肌の再生医療とは?効果や種類からメリット・デメリットを解説

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近年、肌再生医療の提供が可能な美容クリニックが増えつつあります。しかし、一般の方にとっては、どんな治療法があるのか?種類や効果は?メリットとデメリットは?といった疑問点も多いのが現状ではないでしょうか。この記事では、肌の再生医療の効果や種類をはじめ、メリット・デメリットについて解説します。

この記事の監修医師
■経歴
平成15年 日本医科大学 卒業
平成16年 日本医科大学附属武蔵小杉病院 研修医/内科 専修医
平成21年~31年 善仁会丸子クリニック 院長勤務
令和元年5月 Alohaさおり自由が丘クリニック 院長
■保有資格
日本内科学会認定内科医
日本透析医学会、日本腎臓学会
点滴療法研究会
日本美容皮膚科学会

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目次

1.肌の再生医療に興味がある方へ

最近、耳にするようになってきた医療分野の言葉に「再生医療」があります。iPS細胞の研究で山中伸弥教授がノーベル賞を受賞したこともあり、その言葉自体は多くの人に知られるようになりました。

しかし、研究途上であったり、実際に治療を受ける方が限られているため、わたしたちの生活に身近になったとまでは言い切れません。

それでも、今では再生医療は病気の治療だけでなく、美容医療の分野でも応用されています。

実際、肌の再生医療で自己の細胞を若返らせる幹細胞治療(線維芽細胞移植)や自己の血液中成分の血小板を使ったPRP皮膚再生療法、自己の血液中成分の成長因子、サイトカインを抽出し、お肌に注入するACRS療法などを提供する美容クリニックも増えつつあります。

肌の再生医療は、メスを使う手術、レーザー治療、ヒアルロン酸注入、ボトックス注射などとは異なるアプローチによるアンチエイジング&美容治療です。

そのため、注目を集めており、今後大きく発展することが期待されています。

また、実際に肌の再生医療を体験されたり、「美容治療として受けられるならぜひ受けたい!」という人も増えています。

そこで、この記事では、再生医療とは何かという説明から、肌の再生医療の効果や種類、メリットやデメリットについて、できるだけわかりやすく解説していきます。

 

  • 肌の再生医療のことを知りたい!
  • 幹細胞を使った施術を検討したい!
  • 根本から肌再生を目指したい!

 

とお考えの方は、ぜひ、続きをチェックしてくださいね。

 

<監修医からのメッセージ>
病気の治療はもとより、アンチエイジングや肌の若返りなどの根本治療として注目の再生医療。
まだ発展途上ではありますが、すでに病院や美容クリニックでも行われています。
効果や安全性への期待が多い一方で、まだ不明なことが多く、より慎重な対応が必要です。
そのため、肌再生医療を行うクリニックは、必ず厚生労働省の認可を取得しています。
肌の再生医療を受けようと思う場合は、まずは認可の有無を確認しましょう。

肌の再生医療では、自分自身の線維芽細胞の移植やPRP(Platelet Rich Plasma=多血小板血漿)を使って、お肌のハリや潤いをもたらす成分であるコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を生み出します。
その結果、肌が老化する時間を遅くすることができるのです。
これらの治療法は、根本治療であり、比較的安全性も高くダウンタイムも少ないことから、大きな期待を持たれています。
一方、費用が高額であることや、長期的な効果や安全性の検証はまだ十分とは言えない状況であることも確かです。

肌の再生医療に興味がある方や施術を検討している方は、認可を受けかつ経験が豊富なクリニックを選び、十分なカウンセリングを受けることから始めましょう。

 

<参考記事>

肌の再生医療にかかる期間や料金、効果を治療法ごとに解説!

皮膚再生の仕組みや必要な時間まとめ!効果を高める方法も紹介

2.再生医療とは?簡単にいうと人が本来持つ「再生力」を利用する医療

再生医療とは、病気や事故、加齢など、さまざまな理由によって失われたからだの組織を、自分の組織や細胞を利用して再生することを目指す医療技術です。

私たちの体は、けがをした時など、自ら再生しようとする「自然治癒力」が備わっています。その「自然治癒力」を活かし、自分の細胞を使用することで、傷ついたり機能が低下した組織や臓器を修復、再生して、正常な状態を取り戻します。

医療の世界では、根本治療ということばが使われますが、失われた組織や臓器の根本的な再生を目指すものです。

これまで有効な治療法のなかった疾患の治療ができるようになるなど、医療界からも国民からも高い期待が持たれています。

そのため、新たな研究や臨床での取り組みも進みつつあります。

たとえば、平成26年9月に、世界で初めてiPS細胞を用いた移植手術が行われるなどの成果を上げています。

一方、再生医療はまだ新しく、未知の部分もたくさんあります。そのため、安全性を確保することも大切です。

 

美容医療においては、アンチエイジング(若返り)やAGA・FAGAの治療などの目的で利用されることが多く、肌のハリや弾力を取り戻したり、シミやしわ、薄毛を改善するための治療において効果を上げています。



3.再生医療はどんな治療に活かされる?美容からケガまで幅広く活用

再生医療はどのような治療に活かされているのでしょうか?病気やケガといった医療にも使われていますが、不妊治療や美容まで幅広く応用されています。

ここでは、どんな治療に活用されているのかをご紹介します。

美容医療だけに興味がある方は、1)だけをチェックしてください。

1)美容医療:肌再生・育毛

美容の分野においては、主に肌や頭髪に関係した治療に活かされています。

たとえば、太ももや耳たぶなどの紫外線ダメージがないパーツから、自身の線維芽細胞を取り出して培養し、それを顔などの肌老化が進んだパーツへ注入することによって、肌のハリや弾力を取り戻す治療があります。

元気な線維芽細胞が肌に入ることで、若々しい肌を手に入れたり、顔のたるみやほうれい線、しわを改善します。

これは幹細胞治療とも呼ばれています。

幹細胞とは、血管や細胞、脂肪に変身(分化)することができる万能な細胞のことです。線維芽細胞も肌の幹細胞であり、「iPS細胞」も幹細胞の一種となります。

頭髪の場合は、育毛・発毛・抜け毛の抑制に使われています。お腹やお尻などから採取した脂肪幹細胞を頭皮に移植して、はたらきを活性化させます。薄毛の人や育毛に悩んでいる人にとっては、希望の治療として注目されています。

また、頭皮や歯科領域で幹細胞培養上清液を使った治療もあります。

 

<参考記事>

線維芽細胞とは?お肌のハリを保つエイジングケアの秘密

 

2)整形外科:神経変性疾患・運動器障害・慢性疼痛など

整形外科では、神経変性疾患・運動器障害・慢性疼痛などの症状を持つ患者に使用されています。たとえば、膝が悪い患者に再生医療を行う場合、患者自身の皮下脂肪から採取した幹細胞を培養し、膝関節に注入します。自分自身の細胞を使用しているため、拒否反応も少なく、注入した幹細胞が炎症を抑えたり、組織の修復を促すはたらきをします。

また、「自家培養軟骨移植術」は保険適用となっている治療法です。保険適応にはさまざまな条件がありますが、患者の体内から採取した膝軟骨の一部を、コラーゲンが入ったゲル状の物質の中で約1か月間培養した後、欠損部分へ移植する方法です。

3)内科・外科:糖尿病・呼吸障害・心疾患など

内科や外科でも再生治療は応用されています。たとえば、糖尿病や呼吸器障害・心疾患などです。糖尿病の再生医療では、幹細胞がすい臓や血管を再生・修復することでインスリンの分泌を増やしたり、血管での糖の取り込みを促進して血糖値を下げることができます。 また、糖尿病による炎症を抑えることにより、合併症の改善も期待できます。 ほかにも、幹細胞のホーミング効果により、別の弱った臓器も同時に改善されるというメリットもあります。

呼吸障害では、肺の修復や成長に携わる体性幹細胞が肺の各領域に存在することがわかってきました。肺の再生・修復へ応用する研究も進んできていますが、こちらの研究はまだ発展途上で時間がかかります。

心疾患については、大阪大学で自分自身の骨格筋(足から採った筋肉)から筋芽細胞をシート状にしたものを作製し、心臓の表面に貼りつけて、心機能の改善を図る「筋芽細胞シート移植治療」を開発しています。実際に治験も実施されています。

4)NK細胞療法:免疫力アップによるがん治療

NK細胞とは、ナチュラルキラー細胞のことです。

血液中のリンパ球の10~30%を占め、体内の異常な細胞を見つけると細胞を殺してしまうほどの高い攻撃力を持った細胞です。

NK細胞療法とは、患者の血液からNK細胞を採取して、培養(異常な細胞を殺傷・攻撃する力を高める)してから、点滴液で体内へ戻す治療法です。

体内でNK細胞の数が増えることによって、自然免疫力を高め、がん治療に効果が期待できます。

5)不妊治療ほか

不妊治療では、自分の血液から取り出した、高濃度血小板血漿(血液中の血小板)を分離して子宮内に注入するという再生治療が行われています。受精卵を子宮内に戻す「胚移植」を実施する度に、2回の治療が必要です。

妊娠には子宮内環境も関係しており、そのなかでも血小板成長因子がとても重要な役割を持っています。これは細胞の成長を促す、豊富な成長因子を放出することで、子宮内の環境改善を促し、妊娠率を高めるための治療です。

培養した血小板成長因子を子宮内に注入することによって、子宮内の環境を改善し、受精卵の着床率を向上させたり、妊娠の維持に期待ができます。

4.肌や毛髪・歯の再生医療にはどんなものがある?

再生医療が肌にもたらす美肌効果にはどのようなものがあるのでしょうか。

先ほども少し触れましたが、ここからは詳しく肌再生の治療法を紹介します。

肌再生医療は、大きく分けると真皮線維芽細胞療法とPRP再生療法があります。

真皮線維芽細胞療法は、主に顔や手などの再生医療に適応されます。

PRP再生療法は、顔や毛髪、歯科領域に適応されます。

また、幹細胞そのものもではなく、幹細胞上清液を使う施術もあります。

こちらは、薄毛治療や全身のアンチエイジングの注射・点滴として使われます。

1)真皮線維芽細胞療法:顔全体の若返り・ハリ&弾力アップ

真皮線維芽細胞療法は、真皮線維芽細胞移植とも呼ばれます。

次のような方におすすめです。

 

  • ナチュラルに肌老化を遅らせたい
  • ヒアルロン酸注入などフィーラー治療に抵抗がある
  • ほうれい線、小じわが気になるので自然に消したい
  • 目元のしわや目の下のクマをなくしたい
  • ニキビ跡や外傷後瘢痕を根本的に改善したい

 

線維芽細胞療法では、主に耳の裏から米粒の大きさの皮膚を採取して、真皮線維芽細胞を培養します。また、培養用の血液も採血します。

そして約1か月~2か月の培養期間を経て、4000万~8000万個の線維芽細胞を、ほうれい線やしわなど、肌の気になる箇所に注射器で注入します。

施術後は、新しい線維芽細胞がはたらくことで、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸が新たに生まれ、肌そのものが若返ります。

また、顔全体の若返り・肌のハリ・弾力アップが期待できます。

ただし、即効性があるのではなく、自らの再生能力に頼る根本治療なので、効果を実感できるまでは、3か月~12か月ほどかかります。

線維芽細胞療法は、メスを入れる手術や脂肪などの異物注入を一切行いません。自分の肌細胞を培養して移植するため、拒否反応が起こるリスクは極めて小さく、安全な肌再生医療です。

線維芽細胞療法を継続的に受けるためには、肌細胞保管が必要です。

肌細胞保管とは、皮膚から採取した肌細胞を、マイナス196℃で半永久的に冷凍保管することです。元気な肌細胞を永久的に保管することで、お肌の老化が気になったときにいつでも治療を受けることができます。たとえば、30代で肌を保管すると、30年後に取り出したときに「60歳の肌に、30代の頃の肌細胞を移植する」ことが可能です。また、定期的に注入することで、長期的なアンチエイジングができます。

2)PRP皮膚再生療法:しわ・たるみ・毛穴・ニキビ跡改善

PRPとは、「多血小板血漿」のことです。

PRP皮膚再生療法は、自身の血液から血小板を多く含んだ血漿(液体成分)を採取したものを利用する肌再生治療です。

PRPには、EGFFGFをはじめとするたくさんの成長因子が含まれていて、細胞の成長を促進する力があります。

肌のしわやたるみ、毛穴、ニキビ跡などの箇所に直接注入します。効果は時間をかけてゆっくりと実感でき、持続効果もほかの施術よりも比較的長いといわれています。

肌の衰えた部分、気になる部分にPRPを注入すると、皮膚の細胞が活性化されます。目の下のくぼみやクマ、たるみ、眉間などのしわ、ほうれい線、吹き出物などによる凸凹肌、ニキビ跡の改善、薄毛治療など、幅広い症状への効果が期待できます。ゆっくりと効果があらわれるため、周りに施術していることを気づかれることもありません。

また、自身の血液を利用して行うため、副作用はほとんどありません。この方法は美容分野だけでなく、整形外科や歯科などでも使用されています。

3)PRP毛髪再生療法:自然な発毛・育毛を促進

PRP毛髪再生療法は、PRP皮膚再生療法と同様に、自身の血液から血小板を多く含んだ血漿(液体成分)を採取したものを利用する方法です。育毛剤を使用したり、内服薬を飲む治療方法とは違い、自分の血液を採取し、作製したPRP(多血小板血漿)のはたらきを利用して頭皮にある毛根組織を再生し、薄毛の改善や自然な発毛、育毛促進の効果が期待できます。

PRPを頭皮の気になる箇所に細い針を使って注入することで、頭皮の内側でさまざまな成長因子が促進されます。髪が生まれるヘアサイクルの乱れを改善し、正常なサイクルに戻すことができます。

 

<参考記事>

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4)PRPによる骨再生:インプラント治療への応用

PRPによる骨再生治療は、歯科領域におけるインプラント治療でも応用されるようになっています。また、抜歯時の疼痛緩和や歯周外科治療と併用されます。

PRPに含まれる成長因子やサイトカインには、傷の治癒や骨および歯周組織の再生・回復を促し、止血や痛みの軽減、感染の予防に効果があることから、歯科領域での適応が進んできました。

5)幹細胞培養上清液を用いた幹細胞治療

サイトカイン療法とも呼ばれる再生医療です。

幹細胞培養上清液とは、幹細胞を培養し、その培養液から幹細胞を採取して滅菌などの処理を行ったものの上澄液です。

幹細胞そのものは含まれませんが、成長因子やサイトカインは含まれます。

注射や点滴によって、体内に投与することで、傷や病気、加齢などで損傷した細胞を修復し、組織機能を回復させます。

また、幹細胞培養上清液は、細胞の分化・老化や免疫系の制御に有効とされるエクソソーム(細胞外小胞と呼ばれる情報伝達物質)を多く含んでいることからメソガン療法として薄毛治療のために頭皮に注入されることもあります。



5.再生医療で使われる細胞の種類とは?体細胞・幹細胞の2種類がある

再生治療で使われる細胞には、体細胞と幹細胞の2種類があります。ここでは、それぞれの違いについて説明します。

1)すでに成熟した「体細胞」

体細胞とは、皮膚や筋肉の細胞など、体を構成している細胞です。既に成熟した細胞のことで、幹細胞と違いほかの細胞へ分化することができません。

しかし、体細胞も同じ臓器への「細胞移植治療」に使うことが可能です。

2)これから姿を変えられる「幹細胞」

  1. ES細胞:不妊治療の受精卵から培養

    ES細胞は、受精卵からつくられる細胞です。ES細胞には、次の機能があります。

    ・生体を構成するすべての細胞に分化し、さまざまな組織や臓器に分化する多分化能
    ・ほぼ無限に増殖させることができる

    ES細胞は、胚性幹細胞と呼ばれる幹細胞のことで、英語表記「embryonic stem cells」の頭文字から取られており、ES細胞と呼ばれています。受精後5~7日程度経過した胚盤胞から取り出された細胞を、特殊な条件下で培養してつくります。

  2. iPS細胞:⽪膚の細胞を培養

    iPS細胞は、人工的につくられた細胞です。ES細胞と同じ性質を持ちますが、受精卵ではなく、皮膚の細胞(線維芽細胞)からつくられます。2006年に京都大学の山中教授が世界で初めて「人工多能性幹細胞」(induced pluripotent stem cell)の作製に成功したことから、iPS細胞と名付けられました。
    iPS細胞は、自分の体の細胞からつくり出すため、移植の際に問題となっていた拒絶反応もないとされ、今後の発展が非常に注目されており、研究が進められています。
    2014年には、世界で初めて実際の患者への臨床研究の一環で網膜色素上皮細胞の移植手術が行われました。ただし、iPS細胞はさまざまなリスクを回避した夢のような細胞のようにいわれますが、意図しない細胞に分化する危険性や、がん化するリスクが高いため、まだまだ研究途上です。

  3. 間葉系幹細胞(組織幹細胞):脂肪の細胞を培養

    間葉系幹細胞は、脂肪の細胞から培養してつくります。
    間葉系幹細胞は、増殖する能力が非常に高く、脂肪や骨、筋肉、神経などに分化する機能を持っています。さらに、近年では免疫抑制作用を持つこと、腫瘍に集積する性質などが報告されており、間葉系幹細胞を移植後の拒否反応防止に応用する研究や、がんの遺伝子治療薬を効果的に標的へぶつけるための役割として利用する研究も始まりました。

    <参考記事>

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    6.肌の再生医療の2つのメリット

    再生医療には、大きく2つのメリットがあります。それぞれのメリットについて解説します。

    1)自身の細胞を使用するため、副作用が出にくい

    1つ目のメリットは、自身の細胞を使用するため副作用が出にくいということです。今までは自身の細胞を使わない治療が多かったため、副作用や拒否反応が出るリスクがありました。

    たとえば、臓器移植において、他人の臓器を自分の体内に取り込む(移植する)と、さまざまな遺伝子情報などが違うために移植された体が拒否反応を起こします。再生医療で自分自身の細胞を材料とする場合は、他人の情報ではなく自分のコピーなので、副作用が出にくいとされています。

    2)外科手術に比べ、体への負担が少ない

    再生医療は外科手術のように切除したりしないため、体力のない高齢者や子どもへの治療にも利用しやすく、体の負担が少ないのもメリットです。外科手術は、体力のある成人でも相当のダメージを受けたり、痛みや感染症などのリスクがありますが、再生医療を行えば負担も軽く、リスクを最小限に抑えることができます。

    7.再生医療の3つのデメリット

    メリットの多い再生治療ですが、デメリットもあります。ここでは、主に3つのデメリットについて解説します。

    1)研究中の医療で不明なことが多い

    デメリットの1つめは、まだまだ研究中の医療技術であることです。一部の効果が認められた再生医療については、既に医療現場でも使われるようになってきましたが、研究途上でできないことや、効果や副作用などのリスクがわからないものも多くあるのが現実です。

    世界中の研究者が再生医療の研究に取り組んでいるので、日進月歩で再生医療の技術は発展していますが、現時点でも治すことのできない疾患は多くあります。

    効果や安全性の検証には今後の研究の継続が必要です。

    2)保険適用にならない

    2つ目のデメリットは、保険適用にならないため費用が高額になることです。効果が既に認められ、実用化されたものについては保険適用されているものもあります。しかし、大半の治療は、まだ研究途上ということもあって自由診療です。そのため治療費が高額となり、受診者の経済的な負担も大きくなっています。

    3)細胞の種類により、ガン化するリスクがある

    再生医療で使う細胞の種類によっては、アレルギーやがん化のリスクを否定することができません。現在、これらの因子を取り除くための研究も積極的に行われていますが、まだ完全にリスクを取り除けるところまでは至っていません。



    8.再生医療の気になるQ&A

    再生医療について、よくある質問についてまとめました。

    Q1.再生医療の費用はいくら?

    再生医療の費用については、治療内容によるため一概には金額を上げることができませんが、参考としては次のとおりです。

     

    幹細胞治療:100万円~

    PRP治療:20万円~

     

    保険が適用されないものが大半のため(ごく一部の治療効果が認められた疾患は除く)、自由診療としてかなりの費用がかかり、経済的な負担も大きくなります。

    Q2.再生医療の安全性は問題ないの?

    再生医療については、平成26年9月に、世界で初めてiPS細胞を用いた移植手術が行われるなど、着実に成果を上げています。再生医療は、これまで有効な治療法のなかった疾患の治療ができるようになるなど、国民の期待が高い一方、新しい医療であることから、安全性を確保しつつ迅速に提供する必要があります。

    このため、厚生労働省は平成26年11月に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」とあわせて、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」を施行し、再生医療の安全性の確保に関する手続きや細胞培養加工の外部委託のルールを定めました。

    また、関係省庁と連携し、基礎研究から臨床段階まで切れ目なく一貫した研究開発助成を行い、臨床研究やiPS細胞を用いた創薬研究に対する支援など、再生医療の実用化を推進する取組みを実施しています。

    法律では、再生医療等について人の生命及び健康に与える影響の程度に応じ、「第1種再生医療等」「第2種再生医療等」「第3種再生医療等」に3分類して、それぞれ必要な手続きを定めています。

    また、再生医療学会は広く治療情報や研究成果の普及・共有に努めており厚生労働省とも連携しています。

     

    <引用元>

    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisei_iryou/index.html

     

    Q3.再生医療に問題点はある?

    再生医療には倫理的な問題もあります。たとえば、優秀な遺伝子だけを使ったデザイナーズベビーがつくられる恐れや、クローンといった問題もクローズアップされています。実際に海外では、優秀な遺伝子を使った受精卵をつくったという問題が発生し、宗教的・倫理的に大きな議論を巻き起こした経緯もあります。

    今後も、新たな問題が発生する可能性もあり、夢の医療技術と倫理的な問題の両立をどうするのかといった議論は今後も続きます。

    Q4.再生医療は、将来どうなる?簡単にできるようになる?

    再生医療は、今後研究開発が進めば将来誰でも受けられる医療となる可能性を秘めています。ただし、解決しなければならない問題や、技術的にいつ頃転用できるようになるかは不透明ですので、いつ頃という目途はまだ立っていません。

    9.まとめ

    肌をはじめ、さまざまな分野における再生医療の現状と、メリット・デメリットなどについて解説してきました。

    今では、臓器移植から肌のアンチエイジング治療、頭皮や毛髪、歯科領域など、さまざまな分野で再生医療が適応されつつあります。

    まだ発展途上の技術ではありますが、非常に大きな可能性を秘めているのも事実です。今後、現時点では治療法のない希少な難病患者などの治療法開発や、さらなるアンチエイジング治療につながる可能性もあります。

    しかし、安全性や倫理面、費用面など、さらなる発展への壁もあります。

    今後もニュースなどで再生医療のトピックスは出るでしょうし、美容医療やアンチエイジング分野で新たなトピックスは出てくるでしょう。

    今後、再生医療がもっと身近になることを期待したいですね。

    この記事が、美容医療やアンチエイジングの再生医療に興味がある方や施術を検討している方のお役に立てば幸いです。

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