薄毛や脱毛などの症状が徐々に進行していくAGA。原因は遺伝や男性ホルモンの影響などが考えられています。しかし、それ以外にもストレスや生活習慣によって進行する可能性があります。本記事ではAGAの原因やストレスや生活習慣による影響、その対策について解説します。AGAの進行を抑える方法がわかるので、抜け毛や脱毛症状に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
東京医科大学卒業。東京医科大学病院皮膚科、都内美容皮膚科クリニックなどを経て2012年、水谷皮フ科クリニック開院。
一般皮膚科、小児皮膚科に加え、しみ、たるみなどの美容皮膚科を診療している。
1.AGAは進行性の男性型脱毛症
AGAとは、進行性の男性型脱毛症のことを指します。髪の毛が急激にごそっと抜け落ちる円形脱毛症とは違い、徐々に薄毛や脱毛の症状があらわれるのが特徴です。
AGA発症のメカニズムには、男性ホルモンの一つであるDHT(ジヒドロテストステロン)が関係しています。DHTは、同じく男性ホルモンの一つであるテストステロンと、酵素の一つである「5αリダクターゼ」が結合することによって生成されるホルモンです。発生したDHTは、髪の毛の元になる毛母細胞の働きを低下させてしまうことがわかっています。
これによって、髪が充分に成長する前に抜けてしまうため、脱毛が進んでしまいます。
AGAは進行性の脱毛症のため、治療をせずに放置しても、自然に治ることはありません。症状に気がついたら、早めに治療を始めましょう。
<参考記事>
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AGAの初期症状とは?いつから脱毛が始まるのか段階ごとに解説!
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2.AGA発症率は20代でも10%もある
AGAは、40代〜50代くらいの年配の方が発症するイメージがあるかもしれません。しかし、AGAは20代で10%、30代では20%の方に発症することがわかっています。脱毛が増えた、髪の毛のボリュームが減ったなどの症状がある場合は、若くてもAGAを疑いましょう。
また、AGAの発症率は年齢とともに高くなり、40代では30%、50代では40%と言われています。
<参照元>
板見 智 : 日本医事新報 (4209), 27-29, 2004-12-25
3.AGAの原因は2つのタイプの遺伝
AGAの主な原因は遺伝です。
AGAになりやすい方は、その性質を遺伝で受け継いでいる可能性があります。
遺伝の要素としては、AGA発症に影響する5αリダクターゼの活性度と男性ホルモンレセプターの感受性の2つがあります。
1)5αリダクターゼの活性度が高い
5αリダクターゼの活性度が高いと、AGA発症に影響を及ぼすDHTが発生しやすくなります。
DHTはAGAを発症する要因の一つなので、AGAを発症しやすい体質ということです。
5αリダクターゼの活性を持つ遺伝子は優性遺伝です。そのため、父親・母親のいずれかがその遺伝子を持っている場合、5αリダクターゼの活性度を引き継ぐ可能性が高くなります。
2)男性ホルモンレセプターの感受性が高い
レセプターの感受性が高いと、脱毛因子が増えやすくなります。そのため、AGAを発症しやすいと考えられます。
男性ホルモンレセプターの感受性は、隔世遺伝すると考えられています。隔世遺伝とは、祖父母以前の世代の遺伝子を引き継ぐことです。
だから、両親が薄毛でなくても、先祖に薄毛だった人がいれば、その子孫となる方は男性ホルモンレセプターの感受性を引き継いでしまうことがあります。
特に男性ホルモンレセプターの感受性を持つ遺伝子は、母型の家系から遺伝すると考えられています。
つまり、母型の家系に薄毛の人がいればその子孫はAGAになるリスクが高くなります。
4.当てはまったら要注意!抜け毛や薄毛の原因3選
AGA以外でも男性の抜け毛や薄毛の原因は遺伝以外でも3つあります。
生活習慣の乱れ、ストレス、ホルモンバランスの乱れです。
下記を参考に、ご自身に薄毛や抜け毛になりやすい要因がないか、チェックしてみてください。
また、AGAにこの3つの要素が加わると、進行のリスクが高くなります。
1)ストレス
AGAが進行する原因は、ストレスが関係していることもあります。
過度なストレスがかかると自律神経が乱れて血管が収縮し、血行不良を起こすため、髪の成長に必要な栄養が頭皮に行き届かなくなります。栄養が行き届かなくなると頭皮環境が悪化し、健康な髪の毛が生えづらくなるのです。
ストレスは他にも、円形脱毛症などのAGA以外の脱毛症を引き起こす可能性もあります。
ストレスは薄毛につながりやすくなるため、薄毛・脱毛に悩む方はストレス解消も心がけてください。
2)生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れもAGAを進行させる原因の一つです。栄養バランスの偏った食事や睡眠不足、頭皮の間違えたケアなどは、AGAを進行させる可能性があります。
高カロリーな食事や脂質・糖分が高い食事をしていると、頭皮環境が悪化して血行不良を起こし、健康な髪の毛が生えづらくなります。
栄養バランスを考えた食事を取るのはもちろん、髪の成長に必要な栄養素である、タンパク質・ミネラル・ビタミンをしっかり摂取するようにしましょう。
また、充分な睡眠も大切です。髪の成長に必要な成長ホルモンは、寝ている間に分泌されます。睡眠が足りないと成長ホルモンが充分に分泌されず、髪が育たなくなります。
さらに、髪の毛や頭皮の間違ったケアも、AGAを進行させる要因です。
頭皮を清潔に保とうと、洗浄力の強いシャンプーを使ったり、ゴシゴシ頭皮を擦るように髪を洗ったりすると、頭皮環境を悪化させることもあります。
頭皮を清潔にすることは大切ですが、負担のかけすぎには注意が必要です。
3)ホルモンバランスの乱れ
男性の抜け毛や薄毛、AGAもホルモンバランスと関係があります。
ホルモンバランスの乱れると、ヘアサイクルが乱れてしまいます。
正常なヘアサイクルは、次の周期で発毛と脱毛を繰り返します。
- 成長期(早期)
- 成長期(中期)
- 成長期(後期)
- 退行期
- 休止期
男性ホルモンの乱れによってこの周期が乱れると、髪の毛は後期成長期を迎えずに、すぐに退行期へ移行してしまいます。
つまり、本来、十分に育つはずに毛髪が育たないまま抜けてしまうのです。
ホルモンバランスの乱れを防ぐためには、良い生活習慣を身につけることが大切です。
5.こんな症状が出たらAGA発症の可能性アリ
抜け毛の悩みを抱えている方も、これがAGAの症状なのか判断がつかないこともあるでしょう。ここでは、AGA発症の可能性がある症状について解説します。
1)髪の毛が急に柔らかくなってきた
髪の毛が以前に比べて急に柔らかくなってきた方や、ハリやコシがなくなってきた方は、AGAを発症している可能性があります。
AGAを発症すると正常なヘアサイクルが乱れ、通常であれば2〜6年かけて育ってから抜ける髪が、1年以内に抜けてしまうこともあります。充分に育っていない弱い髪の毛が増えることで、髪の毛が急に柔らかくなったと感じることもあるようです。
そのため、ヘアセットが決まらない、髪がまとまりづらい、と感じている方は、AGAの疑いがあります。
2)生え際・頭頂部の薄毛が目立ってきた
生え際の退行や頭頂部の薄毛が目立ってきた場合も、AGAを発症している可能性があります。
AGAの脱毛の仕方には3タイプあり、M字型、O字型、U字型に分けられます。M字型は額の剃り込み部分が後退するタイプ、O字型は頭頂部が薄くなるタイプ、U字型は額の生え際全体が後退するタイプです。
人によって脱毛の仕方は違いますが、生え際や頭頂部の薄毛が目立つのは、AGAによく見られる症状です。これらの症状が見られる場合は、AGAを発症している可能性があります。
<参考記事>
AGAの初期症状とは?いつから脱毛が始まるのか段階ごとに解説!
6.AGAの進行を遅らせる対策はある?
AGAの原因である遺伝に関しては、自分自身でコントロールできません。かといって、AGAは進行性の脱毛症のため、放っておくとどんどん悪化していきます。
ここでは、AGAの進行を予防するためにできる主な方法を4つ紹介します。
- 生活習慣の改善
- ストレスを溜めない
- マッサージ等で頭皮の血行促進
- AGAクリニックで医師に相談
AGAの症状を遅らせるためには、生活習慣の改善や、クリニックでの治療を受ける必要があります。始めてすぐに効果が出るものではありませんが、毎日続けていくことが大切です。
1)生活習慣の改善
生活習慣の改善は、AGAはもちろん、それ以外の薄毛の原因にもなります。薄毛の進行をストップさせたい場合は、悪い生活習慣がないか見直すことから始めましょう。
見直したい生活習慣の一つ目は、食事です。健康な毛髪を生やすには、頭皮環境を良くすることが大切です。糖分・塩分・脂肪分の摂りすぎは頭皮環境を悪化させるため、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
頭皮や髪の毛の健康のために必要な栄養素は、たんぱく質・亜鉛・ビタミン・アミノ酸です。食事だけで摂取するのが難しい場合は、サプリメントを取り入れるのも良いでしょう。
見直したい生活習慣の二つ目は睡眠です。髪の成長に必要な成長ホルモンは、寝てから1時間30分くらいの間に多く分泌され、その後数時間かけて全身を回ります。毎日最低でも6時間、できれば7時間30分は睡眠を取るようにしましょう。食事や睡眠を見直すことで、頭皮環境の改善に役立ちます。
2)ストレスを溜めない
AGAの進行を遅らせるためには、ストレスを溜めないことも大切です。
過度なストレスが溜まると、自律神経のバランスが崩れて血管が収縮し、血行不良を起こします。その結果、頭皮に栄養が行き渡らなくなり、弱い髪の毛が増えて抜け毛が増えるのです。
また、ストレスは体の緊張状態を作る交感神経を刺激するため、睡眠不足を引き起こします。充分な睡眠が取れていないと成長ホルモンが分泌されないため、髪が充分に発育しません。その他にもストレスは頭皮環境を悪化させるため、AGA以外の脱毛症である「円形脱毛症」も引き起こす可能性があります。
このようにストレスは薄毛の原因に繋がるため、定期的にストレスを解消することが必要です。適度な運動や映画鑑賞、音楽を聴く、美味しいご飯を食べるなど、自分に合ったストレス解消法を取り入れましょう。
ただし、ストレス解消のとばかりに食べ過ぎたり、アルコールの摂りすぎることは、頭皮や毛髪の健康状態に悪影響を与えるので避けましょう。
3)マッサージ等で頭皮の血行促進
頭皮環境の改善には、頭皮マッサージがおすすめです。
頭皮マッサージは、頭皮の血行が促進されるため、健康な髪が生えやすくなります。シャンプーをするときに頭皮マッサージをすることもできるので、セルフケアとして取り入れやすいでしょう。
また、サウナも血行促進のためにおすすめです。
体が温まると血管が拡張するため、血行が良くなって頭皮環境が改善されます。血行促進の面ではおすすめしたいサウナですが、入り方には注意が必要です。これから紹介する2点を守り、サウナを効果的に利用してください。
一つ目は、髪や頭皮を熱から守ることです。髪や頭皮は熱によるダメージを受けやすい点です。温度が高く湿度が低いドライサウナに入ると、髪や頭皮が痛む可能性があります。サウナに入る際は、タオルやサウナハットで髪と頭皮を守る、湿度の高いミストサウナに入るなどの工夫が必要です。
二つ目に、サウナ後はしっかり頭皮を洗うこと。サウナ後に髪を洗わないと、汗や皮脂が頭皮の毛穴に入り込んで、頭皮環境を悪化させる恐れがあります。これは、スポーツ後なども同じです。
汗をかいた後は、シャンプーで頭皮を洗い、リンスで髪の痛みを補修してください。
髪や頭皮を清潔に保ち、脱毛を予防しましょう。
4)AGAクリニックで医師に相談
薄毛・脱毛などの症状が見られ「これってAGA?」と疑問に思った時は、早めにAGA専門クリニックに相談しましょう。
AGA専門クリニックでは、医師が頭皮や髪の毛の状態を視診・触診し、AGAであるか診断します。
AGAの治療には長い時間が必要で、治療を開始してから薄毛が改善したと感じるまでには、3ヶ月以上かかると言われています。症状を早く改善するためには、少しでも早くクリニックを受診するのがおすすめです。
7.AGAの治療はいつから開始するのがいい?完治した人はいる?
AGAは徐々に脱毛が進んでいく症状のため、急激に進行することはありません。そのため、いつAGA治療を始めればいいのか、分からないという方も多いでしょう。
また「AGAは一度発症したら終わりだ」という意見もありますが、実際はどうなのか気になりますよね。ここではAGA治療開始のタイミングや、継続治療の必要性について解説します。
1)「早めにクリニックに相談」が正解!
AGAの症状が気になったら、早めにAGA専門クリニックに相談しましょう。AGAは進行性の脱毛症のため、放置しておくと症状が悪化する一方です。
AGAクリニックを受診すると、医師が頭皮や髪の毛を視診・触診したり、血液検査をしたりして、AGAかどうかを診断します。AGA対策が必要だと判断された場合には、医師が治療薬を処方してくれるでしょう。
抜け毛の進行を抑制する「フィナステリド」や「ザガーロ」、発毛を促進する「ミノキシジル」などの内服薬が処方されます。その人の体質によって、処方される薬の種類や量は変わるため、医師と相談しながら決めていきましょう。
またAGA治療薬には副作用があり、肝機能や男性機能の低下などの症状が報告されています。稀な症状ではありますが、これらの副作用が出る可能性があることも知っておきましょう。
個人差はありますが、AGA治療薬によって、頭皮や髪の改善効果が感じられるまでは、約3ヶ月から半年、長ければ1年といった期間が必要となります。すぐに効果が出なくても、根気強く治療を続けましょう。
2)AGAを自力で治すのは難しい
AGAは放置すると進行していき、自力で治すのは難しい症状です。生活習慣の改善や頭皮マッサージなどで少しずつ頭皮環境は改善できますが、はっきりと発毛効果が得られる可能性は低いでしょう。
AGA専門クリニックで治療を続けながら、頭皮や髪の毛のケアを並行して行うのがおすすめです。
3)AGA治療は継続が大切!
AGAは継続治療が大切です。治療薬で効果が出始めると、治療をストップしても良いのでは?と考えるかもしれません。しかし、それは治療薬の力で脱毛を抑制しているだけであり、服用をストップするとAGAの症状が進行する可能性があります。
AGAは、治療薬の効果で症状が治ることはありません。また、AGAは治療薬を服用しても完治することはなく、継続して治療を受ける必要があります。これがAGAが「発症したら終わり」と言われる由縁です。
反対に治療薬による効果があらわれない場合も、自己判断で治療を中止するのはおすすめしません。治療薬の効果があらわれるまでは時間がかかりますし、急に断薬すると抜け毛が増える恐れもあります。「治療をやめたい」と思った場合も、必ず医師に相談しましょう。
<参考記事>
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8.まとめ
AGAの主な原因は遺伝です。
AGA発症の主な原因は、テストステロンと5αリダクターゼが結合することで生まれる男性ホルモンの一種「DHT(ジヒドロテストステロン)」です。
つまり、DHT量が多いとAGAに発症するリスクが高くなるのです。
これには遺伝が原因となります。
AGA発症に影響する5αリダクターゼの活性度と男性ホルモンレセプターの感受性の2つが要素ですが、いずれも遺伝がかかわっているのです。
また、生活習慣の乱れ、ストレス、ホルモンバランスの乱れもAGAや抜け毛、薄毛を進行させる要因です。
そんなAGAは、早い段階でAGA予防や治療を開始することが大切!
AGAは進行性の脱毛症で、一度発症すると徐々に症状が進行していきます。自力で症状を改善させることは難しいため、薄毛・抜け毛の症状が出た際は、早めにAGA専門クリニックで医師の診断を受けましょう。
AGAは症状が進んでから治療を始めると、効果が出るまでに多くの時間を要します。脱毛が進んでから後悔しないよう、早めに治療を開始してくださいね。
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