真皮線維芽細胞再生療法の違いは何ですか?

PRP再生療法は、線維芽細胞そのものの数を増やすことなく、活力を与えることによって、組織の再生を促す治療法です。

一方、真皮線維芽細胞再生療法は、培養した線維芽細胞を肌に注入します。つまり、線維芽細胞そのものの数を増やす治療法です。

比較的、若い時はPRP再生療法で効果が十分期待できます。一方、40代、50代と加齢が進むと両方を組み合わせることで、より高い再生効果が期待できます。

Q2.PRP再生療法の効果はどのくらい持続しますか?

PRP皮膚再生療法の効果の持続期間は、長くて3年~半永久的とされています。

しかし、持続期間には個人差がありますし、PRPにほかの薬剤を混ぜるかどうかで持続期間が異なります。

PRP再生療法は、効果が薄れる速度が遅いのが特徴の1つです。美容クリニックで医師と相談して、効果が薄れてきたタイミングで再び施術を受けることも検討することも良い方法です。

Q3.ダーマペンとPRP再生療法を組み合わせるとダウンタイムは長くなりますか?

PRP皮膚再生療法のダウンタイムや副作用は、ダーマペンで行う場合と注射で行う場合で、ほとんど差はありません。また、副作用の種類も同じで、施術後の腫れや赤みなどです。

多くは2~3日、長くても1週間以内に消失することがほとんどです。

 

<参考記事>

ダーマペンはやめたほうがいい?失敗で肌が悪化して後悔するかも!

10.まとめ

PRP再生療法(多血小板血漿療法)の効果やメリット、デメリットについて幅広く解説しました。PRPとは、「Platelet-Rich Plasma」の略語で「多血小板血漿」のことです。

PRP再生療法は、自分自身の血液から抽出したPRPを使う再生医療の一種です。

美容医療の領域では、肌の老化によるさまざまな悩みの改善に使えることで知名度が上がり、興味を持つ方が増えつつあります。

また、整形外科領域の病気やスポーツ選手の怪我の治療の選択肢としても、注目されている治療法です。

なぜなら、自分自身の細胞の再生能力をアップさせることで、根本的な改善を目指す治療法だからです。

一方、効果に個人差があったり、費用が高い、保険診療の適応が可能な疾患が限られるなどのデメリットもあります。

そのため、PRP再生療法は、今は誰もが気軽に試せる治療法ではありませんが、今後研究や普及が進み、費用面や保険診療の適応に期待したい治療法です。

この記事が、PRP再生療法に興味のある方や施術を検討している方のお役に立てば幸いです。

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