低用量ピルを種類別に紹介!それぞれの特徴は?

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低用量ピルは、種類によって独自の特徴があります。しかし、具体的にどのような種類があるのか知らない方も多いのではないでしょうか。この記事では、低用量ピルの種類別の特徴や効果、安全性、使い方などを解説します。自分に合った低用量ピルを見つけるために、ぜひ参考にしてください。
この記事の監修医師

<略歴>

平成11年 大阪医科大学卒業
平成11年 大阪医科大学付属病院産婦人科入局以降、国立大阪南医療センター、
枚方市民病院、岸和田徳洲会病院で勤務
平成15年 大阪医科大学付属病院助手
体外受精、乳房外来などを携わりながら、子宮内膜症や不妊症の研究に従事

平成19年医学博士取得
(顆粒膜細胞や子宮内膜症病変を用いたアポトーシス関連の遺伝子発現の検討)

平成20年 和歌山労災病院産婦人科勤務
一般外来や、女性専用外来(乳腺、産婦人科)に携わる

平成25年 森女性クリニックを開院

<資格・所属学会>
日本産科婦人科学会専門医
医学博士
母体保護法指定医
日本抗加齢医学会会員

目次

1.低用量ピルの種類の分け方は複数ある

低用量ピルを飲もうとする女性

低用量ピルとは、1錠中に含まれるエストロゲンの量が1錠中50μgより少ない(通常30μg~35μg)ピルで、 黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)の2種類の女性ホルモンを合わせてできた錠剤です。 

毎日、服用することで避妊の効果が99%以上あり、コンドームやアフターピルなどの緊急避妊薬よりも避妊効果が高く、生理痛やPMS(月経前症候群)などにも効果があります。

低用量ピルの効果をまとめると次のとおりです。

<低用量ピルの効果>

  • 避妊 
  • 生理痛の軽減
  • 生理不順の予防
  • 月経前症候群の改善 
  • 卵巣がんの発症率の低下
  • 子宮体がんの発症率の低下
  • ニキビの改善

2.低用量ピルは使用目的により、2種類にわけられる

低用量ピルが保険適用となるかは、その使用目的により変わります。避妊を目的とした場合には自由診療になりますが、医師の診断によって月経困難症や子宮内膜症の症状が認められた際には、保険による治療が可能です。

また、低用量ピルは使用目的で呼び名が変わり、自由診療で使う場合はOC(Oral Contraceptives)と呼ばれます。一方、保険診療の場合は、LEP(Low dose Estrogen Progestin)と呼ばれます。

1)LEP 保険適用の場合:月経困難症・子宮内膜症の治療など

月経困難症や子宮内膜症などでは、保険が適用されます。子宮内膜症とは、子宮内膜に似た組織が本来あるべき場所以外にできてしまう疾患です。

保険適用の対象となるかどうかは、医師の判断になります。

LEP製剤には低用量ピルと超低用量ピルがあります。超低用量ピルとは、含まれているエストロゲンが30㎍未満の製剤です。日本で発売されているピルの中で、1周期中最もエストロゲン総用量が少なく、リスクの軽減が期待されています。

2)OC 保険適用外の場合:避妊・PMSの改善・肌荒れの改善など

避妊やPMS(月経前症候群)の改善、肌荒れの改善などを目的とする場合、低用量ピルの処方は保険適用外となります。

保険適用は、月経困難症や子宮内膜症の治療などに限られるため、避妊目的での処方には適用されません。避妊を主な目的とする場合は、全額自己負担となります。

現在日本で処方されるものは、トリキュラー28、トリキュラー21、マーベロン28、マーベロン21、アンジュ28、アンジュ21、シンフェーズ、ラベルフィーユ28、ラベルフィーユ21、ファボワール28、ファボワール21となっています。

種類を分けるに際しては、開発された順番による「世代」で分ける方法があります。

また、低用量ピルの錠剤に含まれるホルモンの配合量によって「相性(そうせい)」に分ける方法もあります。

今から4つの世代ごとに低用量ピルの種類を解説します。

相性に関しては、後ほど説明します。

<参考記事>

低用量ピルの効果と副作用|注意点や対処法について解説

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3.低用量ピルは世代ごとに4種類!目的別に特徴を解説

低用量ピルは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2つの女性ホルモンを含む薬です。

低用量ピルに含まれる卵胞ホルモンは、すべて同じ種類のエチニルエストラジオールです。

一方、黄体ホルモンの種類が異なるため、その違いによって4種類(世代)に分けられます。

黄体ホルモンの違いによりアンドロゲン作用の強さが異なるため、黄体ホルモンの種類によってその作用や効果が特徴づけられるのです。

 

ここでは、それぞれの世代の低用量ピルの特徴と違い、またどのような目的で使用されるのかについて詳しく解説します。

1)第一世代ピル(ノルエチステロン)

  1. 特徴

    最初に製造承認された低用量のピルで、黄体ホルモン「ノルエチステロン」が含まれています。ノルエチステロンは、出血量を減らす作用があります。また、月経にともなう不快な症状、特に月経困難症やナプキンからの経血漏れに悩む方に効果的です。

    一方、新しい世代の低用量ピルと比較すると、少し不正出血の頻度が高い傾向があります。

  2. 低用量ピルの薬剤の種類(超低用量ピルも含む)

    薬剤名特徴
    シンフェーズ三相性 OC製剤

    サンデースタートピルと呼ばれ、1錠目を日曜日から内服開始し、消退出血(生理)が週末にかからない工夫がある

    ルナベルLD一相性 LEP製剤
    ルナベルULD一相性 LEP製剤

    超低用量

    フリウェルLD/フリウエルULD一相性 LEP製剤

    ルナベルLD/フリウエルULDのジェネリック(後発)医薬品

2)第二世代ピル(レボノルゲストレル) 

低用量ピルの一種であるラベルフィーユ

  1. 特徴

    第二世代の低用量ピルに含まれるレボノルゲストレルは、優れた避妊効果を発揮します。

    また、生理周期を安定させる効果があり、不規則な月経に悩む女性に多く使われています。

  2. 低用量ピルの薬剤の種類

    薬剤名特徴
    トリキュラー三相性 OC製剤

    生理的なホルモン動態に対応させるために、1周期内服する間にホルモンの量を3段階に増減する3相性の低用量ピル

    第一世代のOC製剤に比べ、1周期中のエストロゲン総用量は少ない

    サイクルコントロール性(生理周期調節性)も向上

    アンジュ三相性 OC製剤
    ラベルフィール三相性 OC製剤

    トリキュラーのジェネリック医薬品

    ジェミーナ一相性 LEP製剤 

    超低用量ピル

     

    <参考記事>

    低用量ピル「ラベルフィーユ」の効果や副作用について徹底解説

3)第三世代ピル(デソゲストレル):肌荒れの改善

低用量ピルの一種であるファボワール

  1. 特徴

    第三世代の低用量ピルに配合されているデソゲストレルは、アンドロゲンという男性ホルモンの作用を抑制するはたらきがあります。

    これにより、肌荒れや多毛症といったアンドロゲン依存性の症状改善の効果が期待できます。

    ただし、長期投与により、抑うつ症状や性欲低下などの副作用のリスクがある点がデメリットです。

  2. 低用量ピルの薬剤の種類

    薬剤名特徴
    マーベロン一相性 OC製剤

    男性ホルモン(アンドロゲン)作用抑制効果が高い

    大人ニキビの治療、多毛症の改善が期待

    フォボワール一相性 OC製剤

    マーベロンのジェネリック医薬品

     

    <参考記事>

    低用量ピル「ファボワール」の効果・副作用について解説|21・28の違いは?

    低用量ピルはニキビにも効果ある?ニキビ改善にピルが効く理由

4)第四世代ピル(ドロスピレノン):月経困難症や月経前症候群(PMS)の症状改善

  1. 特徴

    第四世代はすべてLEP製剤で、超低用量ピルです。に含まれるドロスピレノンは、PMSの症状を緩和する効果があります。

    また、ピルの中で唯一「抗ミネラルコルチコイド作用」を有し、むくみにくいことがメリットです。

  2. 低用量ピルの薬剤の種類

    薬剤名特徴
    ヤーズ一相性 LEP製剤 超低用量ピル

    子宮内膜症及び月経困難症改善目的で保険適応となる

    利尿作用を持ち、むくみにくい

    実薬が24錠タイプ(ほかのピルはすべて21錠タイプ)で、休薬期間が4日間と短くホルモンの変動が少ないため、ホルモン消退時の症状(下腹部痛や頭痛など)を軽減することが期待されます。

    ドロチヤーズのジェネリック医薬品
    ヤーズフレックス一相性 LEP製剤 超低用量ピル

    国内で初めて連続服用が可能となったLEP製剤

    定期的な休薬期間がないため、休薬期間に多くみられるホルモン関連症状(骨盤痛、頭痛、腹部膨満感、乳房痛など)の減少が期待できるため、生理痛とPMSのある方にはピルの中で一番効果的

    月経をコントロールすることができる

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4.低用量ピルにはホルモンの配合量によって1相性と3相性がある

低用量ピルは、ホルモンの配合量に基づき、1相性と3相性に分類されます。また、1相性と3相性には、それぞれ独自の特徴があります。

1)1相性ピル:1周期分のホルモン量が一定

1相性ピルとは、1シートに含まれる卵胞ホルモンと黄体ホルモンの配合量が一定しているタイプです。OCではマーベロンやファボワールなどが挙げられます。

1相性ピルは、ホルモン量が一定しているため、服用時に経験するホルモン変動を最小限に抑える設計がされています。

2)3相性ピル:1周期分のホルモン量が3段階に分かれている

3相性ピルとは、1シート内で卵胞ホルモンと黄体ホルモンの配合量が3段階に分かれているタイプです。OCではトリキュラー、ラベルフィーユ、アンジュなどが挙げられます。

女性の自然な月経周期により近い形でホルモンの量を調節し、体への負担を減らすよう設計されています。

 

5.低用量ピルには21錠タイプと28錠タイプがある

ここでは、21錠タイプと28錠タイプの違いと、それぞれの服用方法を解説します。

1)21錠タイプ:7日間の休薬期間を自ら管理する必要がある

21錠タイプの低用量ピルは、1シートが21錠となっており、毎日1錠ずつ服用します。21錠すべて飲み終えたら、生理周期を調整する目的で、7日間の休薬期間を設けます。

この休薬期間中に、消退出血が起こるのが一般的です。休薬期間中も避妊効果は維持されますが、次のシートの開始タイミングは自分で管理する必要があります。

2)28錠タイプ:7錠の偽薬(プラセボ)があり休薬期間を管理する必要がない

28錠タイプの低用量ピルは、21錠の実薬に加えて、7錠の偽薬(プラセボ)が含まれています。プラセボはホルモン成分を含まず、飲み忘れを防ぐ目的で設けられているため、休薬期間は必要ありません。

28錠タイプでは、1シートを服用し終えたら、翌日からすぐに次のシートを飲み始めることができ、休薬期間の管理が不要なのが大きな特徴です。

 

6.低用量ピル服用時の3つの注意点

低用量ピルを飲んでいる女性

低用量ピルは、避妊効果だけでなく、女性特有の悩みにも効果がありますが、服用にあたってはいくつかの注意点があります。ここでは、低用量ピル服用時の3つの注意点を解説します。

1)毎日決まった時間に飲む

低用量ピルの効果を最大限発揮させるためには、1日1錠を毎日同じ時間に飲まなければなりません。理由としては、ホルモンレベルを一定に保つ必要があるためです。これは、ピルの避妊効果を安定させるための重要な要素だといえます。

2)低用量ピル服用中も避妊をする

低用量ピルの避妊効果は非常に高く、正しく服用した場合には99.7%の確率で避妊できるといわれています。しかし、100%ではないため、低用量ピルを服用していても避妊をする必要があります。必ず別の避妊方法も併用しましょう。

3)副作用や合併症が起こる可能性がある

低用量ピルの服用には、副作用のリスクがあります。特に服用を開始したばかりの時期は、不正出血や嘔気などが出やすいとされています。

これらは女性ホルモンの変動により出てくる症状で、一時的であることが多く、3ヶ月以内におさまることが多いとされています。

合併症としては、血栓症や子宮頸がんのリスクを高める可能性が挙げられます。

 

7.低用量ピルの種類に関するよくある質問

Q1.低用量ピルは妊娠への影響はありますか?

低用量ピルの服用によって、将来の妊娠に影響を与えることはないとされています。

Q2.低用量ピルを飲むのをやめてもいいですか?

低用量ピルの服用は、妊娠を望んだり副作用が強いなどの理由で、中止したくなったらやめても構いません。服用中止後、1~3カ月程度で正しい月経周期に戻るといわれています。

Q3.低用量ピルの成分って何ですか?

低用量ピルには、主に卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)と呼ばれる2つの女性ホルモンが配合されています。

Q4.LEPの避妊効果はありますか?

LEPには、排卵を起こさせない作用、頸管粘液の粘度を高め精子をブロックする作用、そして内膜を薄くし受精卵の着床を防ぐ作用があります。 したがって、避妊効果が期待できます。

しかし、LEPは月経困難症や子宮内膜症の治療や症状緩和の効果が認められた薬剤であって、避妊効果については副効用の扱いです。

Q5.低用量ピルとほかのピルの違いは?

ピルは1錠中に含まれるエストロゲンの量により、高用量、中用量、低用量、超低用量に分類されます。

高用量ピルは、エストロゲンの量が1錠中50μgより多いタイプです。

中用量ピルは、エストロゲンの量が1錠中50μgのタイプです。

Q6.オーソM-21錠はもう使えないのですか?

第一世代の低用量ピルの「オーソM-21錠」は、平成29年1月をもって製造・販売を中止となっています。

そのため、今では使えません。

Q7.低用量ピルとアフターピルの違いは何ですか?

アフターピルの一種であるレボノルゲストレル錠

低用量ピルは毎日服用することで排卵を抑制し、子宮内膜の増殖を抑えることで受精卵が着床しにくい状態をつくって避妊を行います。

一方、アフターピル(モーニングアフターピル)は、低用量ピルの服用を忘れた場合や、避妊をしなかった性交やコンドームなど避妊具が適切に使用できていなかった場合などで、望まない妊娠を避けるための緊急避妊に用いられる薬です。

第二世代の低用量ピルに配合されているレボノルゲストレル錠やノルレボ錠などの緊急避妊薬があります。

<参考記事>

アフターピルの効果|緊急避妊について詳しく解説

アフターピルの副作用|正しい使用方法でリスクを抑える

アフターピル「レボノルゲストレル」の効果や副作用について|ノルレボとの違いは?

 

8.まとめ:目的にあった低用量ピルを服用しよう

この記事では、低用量ピルの種類について詳しく解説しました。

低用量ピルは、避妊や月経困難症(PMS)の治療など、さまざまな目的で使用されます。

そんな低用量ピルは、開発された順番や配合されている黄体ホルモンの種類によって特徴が異なります。また、服薬の方法や保険適応の有無などでも種類分けされます。

そのため、自分の体調や目的に合ったものを選ぶには、それぞれの種類の特徴を理解することが大切です。

また、低用量ピルは医師の指導のもとで服用し、副作用が出た場合には速やかに医師に相談するようにしましょう。

この記事が、低用量ピルの正しい理解と適切な選択、服薬の一助となれば幸いです。

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