マッサージピールは、コラーゲンピールとも呼ばれる肌の負担が少なく、たるみ毛穴や小じわなどの肌悩みの改善効果が期待できる治療法です。
美容皮膚科で受けられるピーリングには、様々な種類があるため、マッサージピールと他のピーリング治療の違いがわからない、という方もいるのではないでしょうか。
本記事では、マッサージピールの効果や、メリット・デメリット、従来のケミカルピーリングとの違いなどを解説します。
マッサージピールを受けてみたい方や、ダウンタイムが少ないたるみ治療を知りたい方は、ぜひ最後まで読んで、治療の参考にしてください。
長崎大学医学部卒業後、長崎大学形成外科入局
長崎大学病院・長崎医療センター・福岡徳洲会病院で形成外科勤務
福岡大学形成外科 レーザー外来・美容医療担当
2016年に形成外科・美容皮膚科 みやびクリニック 開院
*たるみ毛穴の原因と対策の全てがわかる!|エイジングケア化粧品のナールス
1.マッサージピールとは?薬剤でコラーゲンの生成を促すケミカルピーリング
1)マッサージピールとは?
マッサージピールとは、イタリア製の「PRX-T33」と呼ばれる専用の薬剤を使った、ケミカルピーリング治療です。コラーゲンの生成を促す効果があるため、クリニックによっては「コラーゲンピール」と呼ばれることもあります。
PRX-T33は、TCA(トリクロロ酢酸)が真皮に働きかけて線維芽細胞を刺激し、コラーゲンの生成を促進し、小じわ、毛穴などの改善が期待できます。
また、コウジ酸のメラニン生成抑制作用によりシミやくすみの改善、過酸化水素により肌のキメの乱れや毛穴のざらつきなどの改善も期待できます。
このように様々な肌悩みに幅広くアプローチできるのが、マッサージピールの特徴です。
施術方法は、PRX-T33をマッサージしながら肌に馴染ませ、拭き取るだけ。施術時間は10分ほどで完了します。1回の施術費用は10,000円〜20,000円が相場です。
また、マッサージピールはダウンタイムが少なく、施術後すぐにメイクできます。マッサージピールは、肌の刺激が少ない治療をしたい方、ダウンタイムが少ないアンチエイジング治療をしてみたい方におすすめの治療法です。
マッサージピールは従来のケミカルピーリングと異なり、真皮をターゲットとすることから「浸透型ピーリング」と呼ばれることがあります。
<参考記事>
ケミカルピーリングの効果はいつから?ニキビ跡や毛穴にも効果ある?
コラーゲンピールの効果は何回で出る?やり方や料金と併せて紹介
2)マッサージピールはこんな人におすすめ
マッサージピールは、肌のターンオーバーの促進や、コラーゲンの生成を促す効果があります。そのため、肌のハリやツヤがアップし、小じわなどの加齢による肌トラブルに効果を発揮します。
以下の症状に悩んでいる方は、マッサージピールを受けるのがおすすめです。
- 肌のざらつき
- くすみ
- ハリ不足
- 小じわ
- 毛穴の目立ち
ダウンタイムが短く、皮膚の負担が少ない治療法のため、美容医療を初めて受ける方にも、おすすめの治療法です。また、顔だけでなく、首にも施術できるため、首のしわにも効果を期待できます。
- 肌のハリや弾力を取り戻したい
- 顔全体のくすみをなくしてトーンアップしたい
- 透明感のあるツヤ肌になりたい
といった方におすすめです。
3)薬剤PRX-T33に含まれる成分
マッサージピールは、イタリア製の薬剤である、PRX-T33を使用します。PRX-T33に含まれる成分について、詳しく解説します。
①トリクロロ酢酸
マッサージピールで使われるPRX-T33には、トリクロロ酢酸が含まれています。
トリクロロ酢酸は、単体で使用すると皮膚剥離の恐れがある成分です。しかし、過酸化水素を配合することで、効果はそのままで、肌への刺激を少なくすることに成功しています。
トリクロロ酢酸は、真皮のコラーゲン・エラスチンなどの肌弾力に影響する細胞を刺激し、線維芽細胞を活性化させます。その結果、コラーゲンの生成が進むため、肌の弾力がアップし、ハリ・ツヤなどの効果を感じられるようになります。
②過酸化水素
PRX-T33には、低濃度の過酸化水素も含まれています。
過酸化水素は素早く肌に浸透することで、トリクロロ酢酸の剥離作用から表皮を保護し、角質層のタンパク質の変性を防ぐ効果があります。また、トリクロロ酢酸のコラーゲン生成をサポートする効果も期待できます。
③コウジ酸
PRX-T33には、メラニン生成抑制や活性酸素除去、美白効果のあるコウジ酸も含まれています。
コウジ酸は、メラニンを作る酵素の働きを抑える作用があるため、美白やシミ治療に使われている成分です。
コウジ酸は、老化物質であるAGEs生産抑制効果もあり、細胞を劣化させ糖化を防ぐ、抗糖化作用がある物質としても、注目されています。
美白効果を感じたい方も、マッサージピールを受けると良いでしょう。
2.マッサージピールの3つの効果
マッサージピールは、さまざまな肌トラブルの解消ができる施術です。ここでは、マッサージピールの3つの効果について、詳しく解説します。
1)小じわを改善できる
マッサージピールは、肌の小じわの改善効果が期待できます。
PRX-T33に含まれる、トリクロロ酢酸は、真皮に浸透し、線維芽細胞を刺激します。その結果コラーゲンの生成が促されます。コラーゲン生成が促されると、肌に弾力が生まれ、しわなどの症状が改善され、肌のハリが出るようになります。
<参考記事>
2)くすみを改善できる
薬剤の中に含まれている、コウジ酸の効果で、表皮や角質のくすみの改善が期待できます。
コウジ酸とは、酒造りに使われる、麹に含まれる細菌から作られた成分です。酒造りをする方の手が白く、キメが細かいことから、注目されるようになりました。
コウジ酸には、シミの元になるメラニンを作る酵素の働きを抑える効果があるため、美白効果が期待できます。
また、保湿効果にも優れているため、施術直後からしっとりとした肌を実感できます。
<参考記事>
顔の肌のくすみの原因と改善・解消の7つのエイジングケア対策!
3)たるみ毛穴の引き締めができる
マッサージピールには、たるみ毛穴の引き締め効果もあります。
たるみ毛穴の原因は、肌のハリや弾力を支えている、コラーゲンやエラスチンなどの成分の減少によるものです。加齢や生活習慣などが原因で、これらの成分が減少すると、肌にたるみが生じます。
マッサージピールは、真皮層に働きかけ、コラーゲンの生成を促す効果があります。コラーゲンの量が増えると、肌にハリと弾力が生まれるため、たるみ毛穴の解消が期待できるのです。
なお、マッサージピールは首などマシン照射が難しい部位にも施術可能です。
<たるみ毛穴>
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3.マッサージピールのメリット
様々な肌悩みに効果のあるマッサージピールには、3つのメリットがあります。
1)即効性がある
マッサージピールは、即効性のある施術です。
薬剤が肌に浸透すると、肌内部に潤いが生まれ、ハリやツヤの効果が施術直後に感じられます。
2)痛み・ダウンタイムがほとんどない
マッサージピールは、痛みやダウンタイムがほとんどない施術です。しかし、人によっては、施術中にピリっとした刺激を感じたり、赤みが出る場合があります。
施術中の刺激は、薬剤が肌に浸透する際に起こるものなので、強い痛みではありません。
多少の赤みが出た際も、施術後すぐメイク可能なので、ファンデーションなどで隠すと良いでしょう。
また、施術数日後に、若干の皮むけの症状が出る場合があります。ターンオーバーが進んでいる証拠ですので、むしって剥がさずに、自然に剥けるのを待ってください。
3)表皮を傷めず真皮を刺激して活性化する
マッサージピールの最も画期的な点は、表皮を傷めることなく、真皮を刺激することができることです。
これは、トリクロロ酸と過酸化水素の組み合わせによるもので、従来のトリクロロ酢酸単体のケミカルピーリングと比べて大きなメリットはこの点です。
4.マッサージピールのデメリット・副作用
マッサージピールは、ダウンタイムも少なく、気軽に受けられる施術です。しかし、マッサージピールにも、デメリットや副作用が存在します。ここでは、マッサージピールのデメリットや副作用について、解説します。
1)施術中に火照ったりピリピリすることがある
マッサージピールは、人によっては施術中にほてりや、ピリピリとした刺激を感じることがあります。
薬剤が皮膚に浸透する際に、このような刺激を感じるようです。
2)ダウンタイム中、まれに赤みがでることがある
マッサージピールには、ほとんどダウンタイムがありません。しかし肌の状態によっては、赤みが出る方もいます。
マッサージピールは、施術後すぐにメイク可能なので、赤みが気になる方は、ファンデーションなどでカバーすることもできます。
皮膚炎のある方や、極度の敏感肌の方は施術を受けられないため、注意しましょう。
3)妊娠中・授乳中は施術を受けることができない
多くのクリニックは、妊娠中・授乳中のマッサージピールを禁止しています。
妊娠中や授乳中の女性は、一時的に敏感肌になっているため、肌に刺激を与える施術は、避けた方が良いとされています。
基本的には、授乳が終われば施術を受けられるので、施術を希望する方は治療開始のタイミングを医師と相談してください。
4)効果の持続性が短い
マッサージピールでは効果に即効性はあります。
しかし、これは一時的な効果で、効果は数日〜10日程度です。
マッサージピール本来の効果を持続するには、継続した治療が必要です。継続して施術を受けないと、効果は実感しずらいことがある点はデメリットです。
5.効果はいつから出る?効果期間は?
マッサージピールの効果がいつから感じられるのか、どの程度効果が継続するのかについて、解説します。
1)直後から効果を実感できる
マッサージピールは、施術直後から効果を実感できる治療です。1回だけの施術でも、肌の透明感や、ハリ・ツヤが出るのを実感できます。
なお、マッサージピールの効果をより得るためには、継続した治療がおすすめです。継続することで、マッサージピール本来の効果を得られ、小じわ・たるみ毛穴などの改善が期待できます。
2)持続期間は1~2週間ほど
マッサージピールの効果持続期間は、1〜2週間ほどです。クリニックにもよりますが、肌悩みを改善するには継続して、5回1クールの施術を推奨しています。
2〜3週間おきに、5回を目安に施術を受けることで、コラーゲンが増加し、たるみ毛穴や小じわなどの改善効果が得られます。その後は、メンテナンスとして、1〜2ヶ月に1回の頻度で継続します。
6.マッサージピールの施術の流れ
1)診察&カウンセリング
施術前に、医師が診察を行います。
肌悩みの相談を聞いた上で、症状やお肌状態を診て、施術内容や部位を決めます。
炎症性のニキビのある部位やバリア機能が低下して肌が敏感になっている部位は避けるケースがあります。
施術を受けることに納得すれば、同意書に署名します。
2)クレンジング&洗顔
クレンジングまたは洗顔を行い、メイクや汚れ、皮脂などを十分に落として顔を清潔な状態にします。
3)施術
肌状態を診て、皮膚の厚い部位からデリケートな部位の順に、マッサージをしながら肌にピーリング薬を浸透させます。全顔で約20分程度で終了します。
4)スキンケア・メイク
アフターケアのための保湿や紫外線対策のための日焼け止めなどを塗ります。
また、メイクも施術後から可能です。
7.使用する薬剤PRX-T33に含まれる成分
ナールス美容医療アカデミーの編集長である私、富本充昭は2023年に兵庫県尼崎市武庫之荘のRURI clinicでマッサージピールの施術を体験しました。
施術は、約3週間間隔で合計3回受けました。
施術直後は、痛みは感じませんでした。
また、施術直後は、やや肌が赤くなりましたが、2、3時間で元に戻りダウンタイムもありませんでした。
施術後は、潤いを実感し、次第にお肌のハリ・弾力を取り戻すことができました。
料金もリーズナブルで痛みやダウンタイムもないことから、初めての美容医療や男性の美容医療にもおすすめです。
<マッサージピールの施術の様子>
<施術にかかる費用や回数の目安>
クリニックによって費用は異なりますが、目安は次のとおりです。 顔の場合:1回10,000円~20,000円程度 2週間から4週間に1回、5回程度続けるのがおすすめ。 |
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8.セルフケアやエステのマッサージピールは効果なし?
1)セルフケアやエステの薬剤では効果が不充分
マッサージピールの薬剤は、クリニックで医師または医師の指示を受けた看護師のみが扱える薬剤です。
一方、エステティックサロンや家庭用のピーリング剤は、濃度が低いためクリニックのような効果を実感することができません。
だから、マッサージピールは美容クリニックでうけることをおすすめします。
2)個人輸入の薬剤はリスク大
海外の通販サイトで「PRX-T33」が販売されていることがあります。こには、効果の裏付けがありません。不衛生な環境で製造されていたり、冷蔵保存されていないケースもあり得ます。また、偽造品であったりするケースも。
そのため、個人輸入すると、健康被害を引き起こす可能性があります。
3)セルフ治療は難しい
セルフでのピーリングを行うと、肌悩みを改善して美肌になれるどころか症状を悪化させるリスクがあります。
特に、トリクロロ酢酸は、肌に強い刺激を与える物質なので、医師や看護師などの専門家に取り扱いを任せるのがおすすめです。
9.マッサージピールのよくある質問
マッサージピールについて、まだ疑問がある方もいるでしょう。マッサージピールについてのよくある質問を紹介します。
Q1.従来のケミカルピーリングとの違いはなんですか?
ケミカルピーリングとマッサージピールの違いは、薬剤が作用する肌の層と、皮膚剥離の有無です。
ケミカルピーリングは角質層に、マッサージピールは表皮・真皮層に作用します。従来のケミカルピーリングは角質を剥離して薬剤を導入する施術です。ニキビ肌や、毛穴の汚れを除去したい方に向いているでしょう。
一方、マッサージピールは真皮に直接働きかけ、コラーゲン生成を促して、肌の内側から肌トラブルを改善する治療です。たるみ毛穴や小じわの改善をしたい方に向いています。
施術 | マッサージピール | トリクロロ酢酸単体のケミカルピーリング |
主成分 | ・トリクロロ酢酸 ・過酸化水素 ・コウジ酸 | ・トリクロロ酢酸 |
効果の範囲 | たるみ毛穴からクスミ、小じわ穴など広範囲 | ニキビ跡など限定的 |
ダウンタイム | ・短い ・皮膚の剥離・炎症作用を 起こしにくい | 皮膚の剥離や炎症作用が出やすい |
Q2.痛みやダウンタイムはありますか?
マッサージピールは、肌表面へのダメージが小さい施術です。そのため、ダウンタイムはほとんどない方が多いとされています。しかし、人によっては、ピリピリする程度の痛みを感じる場合があります。これは、薬剤が肌に浸透する際に起こる痛みのため、それほど強い痛みではないでしょう。
敏感肌の方や、皮膚炎の症状がある方は、施術を受けられないので、心配な方は医師に相談してください。
施術当日は赤みがでることもあるため、隠したい方は、メイク道具も持ってクリニックに行くのが良いでしょう。
また、マッサージピールを受けた後は肌が乾燥しやすいため、保湿ケアをしてください。アルコール成分入りなど、負担になりやすい化粧品はできるだけ避け、肌を刺激しないよう心がけましょう。
Q3.マッサージピールは他の治療と一緒に受けられますか?
マッサージピールは、他の治療と一緒に受けることもできます。たとえば、創傷治癒作用により皮膚を再生させ、毛穴の凹凸の治療である「ダーマペン4」とマッサージピールを組み合わせたコンビネーション治療は、「ヴェルベットスキン」と呼ばれています。
次のような方に向いた治療です。
- マッサージピールの治療に慣れてきた方
- より高い効果を実感したい方
- ニキビ痕や毛穴の開きに対して効果を高めたい方
ほかにも、フォトフェイシャルやイオン導入などと一緒に受けることも可能です。
複数の施術を組み合わせることで、より高い効果を期待できます。ただし、ハイフやレーザー治療は2週間ほど開ける必要があるので注意しましょう。
他の治療法を受ける際は、自分で判断せず、医師と相談するようにしてください。
<参考記事>
ヴェルベットスキンとは?効果が出る回数やダウンタイムについて解説
フォトフェイシャルの効果がすごい!?毛穴やシミにはいつから効果出る?
10.まとめ
マッサージピールは、コラーゲンピールとも呼ばれるピーリング。
その効果やメリットとデメリット、施術の流れなどを幅広くご紹介しました。
また、従来のケミカルピーリングとの違いについても触れました。
さらに、ナールス美容医療アカデミーの編集長の私の体験も紹介しました。
いかがだったでしょうか。
マッサージピールは、さまざまな肌悩みにアプローチできる治療法で、人気も高い施術です。
最近では、通販サイトで薬剤を売っていることもありますが、リスクが高いのでセルフケアは避けて、必ず、クリニックで受けましょう。
この記事が、マッサージピールを受けてみたい方や、ダウンタイムが少ない肌悩みの治療に興味がある方のお役に立てば幸いです。
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