兵庫医科大学卒業
大阪警察病院勤務
大阪大学医学部附属病院勤務
一般財団法人住友病院勤務
医学研究所北野病院勤務
一般財団法人住友病院勤務
某美容皮膚科クリニック勤務
RURI clinic開院
*望月瑠璃子先生は、2023年にRURI clinic院長を退任され、2024年現在では大嶋恭輔先生が統括院長をお務めになっておられます。
- 1 1.医師に聞くシリーズ「GLP-1ダイエットの効果!やめるとどうなるか望月瑠璃子先生に聞いてみた」
- 2 2. GLP-1ダイエットについて、望月瑠璃子先生に聞いた
- 2.1 Q1.最近、GLP-1ダイエットという言葉を耳にすることが多くなりましたが、これはどんなダイエット法でしょうか?
- 2.2 Q2.誰でも効果があるんですか?
- 2.3 Q3.効きやすい方と効きにくい方の違いを教えていただけますか?
- 2.4 Q4.GLP-1やGLP-1製剤とは何でしょうか?
- 2.5 Q5.GLP-1製剤には種類があると聞きましたが?どんな種類でしょうか?
- 2.6 Q6.錠剤と注射剤は、どのように使い分けるのでしょうか?
- 2.7 Q7.治療の流れを教えていただけますか?
- 2.8 Q8.実際、先生のクリニックで治療を受けられた方の典型的なケースを教えていただけますでしょうか。
- 2.9 Q9.GLP-1製剤には、副作用やリスクはありますか?あるとすれば、どんなものがありますか?
- 2.10 Q10.GLP-1製剤は長期間使っても大丈夫でしょうか?
- 2.11 Q11.費用はどの程度でしょうか?
- 2.12 Q12.GLP-1製剤によるメディカルダイエットをやめた後の日常生活の注意点はありますか?
- 3 3.まとめ
1.医師に聞くシリーズ「GLP-1ダイエットの効果!やめるとどうなるか望月瑠璃子先生に聞いてみた」
ナールス美容医療アカデミーでは、美容医療に携わる現役の医師に、施術や医療機器、肌老化や肌悩みについてお話を伺った内容を動画や記事としてお届けしています。
今回は、RURIクリニック院長の望月瑠璃子先生に、GLP-1ダイエットの効果やメリット、やめるとどうなるか、副作用などについてお話をお伺いました。
GLP-1ダイエットとは、医薬品の力で無理な運動や過度な食事制限をせずに、ダイエットができる治療法です。
美容クリニックで医薬品を使って治療を受けるダイエットは、「メディカルダイエット」と呼ばれますが、GLP-1ダイエットもその1つです。
比較的簡単で続けやすいので、今では人気のメディカルダイエットの1つとなっています。
今まで色んなダイエットを試してもうまくいかなかった方は、ぜひ、検討してみてはいかがでしょうか。
本記事については、動画でもお届けしていますので、ぜひ、そちらもご覧くださいね。
<望月瑠璃子先生ご出演:ホントに簡単?気をつけたいGLP-1ダイエット>
<望月瑠璃子先生からのメッセージ>
GLP-1ダイエットは、GLP-1受容体作動薬という薬(錠剤・注射剤)を使うメディカルダイエットの1つです。GLP-1受容体作動薬を使うことで内臓脂肪の燃焼を促すし体重を落としていきます。
また、無理な食事制限や過度な運動が必要ないため、ストレスが少なく行える治療法です。
さらに、薬の副作用も少なく重篤なケースも稀なので安全に治療を行うことが可能です。そのため、とても良い治療法だと思います。
だから、肥満で悩んでいる方や、これまでダイエットで失敗してきた方にチャレンジしていただければ良いと思います。
しかし、ダイエットは治療だけに頼らないことも大切です。
治療をやめた後も、代謝の良い太りにくい体質を維持できるように、バランスの良い食生活や適度な運動を続けるなどを生活習慣に取り入れましょう。
もう1つ注意していただきたいのは、クリニックで治療を行うことです。
最近では、通信販売でGLP-1製剤が売られていますが、自己判断で薬を使うことはおすすめできません。
クリニックで診察を受け、アドバイスを受けるとともに、体重や内臓脂肪、筋肉量を測定するなどモニタリングしながら治療を継続することをおすすめします。
結果的には、その方が健康的で費用的に安くダイエットできる可能性が高いです。
GLP-1ダイエットは、しっかりとカウンセリング診療をしてもらえるクリニックで行いましょう。
<参考記事>
RURI clinic院長|望月瑠璃子先生に美容内科の考え方などをインタビュー
2. GLP-1ダイエットについて、望月瑠璃子先生に聞いた
Q1.最近、GLP-1ダイエットという言葉を耳にすることが多くなりましたが、これはどんなダイエット法でしょうか?
「食事を我慢するのがつらい」
「毎日の運動が続かない」
「色んなダイエットを試したけどうまくいかなかった」
そんな方が、ストレスなく、自分らしい生活を送る中で痩せるため、GLP-1製剤という薬を使用して毎日の食欲をコントロールする治療法です。
このプログラムの目的は、無理なく健康的に痩せることです。
また、糖尿病になりにくい体づくりにも役立ちます。
Q2.誰でも効果があるんですか?
効きやすい方と効きにくい方がいます。
だから、当院では血液検査を行って適応の可否を判断しています。
効きやすい方だと分かった場合は、長い期間をかけてGLP-1製剤を使います。
一方、効きにくい方でもGLP-1製剤でダイエットできる場合もあるので、短期間使ってみることも有ります。
Q3.効きやすい方と効きにくい方の違いを教えていただけますか?
効きやすい方は、今、インスリンの無駄遣いをしている方です。
簡単に言えば、良く食べる方や飲酒の機会が多い方が該当する場合が多いです。
GLP-1製剤は、インスリンの過剰な分泌を抑えるので、高い効果を発揮するんです。
糖尿病でない場合は、保険診療ではインスリンの値や血糖値を測定することはしませんが、当院のような自費診療ができるクリニックでは、それらを測定して健康管理にも役立てるようにしています。
Q4.GLP-1やGLP-1製剤とは何でしょうか?
GLP-1とは、もともとヒトの体から出るホルモンで、日本語では、「グルカゴン様ペプチド-1」と言います。
食事をすると血糖値が上がるため、血糖値を下げる役割のインスリンの分泌を促進するはたらきを持つホルモンが小腸から分泌されます。
これをインクレチンといますが、2種類あります。
その1つが、GLP-1です。
GLP-1は、血糖値が上がると小腸にあるL細胞から分泌され、すい臓のβ細胞表面にあるGLP-1の鍵穴 (受容体) にぴったりはまります。そして、β細胞に命令を送ってインスリンを分泌させます。
しかし、GLP-1の分泌量が少ないと食欲が抑えられず食べ過ぎてしまうので、太りやすい体質になります。そのため、糖尿病にもなりやすいのです。
だから、肥満を防いだり、糖尿病を防ぐには、このGLP-1が正常に分泌される必要があるのです。
GLP-1がもつこのはたらきが注目され、GLP-1受容体作動薬が開発され、今では糖尿病の治療薬として保険診療で使われるようになりました。
メディカルダイエットにはいくつかの方法がありますが、「GLP-1製剤」と呼ばれるものは、このGLP-1受容体作動薬のことです。
GLP-1製剤を使うと、食欲が抑えられ、かつ胃腸の動きがゆっくりになります。
その結果、脂肪が分解されやすくなり、太りにくく痩せやすい体質になります。効果に個人差はありますが、3~6か月で5~10kgの体重減少が期待できます。
依存性や中毒性はなく、安全性が高いことが評価されています。
Q5.GLP-1製剤には種類があると聞きましたが?どんな種類でしょうか?
錠剤と注射剤があります。
錠剤は、3mgと7mg、14mgの3種あります。
注射剤で使用する針は、一般的な採血などで使用する針よりも短く細い針を使用しています。
髪の毛くらいの極薄針なので、痛みはほとんどありません。
また、注射の跡も残りません。
お薬の名前としては、錠剤はリベルサス錠、注射剤はサクセンダ、ビクトーザ 、オゼンピックというものがあります。
当院では、リベルサス錠とサクセンダを採用しています。
Q6.錠剤と注射剤は、どのように使い分けるのでしょうか?
GLP-1製剤は、錠剤も注射剤も同じ作用機序なので、基本的には同じ効果が得られます。
注射剤を使用される場合は打ち方を教えますが、その後は、朝1回、自分自身で打っていただきます。
注射が怖いなどの方には錠剤を処方します。
ただ、注射剤を使う方のほうが、自分自身で頑張るという行動(自己注射)が伴うので、ダイエットへの意識は高い気がします。
肥満の状態も患者様ごとに違うので、希望や状態に合わせて、使用量や期間も考えて使い分けています。
もちろん、注射剤・錠剤とも、使用回数や使用量の範囲が決まっているので、その範囲の中で調整します。
<製剤別の投与周期・上限量>
薬剤 | 錠剤 | 注射剤 | ||
リベルサス | サクセンダ | ビクトーザ | オゼンピック | |
投与周期 | 1日1回 | 1日1回 | 1日1回 | 週1回 |
投与上限量 | 14.0mg | 3.0mg | 1.8mg | 1.0mg |
Q7.治療の流れを教えていただけますか?
まず、カウンセリングで気になる部分について、診察いたします。
そこで、目標とする体重やそれを実現したい期間などを聞きます。
また、なぜ太ってしまったかの原因やプロセスなどもうかがいます。
食事を含む日常生活の詳細を30分くらいかけて聞きます。
その後、内臓脂肪の量や筋肉量を測定します。
そして、この治療が適切かどうかを判断する血液検査を行います。
これで大丈夫なら、錠剤か注射剤注射か飲み薬のどちらかを、ご希望に合わせて処方します。
治療開始後は、診察時(月1回)は、内臓脂肪の量や筋肉量を測定します。
筋肉量を落とさず、健康的に痩せていただきたいためです。
Q8.実際、先生のクリニックで治療を受けられた方の典型的なケースを教えていただけますでしょうか。
錠剤を使う方と注射剤を使う方で異なります。
錠剤の場合は、最初、中等量の7mgで始めて、1日1回飲んでいただき、2か月~3か月様子をみます。
それで、効果がみられたら2日に1回というような飲み方に変えます。
薬をやめるとリバウンドされる方もいますので、治療期間中に食事内容などもこまめに確認させていただきながら、栄養バランスも考えて食事指導もさせていただきます。
それによって、代謝の良い太りにくい体質に改善することで、治療後も体重を維持していただけるように指導させていただきます。
Q9.GLP-1製剤には、副作用やリスクはありますか?あるとすれば、どんなものがありますか?
副作用には、食欲減退がありますが、ダイエット治療にはGLP-1製剤のこの副作用を応用しています。
ほかに治療初期に、便秘、吐き気、胃のむかつき、下痢などの症状が現れる場合がありますが、症状が全く出なかった方も多いです。
副作用が出ても、毎日継続すると症状が軽くなり、消えていきます。
患者様ごとに合わせて対応しますので、今まで大きな問題が起こったことはありません。
<主な副作用> 悪心、便秘、下痢、吐き気、嘔吐、食欲低下、胃のむかつき、倦怠感など <注意事項> GLP-1の適応については、基本的に診察の際に、判断をさせていただきます。 ただし、以下に該当する方はGLP-1受容体作動薬を処方することができません。
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Q10.GLP-1製剤は長期間使っても大丈夫でしょうか?
GLP-1製剤は、一般的に重篤な副作用が少なく続けやすいので、長期使用が可能です。長期に使用しても安全性が高い薬剤と考えられていますが、不必要に治療を継続することはお勧めしません。
患者様と目標の治療期間を決め、使用期間も決めて使うのが良いと思います。
目安としては、半年から1年弱くらいだと考えます。
薬をやめる場合は、急にやめずに、徐々に量を減らすなど工夫することで、リバウンドしないように注意します。
Q11.費用はどの程度でしょうか?
美容クリニックや使う製剤でも違いますが、当院の場合GLP-1注射剤(サクセンダ)は、1本22,000円です。
注射の場合、最初は少なくて済みますが、だんだん打つ量を増やす必要があります。
個人差はありますが、月2回から4回くらいの範囲です。
だから、注射の場合だと、44,000円~88,000円くらいの薬代がかかります。
飲み薬リベルサス錠)の場合も量によって費用が変わります。
一番少ない量、つまり3mgを1か月分(30錠)の場合で18,500円程度、7mgを1か月分(30錠) の場合は29,700円です。
Q12.GLP-1製剤によるメディカルダイエットをやめた後の日常生活の注意点はありますか?
GLP-1ダイエットをやめると、抑えられていた食欲が戻って食事量が増えてしまうことがあります。 運動する習慣がない人は消費カロリーが少ないので、食欲が戻ると体重まで増えてしまう可能性が高いです。また、普段から運動をしていないと、次第に筋肉が落ちていきます。
だから、GLP-1ダイエットは、生活習慣を変えるきっかけにするのが良いと思います。
例えば、朝にしっかり食物繊維を摂ることも良いことです。
また、GLP-1は、腸で善玉菌が食物繊維を分解することで作られるホルモンです。
だから、腸内環境を整えることも大切です。
さらに、筋肉を落とさないためにたんぱく質をしっかり摂ることも大切です。
当院では筋肉を作るマシンもあるので、痩せた後はそれを使った代謝の良い太りにくい体質を目指すことも可能です。
3.まとめ
RURIクリニック院長の望月瑠璃子先生をお迎えして、GLP-1ダイエットの効果や治療のプロセス、副作用などについてお話をお伺いしました。
また、やめるとどうなるかやめた後の生活の注意点などについても教えていただきました。
GLP-1ダイエットは、食欲旺盛な方や食事制限が苦手な方などに、高い効果が期待できるメディカルダイエットです。
また、無理な運動をすることなく痩せられるため、成功確率の高いダイエット法です。
とはいっても、治療に頼り切るのではなく、薬をやめたあとに良い生活習慣を身につけることが大切です。
GLP-1ダイエットをきっかけとして、治療をやめた後も太りにくい体質を維持して健康に過ごすことを目指しましょう。
この記事が、肥満に悩んでいて何とかしたい方のお役に立てば幸いです。
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