薬に頼らないED根本治療|衝撃波療法(EDSWT)の効果・費用・適応を解説

本ページはPRを含みます。

ED治療薬に頼らず、血流そのものの改善をめざす非薬物療法として注目される衝撃波療法(EDSWT)。血管性EDを中心に注目される理由・効果・適応・費用・治療回数・リスク、主要機器(レノーヴァ・モアノヴァ・ED1000)の違いまで、複数の査読済みメタアナリシスと医学的根拠を踏まえて解説します。なお、本療法は国内外のガイドラインで「弱い推奨」または「研究段階」とされ、PDE5阻害薬に代わる確立した標準治療ではない点もあわせて整理します。

<執筆>

ナールス美容医療アカデミー編集長 富本充昭
富本充昭

「バイアグラやシアリスは飲んでいるが、薬なしには勃起できない状態をどうにかしたい」
「硝酸薬を服用中で内服薬が使えない。他に治療法はないのか」
「衝撃波治療がEDに効くと聞いたが、本当に効果があるのか、費用はいくらかかるのか」
ED(勃起不全)の治療ではPDE5阻害薬(バイアグラ・シアリス・レビトラ等)が第一選択として位置づけられていますが、その効果は服用後の一定時間に限られ、EDの背景にある血管障害そのものを治す治療ではありません【1】。近年、薬に依存しない血流の根本改善を目指す治療として注目されているのが、低出力体外衝撃波療法(Li-ESWT:Low-intensity Extracorporeal Shock Wave Therapy)、通称EDSWTです。
本記事では、EDSWTの仕組み・効果・適応・治療の流れ・費用・主要機器の違い・リスクまで、複数の査読済みメタアナリシスと国際ガイドラインに基づいて解説します。
ED治療全体の概要は 「【医師監修】ED治療の完全ガイド 」もあわせてご覧ください。

ED衝撃波療法(EDSWT)とは

EDSWTのカウンセリングの様子

1)ED衝撃波療法の概要

EDSWT(Erectile Dysfunction Shock Wave Therapy)とは、低出力の音波エネルギー(衝撃波)を陰茎・会陰部へ照射することで、血管新生を促し勃起機能の改善を目指す治療です。整形外科の腱炎・骨折治癒、心臓リハビリで応用されてきた衝撃波技術をEDに転用したもので、2010年代以降に臨床研究が急増しました【2】。

2)なぜED改善が期待できるのか

衝撃波が組織に作用すると、血管内皮増殖因子(VEGF)・内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)・間葉系幹細胞の動員が促進されます。これにより陰茎海綿体の血管が新生・再生され、自然な勃起に必要な血流が回復します【3】。

3)PDE5阻害薬との違い

EDSWTとPDE阻害薬の違い

比較項目PDE5阻害薬衝撃波療法(EDSWT)
治療の性質対症療法(服用時のみ効果)血管新生による改善をめざす(非薬物療法)
作用メカニズムcGMP分解酵素(PDE5)を阻害し血管拡張VEGF・eNOS促進→血管新生・再生
効果の持続服用時のみ(3〜36時間)治療完了後も持続(目安6か月〜1年、2年以上はデータ限定的)
硝酸薬との併用絶対禁忌(死亡リスク)薬剤相互作用はないが、心血管リスク評価が必要
費用の目安1錠数百円〜(継続費用)1クール10〜30万円(初期投資型)

4)「根本治療」と呼ばれる理由

EDSWTは服薬ではなく「組織そのものの再生・修復」を促すため、治療終了後も一定期間は効果が持続するとされ、こうした性質から「根本治療」と呼ばれることがあります。ただし、これは恒久的な治癒を保証するものではありません。動脈硬化・糖尿病・脂質異常症といったEDの原因となる基礎疾患そのものを治すわけではなく、加齢や基礎疾患の進行に伴って効果は1〜2年程度で減弱することが多いと報告されています。また、すべての患者に等しく有効なわけではなく、適応の選択と照射プロトコルの設計が治療成績を大きく左右します。後述するとおり、国内外の診療ガイドラインでも本治療は「弱い推奨」または「研究段階」と位置づけられており、PDE5阻害薬という確立した治療に代わる第一選択ではない点に留意が必要です。医学的により正確には、「血流動態の改善を伴う長期持続型の非薬物療法」と理解するのが妥当です。

ED衝撃波療法のメカニズム

EDSWTの仕組みのイラスト

1)血管新生(Angiogenesis)の促進

衝撃波が陰茎組織に照射されると、機械的刺激(メカノトランスダクション)により細胞内シグナルが活性化されます。具体的には①血管内皮増殖因子(VEGF)の発現増加、②内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の活性化、③骨髄由来幹細胞の動員と分化——が促進され、海綿体内に新しい血管が形成されます【3】。

2)陰茎海綿体の血流改善

勃起の最大の障壁が「海綿体への血流不足」です。EDSWTによる血管新生は、陰茎動脈の血流量を増加させるとともに、海綿体平滑筋の弾力性回復を促進します。動物実験モデルでは、照射後8週間で陰茎血流が有意に増加したことが確認されています【3】。

3)血管性EDとの相性

EDの原因は血管性・神経性・心因性などさまざまですが、中高年では動脈硬化・糖尿病・高血圧・脂質異常症などによる血管性の要因が大きな割合を占めるとされています。EDSWTは血管そのものの再生・新生を促すため、血管性EDとの親和性が最も高く、海外の複数のRCT・メタアナリシスでも血管性ED患者で特に良好な結果が示されています【2】【4】。

4)どのような患者で効果が期待されるのか

現時点のエビデンスでは、①PDE5阻害薬が有効だった軽症〜中等症の血管性ED患者、②PDE5阻害薬に良好に反応している(または以前は反応していた)患者、で最も一貫した改善が示されています。重度の神経障害性EDや前立腺全摘後EDでは効果が限定的とされています【5】。

ED衝撃波療法の効果

陰茎内の血管イメージ

1)海外の臨床研究で示された有効性

EDSWTの有効性は複数のRCT(無作為化比較試験)で評価されており、治療効果の指標として国際勃起機能スコア(IIEF:International Index of Erectile Function)が用いられています。Vardi Y, et al.(2012年)のRCTでは、軽症〜中等症の血管性ED患者においてIIEFスコアの有意な改善と自然勃起率の向上が確認されました【6】。一方で、Fojecki GL, et al.(2017年)のダブルブラインドRCT(リニア型機器を使用)では、主要評価項目で治療群とシャム群に有意差は認められず(IIEF-EFが5点以上改善した割合:治療群37.9% vs シャム群38.3%、オッズ比0.95、p=0.902)、「臨床的に意味のある効果は確認されなかった」と結論づけられています【7】。このように、使用機器や照射プロトコルの違いによって結果は一致しておらず、有効性のエビデンスは確立途上である点に注意が必要です。

2)メタアナリシスからわかること

Lu Z, et al.(2017年)の7つのRCTを統合したメタアナリシスでは、プラセボ対照比でIIEF-EFスコアが平均2.0〜4.7ポイント有意に改善しました【2】。Clavijo RI, et al.(2017年)のメタアナリシス(7試験・602例)でも、EDSWT群はシャム群と比べてIIEF-EFスコアが平均6.40ポイント改善した(95%CI 1.78〜11.02、p<0.0001)と報告されています【4】。ただし、これらのメタアナリシスは試験間のばらつき(統計的異質性)が非常に大きく(Clavijoらの解析ではI²=98.7%)、使用機器・照射エネルギー・プロトコル・対象患者が試験ごとに大きく異なります。そのため「どの方法でも一律に高い効果が得られる」と解釈することはできず、結果は慎重に受け止める必要があります。
欧州泌尿器科学会(EAU)の最新ガイドラインでも、軽度〜中等度の血管性EDやPDE5阻害薬が効きにくい例に対する治療オプションとして挙げられています【5】。ただしその推奨の強さは「弱い推奨(weak recommendation)」にとどまり、機器・プロトコルの標準化が不十分なことから、標準治療に代わるものとはされていません。さらに、米国泌尿器科学会(AUA)は本治療を「研究段階の治療(investigational)」と位置づけ【8】、臨床試験の枠組み以外での日常的な使用は推奨していません。日本の『男性性機能障害診療ガイドライン2025年版』でも、Li-ESWTはCQ9で取り上げられ、有望ではあるものの確立された標準治療ではないという慎重な立場がとられています【1】。

3)効果が出るまでの期間

治療開始から効果実感まで個人差がありますが、1クール(6〜12回の照射)終了後、1〜3ヶ月程度で血管新生が進み、勃起機能の改善を自覚するケースが多いとされています。即効性はなく、じわじわと組織改善が進む治療です。

4)効果の持続期間

Vardi Y, et al.(2012年)のフォローアップでは、治療終了後6ヶ月時点でも改善効果が持続していることが確認されています【6】。一般的には6か月〜1年程度の持続が複数の研究で示されていますが、2年以上の長期データは限られます。持続には生活習慣(糖尿病・高血圧の管理状態)による個人差もあります。効果の低下を感じた場合は追加治療が選択肢となります。

5)治療薬との併用は可能か

PDE5阻害薬との併用は可能です。むしろEDSWT治療中・治療後にPDE5阻害薬を併用することで相乗効果が得られるとする報告もあります【4】。PDE5阻害薬の効果が低下してきた患者が、EDSWTにより薬の効果が再獲得できたケースも報告されています。なお、組織修復をさらに高める目的で、PRP(多血小板血漿)注射や幹細胞療法とEDSWTを併用するアプローチも研究されていますが、EAUの最新ガイドラインでも有効性を裏づけるエビデンスは「不十分」とされており、現時点ではあくまで臨床研究の枠組みで慎重に評価すべき研究段階の併用療法です。

ED衝撃波療法が向いている人・向いていない人

EDSWTが向く人向かない人の違い

1)向いている人

EDSWTが特に向いている方

  • 軽症〜中等症の血管性ED(動脈硬化・高血圧・脂質異常症・軽度糖尿病によるED)
  • PDE5阻害薬に良好に反応しているが、薬なしでの自然勃起を目指したい方
  • PDE5阻害薬の効果が徐々に低下してきた方(ノンレスポンダー予備群)
  • 硝酸薬服用中でPDE5阻害薬が禁忌の方
  • 薬の副作用(頭痛・顔面紅潮等)が辛い方
  • 根本的な血管・組織レベルでの改善を希望する方

2)向いていない人

■効果が限定的・適応外となりやすい方

  • 重度の糖尿病性神経障害を伴うED(神経損傷が主因のため血管新生効果が限定的)
  • 根治的前立腺全摘後(神経血管束切除後)のED
  • 骨盤部への放射線治療後のED(血管・神経の広範な損傷)
  • 純粋な心因性EDのみの場合(血管構造に問題がなければ、認知行動療法等が優先)
  • ペロニー病(陰茎硬化症)の活動期
  • 照射部位に悪性腫瘍がある方、血液凝固障害のある方

3)医師による適応判断が重要な理由

EDSWTの治療成績は、適応の正確な選択によって大きく左右されます。血管性EDと診断されていても、糖尿病の血糖コントロール状態・動脈硬化の重症度・心血管系リスクによって治療計画が異なります。必ず泌尿器科・男性医学の専門医による包括的な診察・検査(夜間陰茎勃起検査・超音波検査等)の上で適応を判断することが不可欠です。

ED衝撃波療法の治療の流れ

EDSWT療法の流れ

1)診察・問診・検査

初診では医師による問診(EDの発症時期・原因・既往歴・服用薬・生活習慣)、血液検査(血糖・脂質・テストステロン)、超音波検査(陰茎血流評価)などを実施し、適応と治療計画を決定します。

2)照射部位

プローブ型の照射端子を陰茎(海綿体・背側)および会陰部(陰茎脚部)に当て、複数の部位を分割照射します。照射部位・エネルギー密度・パルス数は機器やプロトコルにより異なります。陰茎海綿体周囲や陰茎脚部など複数部位に分けて照射する方法が一般的ですが、具体的な回数・部位はクリニックで確認が必要です。

3)治療回数と期間

項目標準的な内容
1クールの回数6〜12回(機器・プロトコルにより異なる)
照射頻度週1〜2回(治療期間:3〜6週間)
1回の所要時間15〜30分(麻酔不要)
ダウンタイムほぼなし(照射後すぐ帰宅可)

4)施術中の痛みとダウンタイム

照射中の感覚は「軽い振動」「軽度のチクチク感」程度で、麻酔不要で施術を受けられることがほとんどです。ダウンタイムはほぼなく、施術後すぐに日常生活・性生活を再開できます。骨格筋への高出力衝撃波(整形外科用)とは出力が大幅に異なるため、強い痛みを伴うことは稀です。

富本充昭
MESSAGE
体験談

ナールス美容医療アカデミー

編集長 富本充昭

私は以前、石川県金沢市にあるGran Clinic(現・金沢駅前内科・糖尿病クリニック)を訪問し、院長の小倉慶雄先生からED衝撃波治療機器「レノーヴァ」についてお話を伺いました。
その際、実際にレノーヴァの施術も体験しました。私は幸いEDではないため、治療効果そのものを実感する立場ではありませんが、施術中の痛みはほとんどなく、リラックスして受けられる治療だと感じました。

<参考動画>
EDで悩む男性に福音!最先端治療レノーヴァなら痛みなし、1ヵ月で根本治療

主なED衝撃波治療機器の違い

ED衝撃波治療機器の違いの表
日本国内で導入例が多い3機種と、海外の主な研究機器について解説します。

1)レノーヴァ(RENOVA)

レノーヴア
リニア型・電磁式の衝撃波を用いる機器(Direx Group系)で、日本国内でも比較的知名度の高い機種です。プローブ型で陰茎に当てやすく、広い範囲を一度に照射できる設計とされています。ただし、EDSWTの初期の代表的RCT(Vardi Y, et al. 2012年)は本機ではなく、後述のED1000(フォーカス型)を用いて行われた点には注意が必要です【6】。標準プロトコルは週1〜2回×5〜6週間で、比較的少ない治療回数(6〜12回)で1クールが完了します。

2)モアノヴァ(MORENOVA)

国内でレノーヴァと並んで紹介・導入されているリニア型衝撃波機器です。基本的な治療原理は共通しますが、機器ごとに照射方式・照射範囲・プロトコルが異なるため、単純な優劣比較はできません。日本の実臨床における報告も増えており、レノーヴァと並んで国内のED衝撃波治療で用いられています。

3)ED1000

イスラエル系メーカーのMedispec社製で、EDSWTの臨床研究の初期から使用されてきた代表的な機器です。電子水圧式・フォーカス型衝撃波(Focused Shockwave)を採用し、EDに対する初期の画期的なRCT(Vardi 2012・Gruenwald 2012ら)はこの機器で行われました【9】。Gruenwald I, et al.(2012年)をはじめ海外論文が豊富です。リニア型(レノーヴァ)との照射方式の違いから、プロトコルや治療回数がやや異なります。

4)海外で報告のある主な機器

DUOLITH SD1(スイス:Storz Medical社)は電磁誘導式の衝撃波機器で、整形外科分野での実績も豊富です。前述のとおり、この機器をリニア照射プロトコルで用いたFojecki GL, et al.(2017年)のRCTでは、有効性は示されませんでした【7】。ここで重要なのは、フォーカス型(電子水圧式:ED1000など)とリニア型(電磁式:レノーヴァなど)のどちらがED治療として優れるかを直接比較したランダム化比較試験(head-to-head試験)は、現時点で一つも存在しないという点です。フォーカス型で確立されたエネルギー設定をリニア型へそのまま転用したことがFojecki試験の結果不良の一因ではないか、と著者ら自身も考察しています。したがって「機器が違ってもプロトコル次第で同じ効果が出る」と単純に解釈することはできません。これらの機器は日本国内での導入例は限られており、本記事ではレノーヴァ・モアノヴァ・ED1000を主軸に解説しています。

5)機器より重要なこと

機器の種類より、以下の3点の方が治療成績への影響が大きいとされています。

  • 適応の正確な選択(血管性EDか否かの鑑別)
  • 照射プロトコルの適切な設計(エネルギー密度・パルス数・部位・回数)
  • EDSWTの治療経験を持つ医師・クリニックの選択

ED衝撃波療法の費用相場

1)自由診療であること

EDSWTは日本では保険適用外の自由診療です。費用は全額自己負担となり、クリニックにより大きく異なります。

2)1クールの費用目安

費用区分目安(1回)1クール総額目安
衝撃波照射(1回)1〜3万円10〜30万円程度
初診・検査費0〜3万円(クリニックにより異なる)別途発生
追加クール1〜3万円/回効果減退時に必要なケースあり

※費用はあくまで目安です。クリニック・プロトコルにより大きく異なります。必ず複数クリニックで無料カウンセリングを受けた上で比較検討することをお勧めします。

3)安さだけで選ばない方が良い理由

EDSWTは適応判断・照射プロトコルの設計・機器の質が治療成績を左右します。費用の安さだけで選ぶと、適切な事前評価なしに施術が行われ、効果が出ないリスクがあります。泌尿器科専門医の在籍・超音波検査等による事前評価体制・治療実績を総合的に評価して選択してください。

ED衝撃波療法の副作用・リスク

1)安全性は比較的高い

複数のRCT・メタアナリシスでは、重篤な有害事象はほぼ報告されていません【2】【4】。外科的侵襲がなく、薬剤相互作用もない点は大きな特徴です。ただし、硝酸薬を服用している方は心血管疾患を有することが多いため、実施の可否は主治医・泌尿器科医による評価が必要です。

2)想定されるリスクと注意点

リスク・副作用頻度・概要対処法
痛み・違和感軽度(振動感・チクチク感)施術後数時間で消退。麻酔不要
照射部位の軽い発赤一時的(1〜2日で消退)特別な処置不要
効果の個人差全例に有効ではない適応の再評価・他治療への切替
稀な有害事象稀だが、陰茎皮膚の深部内出血・血尿・皮膚の感染・勃起時の痛みなどの報告あり出血傾向・抗凝固薬服用中は事前に申告。症状が続く場合は受診を

3)過度な期待に注意

「1クールで完全に治る」「すべての患者に有効」という過度な期待は禁物です。現状のエビデンスでは、特に軽症〜中等症の血管性EDにおいて「勃起機能の有意な改善」が示されているものの、プロトコルの標準化・長期フォローアップデータの蓄積が今後の課題とされています【5】。
また、規制上の位置づけにも注意が必要です。米国では現在もFDA(米国食品医薬品局)がED治療を目的とした体外衝撃波機器を承認しておらず、米国泌尿器科学会(AUA)も「研究段階の治療」と位置づけています【8】。日本でも保険適用外の自由診療であり、有効性・安全性のエビデンスは確立途上です。期待できる効果と限界、費用・回数について施術前に十分な説明(インフォームド・コンセント)を受けたうえで判断してください。

かざわ腎泌尿器科クリニック 院長中澤佑介
MESSAGE
監修医のメッセージ

なかざわ腎泌尿器科クリニック

院長 中澤佑介先生

衝撃波療法(EDSWT)は、血管性EDに対して血流そのものの改善をめざせる、薬に頼りたくない方にとって魅力的な選択肢です。軽症〜中等症の血管性EDでは有効性を示す研究が複数あり、硝酸薬などでPDE5阻害薬が使えない方にも、薬剤相互作用なく行える点は大きな利点です。そうしたメリットから当院ではレノーヴアを導入しています。
一方で、科学的エビデンスが確立しているわけではありません。試験によって結果にはばらつきがあり、機器や照射プロトコルの標準化、長期成績の蓄積はこれからの課題です。米国では研究段階の治療と位置づけられFDA未承認であること、効果は永続ではなく数年で薄れうることも知っておいてください。『1回で完全に治る』『誰でも必ず効く』といった宣伝には注意し、まずは原因が血管性かどうかを含めた適応評価を受けることが大切です。PDE5阻害薬という確実な第一選択を踏まえたうえで、ご自身に合うかを医師と一緒に判断していきましょう。本記事は、こうした効果と限界の両面をお伝えする観点から監修しました。

よくある質問(FAQ)

Q1. 衝撃波治療だけでED治療薬は不要になりますか?

EDSWTの臨床研究では、治療後にPDE5阻害薬なしで自然勃起が可能になったケースが報告されています。ただし、すべての患者で薬が不要になるわけではなく、ED重症度・血管障害の程度によります。治療後も状況に応じてPDE5阻害薬を併用することは問題ありません【6】。

Q2. シアリスやバイアグラと併用できますか?

はい、PDE5阻害薬との併用は可能です。EDSWTは薬剤相互作用を持たないため、治療中・治療後もPDE5阻害薬の使用を継続できます。一部の研究では、EDSWT後にPDE5阻害薬の反応性が改善されたという報告もあります。

Q3. 効果は何年続きますか?

現在のエビデンスでは、治療完了後6ヶ月〜1年程度の持続が複数の研究で確認されています。長期(2年以上)の持続についてはデータが限られており、個人差があります。効果の低下を感じた場合は追加治療(ブースターセッション)が選択肢になります。

Q4. 痛みはありますか?

ほとんどの患者で「軽い振動感」「チクチクとした感覚」程度とされており、麻酔なしで施術が可能です。整形外科で使う高出力衝撃波とは出力が大きく異なります。痛みの感受性には個人差があるため、施術前に担当医に確認してください。

Q5. 糖尿病があっても受けられますか?

血糖コントロールが良好で、軽度〜中等度の糖尿病性EDの場合は適応になるケースがあります。ただし重度の糖尿病性神経障害を伴うEDでは、血管性の要素が少なく効果が限定的になる可能性があります。担当医による適応評価が必要です。

Q6. 何歳まで受けられますか?

年齢制限は設けていないクリニックが多く、臨床研究でも60〜70代の患者での有効性が確認されています。加齢による血管変化そのものへの治療であるため、高齢者でも適応になりやすいとされています。ただし全身状態・心血管系リスクの評価が必要です。

Q7. レノーヴァとモアノヴァは何が違いますか?

どちらもリニア衝撃波方式を採用した機器で、基本的な治療原理は同じです。モアノヴァはレノーヴァと並んで国内で紹介される機種ですが、機器ごとに照射方式・照射範囲・プロトコルが異なるため、単純な優劣比較はできません。どちらの機器でも、最終的な治療成績は適応選択とプロトコル設計に依存します。

まとめ

ED衝撃波療法(EDSWT)は、血管性EDに対して複数のメタアナリシスで有望なエビデンスが示されている治療法です。「薬を飲んだときだけ」ではなく「自然な勃起機能の回復」を目指せる選択肢として、特に血管性EDの方や、内服薬が使えない方に有望です。

■ この記事のまとめ

  • EDSWTは服薬ではなく血管新生による血流改善をめざす非薬物療法(効果は永続ではなく数年で薄れうる)
  • 軽症〜中等症の血管性EDで複数のRCT・メタアナリシスに基づく有望なエビデンスあり
  • 硝酸薬服用中などPDE5阻害薬が使えない方でも、医師の評価により選択肢となる場合がある
  • 適応の正確な選択と照射プロトコル設計が治療成績を左右する
  • 機器(レノーヴァ・モアノヴァ・ED1000)より診断の質と治療設計が重要
  • PDE5阻害薬との併用も有効な選択肢
  • 費用は1クール10〜30万円程度。自由診療のため全額自己負担
  • ただしメタアナリシスは異質性が大きく、効果が出なかったRCTもある。国内外のガイドラインでは「弱い推奨」または「研究段階」で、米国はFDA未承認。PDE5阻害薬に代わる標準治療ではない

ED治療全般の選択肢と比較については、【医師監修】ED治療の完全ガイド もあわせてご覧ください。

飲み薬以外のその他の治療選択肢については、飲み薬が使えない方へ|ED治療の最新アプローチ(機器・注射・手術)と適応条件まとめ もご参照ください。

参考文献

本記事の科学的根拠として、以下の査読済み論文・公式ガイドラインを参照しています。
【1】 日本性機能学会・日本泌尿器科学会 編『男性性機能障害診療ガイドライン2025年版』メディカルレビュー社、2025年.

日本語要旨:日本性機能学会・日本泌尿器科学会編による国内の男性性機能障害の診療指針(2025年版。2018年の『ED診療ガイドライン第3版』を継承・拡充)。PDE5阻害薬を第一選択薬として推奨。低出力体外衝撃波療法(Li-ESWT)はCQ9で取り上げられ、有望な治療選択肢としつつも、確立された標準治療とは位置づけていない。本記事のPDE5阻害薬との比較・国内での位置づけの根拠として参照。
【2】 Lu Z, Lin G, Reed-Maldonado A, Wang C, Lee YC, Lue TF. Low-intensity Extracorporeal Shock Wave Treatment Improves Erectile Function: A Systematic Review and Meta-analysis. Eur Urol. 2017;71(2):223-233.

PMID: 27321373 DOI: 10.1016/j.eururo.2016.05.050
日本語要旨:7つのRCTを統合したシステマティックレビュー・メタアナリシス(Eur Urol掲載)。プラセボ対照比でIIEF-EFスコアが平均2.0〜4.7ポイント有意改善。血管性EDでの有効性を支持する主要文献。本記事第3章の根拠として参照。
【3】 Lin G, Reed-Maldonado AB, Wang B, et al. In Situ Activation of Penile Progenitor Cells With Low-Intensity Extracorporeal Shockwave Therapy. J Sex Med. 2017;14(4):493-501.

PMID: 28258952 DOI: 10.1016/j.jsxm.2017.02.004
日本語要旨:低出力衝撃波(Li-ESWT)が陰茎組織内の前駆細胞(幹細胞)や血管内皮・神経系細胞を活性化しうることを示した基礎研究(ラットモデル)。EDSWTの血管新生・組織修復メカニズムを説明する根拠として、本記事第2章で参照。
【4】 Clavijo RI, Kohn TP, Kohn JR, Ramasamy R. Effects of Low-Intensity Extracorporeal Shockwave Therapy on Erectile Dysfunction: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Sex Med. 2017;14(1):27-35.

PMID: 27986492 DOI: 10.1016/j.jsxm.2016.11.001
日本語要旨:EDSWTの有効性を検討したシステマティックレビュー・メタアナリシス。シャム群と比べIIEF-EFが平均6.40ポイント改善(95%CI 1.78〜11.02、p<0.0001)と報告した一方、試験間の統計的異質性が極めて高く(I²=98.7%)、機器・プロトコルの不均一性が大きい点に留意。本記事第3章で、有効性の示唆とエビデンスの限界(異質性)の両面の根拠として参照。
【5】 EAU Guidelines on Sexual and Reproductive Health 2026. European Association of Urology.

日本語要旨:欧州泌尿器科学会(EAU)2026年版ガイドライン。Li-ESWTを軽度〜中等度の血管性EDやPDE5阻害薬無効例への治療オプションとして挙げるが、推奨の強さは「弱い推奨(weak recommendation)」にとどまり、機器・プロトコルの異質性や長期エビデンスの不足を課題として指摘。標準治療に代わるものとは位置づけていない。URL: https://uroweb.org/guidelines/sexual-and-reproductive-health(Accessed 2026)。本記事第3・8章の国際的根拠として参照。
【6】 Vardi Y, Appel B, Kilchevsky A, Gruenwald I. Does Low Intensity Extracorporeal Shock Wave Therapy Have a Physiological Effect on Erectile Function? Short-term Results of a Randomized, Double-Blind, Sham Controlled Study. J Urol. 2012;187(5):1769-1775.

PMID: 22425129 DOI: 10.1016/j.juro.2011.12.117
日本語要旨:Omnispec ED1000(Medispec社、電子水圧式・フォーカス型)を用いた二重盲検シャム対照RCT。軽症〜中等症の血管性ED患者でIIEF-EFスコアの有意改善(6.7 vs 3.0、p=0.0322)を確認し、本治療の概念実証を果たした研究。治療終了後6ヶ月でも改善が持続。本記事第3・6章の根拠として参照。
【7】 Fojecki GL, Tiessen S, Osther PJ. Effect of Low-Energy Linear Shockwave Therapy on Erectile Dysfunction: A Double-Blinded, Sham-Controlled, Randomized Clinical Trial. J Sex Med. 2017;14(1):106-112.

PMID: 27842762 DOI: 10.1016/j.jsxm.2016.11.307
日本語要旨:低出力リニア衝撃波(DUOLITH SD1使用)によるEDへの効果を評価したダブルブラインドRCT。治療群とシャム群に有意差は認められず(成功率37.9% vs 38.3%、p=0.902)、「臨床的に意味のある効果は認められなかった」と結論。本記事では、エビデンスが試験により一致していない点(ネガティブ・スタディ)を示す根拠として参照。
【8】 Burnett AL, Nehra A, Breau RH, et al. Erectile Dysfunction: AUA Guideline. J Urol. 2018;200(3):633-641.

PMID: 29746858 URL: https://www.auanet.org/guidelines-and-quality/guidelines/erectile-dysfunction-(ed)-guideline
日本語要旨:米国泌尿器科学会(AUA)のED診療ガイドライン。低出力体外衝撃波療法を「研究段階の治療(investigational)」と位置づけ、臨床試験の枠組み以外での日常使用を推奨していない。本記事の国際的な推奨度およびFDA未承認の文脈の根拠として参照。
【9】 Gruenwald I, Appel B, Vardi Y. Low-intensity extracorporeal shock wave therapy—a novel effective treatment for erectile dysfunction in severe ED patients who respond poorly to PDE5 inhibitor therapy. J Sex Med. 2012;9(1):259-264.

PMID: 22008059 DOI: 10.1111/j.1743-6109.2011.02498.x
日本語要旨:ED1000機器を使用したEDSWT試験。PDE5阻害薬に反応しない重症ED患者(PDE5ノンレスポンダー)での勃起機能改善を報告。本記事第6章のED1000解説の根拠として参照。

※本記事は医師監修のもと作成されていますが、個別の医療アドバイスを提供するものではありません。治療の適応・実施については必ず泌尿器科・男性医学専門医にご相談ください。学術論文の引用は情報提供を目的としており、治療効果を保証するものではありません。※2026年6月時点の情報に基づいています。ガイドラインの改訂・新たな臨床研究の発表により内容が変わる場合があります。

SNS Share

\ この記事をシェアする /