植毛で言う「グラフト」完全ガイド!定義・意味から料金まで

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この記事では、植毛におけるグラフトの基本概念から、種類、採取方法、移植プロセス、治療計画での活用方法、費用計算まで、全てを詳しく解説します。

正しい知識を身につけることで、適切なクリニック選びと治療選択ができるようになります。

 

1.グラフトを知ることが植毛を理解する最初の一歩

植毛について考える男性

自毛植毛とは、自身の髪の毛を移植することで薄毛を改善する治療法です。

主に後頭部や側頭部の毛髪を採取し、薄毛が気になる部分に移植します。

そんな植毛治療の情報で必ず目にするのが「グラフト」という言葉です。

「1000グラフト移植」「グラフト単価○○円」といった表現を見かけることが多いでしょう。

しかし、このグラフトが具体的に何を意味するのか、定義を正確に理解している方は意外に少ないのが現状です。

グラフトの理解は、植毛治療を検討する上で非常に重要です。

なぜなら、治療費用の計算、必要な手術回数の判断、期待できる効果の予測など、治療に関わるほぼ全ての要素がグラフト数に関連しているからです。

本記事では、植毛におけるグラフトの基本概念から、種類、採取方法、移植プロセス、治療計画での活用方法、費用計算まで、グラフトに関する全てを詳しく解説します。

この知識を身につけることで、より適切なクリニック選びと治療選択ができるようになるでしょう。

 

<参考記事>

植毛とは?手術方法の種類とメリット・デメリットを解説!

2.グラフトとは何か

1)グラフトの定義

グラフト(Graft)とは、「株」とも呼ばれる植毛手術において移植される毛髪の最小単位のことを指します。

毛髪だけではなく毛根、毛乳頭、周囲の皮膚まで含む小さな皮膚片で、自然な毛髪の成長単位である「毛包単位(Follicular Unit)」に基づいて採取されます。

グラフト

<提供 親和クリニック>

 

人間の毛髪は、実は1本ずつバラバラに生えているわけではありません。皮膚の下では、1〜4本の毛髪が束になって一つの毛包を形成し、この単位で成長・脱毛を繰り返しています。この自然な単位を尊重して採取・移植するのがグラフトです。

2)グラフトと毛根単位(Follicular Unit)の関係

グラフトと毛根単位には密接な関係にあります。自然な髪の毛の成長パターンを観察すると、以下のような特徴があることがわかります:

毛髪の部位毛包単位
生え際付近主に1本毛と2本毛の毛包単位
前頭部〜頭頂部2本毛と3本毛の毛包単位
後頭部3本毛と4本毛の毛包単位

 

この自然なパターンを再現するため、植毛手術では移植部位に応じて適切な毛包単位のグラフトを選択して移植します。

1つのグラフトに含まれる毛髪の本数

1つのグラフトに含まれる毛髪の本数は1〜4本が一般的です。日本人の場合、平均的には以下のような分布になります。

グラフト比率
1本毛グラフト約20%
2本毛グラフト約50%
3本毛グラフト約25%
4本毛グラフト約5%

これを加重平均するとグラフトあたりの毛の本数は、

 

1X0.2+2X0.5+3X0.25+4X0.05=2.15本です。

1000グラフトを移植した場合、実際の毛髪本数は約2000〜2500本程度になることが多いのです。

3)グラフトと「本」の違いの明確化

植毛治療において、「グラフト数」と「毛髪本数」は全く異なる概念です。この違いを理解することは非常に重要です。

グラフト数は移植手術の技術的な単位であり、手術の難易度や時間、費用に直結します。一方、毛髪本数は実際に増える髪の毛の本数であり、見た目の変化に直結します。

例えば、同じ1000グラフトでも、1本毛ばかりなら1000本、3本毛ばかりなら3000本の毛髪が増えることになります。これは、生え際付近、前頭部〜頭頂部、後頭部で異なりますが、自毛植毛では主に、3本毛と4本毛の毛包単位の後頭部の毛髪を移植します。

3.グラフトの種類と特徴

グラフトの種類と特徴のイメージ

 

グラフト数だけでなく、どのようなグラフトが移植されるかは仕上がりに影響を与えます。

1)1本毛グラフト

1本毛グラフトは、1本の毛髪のみを含むグラフトです。最も細く、自然な生え際を作るのに適しています。

1本毛グラフトは、自然な生え際を作る上で欠かせない要素です。

生え際に太い毛髪が密集していると、いかにも「植毛した」という不自然な印象を与えてしまうため、1本毛グラフトを適切に配置することで、自然な毛流れを演出します。

 

植毛時の特徴最も細く、デリケートな仕上がり

毛髪の太さは他のグラフトより細め

移植時の侵襲性が最も低い

適応部位生え際の最前線

もみあげ部分

眉毛(男性の場合)

2)2本毛グラフト

2本毛グラフトは、2本の毛髪を含むグラフトで、植毛手術で最も多く使用されるタイプです。

2本毛グラフトは植毛手術の主力となるグラフトです。

1本毛ほど細くなく、3本毛ほど太くないため、様々な部位で自然な仕上がりを実現できます。

 

植毛時の特徴バランスの良いボリューム感

自然な密度感を演出

移植手術で中心的な役割

適応部位生え際の2列目以降

前頭部全般

頭頂部の境界領域

3)3本毛グラフト

3本毛グラフトは、3本の毛髪を含むグラフトで、十分なボリューム感を提供します。

3本毛グラフトは、薄毛が進行した部位にボリューム感を与える重要な役割を果たします。

特に頭頂部の薄毛改善には欠かせないグラフトタイプです。

 

植毛時の特徴バランスの良いボリューム感

自然な密度感を演出

移植手術で中心的な役割

適応部位生え際の2列目以降

前頭部全般

頭頂部の境界領域

4)4本グラフト

4本毛グラフトは、4本の毛髪を含む最もボリュームのあるグラフトです。採取できる数は限られますが、効果は絶大です。

 

植毛時の特徴最大のボリューム効果

密度向上への大きな貢献

採取数が限られる貴重なグラフト

適応部位頭頂部の中心

つむじ部分

密度が特に必要な部位

4.植毛手術におけるグラフトの採取方法

自毛植毛で使われるドナー(移植株)は、AGA(男性型脱毛症)の影響を受けにくい側頭部・後頭部からドナー単位で採取します。

そんな自毛植毛の手術法は、グラフトの採取方法の違いによって大きく2つに分けられます。

自毛植毛では、グラフトをいかに傷つけずに採取するかが定着率に大きな影響を与えます。2つの採取方法のメリット・デメリットを理解したうえで、適切な手術法を選択することが植の成功のために大切です。

そのため、技術力の高い医師・クリニックを選択することが重要です。

1)FUE法でのグラフト採取

FUE法でのグラフト採取のイメージ

FUE法(Follicular Unit Extraction)は、パンチと呼ばれる専用器具を使用して、グラフトを一つずつ採取する方法です。

FUE法では、医師の技術力がグラフトの品質に大きく影響します。

適切な角度でパンチを挿入し、毛根を損傷させることなく採取する技術が求められます。

 

<採取プロセス>

ドナー部位の毛髪を短くカット(1〜2mm程度)

パンチで毛包周囲の皮膚を円形に切開

専用の鉗子でグラフトを慎重に引き抜き

採取したグラフトを保存液で管理

2)FUT法でのグラフト採取

FUT法(Follicular Unit Transplantation)は、ドナー部位から帯状の皮膚を切除し、顕微鏡下でグラフトに分離する方法です。

FUT法では、顕微鏡を使用してグラフトを分離するため、毛根の損傷が少なく、高品質なグラフトを確保できます。

 

<採取プロセス>

ドナー部位をマーキング

局所麻酔後、帯状に皮膚を切除

切除部位を縫合

顕微鏡下でグラフトに分離

グラフトの品質チェック

3)各方法のメリットとデメリット

メリットデメリット
FUE法線状の傷跡が残らない

手術当日から洗髪可能

回復が早い

採取に時間がかかる

高い技術力が必要

FUT法一度に大量のグラフト採取が可能

グラフトの品質が高い

線状の傷跡が残る

術後の痛みがやや強い

回復に時間がかかる

 

ドナー部位から採取できるグラフト数には限界があります。

一般的な採取可能グラフト数は、次の通りです。

FUE法:3000〜4000グラフト(複数回合計)

FUT法:2000〜3000グラフト(1回あたり)

5.グラフトの移植と定着について

1)グラフト移植の手順

採取されたグラフトは、以下の手順で移植されます。

移植プロセス概要
スリット作成移植部位に細い切れ込みを作成
グラフト選別部位に応じた適切なグラフトを選択
移植作業専用の器具でグラフトを移植
角度・密度調整自然な毛流れを考慮して配置

 

移植作業では、毛髪の成長方向、角度、密度を考慮して、一つひとつのグラフトを丁寧に配置します。この精密作業が、自然な仕上がりを決定する重要な要素となります。

一般的に、適切な技術で行われた植毛手術の定着率は95%以上とされています。

2)グラフトの生存期間と成長サイクル

移植されたグラフトは、発毛まで以下のような経過を辿ります。

期間経過
第1段階(移植直後〜2週間)移植されたグラフトが頭皮に定着する重要な期間です。この時期は、移植部位への物理的な刺激を避けることが重要です。
第2段階(2週間〜2ヶ月)移植時についていた毛髪が一時的に抜け落ちます。これは正常な反応で、「ショックロス」と呼ばれます。
第3段階(3〜6ヶ月)毛根から新しい毛髪の成長が始まります。最初は細く短い毛髪ですが、徐々に太く長く成長します。
第4段階(6〜12ヶ月)毛髪が太くなり、長さも増してきます。この頃から明らかな効果を実感できるようになります。
第5段階(12〜18ヶ月)最終的な結果が確定します。毛髪の太さ、長さ、密度が安定し、自然な仕上がりとなります。

6.グラフトの単価・費用の相場は?

グラフトの費用がいくらかかるか考える男性

植毛手術の費用は、主にグラフト単価によって決まります。

自毛植毛は自由診療なので、クリニックごとのグラフト単価は異なります。

本国内の相場は以下の通りです。

 

グラフト単価の相場

植毛の方法単価の相場
FUE法800〜1500円/グラフト
FUT法600〜1200円/グラフト
ARTAS等のロボット植毛1000〜2000円/グラフト

 

グラフト料金には、グラフトの採取・移植作業費用や材料費などが含まれます。

グラフト単価は、医師の経験と技術力、立地条件,アフターケアの充実度、保証制度の有無などを勘案した上でそれぞれのクリニックが決めます。

 

また、植毛の植毛手術の総費用は、以下の要素で構成されます。

基本的な計算式

総費用 = 基本料金 + (グラフト数 × グラフト単価) + オプション費用

 

具体例(1500グラフトのFUE法の場合)

基本料金200,000円
グラフト料金1500グラフト × 1,000円 = 1,500,000円
オプション(麻酔等)50,000円
総費用1,750,000円

 

<参考記事>

自毛植毛にかかる費用は?自毛植毛の費用を安く抑える方法も紹介!

7.自毛植毛の計画におけるグラフト数の決め方

1)薄毛の進行度とグラフト数の関係

薄毛の進行度は、ハミルトン・ノーウッド分類が有名です。

ハミルトン・ノーウッド分類とは、初めてAGA(男性型脱毛症)の薄毛の進行パターンを分類したアメリカの皮膚科医であるハミルトン氏と、その後、その分類に更に改良を加えて現在の形にしたノーウッド氏の両名の名前にちなんで命名されました。

各段階に応じた目安のグラフト数は以下の通りです。

ただし、これらは目安であり、実際には個人の頭の大きさ、毛髪の太さ、希望する密度などにより大きく変わります。

また、ハミルトン・ノーウッド分類は欧米人のAGAの進行パターンをまとめたものなので、日本を含めたアジア人だとパターンが少し異なります。

 

ハミルトン・ノーウッド分類グラフト数
Type I-II500〜1000グラフト
Type III1000〜1500グラフト
Type IV1500〜2500グラフト
Type V2500〜3500グラフト
Type VI3500〜5000グラフト
Type VII5000グラフト以上

2)部位別の必要グラフト数の目安

植毛を行う部位によって、必要なグラフト数は異なります。

 

部位進行度必要なグラフト数
生え際軽度の後退300〜800グラフト
生え際中度の後退800〜1500グラフト
生え際重度の後退1500〜2500グラフト
前頭部部分的な薄毛500〜1500グラフト
前頭部広範囲の薄毛1500〜3000グラフト
頭頂部小さなつむじ800〜1500グラフト
頭頂部中程度のつむじ1500〜2500グラフト
頭頂部大きなつむじ2500〜4000グラフト
全体的な薄毛軽度〜中度3000〜5000グラフト
全体的な薄毛重度5000〜7000グラフト

3)事例紹介

親和クリニックのホームページの例を引用して事例を紹介します。

①生え際から進行し始めた状態

浅めのM字修正

グラフト数の目安400~600グラフト
移植毛髪本数1,000~1,500本
施術費用615,000~814,000円

 

生え際から進行し始めた状態

 

<提供>親和クリニック

②頭頂部がO型に脱毛してきた状態

やや深いM字・前頭部修正

グラフト数の目安800グラフト~
移植毛髪本数約2,000本~
施術費用  1,012,000円~

 

生え際から進行した状態

<提供>親和クリニック

③頭頂部がO型に脱毛してきた状態

頭頂部・つむじの修正

グラフト数の目安500~1,000グラフト
移植毛髪本数1,250~2,500本
施術費用715,000~1,210,000円

 

頭頂部がO型に脱毛してきた状態

④生え際から頭頂部にかけて進行した状態

前頭部・頭頂部の修正

グラフト数の目安1,000グラフト~
移植毛髪本数約2,500本~
施術費用1,210,000円~

 

生え際から頭頂部にかけて進行した状態

⑤全体的にかなり進行している状態

全体的な修正

グラフト数の目安2,000~3,000グラフト
移植毛髪本数5,000~7,500本
施術費用220万円~319万円

 

全体的にかなり進行している状態

 

<参照元>

https://shinwa-clinic.jp/about/drcolumn/23/

 

<参考記事>

親和クリニックの口コミ・評判まとめ!おすすめポイントも解説!

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親和クリニックの特徴

8.グラフトに関するよくある質問・誤解

Q1.移植するグラフト数が多いほど良いですか?

移植株数が多くなると、増毛感はアップします。しかしグラフト数だけにこだわらず、仕上がりのバランスやデザインが大切です。

また、密度が高くなりすぎると、毛包に充分な栄養が行き渡らず、毛髪の生着率を下げるリスクがあります。

つまり、移植するグラフト数が多いほど良いわけではなく、適切な数を決めることが大切です。

Q2. 移植本数は患部の範囲だけで決まるのですか?

移植本数は患部の範囲だけで決まるのではなく。毛髪の状態や密度によっても変わります。

毛髪の状態は、クセや太さ、固さ、密度などに個人差があり、また加齢の影を受けます。それらを総合的に判断した上で、最終的な仕上がりの希望を加味して必要な株数が決まります。

Q3.自毛植毛ができないのはどんな場合ですか?

自毛植毛の移植元である側頭部や後頭部に毛(毛根)が残っていない場合や、毛量が少ない場合は、必要な株数を移植出来ない可能性があります。

また、円形脱毛症、糖尿病や心臓が弱い方、精神的な疾患がある方も自毛植毛ができない可能性があります。

何らかの病気で治療を受けている場合には主治医と相談の上手術の可否が決まります。

Q4.自毛植毛の10年後は?

適切な施術を受け、しっかりとアフターケアを行えば、移植した毛髪は10年後も生え続ける可能性が高いのです。

ただし、時間の経過とともに髪全体のボリュームが変化することはあります。これは加齢による自然な現象です。植毛部分に限らず、もともと生えていた髪の毛も細くなったり、薄くなったりすることがあります。

 

<参考記事>

自毛植毛から10年たったらどうなる?人工毛植毛との違いも解説!

Q5.自毛植毛のデメリットは?

自毛植毛のデメリットは、ほかの薄毛の治療治と比較して費用が高めであることや効果が出るまでに時間がかかること、傷や痛みが残る場合があることなどです。

また、髪の毛すべてが生着するとは限りませんし、薄毛の進行が進んでいると効果が得にくいこともあります。

 

<参考記事>

自毛植毛のデメリットは?副作用や注意点を徹底解説!

9.まとめ

植毛におけるグラフトについて幅広く解説しました。

グラフトは単なる移植の単位ではなく、自然な毛髪の成長パターンを再現するための大切です。

1つのグラフトに含まれる毛髪本数の違い、採取方法による品質の差、移植部位に応じた適切な選択など、これらの知識があることで、カウンセリングを受ける際もがより納得できるレベルが高まり、適切な治療選択が可能になります。

この記事がグラフトの理解が高まり、満足のいく植毛治療結果を得るためのお役に立てば幸いです。

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