女性の薄毛(FAGA)の原因と対策。確実に治す方法はある?

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女性でも年齢を重ねるにつれて髪の毛の分け目が広がったり、髪全体のボリュームが少なくなる人は大勢います。この記事では、女性の薄毛であるFAGAの原因と対策、確実に治すためにはどうすれば良いかについて解説します。薄毛や抜け毛に悩んでいる方は、この記事を参考に対策を始めてくださいね。

この記事の監修医師
■経歴
東京医科大学卒業。東京医科大学病院皮膚科、都内美容皮膚科クリニックなどを経て2012年、水谷皮フ科クリニック開院。
一般皮膚科、小児皮膚科に加え、しみ、たるみなどの美容皮膚科を診療している。
目次

1.薄毛が気になる女性の方へ

薄毛といえば男性のイメージがある方も多いかと思いますが、女性でも年齢を重ねるにつれて髪の毛の分け目が広がったり、髪全体のボリュームが少なくなる人は大勢います。

そんな女性の薄毛を意味するのが、FAGA(女性男性型脱毛症)。

かつては、男性のAGA(男性型脱毛症)と同じものだと考えられていたため、AGA(Androgenetic Alopecia)に英語で女性を意味する「Female」の頭文字をつけてFAGA(Female Androgenetic Alopecia)と呼ばれてきました。

そのため、今でもこの名称が女性の薄毛を示す言葉としてよく知られています。

しかし、最近では研究が進むにつれてAGAとは症状や原因が異なることがわかってきました。また、女性の薄毛にはさまざまな原因で症状が異なるのでいくつかの種類があります。

そのため、女性の薄毛の総称としては、FPHL(Female Pattern Hair Loss)」が使われるようになりました。

つまり、今ではFAGAは、FPHLの1つと位置付けられるようになったのです。

そんな女性の薄毛の対策方法がわからないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、女性の薄毛であるFAGAの原因と対策、予防や確実に治すためにはどうすれば良いかについて解説します。

女性の方で、薄毛や抜け毛に悩んでいる方は、この記事を参考に対策を始めてくださいね。

<監修医からのメッセージ>
最近では女性でも薄毛で悩む方が増えています。
女性の薄毛の原因は、十分に解明されていませんが、ホルモンバランスの乱れが影響していることが多いと考えられています。ほかにも、加齢、喫煙、誤ったヘアケアなどが原因となって、それらが複雑に絡みあっていることが多いのです。

そんな女性の薄毛は、セルフケアで予防したり、進行を防ぐことはできますが、一度進んでしまえば、大きな改善が難しいのが現状です。
だからこそ、薄毛が気になる女性は、早めに皮膚科や美容クリニックを受診することをおすすめします。
女性の薄毛は、全体的に脱毛の範囲が広がっていくことが多いですが、それ以外にも円形脱毛症などいくつかの種類があります。
だから、そのタイプを診断して原因や症状にあわせた治療を行うのです。

女性の薄毛は、男性の薄毛であるAGAに比べて治療法の選択肢は少なくなりますが、最近ではさまざま治療法が登場しています。
また、まだ多いとはいえないものの、女性の薄毛の治療が得意なクリニックや専門のクリニックも増えつつあります。
薄毛で悩んでいる場合は、勇気をもって皮膚科や美容クリニックに相談してはいかがでしょうか。

<参考記事>
女性の薄毛。原因と予防や改善の対策から治療まで!
抜け毛がひどい原因と対策!男性・女性に分けて年代別に解説

AGAの初期症状とは?いつから脱毛が始まるのか段階ごとに解説!

2.女性におこる薄毛・脱毛(FAGA)とは?適切に治療すれば改善できる

FAGAは、薄毛や抜け毛の症状が出てからすぐに適切な治療すれば3ヶ月くらいで育毛効果を実感できます。しかし、重症化してから治療を開始すると1年以上かかることもあるため、薄毛・脱毛の症状に気がついた時はすぐにでも治療を始めることをおすすめします。

 

なぜなら髪の毛の生え変わり(ヘアサイクル)には寿命があり、FAGA治療は症状が発症してから対策や治療を始めるまでの時間が遅くなるほど、治療効果の出るスピードや元の毛量に改善する確率が低くなってしまうのです。

 

また、女性の薄毛はその原因が複雑に絡み合っている場合も多いので、治療が遅くなるほど対策の効果が出にくくなります。

 

しかし、女性の薄毛の悩みに関しては、一人で抱え込んでしまうケースや、また他人の目を気にして中々クリニックを受診することにためらいを感じる方も少なくありません。

一方、女性の薄毛治療に積極的に取り組む医療機関はまだ多くありませんし、初めて受診するとなるとプライバシーは守られるのか、などといったことも不安材料になります。

そのため、育毛剤などのセルフケアでまずは改善しようとするケースが非常に多いです。

 

しかし、女性の薄毛の治療は、専門的な知識と経験のある医師に相談する方がベターです。

抜け毛が増えた、分け目が目立ってきた感じる場合は、早めの女性の薄毛治療の経験が豊富な医師に相談しましょう。

この記事の後半で、おすすめのクリニックをご紹介します。

3.女性特有のFAGAは頭頂部から全体的に脱毛の範囲が広がる

1)FAGAに多い症状

女性の薄毛であるFAGAは、男性のAGAと症状が異なります。

AGAは頭頂部やおでこの生え際が局所的に薄くなることが特徴ですが、FAGAでは、最初は髪の分け目の広がりが気になってくることが多く、進行すると頭頂部が薄くなり、その後全体的に脱毛の範囲が広がっていくことが特徴です。

 

また、FAGAの場合は、一気に脱毛が起こるわけではなく、だんだんと髪の元気がなくなって髪が細くなり、気がついたら全体の髪の毛のボリュームがダウンしていたという人が多いようです。

そんな特徴から、びまん性脱毛症と呼ばれることがあります。

2) FAGAの脱毛進行パターン

FAGAの脱毛進行パターンはルードヴィヒ分類(Ludwig Classification scale)と呼ばれる薄毛の進行分類方法を用いて、薄毛の進行度合いを3段階に分類します。

 

1.ルードヴィヒ分類Ⅰ型:頭頂部の毛髪が細くなり、分け目が目立つ

2.ルードヴィヒ分類Ⅱ型:Ⅰ型よりも頭頂部全域が薄くなり、地肌も目立つようになる

3.ルードヴィヒ分類Ⅲ型:頭頂部の薄毛がさらに進行し、地肌が露出する

 

<びまん性脱毛の進行>
現在準備中です。

FAGAを発症すると、通常2年から6年かかるヘアサイクルが、男性ホルモンによって、乱されて短くなります。

その結果、細く短い髪の毛しか生えてこなくなります。その為、全体的に毛髪が細く痩せた状態になってしまい、ボリュームが出せなくなることで頭皮の地肌が見え始めてしまうのです。

4.FAGA以外の女性に起こる脱毛症の種類

治療を始める前に、ご自身の薄毛がどの種類に当てはまるのか知っておくことは大事です。女性の薄毛には、FAGA以外にも以下の4つの脱毛症の種類があり、それぞれ治療法が変わります。

  • 粃糠性脱毛症
  • 脂漏性脱毛症
  • 牽引性脱毛症
  • 円形脱毛症
  • 産後脱毛症(分娩後脱毛症)

ご自身では判断が付かないことが多いと思いますので、ご自身に当てはまる症状があった場合は早めに医師に相談するようにしてください。

1)粃糠(ひこう)性脱毛症:薄毛に加えて灰白色のフケとかゆみ・炎症がともなう

粃糠性脱毛症とは、頭皮に灰白色のフケが大量発生し、髪の毛が薄くなる病気です。

 

粃糠性脱毛症の原因は、頭皮が炎症(湿疹、皮膚炎)を起こしたことによって大量に灰白色のフケが発生し、頭皮の毛穴を塞ぐことで常在菌が繁殖し、発毛が阻害されることです。

フケの原因になる頭皮の炎症は、シャンプーで過剰に頭皮の皮脂を洗い流すことや、シャンプーやリンスの洗い残しなどによるものと考えられています。

フケと頭皮の炎症(皮膚炎、湿疹)の症状をそのまま放置しておくと健康的な髪が生えなくなるため、薄毛や脱毛がどんどん進むことになります。症状の改善のためには、早めに治療をすることが必要不可欠です。

 

粃糠性脱毛症の治療法は湿疹の治療のために外用薬を使うことが一般的で、ステロイドや抗ヒスタミン薬で頭皮の炎症やかゆみの症状を抑えます。他の脱毛症を併発しているケースも多いため、症状に気がついたらすぐにクリニックを受診しましょう。

 

<参考記事>

フケを何とかしたい!原因と対策・予防法を現役美容師がご紹介

2)脂漏(しろう)性脱毛症:抜け毛と一緒に頭皮のべたつきがある

脂漏性脱毛症は、皮脂の過剰分泌が原因で頭皮のベタつきやフケ、かゆみなどをともなう脱毛症のことです。

 

生活習慣の乱れやホルモンバランスが乱れたことによって、マラセチア菌というカビの一種が頭皮で異常繁殖してしまい、その結果頭皮が脂漏性皮膚炎を起こします。頭皮に脂漏性皮膚炎が起こると健康な髪の毛が生えづらくなり、脱毛も進行するため、脂漏性脱毛症と呼ばれる薄毛・脱毛の症状につながります。

 

脂漏性脱毛症は、ステロイドや抗真菌外用薬を頭皮に塗って炎症を抑えることや、薬用シャンプーを使用することで徐々に症状を改善させることが可能です。

 

3)牽引(けんいん)性脱毛症:髪を引っ張るなど物理的なダメージがある

牽引性脱毛症とは、頭皮を引っ張られることによって髪の毛が抜けてしまう脱毛症のことです。

 

特に女性に起こりやすい脱毛症で、毎日ポニーテールなどで同じ部分の頭皮を引っ張る髪型をすることにより、頭皮や毛根に負荷がかかることによって起こります。頭皮が引っ張られると髪の毛が抜けやすくなるだけではなく、髪の毛の根本にある毛包が萎縮して新しい髪の毛が生えてこなくなる危険性もあるため、注意が必要です。

 

髪を結ぶ時間を短くすることや、結び方を日によって変えることで症状の進行を抑えられますので、頭皮に負担がかかる行動を控えることから対策を始めましょう。

4)円形脱毛症:丸い形に髪が抜ける

円形脱毛症とは、髪の毛が丸い形に抜けてしまう症状のことを指します。髪の毛が徐々に抜けていくのではなく、突然ごっそり抜けることも特徴の一つです。

 

円形脱毛症の原因は、免疫機能の異常や遺伝、ストレスなどと考えられていますが、まだはっきりと解明されていない病気です。

 

円形脱毛症の治療法には、ステロイドを脱毛箇所に注射で注入する「ステロイド局所注射」や、薬品を使って頭皮にわざとかぶれを起こすことで発毛を促す「局所免疫療法」などがあります。人によって症状や原因はさまざまで、完治までは時間も必要なため、症状が出た際は早めに医師に相談しましょう。

5)産後脱毛症:一時的な脱毛

産後脱毛症は、分娩後脱毛症とも呼ばれます。

女性ホルモンは、妊娠時には大量に分泌されます。しかし、女性が赤ちゃんを出産後にホルモン量は一気に激減します。そのため、妊娠時に減っていた抜け毛が出産後の女性ホルモン量の急激な減少により一気に抜け落ちる為、大量の抜け毛が発生することがあります。

出産経験のある女性の8割以上が起こるといわれていますが、多くの場合、子供の出産から約半年から1年程度で抜け毛が収まったと感じるようになります。

しかし、産後の無理なダイエットや、子育てに伴うストレス、睡眠不足などが悪影響を及ぼす子ことで、薄毛が改善しないこともあります。

産後、半年程度経過して抜け毛が減らないなど気になることがあればクリニックに相談しましょう。

5.FAGAが起きる原因や要因は?

FAGAは、ホルモンバランスの乱れなどが原因で起こりやすいといわれていますが、すべての原因が明らかになっているわけではありません。現段階では以下の6つによるものが多いと考えられています。

  • 加齢にともなう女性ホルモンの減少
  • 睡眠不足・栄養不足など慢性的なストレスによる自律神経の乱れ
  • 経口避妊薬(ピル)によるホルモンバランスの乱れ
  • 膠原病・甲状腺・鉄欠乏性貧血などの病気
  • 食物・薬・ハウスダストなどのアレルギー
  • 遺伝

一つずつ解説していきましょう。

1)加齢にともなう女性ホルモンの減少

FAGAの主な原因は、加齢にともなう女性ホルモンの減少だと考えられています。

FAGAに関係するのはエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンです。エストロゲンには育毛・発毛を促す作用があり、このホルモンが充分に分泌されていれば健康な髪が生えてくるのです。

エストロゲンは20代後半から減少し始め、35歳から大きく低下することがわかっています。この年齢を過ぎるとエストロゲンが減って、体内の男性ホルモンの比率が高まるため、脱毛の症状が出やすくなるのです。

 

髪の健康を保つためには、35歳を過ぎたらホルモンバランスを意識した生活を意識するようにしましょう。ホルモンバランスを整えるためには、規則正しい食事や睡眠を充分に取ることが必要です。

2)栄養不足・睡眠不足など慢性的なストレスによる自律神経の乱れ

栄養不足や睡眠不足、慢性的にストレスを感じていることによる自律神経の乱れでもFAGAの症状が出ることがあります。

 

髪の毛の元になる細胞は、食事で摂取した栄養で成長しています。栄養バランスの乱れた食事や過度なダイエットをすると、髪の毛の成長や頭皮環境の維持に必要な栄養素が不足してしまい、健康な髪の毛が生えてきません。

また、睡眠不足や慢性的なストレスは自律神経を乱し、血行不良を引き起こします。血行不良が続くと髪の成長に必要な栄養素が頭皮に届かなくなるため、薄毛や抜け毛につながる恐れがあるのです。

3)経口避妊薬(ピル)によるホルモンバランスの乱れや抗がん剤

経口避妊薬(ピル)を服用すると、髪の毛が抜けることがあるといわれています。

ピルを服用している間はホルモンバランスが整うことで髪の毛が抜けづらくなりますが、服用をやめると一時的に女性ホルモンのバランスが崩れる     ことによって、脱毛が目立つようになるためです。

 

ピルの服用をやめると抜け毛が増えたように感じますが、ピルを服用している間に抜けづらくなっていた髪の毛が抜けただけなので、しばらくすれば症状はおさまります。普段からピルを服用している人は、服用をやめたタイミングで抜け毛が目立つように感じる点に注意してくださいね。

 

また、髪の毛をつくる細胞が薬によるダメージを受けてしまうため、抗がん剤が原因で脱毛が生じてしまうこともあります。

4)膠原病・甲状腺機能低下症・鉄欠乏性貧血などの病気

脱毛症状は膠原病・甲状腺機能低下症・鉄欠乏症貧血などの合併症としてあらわれることがあります。

短期間に髪の毛がごっそり抜けることがあった場合や、脱毛のほかにも気になる症状があった場合は、これらの重大な病気が隠れている可能性があるようです。気になることがあれば、早めに病院に行くようにしてください。

5)食物・薬・ハウスダストなどのアレルギー

アレルギー体質の方は抜け毛の症状があらわれやすいといわれています。アレルギー反応を起こした皮膚はとてもかゆくなるため、ついついかきむしってしまうことがあるでしょう。

頭皮にアレルギー症状が出た場合、かゆみを感じてかいてしまうと、その部分が炎症を起こし、抜け毛につながる可能性があるのです。

頭皮にもアレルギー症状が出る人は、FAGA対策のためにも治療をおすすめします。

6)遺伝

女性の薄毛・抜け毛の原因はホルモンバランスの乱れや生活習慣などの環境的要因が多いと考えられています。

一方で、加齢によるホルモンの減少が原因で薄毛になった場合は、遺伝の可能性も。まだ解明されていない部分も多いのが実情ですが、可能性として頭の片隅に入れておくといいでしょう。

6.女性特有のFAGAは早めの対策が大事!すぐにできる対策とは?

FAGAについては、早めに対策を打つことがとても大切です。では、どのような対策から始めればいいのでしょうか。今すぐに始められるものをご紹介いたします。

1)生活習慣の見直しはFAGA対策の最優先事項!

 

FAGA対策をするには、生活習慣の見直しが最も大切です。食事や睡眠などが充分に取れていない人は、生活スタイルを改善することでFAGA症状が改善することがあります。

 

毎日の食事は栄養バランスの取れた献立を意識し、健康的な髪をつくる元になるタンパク質や、ケラチンの合成に必要な亜鉛を含むメニューを多く取り入れましょう。

特に青魚やカキ、牛肉の赤みやブロッコリーなどがおすすめです。逆にサラダ油やマーガリン、それらを含んだ加工食品は、自己免疫疾患を引き起こして薄毛につながる可能性があるため、食べ過ぎに注意しましょう。

 

また睡眠についても、できれば毎日充分な睡眠時間を確保できるようにつとめましょう。必要以上にストレスを溜め込まない環境も用意できると尚良いです。

 

FAGA専門のクリニックで治療を受けるとしても、生活習慣が乱れたままだと効果を充分に感じることができません。まずはご自身の健康のためにも、生活習慣を整えることが大切です。

2)ヘアケアを見直す

女性の薄毛は、ヘアケアを改善することで予防できたり、進行を防ぐことができる場合があります。

たとえば、シャンプーの回数やタイミングを見直すことが1つです。

シャンプーの洗浄成分は界面活性剤なので、頭皮に負担を与えます。

頭皮を清潔にしたいからと一日に何度もシャンプーをする女性がいますが、皮脂を取り除きすぎると頭皮の乾燥を招きます。その結果、頭皮の環境が悪化して薄毛の原因になることがあります。

また、シャンプーは1日1回で夜寝る前にするほうがベターです。夜に洗わないと、一日の汚れを残したままでひと晩眠ることになり、頭皮の環境の悪化につながるからです。

 

また、バスタイムや寝る前などリラックスしている時に頭皮をマッサージすると、血行促進や毛穴詰まり解消、ストレス解消ができます。

その結果、薄毛の予防ができます。

3)頭皮ケア用品の見直し

薄毛の予防には、今、使っているシャンプーなどの頭皮ケアアイテムの見直しが必要なこともあります。

頭皮にダメージを与えないシャンプーがおすすめです。

洗浄成分である界面活性剤は、アミノ酸系のものを選びましょう。

洗浄力は適度ですが、肌に優しいので頭皮にダメージが少ないです。

「ラウロイル」「ココイル」などの頭文字と「グルタミン酸」「タウリン」「アラニン」「グリシン」といった名称の成分がそれにあたります。

ラウロイルグルタミン酸Na、ココイルメチルアラニンNaなどが成分名です。

一方、ラウリル硫酸Naやラウレス硫酸Naなどの洗浄成分は、刺激が強いので避けるのがおすすめです。

 

また、育毛(薬用)シャンプーを使うこともおすすめします。

育毛(薬用)シャンプーは、発毛効果はありません。また、直接的な育毛効果はありませんが、汚れをしっかり落とすことで髪が太く育ち、抜け毛が起こりにくい頭皮環境に整えてくれます。

具体的には、次のような効果があります。

  • 頭皮の皮脂や汚れを落とす
  • ふけ・かゆみ・ニオイを予防
  • 髪にハリやコシを与える

 

育毛シャンプーを選ぶ場合も洗浄成分は、アミノ酸系成分配合のものを選びましょう。

また、次のような成分が入ったものを選びましょう。

 

はたらき・効果成分名
 

髪にハリ・コシを与える

●        加水分解ケラチン

●        コラーゲン

●        ナールスゲン

●        センキュウエキス

●        γ-ドコサラクトン

育毛を促進する●        センブリエキス

●        カミツレ花エキス

●        トウキエキス

フケ・かゆみを防ぐ●        グリチルリチン酸ジカリウム

●        ピロクトン オラミン

 

7.FAGA専門クリニックへ相談して自分の状態を知ることが確実に治す第一歩

女性の薄毛・抜け毛は、自分だけで原因を特定することがとても難しい症状です。確実に治したい人は、FAGA専門クリニックへ相談して自分の抜け毛の状態をチェックしましょう。

 

治療に必要な料金は、薬物療法で毎月7,000円〜10,000円、外用薬は毎月10,000〜15,000円ほど。育毛効果を実感し、抜け毛が再発しないようにするためには、継続的に治療を受けることが必要です。自分にとって継続できる金額なのかどうかも事前によく検討しましょう。

 

薄毛でクリニックに行くのは恥ずかしいと思うかもしれませんが、早期に治療を受けることできっと症状は良くなります。口コミや医師の実績を参考に、信頼できるクリニックを見つけましょう。

8.クリニックで使う女性の薄毛の医薬品は?

先ほど少し触れましたが、女性の薄毛の治療薬には内服薬と外用薬があります。薄毛の症状や進行状況に応じて、内服薬と外用薬を併用するケースもあります。

 

まず、注意すべき点は、男性と女性では薄毛の発症原因が異なるため、男性のAGA治療薬として使用されているフィナステリドやデュタステリドといった治療薬は、女性への投与が禁忌されています。女性が使用した場合のリスクが高いばかりか、経皮吸収の恐れがあるため、女性が薬剤に触れることも禁忌とされています。

 

ここからは、日本皮膚科学会が策定した『男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)』(以下 ガイドライン)を参考に、女性の薄毛治療に使える内服薬と外用薬をご紹介します。

1)ミノキシジル外用薬

ミノキシジルは、ガイドラインにおいてFAGA(FPHL)にも有効性が認められています。

ガイドラインでの推奨度は「A」なので、「行うように強く勧める」という最高ランクです。

ミノキシジルは、AGA治療薬としては5%で使いますが、FAGAの場合は1%と男性より低い濃度で使います。男性パートナーのミノキシジルをシェアすることはできませんので、注意しましょう。

 

ミノキシジルの外用薬は頭皮に直接塗布して使用するため、全身に影響を及ぼす副作用が出る可能性は低いといわれています。

主な副作用には「初期脱毛」があります。初期脱毛は新しい髪の毛が生え変わるための脱毛であり、約4週間で治まると考えられています。

2)アデノシン外用

アデノシンには、血行促進作用と毛母細胞の活性作用があります。

AGA患者を対象に行われた臨床試験では、アデノシン配合のローションで80.4%の被験者の薄毛が改善したという結果があります。

ガイドラインでは、推奨度「B」なので、「行うよう勧める」という2番目のランクです。

アデノシンは市販の育毛剤にも配合される有効成分です。性別を問わず使用でき、国が定める配合量にも男女差はありません。

3)カルプロニウム塩化物外用液(旧:アロビックス外用液)

カルプロニウム塩化物外用液は、円形脱毛症や粃糠性脱毛症、白斑などの治療に使われる医薬品です。重篤な副作用も報告されていないことから、小さなお子さんにも使いやすいメリットがあります。

AGA治療にも使われていますが、有用と証明するのに十分なエビデンスがありません。

そんな理由から、ガイドラインでは、推奨度「C1」なので「行ってもよい」レベルです。

 

一方、カルプロニウム塩化物外用液がさまざまな脱毛症に有用であり、次のような診断名がつけば、女性の薄毛に保険適用で処方を受けることが可能です。

 

  • 円形脱毛症
  • 悪性脱毛症
  • 粃糠性脱毛症
  • びまん性脱毛症
  • 壮年性脱毛症
  • 症候性脱毛症など

4)t-フラバノン外用

t-フラバノンは日本の化粧品メーカーが独自開発した育毛成分です。

t-フラバノン配合の育毛剤を用いた臨床試験は、男性のみで行われました。

毛直径の増大や抜け毛の減少が確認されています。また、薄毛の改善率は70〜75%でした。

この成分は、副作用のリスクが少ないため、女性の使用も問題はないと考えられています。

しかし、エビデンスは少なく、ガイドラインでは推奨度「C1」なので「行ってもよい」レベルです。

5)ミノキシジル内服

ミノキシジル内服薬も女性の薄毛に使えるとの見解が多く、使用している薄毛専門のクリニックが多数あります。

しかし、先述の『男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)』では、推奨度「D」で「ミノキシジル内服を行うべきではない」となっています。

 

有効性が高い治療薬と考える医師もいますが、副作用としては外用薬同様に「初期脱毛」や「多毛症」が起こる可能性があります。多毛症は体毛が増えてしまうという女性にとって悩ましい副作用ではありますが、ミノキシジルの使用を中止することで改善されます。それ以外にも心血管系の副作用を生じることもあります。

6)サイトプリンおよびペンタデカン外用

サイトプリンとペンタデカンは日本の生活用品メーカーが独自開発した成分で、市販の育毛剤で使用できます。

有用性を示すエビデンスは少ないですが、副作用のリスクが低いため女性の薄毛でも使えます。

ガイドラインでは、推奨度「C1」なので「行ってもよい」レベルです。

7)ケトコナゾール外用

ケトコナゾールは、水虫や皮膚カンジダ症状、乾癬などの治療に用いられる抗真菌薬です。

AGA治療ではシャンプーに混ぜて洗髪し、頭皮環境を整える目的で使用します。皮膚科医が行った研究では、ケトコナゾールの使用でAGAが改善したとの結果が報告されています。

一方、FAGAのデータはありませんが、女性でも頭皮の「脂漏性皮膚炎」の改善に期待できます。

ガイドラインでは、推奨度「C1」なので「行ってもよい」レベルです。

8)パントガール(内服薬)

パントガールは、女性の薄毛(びまん性脱毛症・分娩後脱毛症)の抜け毛やFAGAに対して、ヘアサイクルを改善し発毛を促す内服薬として、ドイツで効果が検証され世界で初めて効果と安全性が認められた医薬品です。

ケラチンやビタミンB群(パントテン酸カルシウム)、アミノ酸(シスチン)など髪の毛の生成に良い影響を与えるとされる栄養素が豊富に含まれており、服用することで育毛環境を整える効果が期待できます。

臨床試験では、3ヶ月間の使用で70%の方の抜け毛が減少する結果が確認されています(※)。

パントガールの服用による重篤な副作用の報告はありませんが、妊娠中・授乳中などの場合は服用を始める前に医師に相談しましょう。

なお、パントガールは新しい薬なので、治療ガイドライン内では記述がありません。

 

※(参照元)

Merz Pharmaceuticals社の臨床試験結果

 

<参考記事>

女性の薄毛治療(FAGA)は保険適用にならない!費用相場は?

8.医薬品以外の薄毛の治療はどんなものがあるの?

女性の薄毛は医薬品以外で治療が可能です。こちらも、日本皮膚科学会が策定した『男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)』(以下 ガイドライン)を参考に、女性の薄毛治療に使える内服薬と外用薬をご紹介します。

1)LEDおよび低出力レーザー照射

LEDおよび低出力レーザー照射は、LEDやレーザーの熱で頭皮の血行を促進し、毛母細胞を活性させる治療法です。副作用やダウンタイムがないことがメリットです。

また、臨床試験では男女ともに治療の有用性が確認されています。

ガイドラインでは、推奨度「B」で、「行うよう勧める」レベルです。

 

<参考記記事>

ヒーライトとは?効果やデメリット、頻度や料金など全解説

2)かつらの着用

かつらには薄毛を根本から改善する効果はありません。

しかし、女性が薄毛を隠すことで人目を気にせずに済みます。

ガイドラインでは、治療による効果が得られない、あるいは生活の質を向上させたい場合のかつら着用を推奨しています。

そのため、推奨度「C1」で「行ってもよい」レベルです。

3)成長因子導入および細胞移植療法

最近では、女性の薄毛に対して成長因子を含むヒト幹細胞培養液やplatelet rich plasma(PRP)の導入による治療が行われています。

これらの治療法を取り入れている美容クリニックも増えつつあり、臨床試験も進められています。

 

また、導入には、メソガン(U-225)と呼ばれる極細の針を使用し、直接皮膚内部にヒト幹細胞培養上清液を注入する方法もあります。メソガンは、従来の注射器や水光注射に比べて、さまざまメリットがあることから、薄毛を治療する美容クリニックなど使われるようになってきました。

メソガン注射器水光注射
痛みわずかありあり
出血わずかありあり
麻酔不要ありあり
液漏れほぼなしあり(腕次第)あり
ダウンタイム1日以内1日~2日2日~3日

 

こうしたことから、女性の薄毛に対しても成長因子導入および細胞移植療法への期待が高まっています。

しかし、ガイドラインでは、「臨床試験の多くは、限られた施設における倫理委員会の承認を必要とする先進医療の段階にあり、安全性なども含めその有効性は決して十分に検証されているとはいえない」との見解から、推奨度「C」の「行わないほうがよい」のレベルです。

<参考記記事>

メソガンとは?効果やダーマペンとの違い、ダウンタイムについて解説

9.まとめ

女性の薄毛の原因や対策をご紹介しました。

FAGAと呼ばれる女性の薄毛・抜け毛の症状は、男性の脱毛症状(AGA)と違い、全体的に髪が薄くなる傾向にあります。

また、FAGA以外にも4つの脱毛症の種類があり、それぞれ原因や治療法が異なります。

FAGAが起きる主な原因は、加齢により女性ホルモンが減少することや、ホルモンバランスが乱れることによるもの。規則正しい生活を心がけることでホルモンバランスや自律神経が整い、FAGAの症状が良くなる場合があるため、普段から生活習慣には気をつけてみるといいでしょう。

それでも進行が気になる場合は、自分ひとりで薄毛・抜け毛の原因を特定するのは難しいため、FAGA専門クリニックへ相談し、自分の抜け毛の状態を確認してもらうことが、症状の改善に必要です。医師の実績やクリニックの口コミを確認し、信頼できる医師の元で治療を受けてくださいね。

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