GLP-1薬で筋肉は落ちる?マンジャロ使用中の筋力低下を防ぐ筋トレ・タンパク質戦略を医師監修で解説

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GLP-1受容体作動薬・マンジャロ使用中、体重の約21〜31%が筋肉を含む除脂肪体重から失われます。最大用量ほど脂肪は大きく落ちますが除脂肪体重の保持は難しくなります。筋肉ロスの仕組み・リスク・防ぐための具体的な筋トレ・タンパク質戦略を医師監修で解説します。

<看護師アドバイザー>

美容看護師中川ゆう子さん

中川ゆうこさん

<執筆>

ナールス美容医療アカデミー編集長 富本充昭

富本充昭

 

「マンジャロで痩せたら筋肉も落ちると聞いた。本当ですか?」
「体重は減ったのに体型が締まらない気がする。筋肉が落ちているのでは?」
「GLP-1受容体作動薬を使いながら筋力を維持するにはどうすればいいか?」

これらは、マンジャロ(チルゼパチド)・ウゴービ(セマグルチド)をはじめとするGLP-1系薬剤を使用する方から最もよく聞かれる疑問のひとつです。
結論を先に示します。はい、GLP-1受容体作動薬使用中は体重の一部として筋肉(除脂肪体重)が失われます。
一方で、チルゼパチド(マンジャロ)の骨格筋への影響を検討したシステマティックレビューでは、体重減少に伴い除脂肪体重は減少するものの、筋肉の質(筋脂肪浸潤指数)は維持あるいは改善傾向を示し、体重に占める筋肉の割合も概ね保たれることが報告されています【1】。つまり、「筋肉が減る=筋肉が弱くなる」と単純に考える必要はなく、適切な運動と栄養管理によって筋力や身体機能を維持できる可能性があります。

ネットワークメタ解析(22試験・2,258名)によれば、GLP-1受容体作動薬全般で体重減少の約25%が除脂肪体重から失われることが示されています【2】。さらに、チルゼパチド15mgやセマグルチド2.4mgといった最大用量では脂肪減少効果は最大ですが、除脂肪体重の保持は最も難しくなるという逆説的なデータもあります【2】。
ただし、これは「GLP-1受容体作動薬が筋肉を壊す」という意味ではありません。カロリーが減れば体は脂肪と筋肉の両方を減らす——これは薬の有無に関わらず起こる生理的反応です。重要なのは「その比率をどれだけ脂肪寄りに変えられるか」であり、そのための具体的戦略が本記事のテーマです。
本記事では「マンジャロの筋肉・筋力への影響」に特化して深掘りします。
食事・運動全体の組み合わせについては、「マンジャロの効果を最大化する食事・運動の組み合わせ」もあわせてご参照ください。

 

GLP-1受容体作動薬で筋肉が落ちる仕組み:なぜ起こるか

体重10kgに占める脂肪と筋肉の内訳

マンジャロは最新のGLP-1ダイエット!効果・メリットとリスクは?」で全般的な内容をまとめています。ここでは、マンジャロをはじめとするGLP-1受容体作動薬で筋肉がおちるメカニズムを解説します。

1)カロリー不足→脂肪+筋肉が同時に減る「生理的反応」

GLP-1受容体作動薬の食欲抑制作用により、多くの方が使用中に総カロリー摂取量を大幅に減らします。体がエネルギー不足を認識すると、脂肪だけでなく筋肉もエネルギー源として分解し始めます。これは「適応性筋肉分解」と呼ばれる生体防御反応であり、GLP-1受容体作動薬特有の作用ではなく、あらゆるカロリー制限ダイエットで起こる現象です。

2)臨床データ:体重減少の「25%」が除脂肪体重から

複数の大規模試験とメタ解析が一致してこの比率を示しています。

研究・試験対象除脂肪体重の損失割合
SURMOUNT-1 DXA解析(Look 2025)【1】肥満(糖尿病なし)体重減少の約25%
ネットワークメタ解析22試験(Karakasis 2025)【2】糖尿病・肥満約25%(GLP-1全般)
総説(ScienceDirect 2025)【3】複数試験統合21〜31%(試験によって差あり)
プラセボ群(SURMOUNT-1)肥満(糖尿病なし)同様に約25%

プラセボ群でも同じ25%前後の比率であることから、除脂肪体重の損失はGLP-1受容体作動薬固有の作用ではなく、体重減少そのものに伴う普遍的な現象です。

3)最大用量ほど除脂肪体重の保持が難しくなる逆説

重要な知見として、チルゼパチド15mgやセマグルチド2.4mgといった最大用量は脂肪量の減少では最大の効果を示す一方で、除脂肪体重の保持において最も課題があるとネットワークメタ解析が報告しています【2】。脂肪をより多く落とせる薬ほど、筋肉も一緒に落ちやすくなるという逆説的な関係性であり、だからこそ高用量使用者には筋肉保護戦略がより重要になります。

4)「相対的な筋肉量(体重に占める割合)」は変わらない

絶対的な筋肉量は減りますが、体重全体に占める筋肉の割合(相対的な筋肉量)は多くの研究でほぼ変化しないことが確認されています【1】【2】。つまり「体重が減った分だけ筋肉も相応に減る」という自然な体組成変化であり、「筋肉率が下がって体脂肪率が上がる」という最悪のケースは起きにくいことを意味します。

筋肉が落ちるとどんなリスクがあるか

1)基礎代謝の低下とリバウンドへの影響

筋肉は基礎代謝の最大の消費器官です(骨格筋が安静時代謝の約20〜30%を担う)。マンジャロ使用中に筋肉量が低下すると基礎代謝が下がり、薬を中止した後に食欲が戻った際にリバウンドしやすくなります。SURMOUNT-4では、治療継続群は体重減少を維持した一方、中止群では体重の再増加が認められました【4】。そのため、リバウンド予防には薬だけでなく、筋力トレーニングや適切な栄養管理など生活習慣の維持も重要です。

2)サルコペニア(筋肉減少症)リスク:特に中高年・高齢者

サルコペニアとは、加齢に伴う筋肉量・筋力・筋機能の低下を指します。40歳以降は年間約1〜2%の筋肉量低下が自然に起こるとされており、GLP-1受容体作動薬による急速な体重減少が重なると、サルコペニアのリスクが高まります。特に65歳以上の方・もともと筋肉量が少ない方は注意が必要です。

サルコペニアのリスク因子GLP-1受容体作動薬使用中に加わる要因
加齢(筋肉合成能の低下)急速な体重減少によるさらなる筋肉分解
タンパク質摂取不足食欲低下による食事量全体の減少
運動不足副作用(吐き気・倦怠感)による活動量の低下
低カロリー摂取食欲抑制による総カロリーの著明な低下

3)美容上のリスク:たるみ・体型の変化

筋肉量が減少すると体を支える構造が弱まり、皮膚のたるみが加速します。特に急速な体重減少では皮下脂肪の減少と筋肉量の低下が同時に起こるため、「体重は目標に達したのに体型が締まらない」という状態が生じやすくなります。肌の観点では、筋肉量の維持が顔・体のたるみ防止に直結します。詳しくは、「肥満と肌老化の関係」もご参照ください。

4)筋力・身体機能への影響

筋肉量の低下は日常的な動作(階段の昇降・荷物の持ち運び)の筋力低下につながります。ただし、チルゼパチドに関するシステマティックレビュー(Hidalgo Ramos 2025)では、骨格筋の組成マーカー(筋脂肪浸潤指数)は安定または改善傾向であり、筋肉の「質」は必ずしも悪化しないとされています【1】。適切な運動を継続することで機能的な筋力を維持できます。

中川ゆう子さん
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美容看護師中川ゆう子さん コメント

美容看護師

院長 秋間雄篤先生

「体重が落ちたのに体が締まらない」という相談は多いです。実際にマンジャロで体重が減っても、筋肉量が一緒に落ちていると体が柔らかく・たるんだように感じることがあります。特に40〜50代以上の方は加齢で元々筋肉が落ちやすいので、マンジャロを使う前から筋トレを習慣化しておくことが理想的です。「薬で痩せてから筋トレしよう」ではなく「同時に始める」が正解です。

「脂肪だけ落とす」比率を改善する:科学的根拠のある戦略

1)レジスタンストレーニング(筋力トレーニング)が最も有効

筋力トレーニングを行う男女

筋肉の分解を抑制し合成を促進する最も効果的な手段は、筋力トレーニング(レジスタンストレーニング)です。2022年のメタ解析では、減量中にレジスタンストレーニングを行った群は行わなかった群と比べて除脂肪体重を維持または増加させながら脂肪を減らすことができることが確認されています(Lopez 2022)【5】。GLP-1受容体作動薬使用中でも同様の効果が期待できます。

2)タンパク質摂取:筋肉合成に不可欠な「建材」

たんぱく質が豊富な食事

筋肉の主成分はタンパク質です。カロリーが不足している状態でも、十分なタンパク質が供給されれば筋肉の分解を最小化できます。抗肥満薬使用中の栄養管理に関する総説(Almandoz 2024)【6】では、体重1kgあたり1.2〜1.6g/日のタンパク質摂取が推奨されています。しかし実臨床では、GLP-1受容体作動薬が引き起こす強力な食欲抑制・早期満腹感により、この推奨量を固形食のみで達成できている患者はわずか約43%にとどまるという報告があります(Gorgojo-Martínezら)。食欲が落ちている時期にはプロテインドリンク等の液体代替食を積極的に活用することが、推奨量を確実に確保するための最も実践的な手段です。

■ タンパク質目標と食品の目安

推奨量:体重1kgあたり1.2〜1.6g/日

例)体重60kgなら72〜96g/日、体重75kgなら90〜120g/日

【食品100gあたりのタンパク質含量】

・鶏胸肉(皮なし):約23g ・マグロ赤身:約26g

・豆腐(木綿):約7g   ・ゆで卵1個:約6g

・ギリシャヨーグルト:約10g・納豆1パック:約8g

・プロテインドリンク(製品による):約20〜25g/回

→ 毎食20〜30gのタンパク質を摂ることが最も実践しやすい

3)「脂肪:筋肉」の比率を改善する要因の整理

筋肉を守る3つの対策

戦略効果の強さ実践のしやすさ
週2〜3回の筋力トレーニング★★★(最強)★★(慣れれば継続可能)
タンパク質1.2〜1.6g/kg/日の確保★★★★★★(食材選びで対応可)
緩やかな体重減少(月2〜3kg)★★★★(用量調整が必要)
ウォーキング等の有酸素★★★(取り組みやすい)
十分な睡眠(7〜8時間)★★★★(生活習慣の改善)

4)緩やかな体重減少が「筋肉保護」に有効

急激に体重を落とすほど、筋肉の分解速度が上がります。月2〜3kg程度のペースで緩やかに体重を落とすことが、筋肉量を保ちながら体脂肪を減らすための最善のアプローチです。「早く結果を出したいからと食事を極端に制限する」ことは、筋肉ロスを加速させるため逆効果です。

具体的な筋力トレーニングプログラム

筋肉を守る成功にサイクル

1)GLP-1受容体作動薬使用中の「ゴールデンルール」

■ GLP-1受容体作動薬使用中の筋トレ・ゴールデンルール

①薬を始めると同時に筋トレを開始する(「痩せてから」では遅い)

②週2〜3回・各30〜45分を目標にする

③大きな筋群(大腿四頭筋・臀筋・背中・胸)を優先的に鍛える

④副作用が強い日(注射翌日)は無理せず軽めにするか休む

⑤筋トレの前後はタンパク質を意識して摂る

⑥筋肉量の変化を定期的に計測して確認する(体組成計の活用)

2)初心者向け:自宅でできる基本プログラム(週2〜3回)

種目回数・セット数主なターゲット筋肉
スクワット15回×3セット大腿四頭筋・臀筋(最重要)
ヒップヒンジ(デッドリフト系)10回×3セット臀筋・ハムストリングス・背中
腕立て伏せ(ひざあり可)10〜15回×3セット大胸筋・上腕三頭筋
プランク30〜60秒×3セット体幹・腹筋
ダンベルロウ(ペットボトル可)10回×3セット広背筋・上腕二頭筋
カーフレイズ(つま先立ち)20回×2セット下腿三頭筋

これだけで全身の主要筋群をカバーできます。週2回継続することが最初の目標です。

3)中級者・ジム使用者向けの追加種目

  • レッグプレス・スミスマシンスクワット(下半身の更なる強化)
  • ラットプルダウン・シーテッドロウ(背中・上腕の強化)
  • ベンチプレス・インクラインダンベルプレス(胸筋の強化)
  • レッグカール・レッグエクステンション(大腿部の均等な強化)
  • バーベルデッドリフト(全身の統合的な筋力強化・最も効率的)

週3回・各種目3〜4セットを目安に。重量は「最後の2〜3回が少しきつい」程度に設定してください。

4)注射日と筋トレのスケジュール調整

注射後の時期推奨される行動
注射当日〜翌日(副作用ピーク)激しい筋トレを避ける。軽いストレッチ・ウォーキングのみ
注射後2〜3日目副作用が和らいできたら軽め〜中程度の筋トレを開始
注射後3〜5日目最も体調が安定。本格的な筋トレのメインセッションに最適
次回注射の前日体調を確認しながら筋トレ実施。翌日に備え無理はしない

年齢・性別・体型別の注意点

1)40〜50代以上:サルコペニアとの闘い

40歳以降は加齢性筋肉減少(年間約1〜2%)が自然に起こっています。GLP-1受容体作動薬による急速な体重減少がこれに重なると、サルコペニアのリスクが高まります。この年代では「筋力トレーニングの効果が出にくい」と感じることがありますが、刺激の強度・タンパク質摂取を十分に確保することで筋肉の維持・増強は可能です。

2)60〜70代の高齢者:特別な注意が必要

筋肉トレーニングを行う70代女性

GLP-1受容体作動薬と高齢者の筋肉への影響に関するナラティブレビュー(2026年・Nutrients誌)では、65歳以上の女性では体重減少に伴う絶対的な筋肉量の低下が特に大きく、筋力トレーニングと高タンパク質食の組み合わせが強く推奨されています【7】。高齢者は転倒リスクとも直結するため、医師・理学療法士との連携が理想的です。

3)女性:閉経後のホルモン変化との相互作用

閉経後女性では筋肉量低下がより大きくなる可能性が指摘されています【3】。なぜなら、
閉経後の女性はエストロゲン低下による筋肉量低下・骨密度低下が加速するからです。GLP-1受容体作動薬による体重減少が加わることで、筋肉量だけでなく骨密度への影響にも注意が必要です。そのため、ビタミンD・カルシウムの確保、週2〜3回の荷重運動(筋トレ・ウォーキング)が推奨されます。閉経後の女性ホルモン変化とエストロゲンが筋肉・骨密度に与える影響については、「女性ホルモンのはたらきを知って更年期対策とアンチエイジング!」もあわせてご参照ください。

4)もともと筋肉量が多い方(運動習慣あり)

使用前から筋力トレーニングを継続しており、筋肉量が標準以上の方は、GLP-1受容体作動薬使用中も適切な負荷と栄養管理を続けることで、体重が落ちながらも筋肉量をほぼ維持できる可能性があります。ただし総カロリーが極端に下がる場合は筋肉量を犠牲にするリスクがあるため、1日の摂取カロリーの下限(男性1,500kcal・女性1,200kcal)を意識してください。

筋肉量の「見える化」:進捗の確認方法

1)体重計だけでは不十分:体組成計の活用

体組成計による筋肉量の変化

体重計で「体重が減った」という情報だけでは、脂肪と筋肉どちらが減ったかわかりません。体組成計(InBody等・家庭用モデルも普及している)で体脂肪率・筋肉量を定期的(月1回以上)に計測することで、「脂肪が落ちているか筋肉が維持されているか」を確認できます。

計測方法精度費用・利便性
家庭用体組成計(InBody等)中(参考値)安価・自宅計測可能
クリニックのInBody計測通院時に実施可能
DXA(二重X線吸収法)最高(研究レベル)高額・専門施設のみ
皮下脂肪厚(キャリパー測定)専門家による計測

2)筋力の変化を実感で確認する方法

  • 同じ重量のダンベルが楽になってきたか(筋力の向上・維持)
  • スクワット時の回数が増えたか
  • 階段の昇降が楽になったか
  • 荷物の持ち運びが楽になったか

こうした日常動作での変化が「筋力が維持されている」ことのサインです。

3)筋肉量が落ちているサインに気づく

■ 筋肉量低下のサイン(早めに対策を)

・体重が落ちているのに体脂肪率が変わらない・上がっている

・同じ運動量なのに疲れやすくなってきた

・握力・筋力が明らかに低下した

・体型が「締まらない・フニャフニャ」に感じる

・基礎代謝が下がり、食事量を減らしても体重が落ちにくくなった

→ これらを感じたら、タンパク質摂取量の増加・筋トレ強度の見直しを行う

よくある質問(FAQ)

Q1. マンジャロで本当に筋肉は落ちますか?

はい、体重減少の約25%が除脂肪体重(筋肉を含む)から失われることが複数の臨床試験で示されています【1】【2】。ただしこれはGLP-1受容体作動薬特有の現象ではなく、あらゆるカロリー制限ダイエットで起こる普遍的な生理的反応です。適切な筋力トレーニングとタンパク質摂取で最小化できます。

Q2. 筋肉が落ちると太りやすくなりますか?

筋肉量が低下すると基礎代謝が下がるため、同じ食事量でも太りやすくなります。特にマンジャロを中止した後のリバウンドは、筋肉量を維持できていた方が少ない傾向があります。使用中から筋肉を守ることが、長期的な体重管理の成否を左右します。

Q3. 筋トレをしないと筋肉はどれくらい落ちますか?

臨床試験では筋力トレーニングなしの条件で体重減少の約25%が除脂肪体重から失われています。体重が10kg落ちると約2.5kgの除脂肪体重が失われる計算になります。筋力トレーニングを行うことで、この比率を改善(脂肪の割合を高め、筋肉の損失を減らす)できることがメタ解析で示されています【5】。

Q4. プロテインだけ飲めば筋肉は維持できますか?

タンパク質摂取は筋肉維持に不可欠ですが、それだけでは不十分です。筋肉は「使われること(筋力トレーニング)」によって維持・増強されます。タンパク質は「建材」、筋力トレーニングは「建築の指示」に相当します。両方が揃って初めて効果が発揮されます。

Q5. 高齢者でも筋力トレーニングの効果はありますか?

はい、70〜80代でも適切な筋力トレーニングで筋肉量・筋力が改善することが多くの研究で示されています。年齢とともに筋肉の合成能は低下しますが、刺激の強度とタンパク質を十分に確保することで応答します。安全のため、最初は理学療法士・運動指導士の指導のもとで始めることを推奨します。

Q6. マンジャロを中止したら筋肉量は回復しますか?

マンジャロ中止後は食欲が回復し体重が増加しますが、増加するのは主に脂肪です。失われた筋肉量は自然には回復しません。中止後も筋力トレーニングとタンパク質摂取を継続することで筋肉量を維持・増強することは可能です。中止後のリバウンドについては、「マンジャロをやめたらどうなる?」もご参照ください。

まとめ

まとめ

GLP-1受容体作動薬・マンジャロ使用中の筋肉量低下は避けられない生理的反応ですが、その程度は戦略次第で大きく変えられます。

■ この記事のまとめ

・GLP-1受容体作動薬使用中、体重減少の約25%が除脂肪体重(筋肉含む)から失われる

・最大用量ほど脂肪減少は大きいが除脂肪体重の保持は難しくなる(逆説)

・筋肉ロスはGLP-1受容体作動薬固有ではなく、カロリー制限全般に共通する生理的反応

・筋力トレーニング(週2〜3回)が除脂肪体重維持の最も強力な手段

・タンパク質は体重1kgあたり1.2〜1.6g/日が目標

・40代以上・高齢者は特にサルコペニアリスクに注意

・急激な体重減少を避け、月2〜3kgのペースを保つことが筋肉保護につながる

・体組成計で定期的に筋肉量・体脂肪率を確認し、進捗を「見える化」する

・薬を中止した後も筋トレ・タンパク質摂取を継続することで筋肉量を維持できる

<参考記事>

マンジャロの副作用はいつまで続く?
医療ダイエット薬の種類と選び方
GLP-1ダイエットは本当に効果的?忙しい女性におすすめの理由も解説
GLP-1ダイエットの効果!やめるとどうなるか望月瑠璃子先生に聞いてみた

参考文献

本記事の科学的根拠として、以下の査読済み論文・公式資料を参照しています。
【1】 Hidalgo Ramos RA, et al. Effects of Tirzepatide on Skeletal Muscle Mass in Adults: A Systematic Review. Cureus. 2025;17(7):e89020. PMC12394919.
DOI: 10.7759/cureus.89020
日本語要旨:チルゼパチドと骨格筋への影響を評価したシステマティックレビュー(2025年7月)。SURMOUNT-1・SURPASS-3の体組成データを統合し、チルゼパチドが脂肪量を大幅に減少させながら除脂肪体重の相対的割合を維持することを報告。筋肉組成マーカー(筋脂肪浸潤指数)は安定または改善傾向であることも示しています。
【2】 Karakasis P, et al. Effect of glucagon-like peptide-1 receptor agonists and co-agonists on body composition: Systematic review and network meta-analysis. Metabolism. 2025;164:155985.
日本語要旨:GLP-1受容体作動薬・GLP-1/GIPデュアル作動薬の体組成への影響を評価したネットワークメタ解析(22のランダム化比較試験・2,258名・2025年)。体重減少の約25%が除脂肪体重から失われること、チルゼパチド15mg・セマグルチド2.4mgは脂肪減少最大だが除脂肪体重の保持が最も難しいことを報告。なお、著者名は当初Bikou et al.と記載していましたが正確にはKarakasis et al.(Metabolism誌, 2025年)です。本記事の「逆説」に関する主要根拠です。
【3】Ceasovschih A, et al. Glucagon-like peptide-1 receptor agonists and muscle mass effects. Pharmacol Res. 2025;220:107927.
PMID: 40858197
DOI: 10.1016/j.phrs.2025.107927
日本語要旨:GLP-1受容体作動薬による体重減少と骨格筋量への影響を整理した総説。高齢者や筋肉量が少ない人ではサルコペニアリスクに注意が必要で、運動・栄養管理の重要性を示しています。
【4】 Aronne LJ, Sattar N, Horn DB, et al. Continued Treatment With Tirzepatide for Maintenance of Weight Reduction in Adults With Obesity: The SURMOUNT-4 Randomized Clinical Trial. JAMA. 2024;331(1):38-48.
DOI: 10.1001/jama.2023.24945
日本語要旨:SURMOUNT-4試験。体重減少維持とリバウンド抑制に継続治療が有効であることを示した試験。生活習慣の継続が長期的な体重管理に重要であることを示唆しています。
【5】 Lopez P, et al. Resistance Training Effectiveness on Body Composition and Body Weight Outcomes in Individuals with Overweight and Obesity Across the Lifespan: A Systematic Review and Meta-analysis. Obes Rev. 2022;23(5):e13428.
PMID: 34904320
日本語要旨:過体重・肥満の成人を対象としたレジスタンストレーニングの体組成への効果を評価したシステマティックレビューとメタ解析(2022年)。減量中のレジスタンストレーニングが除脂肪体重の維持・増加と脂肪減少の両立に有効であることを示しています。
【6】 Almandoz JP, Wadden TA, Tewksbury C, et al. Nutritional considerations with antiobesity medications. Obesity (Silver Spring). 2024;32(9):1613-1631.
PMID: 39030978 DOI: 10.1002/oby.24067
日本語要旨:抗肥満薬使用中の栄養管理に関する総説(2024年)。タンパク質摂取目標(体重1kgあたり1.2〜1.6g/日)・微量栄養素(鉄・亜鉛・ビタミンD)の重要性を整理したガイダンスです。本記事のタンパク質推奨量の根拠です。
【7】Moscucci F, et al. A Narrative Review on GLP-1 Receptor Agonists for Obesity in Older Women: Maximizing Weight Loss While Preserving Lean Mass. Nutrients. 2026;18(4):632.
PMID: 41754149 DOI: 10.3390/nu18040632
日本語要旨:65歳以上の肥満女性におけるGLP-1受容体作動薬使用と除脂肪体重・筋力への影響に関するナラティブレビュー(2026年2月)。高齢女性では体重減少に伴う筋肉量低下が特に大きく、筋力トレーニングと高タンパク食の組み合わせが強く推奨されています。本記事の高齢者への注意事項の根拠です。

※本記事は医師監修のもと作成されていますが、個別の医療・運動・栄養アドバイスを提供するものではありません。運動処方・食事指導は担当医師・管理栄養士・運動指導士にご相談ください。
※2026年5月時点の情報に基づいています。

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