AGA治療についてネットで調べていると「AGA治療は効果がない」「AGA治療やってよかった」など様々な意見が飛び交い、結局どっちなの?と思う人も多いのではないでしょうか。AGA治療は効果がない、と感じる場合「AGA治療を初期段階で辞めてしまっている」「そもそも脱毛の原因がAGAではなかった」「治療薬を正しく使っていない」などの理由が考えられます。
今回はそんな「AGA治療は効果がないといわれる理由」について詳しく解説するとともに、効果が現れやすい人や治療の継続期間についてご紹介します!
東京医科大学卒業。東京医科大学病院皮膚科、都内美容皮膚科クリニックなどを経て2012年、水谷皮フ科クリニック開院。
一般皮膚科、小児皮膚科に加え、しみ、たるみなどの美容皮膚科を診療している。
1.AGA治療は効果がないって本当?
ネット上では「AGA治療は効果がない」という情報が一部で飛び交っています。
しかし、AGA治療はほとんどの方に効果が期待できます。
AGAは、症状に応じた治療を継続して行う必要があるため、この点を理解せずに「効果がない」と早めに結論づけてしまっている人が一部でいるようです。このことから「AGA治療は効果がない」という情報が出回っていると考えられます。
1)AGA治療はほとんどの患者が効果を実感できる
AGA治療薬は継続して服用していれば、ほとんどの患者が効果を実感できます。AGAは男性ホルモンが影響し、ヘアサイクルが乱れることで起こる症状です。ヘアサイクルとは、髪の毛が生えてから抜けるまでの周期のことを指し「成長期」「退行期」「休止期」の3つの時期で構成されています。
AGAを発症すると、ヘアサイクルの「成長期」が短くなり、髪が太く成長しないまま抜けてしまうのです。そこでAGA治療では、脱毛因子をブロックしたり、毛髪を活性化させる薬剤を使います。これにより、ヘアサイクルが整い、抜け毛の予防や毛髪の成長を促します。薄毛の症状が気になり始めたら、AGA専門のクリニックを受診するのがおすすめです。
2)治療なしでは改善が難しいのがAGA
AGAは男性型脱毛症とも呼ばれます。ホルモンの影響で発症する脱毛症で、少しずつ薄毛や抜け毛が目立ってくるのが特徴です。20代での発症は約10%。50代にもなると約40%がAGAの悩みを抱えているといわれています。AGAは自然に治癒することがない疾患であり、放置していると進行していくので、早期の治療が必要です。
2.AGA治療は効果がないと言われてしまう理由
「AGA治療に効果がない」と感じる場合、考えられる主な原因を7つ紹介します。
- 初期段階に脱毛期間があることを知らない
- 効果が実感できるまで継続した治療をしていない
- 治療を開始する時期が遅い
- 治療薬を正しく使っていない
- 治療薬に過大な期待をしている
- 治療薬の種類が症状に合っていない
- 1年以内に治療をやめてしまう
- AGA以外の脱毛症を発症している
AGA治療は進行性のため、早期に治療を開始するほど効果実感も高いといわれています。しかし、上記のような要因があると効果を感じないことも。治療の効果を妨げる要因はたくさんあるため、これからAGA治療を開始しようか迷っている人は、事前にチェックしましょう。
1)AGA治療の初期段階に一時的に脱毛期間がある
AGA治療の初期段階には「初期脱毛」と呼ばれる一時的な脱毛期間があります。初期脱毛はヘアサイクルが整う過程で生じるものです。治療開始の10日前後から抜け毛が目立ち始めて、約1〜2ヶ月後には徐々に落ち着いてきます。
この初期脱毛を知らずにAGA治療をしていると「効果がなかった」「逆に抜け毛が増えて悪化した」「副作用かもしれない」と感じてしまうかもしれません。
さらに治療から約6〜10ヶ月程のタイミングで、2度目の脱毛期間が訪れることもあります。効果を実感するためにも、正しい知識を持って継続した治療を行いましょう。
2)AGA治療の効果が実感できるまでには時間がかかる
AGA治療には個人差はありますが、早い人では3ヶ月〜6ヶ月後には効果を実感できます。「そんなにかかるの?」と思う人もいるかもしれませんが、細胞を活性化させて乱れたヘアサイクルを整えるには、継続した治療期間が必要です。
そのため、治療を始めてすぐに効果が出るものではなく、一定期間継続しなければいけないことを覚えておきましょう。AGA治療薬に過大な期待をしてる方も多くいらっしゃいます。治療期間中に頭部の写真を撮影して毛髪量の変化を記録すると増毛の程度がわかりますが、効果には個人差があるので長期間治療してもたくさん増毛する方もいれば増毛の程度がわずかな方もいらっしゃいます。
3)AGA治療を開始する時期が遅い
「AGA治療はいつから始めれば良いの?」と悩む人は多いでしょう。進行性の疾患のため放置しておくと脱毛症状はどんどん進んでいきます。20代であっても約10%はAGAといわれる現代。年齢が若くてもAGAの症状が見られたら、早めにクリニックを受診しましょう。
逆にAGAが進行してから治療する場合、治療薬の服用しても効果が実感しにくいケースもあります。また、改善までに時間がかかるだけでなく、治療費も高くなる場合もあるのです。そのため、薄毛が少しでも気になり出した段階で、すぐにクリニックに行き医師に相談することが重要です。
4)AGA治療薬を正しく使っていない
AGA治療薬に限ったことではありませんが、用法・用量が守れていない場合、治療の効果を発揮することができません。早く効果を実感したいからといって、処方された用法・用量よりも多く服用してしまうと、副作用のリスクも高まり大変危険です。必ず医師の指示に従い、用法・用量を守って使いましょう。
5)AGA治療薬の種類が合っていない
治療の効果がいまいち感じられない場合は、服用している薬が自分に合っていないのかもしれません。AGA治療として処方される薬には「プロペシア(フィナステリド)」「ザガーロ(デュタステリド)」「ミノキシジル」などがあります。医師がこれらの治療薬を、患者の希望や体質に合わせて処方してくれます。
プロペシアは内服薬で、抜け毛の原因であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑える治療薬です。有効成分のフィナステリドが還元酵素をブロックすることで、抜け毛・薄毛の原因の進行を抑えます。副作用のリスクも少ないため、クリニックではAGA治療薬として推奨されています。
ザガーロも内服薬で、プロペシアと同じくDHTの生成を抑える治療薬です。有効成分のデュタステリドが還元酵素をブロックすることで、抜け毛・薄毛の進行を抑えます。プロペシアよりDHTの抑制機能が強い分、副作用もわずかながらにも多めなことが特徴です。
ミノキシジル外用薬は、頭皮の血行を改善することで発毛効果を発揮する脱毛症治療薬です。
これら3つは、日本皮膚科学会が定める「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、推奨度「A(=強く勧める)」ともっと高い評価を得ています。
一方、ミノキシジルの内服薬は、本来、高血圧症の治療のために開発されましたが、その副作用として発毛・育毛効果が発見され、今では、AGAの治療薬の一つとして使用されています。
しかし、ミノキシジルの内服薬としては効果と危険性が十分に検証されていないため、現段階では、先ほどのガイドラインでは、推奨度「D(=ミノキシジルの内服を行うべきではない)」と推奨はされていません。
AGA治療を始める際は、どの程度生やしたいのかに加え、自分の体質や生活習慣についても医師に伝え、最適な治療法を選択することが重要です。
6)AGA治療を1年以内にやめてしまう
髪の毛には「成長期」「退行期」「休止期」という一定のヘアサイクルがあります。AGA治療薬は、乱れたヘアサイクルを整えることで、髪の毛を増やす治療法です。
進行レベルにもよりますが、3~6ヶ月ほどで治療の効果を感じる人が大半です。しかし、1年以上は継続した治療を行うことが必要です。さらに症状が落ち着いた後も、継続してAGA治療をすることをおすすめします。
7)AGA治療が全ての脱毛に効果があるわけではない
男性の薄毛の多くはAGAが原因といわれています。しかし、中にはAGAではない脱毛症が原因の可能性もあり、その場合はAGA治療を行っても効果はありません。ここでは、AGA以外に考えられる主な脱毛症を2つご紹介します。
- 脂漏性脱毛症
- 円形脱毛症
「脂漏性脱毛症」は皮脂の過剰分泌が原因です。頭皮の炎症により、毛根がダメージを受けて脱毛を引き起こします。放置しても治るものではないので、早めにクリニックに行き医師の診察を受けましょう。
一方「円形脱毛症」は免疫力の低下・アレルギー・ストレスなどが原因で起こり、髪の毛の一部が円形に脱毛する疾患です。こちらは一時的なものであることが多く、原因を解消することで改善が見込めます。
3.AGA治療の効果が現れやすいのはこんな人
AGA治療は、進行レベルにあった治療薬を継続して行うことが大切です。しかし投薬だけでは、充分に効果を感じられないこともあります。薬を服用しながら、普段の生活習慣を見直すことも重要です。ここでは、治療の効果が現れやすい人の特徴を4つご紹介します。
1)症状の軽い初期段階のうちに治療を始めた
AGAは進行性の疾患のため、悩み始めた初期症状のうちにクリニックで治療を始めると、治療効果を感じやすいといわれています。日本では20代後半から30代にかけてAGAに悩む人が増加傾向に。「自分はまだ若いから大丈夫」と放置せずに、早めにクリニックで医師に相談しましょう。
2)外用薬・内服薬を併用している
外用薬と内服薬の服用を併用している人は、早く効果を実感しやすい傾向にあります。前述しましたが、治療薬としては下記の3つが一般的。
- ミノキシジル
- プロペシア(フィナステリド)
- ザガーロ(デュタステリド)
AGA治療の外用薬としては、ミノキシジルの塗り薬タイプが多く使用されています。頭皮に直接塗布するタイプで、効果としては内服薬のミノキシジルと同様、毛母細胞の増加促進やヘアサイクルの正常化が期待できます。こちらは内服薬よりは発毛効果が劣りますが、副作用が少ないことが特徴です。
3)治療薬の用量・用法を守って正しく使っている
当たり前ですが、医師から処方された薬を正しく服用している人は効果実感も比較的早いといわれています。AGA治療薬は用法・用量が守れていないと効果が出ないだけでなく、副作用のリスクが増加するため大変危険です。
- 男性機能の低下
- 抑うつ
- 肝機能障害
- 発疹
AGA治療薬の副作用には、上記のようなものが挙げられます。副作用は正しく治療薬を使っても、発生するケースがあるため、気になる症状が出てきたら、医師に相談しましょう。
4)生活習慣の改善を心がけている
薄毛の原因は3割が遺伝的要素、7割が生活習慣とされています。そのため、処方されたAGA治療薬を使いながら、生活習慣を改善することで、効果的にAGA進行を抑止することができるのです。
ここからは、生活習慣の改善をするための6つのポイントをご紹介します。薄毛の症状に悩む患者さんは、ぜひ参考にしてください。
6つのポイント | 具体的な行動 | 薄毛改善の効果 |
適切な睡眠時間を確保する | 寝る前にスマホやパソコンは使わないように。最低でも6時間は睡眠を取るようにしましょう。 | 成長ホルモンが分泌され頭皮の細胞が回復します。また、体の機能が整えられることで健康的な毛髪が育ちやすくなりますよ。 |
ストレスを溜め込まない | 自分に合ったストレス発散法を取り入れましょう。 | ストレスを解消することで自律神経を整え、髪の毛の成長を促すことができます。 |
喫煙を控える | タバコを吸う習慣のある人は、本数を減らしましょう。 | 体内に入ったニコチンの影響で血管が収縮。これにより、頭皮への栄養供給が滞ります。AGAの進行を遅らせるためにも喫煙は控えましょう。 |
栄養バランスの取れた食事を摂る | まんべんなく栄養バランスのとれた食事を意識しましょう。なお、タンパク質やビタミンを積極的に摂るのもおすすめです。 | タンパク質は髪の毛の主成分で、ビタミンは血の流れをよくする働きがあります。日々摂ることで頭皮環境改善のサポートをしてくれます。 |
定期的に運動をする | ジョギングやサイクリングなど、軽めの有酸素運動を行いましょう。 | 有酸素運動を取り入れることで、DHTを排出させる効果を期待できます。 |
正しい方法でヘアケアをする | 指の腹で優しくマッサージするように頭皮を洗い、すすぎ残しが無いようにしっかり成分を流しましょう。 | 頭皮への刺激をできるだけ抑えることで、頭皮環境の悪化を防げます。 |
5)ガイドラインの知識を持っている
AGA治療には、今や多くの選択肢があります。最近では、その病態解明が進むとともに、先ほど挙げたような有効な外用、内服の治療薬が開発され,皮膚科やAGA専門クリニックで、積極的に使用されるようになっています。
一方、科学的根拠に基づかない民間療法や無効な治療法が完全になくなったわけではありません。
そうした問題を解決し、科学的根拠に基づいたAGA治療の指針をまとめたのが、日本皮膚科学会が定める「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」です。
もちろん、このガイドラインのとおりに治療すれば100%AGAが改善するわけではありませんが、少なくとも専門家が国内外の科学的根拠を収集、吟味した上でまとめたものではあり、信頼に足りうるものです。
幸いにも一般公開されているので、内容を理解してAGA治療についての知識を得ておくことも治療効果を得るための一助となります。
4.それでも治療効果が出ない場合の対策は?
1)治療方法を変更する相談を
ガイドラインに則った治療を行っていたとしても、自分に合っていない治療薬を服用していても効果が実感できないこともあります。
また、AGAの進行スピードが速さに治療が追い付かないこともあります。
治療を継続しても抜け毛が続き、薄毛になっている方は担当医師に、治療薬の変更や追加、他の治療法との併用、他の治療法への変更などについて相談してみましょう。
2)クリニックを変えてみる
治療法の変更や追加などを相談しても、いまいち、納得できないことや自分が望む治療法が、今のクリニックでは受けられないといったこともあります。
そんな場合は、思い切ってクリニックを変えてみることも選択肢の1つです。
もちろん、クリニックを変えればAGAの治療効果が必ず実感できるわけではありませんが、他の医師の意見を聞いたり、新たな治療法を試してみることで改善できる可能性があります。
3)改めて生活習慣をチェック
3章でAGAの治療効果を早く実感するための生活習慣のポイントを挙げました。
もし、十分に実践できていならそれを改善すると薄毛が改善する可能性があります。
生活習慣を改善しても、遺伝が原因のAGAの根本的な改善ができるとは言い切れませんが、少なくとも良い生活習慣を保つことは、プラスの要素です。
さまざまな治療を試しても効果が無いと感じる場合は、あらためて生活習慣を見直してみましょう。特に、食生活、睡眠、ストレスの3つに関して、チェックして十分でない場合は、改善しましょう。
5.AGA治療は一生続けないと効果がなくなるの?治療を継続?止める?
「AGA治療は一生しないといけないのか」と思う人も多いでしょう。AGA治療は保険適用外のため、継続していくには、それなりの費用がかかりますよね。
残念ながら、AGA治療は症状を完治させるものではありません。ヘアサイクルを整えて脱毛を防ぎ、毛髪の豊富な状態をキープする治療法なのです。そのため、薄毛の進行をストップさせたいのであれば、できるだけ治療を継続する必要があります。
しかし、人によって経済的な事情や通院にかかる時間がとれないなどといったこともあります。
そのため、一生治療を継続することができないこともあります。
だから、AGA治療は一生続けることを前提にする必要はありません。
だからこそ、自分で継続するか、止めるかの基準を持っておくことが大切です
基本的には、治療継続のメリットがデメリットを上回る場合には、止めることを考えてみることをおすすめします。
そのためのポイントをご紹介します。
1)治療開始時に目的・ゴールを設定する
AGA治療の目的やゴールとしては、次のようなことがあります。
- 少なくとも現状の頭皮環境を維持してAGAの進展を防ぐ
- これ以上の薄毛や抜け毛を予防したい
- 発毛を行って、毛量を回復したい
治療開始に際して、カウンセリングの際に、医師にそれを共有して、治療期間についてもある程度合意をしておくことも良い選択肢です。
ただし、治療中段にも継続にもメリット、デメリットがあるのでその点も予め理解しておきましょう。
2)AGA治療をやめると症状が再発する恐れがある
AGAは治療薬の服用をやめると、徐々に脱毛が進行する恐れがあります。脱毛を防ぎ、毛髪の豊富な状態をキープし続けたいのであれば、継続したAGA治療が必要です。
ただし副作用もある薬なので、長期的な治療の継続については、医師と相談しましょう。自分の健康状態や薄毛の改善状況を加味し、いつまで治療を継続するか、事前に決めておくのがおすすめです。
3)症状が落ち着いてきたらオンライン診療もおすすめ
オンライン診療はクリニックに出向くことなく、ご自宅でスマートフォンやPCにて、医師の診察が受けられるサービスです。
ある程度症状が落ち着いてきて、定期的な診察と処方だけを希望するのであればオンライン診療がおすすめ。忙しくてなかなか通院できない人や費用を抑えたい人は利用してみてはいかがでしょうか?
4)AGA治療のデメリットが大きくストレスになるなら止める
AGAの治療は、毎月の治療費の負担があり、それが蓄積していきます。また、定期的な通院に時間をとられることも肉体的・精神的負担になることもあります。
今、挙げたオンライン診療も1つの手段ですが、薬剤をジェネリック医薬品に変えたり、現状維持を目指す治療に切り替えることで治療費を減らすことができます。
それでも、自分自身の中で治療継続のデメリットがメリットを上回ると感じた場合は、無理に続けるより、一旦止めてみることも良いでしょう。
<参考記事>
AGAの初期症状とは?いつから脱毛が始まるのか段階ごとに解説!
AGAの原因には何がある?ストレスや生活習慣による影響と対策
6.まとめ
「AGA治療は効果がない」といわれる理由をご紹介しました。実際は効果がないのではなく「途中でやめてしまっている」「初期脱毛を知らない」など、継続した治療を行っていないことが主な要因です。治療開始初期は、効果を感じるまでに時間がかかることも理解しておきましょう!
また、AGAは進行性の疾患のため、早期診療を開始し脱毛の進行レベルにあった治療薬を継続していくことが重要です。さらに治療の効果を高めるために、普段の生活習慣を見直すことも意識すると良いでしょう。
症状が落ち着いてきたらかかりつけの医師と相談の上、クリニックに通院不要なオンライン診療に切り替えて、時間を節約しながら治療することもおすすめです。AGA治療をうまく取り入れて、前向きな日々を過ごしてくださいね!
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