「生涯、自分の足で歩く」を目指して──神戸元町・SAクリニックの幹細胞治療と、内科医が考える再生医療

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膝・腰・股関節の痛みに、痛み止めでも手術でもない選択肢を。神戸元町のSAクリニック・宮路啓太院長は、再生医療で数百症例以上に携わってきた内科医です。幹細胞の「数と質」、効果を引き出す身体づくり、治療後の歩き方、そして質を保ちながら現実的な価格で届けたいという思い。幹細胞治療の考え方と今後の展望を取材しました。

<執筆>

ナールス美容医療アカデミー編集長 富本充昭

富本充昭

 

膝が痛くて階段が怖い。旅行に行けない。「年齢のせいだから」と言われ、諦めかけている──。
痛み止め(消炎鎮痛薬など)とヒアルロン酸注射では改善せず、手術は避けたい。そうした方に向けた手術以外の選択肢の一つとして、再生医療(幹細胞治療)への関心が高まっています。
ただ、幹細胞治療は自由診療で、総額が百万円以上に及ぶことも珍しくありません。神戸元町のSAクリニックは、この費用の壁をできるだけ下げ、質を保ったまま現実的な価格で、膝や腰の痛みに困っている方が検討できる医療にしたいと考えています。院長の宮路啓太先生は、これまで再生医療クリニックで数百症例以上の診療に携わってきた内科医です。一般的な治療では改善が難しかった患者さんも含めて診てきた経験が、治療の組み立てに生きています。
本記事では、宮路先生の考え方と科学的根拠、今後の展望をご紹介します。現時点で「わかっていること」と「まだわかっていないこと」の線引きも、率直にお伝えします。

「生涯、あるける」──SAクリニックが掲げるもの

「生涯、あるける」を目指して片脚立ちのバランス練習を行うSAクリニックの様子

院名の「SA」は、「Shougai & Arukeru(生涯、あるける)」の頭文字です。
この言葉が、このクリニックの輪郭をよく表しています。治療の目的が、痛みの数値を下げることではなく、その人が自分の足でどこへでも行ける状態を保つことに置かれているためです。
痛み止め(消炎鎮痛薬など)やヒアルロン酸注射は一時的な緩和には有効ですが、軟骨の損傷や慢性的な炎症が進行している場合、十分な改善が得られないこともあります。一方、手術は負担が大きく、術後の長いリハビリも伴います。「痛み止め」でも「手術」でもない第3の選択肢として再生医療を位置づける。これが出発点です。
宮路先生自身、長年、テニス肘に悩まされ、再生医療を受けて改善した経験があります。「痛みによって好きなことを続けられなくなるつらさ、そしてもう一度できるようになる喜びを、私自身も実感しています」。

SAクリニックとは|神戸元町の再生医療×歩行回復専門クリニック

来院した患者さまを笑顔で迎えるSAクリニックのスタッフ

1)クリニックの5つの特徴

① 再生医療から歩行リハビリまで、院内で一貫

再生医療を行うクリニックでは、治療後のリハビリを別施設に委ねるケースが少なくありません。SAクリニックは、治療前の身体づくりから投与、歩行訓練までを院内で行います。

② 再生医療の効果を引き出すための全身評価

関節の画像所見だけでなく、血流・炎症・代謝・栄養・睡眠・筋力といった全身の状態を評価したうえで治療計画を立てます。幹細胞を投与して終わりにするのではなく、その効果をできるだけ引き出すために、必要に応じて栄養面や漢方の視点からも身体の状態を整えます。

③ 数百症例の経験にもとづく治療設計

院長はこれまで再生医療クリニックで数百症例以上の診療に携わり、一般的な治療だけでは改善が難しかった患者さんも数多く診てきました。その経験をもとに、単に幹細胞を投与するのではなく、どうすれば痛みや機能の改善につなげられるかという視点で、細胞数・投与部位・回数・併用する治療を組み立てます。

④ 現実的な価格で、相談から始められる

再生医療は高額というイメージがありますが、SAクリニックは質を落とさずに、より現実的な価格で幹細胞治療を提供することを目指しています。完全予約制で、初診には60分を確保。初診料は0円で、「いきなり高額なコースは不安」という方はカウンセリングだけを受けることもできます。

⑤ JR元町駅東口から徒歩3分

MISXビル4階にあります。複数回の通院が前提となる治療では、通いやすさも選択の要素になります。予約時間に合わせて、スタッフが1階までお迎えにあがります。

2)院長プロフィール

SAクリニック院長・宮路啓太先生のプロフィール写真

項目内容
氏名宮路 啓太(みやじ けいた)先生/SAクリニック 院長・内科医
資格医師免許(2019年取得)/内科専門医
所属学会日本内科学会/日本循環器学会/日本整形外科学会/日本抗加齢医学会/日本再生医療学会
経歴2019年 神戸大学医学部医学科 卒業/加古川中央市民病院 初期臨床研修
2021年 加古川中央市民病院 循環器内科
2024年 隠岐医院 漢方内科
再生医療専門クリニックにて自己脂肪由来幹細胞治療に従事
2026年 SAクリニック 院長

3)基本情報

項目内容
医院名SAクリニック(エスエー クリニック)
所在地〒650-0022 兵庫県神戸市中央区元町通1丁目4-12 MISXビル4階
アクセスJR神戸元町駅 東口より徒歩3分
診療科目再生医療・内科・統合医療
診療時間9:00〜18:00
休診日木曜・日曜・祝日
電話番号078-954-8852
診療形態完全予約制・自由診療(保険適用外)/予約はLINE・電話・問い合わせフォーム

 

SAクリニックの診察室。完全予約制で初診に60分のカウンセリング時間を確保している

内科医が、再生医療に向き合う理由

膝関節の模型を手に、治療の考え方を説明する宮路啓太院長

宮路先生は、循環器内科で心不全・狭心症・生活習慣病など全身の血管と代謝に関わる診療に従事したのち、再生医療専門クリニックで数百症例以上の幹細胞治療に携わってきました。あわせて漢方内科での診療経験も再生医療を支えています。

 

SAクリニック院長・宮路啓太先生のプロフィール写真

「再生医療専門クリニックで勤務し、幹細胞を用いた治療に携わるなかで、当初は半信半疑な部分もありました」

宮路先生は率直にそう振り返ります。しかし長年苦しんできた腰痛や関節の痛みが改善していく方を目の当たりにし、再生医療には大きな可能性があると感じるようになりました。
同時に、別の事実にも直面します。大きく改善する方がいる一方で、改善が限定的な方もいる。この差はどこから来るのか──その問いが、SAクリニックの診療方針を形づくっています。
また宮路先生は、病気そのものは落ち着いても思い描いた生活に戻れない方を数多く見てきました。その大きな要因のひとつが「歩けなくなること」だといいます。歩くことは移動手段ではなく、好きなことを続けるための土台である。だからこそ「歩行回復」を掲げる、というのが宮路先生の説明です。

患者さまの動作と身体の使い方を確認する宮路啓太院長

幹細胞治療とは|自己脂肪由来間葉系幹細胞という選択

1)脂肪から採り、培養し、投与するまで

幹細胞治療は、患者さまご自身の脂肪組織から採取した幹細胞を培養・増殖させ、損傷した部位に投与する再生医療です。SAクリニックが主軸に据えているのは、この自己脂肪由来の間葉系幹細胞を用いる方法で、自分自身の細胞を使うため拒絶反応の心配が原理的に小さく、局所麻酔での採取が可能で、採れる細胞数も比較的多いという特徴があります。

自己脂肪から採取した幹細胞を培養する細胞培養加工施設のイメージ

2)幹細胞は、体のなかで何をしているのか

幹細胞というと「傷んだ軟骨に変わって、失われた組織を作り直す細胞」というイメージを持たれがちですが、実際にはそれだけではありません。間葉系幹細胞は分化する能力を持つと同時に、周囲の細胞に働きかける物質を分泌します。炎症を抑える方向に免疫のバランスを調整し、修復に関わる細胞を呼び寄せ、血管の新生を促す。こうした「周囲への働きかけ」が、治療効果の主要な部分を担っていると考えられています。
つまり幹細胞治療は、「壊れた部品を新品に取り替える治療」というより、「傷んだ環境を修復に向かわせる治療」と捉えたほうが実態に近いといえます。
なお、幹細胞そのものの種類やはたらきについては、「幹細胞とは?種類と肌への美容医療と化粧品の効果を解説」もあわせてご覧ください。

3)変形性膝関節症に対するエビデンスの現在地

現時点でもっとも研究が進んでいるのは、変形性膝関節症に対する関節内投与です。
韓国の多施設共同研究では、K-L分類グレード3(進行期)の変形性膝関節症261例を対象に、自家培養脂肪由来間葉系幹細胞の関節内単回投与とプラセボを比較する二重盲検の第III相試験が行われました【1】。この規模は、本領域では突出しています。
一方、欧州9施設のADIPOA2試験では、軽度〜中等度の135例(解析97例)で脂肪由来間葉系間質細胞とプラセボを比較したところ、主要評価項目である6か月時点の厳格反応者率に有意差は示されませんでした【2】。副次評価のWOMAC疼痛では有意な改善が認められています。
無作為化比較試験6件・551例を統合したメタ解析では、疼痛とWOMACの改善が認められ、有害事象の明確な増加はなかったと報告されています【3】。ただし著者らは、比較対照や細胞製剤のばらつきが大きく、この結果は特定の製品の有効性や、軟骨そのものの構造的な改善を証明するものではないと明確に限定しています。

変形性膝関節症に対する幹細胞治療の主要な臨床エビデンスの比較図

4)わかっていること、まだわかっていないこと

わかってきていること

  • 変形性膝関節症の痛みと機能に対して、一定の改善が報告されている
  • 自家細胞を用いた関節内投与では、重篤な有害事象の明確な増加は示されていない

まだわかっていないこと

  • すべての人に同じ効果が出るわけではなく、試験によって結論が分かれている
  • 軟骨が構造的に再生したことを、一貫して示したデータはない
  • 10年単位の長期成績は、これから蓄積される段階にある
  • 研究の中心は膝関節であり、腰・股関節・肩に同じ結果があてはまるかは検証されていない

宮路先生自身、再生医療ですべてが治るとは言えないと明言しています。そのうえで一人ひとりの状態を診て、ベストな選択肢を一緒に考える。それが診療の姿勢です。

数だけでは語れない|SAクリニックが細胞の「質」にこだわる理由

1)同じ「1億個」でも、中身は違う

幹細胞治療では、投与する細胞の数が重要です。細胞数を治療プランの目安として提示するクリニックも多く、実際に第IIb相試験では、1億個(1×10⁸個)の自家脂肪由来間葉系幹細胞を単回投与し、機能改善と疼痛軽減が報告されています【4】。
ただし、単に「何個投与するか」だけで治療の価値が決まるわけではない、というのがSAクリニックの立場です。同じ「1億個」でも、どれだけ生きた細胞が含まれ、どの程度良い状態を保ち、どのような環境で培養・管理されてきたかによって、届けられるものは変わります。

同じ細胞数でも生きた細胞の割合と質が異なることを示す概念図

2)幹細胞性と細胞老化が、治療成績と関連する可能性

この「質」という視点には、臨床データの裏づけがあります。
変形性膝関節症45例を、高位脛骨骨切り術(HTO)単独群と、HTO後に自家脂肪由来幹細胞を関節内投与する群に無作為に割り付け、24か月まで追跡した研究があります【5】。この研究が着目したのは、治療成績にばらつきが生じる理由でした。
結果として、臨床アウトカムは、投与された幹細胞そのものの幹細胞性(stemness)と細胞老化(senescence)の個体差と相関していました。つまり、同じ治療を行っても、投与される細胞の状態が治療成績の違いに関係している可能性がある、ということです。
SAクリニックが重視している品質も、この考え方に沿っています。実際に生きた状態で投与される細胞数を重視すること。保管・輸送・投与までの時間管理により状態が変わりうるため、良い状態で投与できる体制を整えること。そして、培養環境と工程管理に配慮した細胞培養加工施設と連携すること。この3点です。

3)細胞数・回数を一律に決めない

SAクリニックでは、投与する細胞数や回数を最初から一律に決めることはしていません。関節の状態、痛みの程度、歩行機能、体力、全身状態、ご希望や予算によって適した計画は変わるためです。初診時に診察・検査・歩行評価を行ったうえで、「まずは1回から」「費用も含めて無理のない範囲で」といった希望も含めて、院長が治療計画を提案します。

幹細胞治療・PDF-FD・培養上清液|何がどう違うのか

再生医療という言葉のもとには、性質の異なる複数の治療が含まれ、エビデンスの厚みも同じではありません。

重症度による使い分け。軽症〜中等度はPDF-FD、中等度〜進行した痛みは幹細胞治療、培養上清液は補完的な位置づけ

幹細胞治療PDF-FD幹細胞培養上清液
何を投与するか培養した自分の幹細胞(細胞そのもの)自分の血液由来の成長因子(細胞は含まない)幹細胞を培養した液の上澄み(細胞は含まない)
主に想定される作用炎症の調整と組織修復の促進抗炎症分泌因子による環境調整
主な対象中等度〜進行した関節の痛み軽症〜中等度の痛み、スポーツ障害幹細胞治療の補完、治療後のコンディショニング
準備期間脂肪採取後、培養に4〜6週採血後、加工のため後日投与製剤による
エビデンスの厚み無作為化比較試験・メタ解析あり(結論は分かれる)単群試験が中心前臨床(試験管内・動物)が中心

1)PDF-FDの役割|PRPとの違い

PRP(多血小板血漿)は、ご自身の血液を遠心分離して血小板を濃縮した液です。血小板そのものを含み、院内で調製できるため、採血当日に投与できるのが一般的です。
一方PDF-FD(凍結乾燥血小板由来因子濃縮物)は、このPRPをさらに加工し、血小板が放出する成長因子を取り出したうえで、血液を固まらせるフィブリノゲンを取り除き、専門の施設で凍結乾燥した製剤です【6】。細胞成分を含まず、常温で一定期間保管できる一方、加工に時間を要するため採血当日の投与ではありません。院内で調製するPRPに比べ、製剤の品質が一定に保たれやすい点が利点とされます。
SAクリニックが採用しているのは、このPDF-FDです。PRPそのものは行っていません。また本記事ではSAクリニックの表記に合わせ「PDF-FD」としています(学術論文では「PFC-FD」と表記されるため、参考文献は原著どおりです)。
日本の外来膝クリニックで変形性膝関節症312例にPDF-FDを投与した研究では、12か月後に62%が反応者の基準を満たしました【6】。ただし同じ研究で、約40%は明らかな改善を得られておらず、とくにK-L分類グレード4の進行例では反応率が低いことも報告されています。
SAクリニックでは、症状が比較的軽い方やスポーツによる痛み、幹細胞治療までは希望されない方にPDF-FDを提案する場合があります。組織の損傷が大きいほど幹細胞治療、という使い分けの考え方です。
PDF-FDそのものの作用や安全性、適応となる疾患については、「PDF-FD(C-PRP)療法とは?効果・安全性・適応疾患をエビデンスで検証」で詳しく解説しています。

2)PDF-FDで軟骨再生が証明されているわけではない

ここは誤解されやすい点なので、はっきり書きます。変形性膝関節症へのPDF-FDの関節内投与を検討した研究では、疼痛・日常生活動作・膝関連QOLは改善した一方、可動域制限や引っかかりといった疼痛以外の症状は有意に改善しませんでした【7】。この結果から著者は、治療効果は軟骨の再生ではなく抗炎症作用によるものと結論しています。
PDF-FDは、痛みを和らげる手段として有用性が報告されている治療です。一方で、すり減った軟骨が作り直されることを示したデータはありません。

3)幹細胞培養上清液の位置づけ

幹細胞培養上清液は、幹細胞を培養した液から細胞そのものを取り除いた上澄みです。細胞を投与するのではなく、細胞が分泌したサイトカインや成長因子を届けるという考え方の治療です。
SAクリニックでも幹細胞培養上清液を取り扱っています。培養に4〜6週を要する幹細胞治療と異なり、比較的短い準備で投与でき、脂肪採取を伴わないことが実務上の違いです。位置づけは、幹細胞治療の補完や治療後のコンディショニングにあたります。
ただし、エビデンスの状況は率直にお伝えしておく必要があります。変形性膝関節症を対象とした系統的レビューでは、採用された20報はすべて試験管内または動物実験で、ヒトの臨床試験は含まれていませんでした【8】。炎症の抑制といった肯定的な所見はあるものの、いずれも前臨床段階の知見です。また培養上清液は、細胞を含まないことが明らかな場合、現時点では再生医療等安全性確保法の対象外とされています。ただし厚生労働省は、幹細胞培養上清液やエクソソーム等を用いる医療について、有効性・安全性が確認され薬事承認を得た医薬品は存在しないとして、安全性に十分留意するよう医療機関に周知しています。あわせて、2025年5月に施行された改正法の附則では、細胞の分泌物を用いる医療技術について、施行後2年を目途に法の適用のあり方を検討することが定められています。
つまり幹細胞培養上清液は、関節の痛みに対する治療として、幹細胞治療と同じ土俵で語れる段階にはありません。SAクリニックが幹細胞治療を主軸に据え、培養上清液を補完的な位置づけとしているのは、この差を踏まえてのことです。
培養上清液に含まれる成分や、点滴として用いる場合の効果・デメリットについては、「エクソソーム(幹細胞培養上清液)点滴の効果とデメリットや費用」で詳しく解説しています。

「土壌を整える」──幹細胞が働きやすい身体をつくる

再生医療というと、幹細胞を注射する治療そのものに注目が集まりがちです。しかし宮路先生は、投与された細胞が働くかどうかは受け入れる側の身体の状態に大きく左右されると考えています。

SAクリニック院長・宮路啓太先生のプロフィール写真

「どれほど良い種をまいても、土壌が荒れていれば芽は育ちにくい。再生医療も同じように、幹細胞という「種」だけでなく、それを受け入れる身体の「土壌」を整えることが大切だと考えています」

前章の研究【5】は、この考え方と地続きです。細胞の状態は、その細胞を取り出した身体の状態と無関係ではありません。

根・土壌(内科的アプローチ)、種・芽(再生医療)、大きな樹(歩行回復)の関係を示す概念図

SAクリニックでは、睡眠の質、血流、慢性的な炎症、栄養状態、糖化しやすい食生活、腸内環境や自律神経の乱れといった点を確認します。関節の痛みや歩行機能の低下には全身の状態が関わっていることも少なくなく、こうした観点で評価できるのは、内科にも精通した院長ならではの特徴です。
具体的には、修復の材料を整える栄養指導とサプリメント、炎症や酸化ストレスにアプローチする高濃度ビタミンC点滴、そして必要に応じて、冷えや睡眠、自律神経の乱れを補う漢方などを組み合わせます。いずれも漢方治療そのものを目的とするものではなく、再生医療の効果をできるだけ引き出すための手段です。

落ち着いた雰囲気のなかで点滴療法を受けられるSAクリニックの点滴ルーム

なお、これらが幹細胞治療の効果を高めることを直接検証した臨床試験は、現時点では存在しません。全身状態が細胞の質に影響しうるという知見と、内科医としての臨床経験に基づく治療設計である、という位置づけです。

打って終わりにしない|歩行回復・機能改善プログラム

幹細胞治療で組織の修復が促されても、長年の痛みで衰えた筋力や、痛みをかばううちに癖になった歩き方は自然には戻りません。
この点については、示唆的なデータがあります。変形性膝関節症17例にPDF-FDの注射3回と標準化されたリハビリを併用した後ろ向き観察研究では、反応者は3か月時点で70.6%に達し、機能とQOLの効果量は注射単独の既報を上回りました【9】。予備的かつ非対照の研究であり慎重な解釈を要しますが、「注射して終わり」と「その後に身体の使い方を整える」とでは、たどり着く場所が変わりうることを示す報告です。
SAクリニックのプログラムは、光で炎症や回復環境にアプローチするPBM(フォトバイオモジュレーション)、深部の痛みと働いていない筋肉に作用するハイボルテージ療法、生体電位信号を読み取って腰部の動きをアシストする腰HAL®の3つで構成されます。状態に応じて組み合わせ、歩行距離や関節可動域、日常動作の質の改善と再発予防を目指します。

歩行回復・機能改善プログラムの3要素。PBM、ハイボルテージ療法、腰HAL

このうちPBMは、科学的根拠の評価が分かれています。あるメタ解析では推奨線量域に限れば疼痛と機能障害の改善が認められた一方、推奨域を外れると効果が示されませんでした【10】。他方、9件・518例を統合した別のメタ解析では、シャム照射との有意差は認められなかったと結論されています【11】。
つまりこれらは幹細胞治療の効果を引き出すための補助的な手段であって、単独で痛みを解決する治療ではありません。

装着型ロボットを用いた歩行訓練の様子

一般的な整形外科診療との、役割の違い

SAクリニックの立ち位置を、一般的な診療と比べて整理します。他の医療機関の診療を否定するものではなく、役割の違いとしてご覧ください。

観点保険診療を中心とする整形外科で一般的な選択肢SAクリニック
主な評価画像所見、診察所見、関節機能など関節・歩行機能に加え、血流・炎症・代謝・栄養など全身状態も評価
主な治療選択肢薬物療法、関節内注射、運動療法、手術など再生医療を中心に、全身のコンディショニングと歩行回復プログラムを組み合わせ
リハビリテーション医療機関により、院内または連携施設で実施治療後の歩行機能の回復まで院内で対応

こんな方におすすめ

  • 手術を勧められたが、できるだけ自分の関節を残したい
  • 痛み止めやヒアルロン酸注射を続けても、改善を感じにくい
  • 膝や股関節の痛みで、旅行・外出・階段の上り下りがつらい
  • 幹細胞の数だけでなく、品質や安全性にもこだわりたい
  • 幹細胞を投与するだけでなく、身体の回復環境まで整えたい

逆に、適応とならない場合もあります。判断は初診時の診察と検査に基づいて行われます。
再生医療に対応した整形外科クリニックをどう選べばよいかは、「整形外科クリニックの選び方|失敗しないための7つのポイント【再生医療にも対応】」にまとめています。

幹細胞治療の流れ

幹細胞治療の流れ。初診から血液検査、治療計画、脂肪採取、培養、投与、経過観察まで

ステップ内容
① 初診(60分)症状・歩行状態・既往歴・生活習慣まで含めて評価し、治療の選択肢を説明
② 血液検査感染症の有無や全身状態を確認。画像検査が必要な場合は連携医療機関を案内
③ 治療計画必要な細胞数・投与回数・併用治療を決め、総額の見積りを提示
④ 脂肪採取局所麻酔のもと、必要量の脂肪組織を採取
⑤ 培養(4〜6週)連携する細胞培養加工施設で幹細胞を培養・増殖
⑥ 投与治療計画に沿って幹細胞を投与
⑦ 経過観察経過を評価し、歩行回復プログラムや回復環境づくりを調整

リスク・副作用と、受けられない場合

医療行為にはリスクが伴います。幹細胞治療で想定される主なものは次のとおりです。

  • 脂肪採取に伴うリスク(局所麻酔に関連する反応、出血、内出血、感染、採取部位の痛みや硬さなど)
  • 体調不良や感染症により、予定どおり投与できない場合があります
  • 投与後に起こりうる症状(投与部位の痛み、腫れ、熱感など)
  • 期待した効果が得られない可能性(前述のとおり、改善が限定的な方もいます)

また、全身状態や既往歴によっては適応外となる場合があります。詳細は初診時に院長から直接説明を受けてください。

費用について

SAクリニックの再生医療・統合医療は自由診療です。総額は治療部位・細胞数・投与回数・併用治療によって変わるため、初診時に見積りを提示します。以下は目安です(すべて税込)。

項目料金(税込)
初診料0円
採血16,500円
自己脂肪由来幹細胞治療598,000円〜
代表プラン:1億個 × 3回コース2,998,000円
PDF-FD 1回(2バイアル)/2回(4バイアル)198,000円/348,000円
効果サポート(幹細胞1回用/2回用/3回用/6回用)98,000円/198,000円/298,000円/598,000円

※幹細胞治療の料金には脂肪採取・培養・投与の費用が含まれます(初診料・採血・歩行回復プログラム等は別途)。効果サポートには、PBM+ハイボルテージ、高濃度ビタミンC、漢方/サプリ、経過フォローが含まれます。支払いは現金・クレジットカード・銀行振込で、医療ローンや分割払いには対応していません。治療内容によっては医療費控除の対象となる場合があります。

宮路先生が見据える、これから

現在SAクリニックが対象としているのは、膝・腰・股関節・肩の痛みと歩行機能です。宮路先生は、その先の領域にも関心を向けています。
ひとつは、脳卒中後のリハビリテーション。病気が落ち着いても歩行機能が戻らないことで望んだ生活から離れてしまう──「歩行回復」を掲げる原点と直接つながる領域です。もうひとつは腎不全、肝硬変、糖尿病といった内科領域で、循環器内科医としての経歴を持つ宮路先生には本来の専門に近い場所ともいえます。ただしいずれも検討段階であり、現在提供している治療ではなく、今後の可能性として語られたものです。
もうひとつの問題意識は費用です。再生医療は高額というイメージが強く、その金額が、必要としている人と治療のあいだに立ちはだかっています。質を落とさずに、より現実的な価格で幹細胞治療を届けたい。膝や腰の痛みで本当に困っている方が、現実的な選択肢として再生医療を検討できるクリニックにしたい。初診料を0円とし、細胞数や回数を一律に決めず予算も含めて相談する。その背景には、再生医療を特別な人だけの遠い医療ではなく、身近に相談できる選択肢にしたいという思いがあります。

SAクリニックの幹細胞治療に関するよくある質問

Q1. 効果が出るまで、どのくらいかかりますか?

効果の現れ方には個人差があり、数日で劇的に変わる治療ではありません。臨床試験では6〜12か月の時点で評価されるものが多く、改善が限定的な方もいます。ただしSAクリニックでは、幹細胞治療を単独で行うのではありません。治療前に血流・栄養・炎症といった回復環境を整え、治療後は歩行回復プログラムを組み合わせます。注射とリハビリテーションを併用した研究では、注射単独の既報を上回る改善が報告されています【9】。細胞の培養を待つ4〜6週も、身体を整える時間として活かすことができます。

Q2. 何回受ける必要がありますか?

一律には決めていません。関節の状態、痛みの程度、歩行機能、全身状態、ご希望や予算によって変わります。初診時の診察・検査・歩行評価をもとに相談します。

Q3. 入院は必要ですか?脂肪の採取は痛いですか?

脂肪採取も投与も外来で行い、入院は必要ありません。採取は局所麻酔のもとで行いますが、麻酔時の痛みや、処置後の痛み・内出血・硬さが出ることがあります。程度には個人差があります。

Q4. 他院で再生医療を受けましたが、効果を感じませんでした。相談できますか?

ご相談いただけます。SAクリニックは、投与された細胞の質と、それを受け入れる身体の状態の両方を診る方針をとっています。まず現在の状態を評価したうえで、次に何ができるかを一緒に考えます。

Q5. 保険は使えますか?医療費控除の対象になりますか?

再生医療・統合医療は原則として保険適用外の自由診療です。ただし、治療の内容によっては医療費控除の対象となる場合があります。詳細はクリニックにお問い合わせください。

院長からのメッセージ

SAクリニック院長・宮路啓太先生
MESSAGE
医師からのメッセージ

SAクリニック

院長 宮路啓太先生

「膝・腰・股関節・肩の痛みやしびれで、歩くことに不安を感じておられる方へ。
「もう改善しないのではないか」「年齢のせいだから」と諦めてしまう前に、一度ご相談いただきたいと思っています。再生医療ですべてが治るとは申し上げられません。大きく改善される方もいれば、改善が限られる方もいます。それでも、痛みの背景がどこにあり、いま何ができるのかを一緒に整理することはできます。私は内科医として、関節だけでなく、血流や栄養、炎症、睡眠といった身体全体を診てきました。細胞の質と、それを受け入れる身体の状態、そして治療後の歩き方まで。費用のことも、率直にお伝えしておきます。再生医療は自由診療で、決して小さな金額ではありません。それでも、必要としている方に届く医療にしたいと考え、初診料はいただかず、細胞数や回数も一律に決めずに、ご予算を含めて一緒に計画を立てています。まずはご相談だけでも構いません。お一人おひとりに合った道筋を、一緒に考えさせてください。生涯、ご自分の足で歩いていただくために。」

まとめ|「歩けること」から逆算する医療

自己脂肪由来の間葉系幹細胞を用いた関節内投与は、変形性膝関節症で第III相試験まで到達している一方、有意差を示せなかった試験もあり、すべての人に同じ効果が出るわけではありません。軟骨の構造的な再生を一貫して示したデータもなく、研究の中心は膝関節に限られています。
そのうえでSAクリニックが重ねているのは、3つの視点です。投与する細胞の数だけでなく質を見ること。細胞を受け入れる身体の土壌を、内科医の目で整えること。そして、投与して終わりにせず、歩き方までを一続きで考えること。「もう歳だから」「手術しかない」と諦める前に、選択肢がどこまであり、どこからがまだわかっていないのかを知る。そのうえで判断することが、この領域ではとくに大切です。

SAクリニックの再生医療を支える3つの視点。細胞の質、身体の土壌、歩行回復を一体で捉える考え方

*本記事の情報は執筆時点のものです。料金・メニュー・治療内容は変更される場合があります。最新情報は公式サイトまたはクリニックに直接ご確認ください。

参考文献(エビデンス)

本記事の科学的根拠として、以下の文献を参照しています。
【1】Kim KI, Lee MC, Lee JH, Moon YW, Lee WS, Lee HJ, Hwang SC, In Y, Shon OJ, Bae KC, Song SJ, Park KK, Kim JH. Clinical Efficacy and Safety of the Intra-articular Injection of Autologous Adipose-Derived Mesenchymal Stem Cells for Knee Osteoarthritis: A Phase III, Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Trial. Am J Sports Med. 2023;51(9):2243-2253.
PMID: 37345256 DOI: 10.1177/03635465231179223
日本語要旨:K-L分類グレード3の症候性変形性膝関節症261例を対象に、自家培養脂肪由来間葉系幹細胞の関節内単回投与とプラセボを比較した多施設・二重盲検の第III相試験(韓国)。本領域で最大規模の無作為化比較試験であり、幹細胞治療の有効性と安全性を論じるうえで現時点でもっとも質の高い臨床データにあたる。ただし対象は膝関節であり、腰・股関節・肩や全身投与に同じ結果があてはまるかは検証されていない。
【2】Pers YM, Schrezenmeier H, Fleury-Cappellesso S, Nöth U, Rackwitz L, Ferreira R, Berenbaum F, et al.(ADIPOA2 consortium). Effect of intra-articular adipose-derived mesenchymal stromal cell versus placebo injection on pain and function in patients with knee osteoarthritis: the ADIPOA2 phase 2b randomised clinical trial. Ann Rheum Dis. 2025;84(12):2103-2114.
PMID: 40885690 DOI: 10.1016/j.ard.2025.07.026
日本語要旨:欧州9施設で軽度〜中等度の変形性膝関節症135例(解析97例)を、脂肪由来間葉系間質細胞の低用量・高用量・生理食塩水プラセボの3群に無作為に割り付けた二重盲検の第IIb相試験。主要評価項目であるOARSI/OMERACTの厳格反応者率は、6か月時点でプラセボと有意差がなかった。副次評価のWOMAC疼痛では有意な改善を認めている。忍容性は良好で、有害事象は軽微かつ一過性であった。幹細胞治療の効果が一律ではないことを示す重要な試験。
【3】Han JH, Jung M, Chung K, Moon HS, Jung SH, Baik SH, Koo J, Sim W, Kim SH. Autologous adipose-derived mesenchymal stromal cell injection for knee osteoarthritis improves pain and function without a clear increase in adverse events: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2026 Aug 10.(オンライン先行)
PMID: 42573097 DOI: 10.1002/ksa.70569
日本語要旨:無作為化比較試験6件・551例を統合したシステマティックレビューおよびメタ解析(エビデンスレベルI)。関節内投与により疼痛(VAS)とWOMACの改善が認められ、有害事象の明確な増加はなかったと報告している。一方で著者は、比較対照・盲検化・細胞製剤の異質性が大きく、本結果は特定の標準化された製品の有効性や、構造的な疾患修飾を証明するものではないと明確に限定している。
【4】Lee WS, Kim HJ, Kim KI, Kim GB, Jin W. Intra-Articular Injection of Autologous Adipose Tissue-Derived Mesenchymal Stem Cells for the Treatment of Knee Osteoarthritis: A Phase IIb, Randomized, Placebo-Controlled Clinical Trial. Stem Cells Transl Med. 2019;8(6):504-511.
PMID: 30835956 DOI: 10.1002/sctm.18-0122
日本語要旨:変形性膝関節症の患者に対し、高用量(1×10⁸個=1億個)の自家脂肪由来間葉系幹細胞の関節内単回投与とプラセボを比較した第IIb相の無作為化二重盲検試験。外来での注射のみで機能改善と疼痛軽減が得られ、6か月時点で明らかな有害事象はなかったと報告している。ただし各群12例・追跡6か月と小規模かつ短期であり、著者自身がより大規模で長期の検証が必要と述べている。
【5】Sun H, Zhai H, Han K, Ma H, Tan Y, Li S, et al. Clinical outcomes of autologous adipose-derived mesenchymal stem cell combined with high tibial osteotomy for knee osteoarthritis are correlated with stem cell stemness and senescence. J Transl Med. 2024;22(1):1039.
PMID: 39558365 DOI: 10.1186/s12967-024-05814-3
日本語要旨:変形性膝関節症45例を、高位脛骨骨切り術(HTO)単独群22例と、HTO後に自家脂肪由来幹細胞を関節内投与する群23例に無作為に割り付け、24か月まで追跡した前向き試験。臨床成績にばらつきが生じる理由を、投与された幹細胞そのものの幹細胞性(stemness)と細胞老化(senescence)の個体差に求め、両者が臨床アウトカムと相関することを示した。細胞の「数」だけでなく「質」が結果を左右しうることを、ヒトの臨床データで示した研究。
【6】Ohtsuru T, Otsuji M, Nakanishi J, Nakamura N, Lyman S, Hanai H, Shimomura K, Ando W. Freeze-dried noncoagulating platelet-derived factor concentrate is a safe and effective treatment for early knee osteoarthritis. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2023;31(11):4716-4723.
PMID: 37380754 DOI: 10.1007/s00167-023-07414-y
日本語要旨:日本の外来膝クリニックで、変形性膝関節症312例に凍結乾燥血小板由来因子濃縮物(PFC-FD)を投与した前向き単群試験。投与12か月後にOMERACT-OARSI基準で62%が反応者となった一方、約40%は明らかな改善を得られず、とくにK-L分類グレード4では反応率が低かった。有害事象は6%で、注射部位の疼痛・腫脹が中心。対照群を置かない単群試験である点、および著者の一部が製造元から役務の対価を受けている点には留意が必要。
【7】Shirata T, Kato Y. Can intra-articular injection of freeze-dried platelet-derived factor concentrate regenerate articular cartilage in the knee joint? Regen Ther. 2019;11:5-7.
PMID: 31193113 DOI: 10.1016/j.reth.2019.03.005
日本語要旨:変形性膝関節症に対するPFC(血小板由来因子濃縮物)の関節内投与の臨床成績を報告した研究。疼痛・日常生活動作・スポーツ活動・膝関連QOLは改善した一方で、可動域制限や引っかかりといった疼痛以外の症状は有意に改善しなかった。この結果から著者は、治療効果は軟骨の再生ではなく抗炎症作用によるものと考えられると結論している。
【8】D’Arrigo D, Roffi A, Cucchiarini M, Moretti M, Candrian C, Filardo G. Secretome and Extracellular Vesicles as New Biological Therapies for Knee Osteoarthritis: A Systematic Review. J Clin Med. 2019;8(11):1867.
PMID: 31689923 DOI: 10.3390/jcm8111867
日本語要旨:変形性膝関節症に対する幹細胞の分泌成分(セクレトーム)および細胞外小胞の可能性を整理した系統的レビュー。採用された20報の内訳は、試験管内のみが9報、試験管内と動物実験の併用が9報、動物実験のみが2報で、細胞増殖の促進、炎症の抑制、異化経路の抑制といった肯定的な所見が報告されている。一方で、対象研究はすべて前臨床段階であり、ヒトを対象とした臨床試験は含まれていない。
【9】Oka T, Tanaka K, Nakagawa K, Ishida M, Noguchi K. Preliminary Clinical Outcomes of Biotherapy Combined With Rehabilitation for the Treatment of Knee Osteoarthritis: A Retrospective Observational Study. Cureus. 2026;18(5):e109836.
PMID: 42367418 DOI: 10.7759/cureus.109836
日本語要旨:変形性膝関節症17例に対し、PFC-FDの注射を3回行ったうえで標準化されたリハビリテーションを3回以上併用した後ろ向き観察研究。反応者は1か月時点で52.9%、3か月時点で70.6%に達し、機能とQOLの効果量は注射単独の既報を上回った。ただし著者自身が、予備的かつ非対照の研究であり慎重な解釈を要すると明記しており、リハビリの上乗せ効果を確定した研究ではない。
【10】Stausholm MB, Naterstad IF, Joensen J, Lopes-Martins RAB, Sæbø H, Lund H, Fersum KV, Bjordal JM. Efficacy of low-level laser therapy on pain and disability in knee osteoarthritis: systematic review and meta-analysis of randomised placebo-controlled trials. BMJ Open. 2019;9(10):e031142.
PMID: 31662383 DOI: 10.1136/bmjopen-2019-031142
日本語要旨:変形性膝関節症に対する低出力レーザー治療(フォトバイオモジュレーション)の無作為化プラセボ対照試験を統合し、照射線量と効果の関係を検討したシステマティックレビューおよびメタ解析。世界光生物調節学会(WALT)の推奨線量域で照射された試験では疼痛と機能障害の改善が認められた一方、推奨域を外れた線量では効果が示されなかった。効果が線量条件に強く依存することを示した研究。
【11】Huang Z, Chen J, Ma J, Shen B, Pei F, Kraus VB. Effectiveness of low-level laser therapy in patients with knee osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis. Osteoarthritis Cartilage. 2015;23(9):1437-1444.
PMID: 25914044 DOI: 10.1016/j.joca.2015.04.005
日本語要旨:変形性膝関節症に対する低出力レーザー治療の無作為化比較試験9件・518例を統合したメタ解析。治療直後および12週後のいずれにおいても、VAS疼痛スコア、WOMACの疼痛・こわばり・機能の全項目で、シャム(偽)照射との有意差は認められなかったと結論している。なお本論文に対しては後日、上記【10】の著者らから方法論上の批判が提出され、著者側の反論も公表されている。

※自由診療・再生医療等提供計画について

SAクリニックで行う幹細胞治療は、公的医療保険の適用外となる自由診療です。
日本では、細胞を用いる医療は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)」に基づく規制を受けます。自己脂肪由来幹細胞を用いる治療は第二種再生医療等に分類され、医療機関はあらかじめ提供計画を作成し、認定再生医療等委員会の審査を経て厚生労働大臣に届け出る必要があります。

  • 効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません
  • 自由診療のため費用は全額自己負担となり、医療機関によって金額が異なります
  • 万一健康被害が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度などの公的救済制度の対象外となる可能性があります

治療前に、使用する細胞、培養を行う施設、リスク、代替となる治療について説明を受け、納得したうえで判断することが大切です。
※本記事は医療に関する情報提供を目的としたものであり、診断・治療方針の決定は必ず医療機関での診察に基づいて行ってください。

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