プルリアルは、サーモン由来のポリヌクレオチド(PN)を主成分とする注入製剤で、目周りを想定した「シルク」と顔全体向けの「デンシファイ」があります。この記事では2製剤の成分と使い分け、リジュランとの違い、期待できる効果と持続期間、副作用、そして査読論文で確認できるエビデンスと限界を医師監修で解説します。
| <看護師アドバイザー>
<執筆>
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「プルリアルのシルクとデンシファイ、どちらを選べばいいの?」
クリニックのサイトを見ると2つの名前が並んでいて、違いの説明を読んでもいまひとつピンとこない——そう感じていませんか?
プルリアルは、サーモン由来のポリヌクレオチド(PN)を主成分とする注入製剤です。同じシリーズでありながら、シルクとデンシファイでは含まれる成分も、想定されている部位も異なります。
また、PN製剤についてはリジュランとの比較も気になるところだと思います。そこでナールス美容医療アカデミーでは、査読付き論文をもとに、プルリアルの良い点も限界も包み隠さずお伝えします。
この記事でわかること
こんな疑問を持っていませんか?
「シルクとデンシファイは何が違うの?」「リジュランとどちらがいいの?」「本当にコラーゲンは増えるの?」——ネットで検索してもクリニックの施術ページばかりで、根拠まで踏み込んだ情報にたどり着けないとお悩みの方は多いのではないでしょうか。
この記事では、ナールス美容医療アカデミーが以下の内容を詳しくお伝えします。
1)シルクとデンシファイの違い
PN含有量、ヒアルロン酸やマンニトールの有無、想定される部位がどう違うのかを一覧で整理し、部位と悩み別の選び方を示します。
2)PDRNとPNという用語の混乱
「PDRN配合」「PN配合」という表記は何が違うのか。分子量による説明と、実際には定義が統一されていないという学術的な指摘を、あわせてご紹介します。
3)査読論文でわかっていること・わかっていないこと
プルリアル シルクそのものを評価した前向き観察研究、PN製剤全体のシステマティックレビュー、そしてPNとヒアルロン酸を直接比べたランダム化比較試験を取り上げます。あわせて、クリニックのサイトでよく見かける「肌年齢が◯歳若返る」というメーカー公表データの読み方もお伝えします。
4)この記事の対象読者
- プルリアルの施術を検討していて、シルクとデンシファイの選び方を知りたい方
- リジュランなど他のPN製剤と迷っている方
- 目の下のクマや小ジワを、肌育注射で改善できるか知りたい方
- すでに受けたことがあり、継続すべきか判断したい方
プルリアルとは?ポリヌクレオチド(PN)を主成分とする肌育注射

近年の美容医療では、シワを「埋める」ヒアルロン酸から、肌そのものの質を整える「肌育(はだいく)」という考え方へのシフトが鮮明になっています。プルリアルは、その流れのなかで注目されているポリヌクレオチド(PN)製剤の一つです。
肌育という考え方の全体像は、「肌育とは?効果・種類・おすすめの肌育注射とスキンブースターを徹底解説」で詳しく解説しています。
1)開発元と承認状況
プルリアルは、ルクセンブルクに拠点を置くMD Skin Solutions社が展開する注入製剤のシリーズです。欧州では、医療機器としてCEマークが付された製品として流通しています。
シリーズにはさまざまな製品がありますが、日本の美容医療で「プルリアル」として紹介されることが多いのは、PNを主成分とする「プルリアル シルク」と「プルリアル デンシファイ」の2製剤です。この記事では、この2つを中心に解説します。
2)ポリヌクレオチド(PN)とは
PNは、サケ由来のDNAを高度に精製して得られる高分子です。PDRNでは、分解によって生じるアデノシンなどを介したアデノシンA2A受容体経路の関与が報告されており、PNについても同様の経路が作用機序の一つとして想定されていますが、製剤ごとの詳細な作用機序は十分に確立していません【1】。
「サケのDNAを注射する」と聞くと驚かれるかもしれませんが、遺伝情報として働くわけではありません。DNAを断片化した高分子が、細胞に対する信号や材料として作用するという考え方です。
3)ヒアルロン酸フィラーとの違い
一般的なヒアルロン酸フィラーは、架橋処理を施したヒアルロン酸を深い層に注入し、しわの溝を埋めたり輪郭に立体感を出したりする「かたち」への治療です。
詳しくは、「ヒアルロン酸注射の肌への効果・持続期間はいつまで?ボトックスとの違いも解説!」をご覧ください。
一方でプルリアルは、皮膚そのものの状態を整える「質」へのアプローチです。注入直後にボリュームが出るタイプの治療ではないため、期待するゴールが違う点をあらかじめ理解しておくことが大切です。
プルリアル シルクとデンシファイの違い

同じプルリアルという名前でも、シルクとデンシファイでは配合が異なります。ここを理解しておくと、カウンセリングでの説明が格段にわかりやすくなります。
1)プルリアル シルク
シルクは、ヒアルロン酸を含まないPN単剤タイプです。2mLのシリンジ1本にPNが15mg(7.5mg/mL)含まれています。
目元や口元など、皮膚が薄くデリケートな部位への注入が想定されており、販売元は、薄くデリケートな皮膚、とくに眼周囲への使用に適した製剤と説明しています。目の下のクマや小ジワを目的として用いられることが多く、傷あとへの使用も紹介されていますが、製品固有の臨床エビデンスは限定的です。

2)プルリアル デンシファイ
デンシファイは、PNに非架橋ヒアルロン酸とマンニトールを組み合わせたタイプです。2mLあたりPN 20mg、非架橋ヒアルロン酸20mg、マンニトール80mgという構成で紹介されています。
非架橋ヒアルロン酸を含むため、施術後早期に保水感などの変化を感じる可能性があり、頬の毛穴、首のシワなど顔全体への注入が想定されています。ただし、深いほうれい線をボリュームで補正する一般的な架橋ヒアルロン酸フィラーとは目的が異なり、期待できるのは浅い細かな線の見え方や肌質の改善です。
3)2製剤の比較表
| 項目 | プルリアル シルク | プルリアル デンシファイ |
| 主成分 | PN 15mg/2mL(7.5mg/mL) | PN 20mg/2mL |
| ヒアルロン酸 | 含まない | 非架橋ヒアルロン酸 20mg |
| その他 | — | マンニトール 80mg |
| 想定される部位 | 目周り、口元などデリケートな部位 | 顔全体、首、デコルテ |
| 主な狙い | 目の下のクマ、小ジワ、薄い皮膚の肌質 | 毛穴、浅いシワ・乾燥小ジワ、全体の肌質 |
※配合・仕様は改訂される可能性があります。施術時には、医療機関で現物の添付資料や製品情報をご確認ください。
4)どちらを選ぶ?部位と悩み別の考え方
おおまかには、皮膚が薄くデリケートな目周りが主な悩みならシルク、顔全体の毛穴やハリが気になるならデンシファイ、という整理になります。
ただしこれは製剤の設計上の想定であり、「シルクのほうが優れている」「デンシファイのほうが効く」という優劣の話ではありません。どの部位に、どの深さで、どのくらいの量を注入するのかを含めて、医師と相談して決めるものと考えてください。

PDRNとPNは何が違う?用語の混乱を整理する
プルリアルやリジュランを調べていると、「PDRN」と「PN」という2つの表記が出てきます。ここは多くの方が混乱するポイントなので、少していねいに整理します。
1)分子量による説明
一般的には、PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)は比較的低分子量のDNA断片、PN(ポリヌクレオチド)はより高分子量のDNA断片、と説明されます。高分子量のほうが粘性が高く、作用が持続しやすいとされています。
2)実際には定義が統一されていない
ところが2025年にBiomolecules誌に掲載されたレビューでは、この整理がそれほど単純ではないことが指摘されています【1】。
PDRNとPNの分子量はおおむね50〜1500kDaの範囲とされてきましたが、近年の研究では1kDaという小さな断片から10,000kDaという大きなものまで幅が広がっています。そして何より、学術文献のなかで「PDRN」と「PN」という言葉が互換的に使われてきたことが、相当な混乱を招いていると著者らは述べています。
3)表記を読むときの注意点
つまり、「PN配合だからPDRN配合より優れている」といった単純な比較は成り立ちません。製品を選ぶ際に見るべきなのは、PDRNかPNかというラベルではなく、その製剤について実際にどのような臨床データがあるか、という点です。
プルリアルの作用メカニズム

1)アデノシンA2A受容体を介した作用
PDRNについては、分解によって生じるアデノシンなどが細胞表面のアデノシンA2A受容体に作用し、炎症を抑え、組織の修復を促す経路が報告されています【1】。PNでも同じ経路が作用機序の一つとして想定されており、皮膚の赤みや炎症を伴う状態に用いられる背景にもなっていますが、製剤ごとの詳細な作用機序は十分に確立していません。
2)線維芽細胞とコラーゲン産生
真皮の線維芽細胞が活性化されることで、コラーゲンをはじめとする細胞外マトリックス成分の産生が促されると考えられています。ただし、この作用がどの程度、どのくらいの期間続くのかについては、後述するとおり研究デザインによって示され方が異なります。
3)マンニトールの役割
メーカーは、デンシファイに配合されているマンニトールを、抗酸化およびヒアルロン酸の安定化(分解抑制)を目的とする成分として説明しています。
ここで注意したいのは、「配合されていること」と「その配合によって効果が上乗せされたことが臨床試験で示されていること」は別だという点です。実際、デンシファイにマンニトールを加えることで臨床効果や持続期間がどの程度上乗せされるかを示した質の高い比較試験は確認できません。この区別は、広告表現を読むうえでも大切なポイントになります。
プルリアルで期待できる効果とエビデンス

ここからが、この記事でもっともお伝えしたい部分です。「何が確かめられていて、何がまだ確かめられていないのか」を、順を追って見ていきます。
1)シルクそのものを評価した前向き観察研究
2026年にJournal of Cosmetic Dermatologyに掲載された研究では、プルリアル シルク(7.5mg/mL)を用いて、目の下の若返りを希望した患者に1回あたり2mLを皮内注入し、経過を追っています【2】。
42例が対象で、評価には妥当性が確認されている患者報告アウトカム尺度(FACE-Q)が用いられました。その結果、下眼瞼と目尻の評価スコアは、治療前と比べてすべての追跡時点(1か月、3か月、6か月)で有意に改善しました(p<0.001)。もっとも改善が大きく満足度が高かったのは、2回の施術を終えた3か月時点でした。有害事象は軽微だったと報告されています。
一方で、この研究には対照群がありません。著者ら自身も、有効性を確認し治療プロトコルを洗練させるためにはさらに対照試験が必要だと述べています。「良くなった人が多かった」ことは示されていますが、他の治療と比べて優れているかどうかを示すものではない、という点は押さえておきたいところです。
2)PN製剤全体のシステマティックレビュー
2025年のシステマティックレビューでは、2010年から2024年までに発表されたPNの美容医療研究9報、219人が評価されました【3】。
シワ、肌質、弾力などで有望な結果が報告された一方、含まれた研究の質は低〜中等度で、注入部位や手技にもばらつきがありました。著者らは、PNの有効性と安全性を検証するにはより質の高い研究が必要だと結論づけています。
つまりPN全体としても、「期待できるデータはあるが、最適な製剤・量・回数まで確立したとは言いにくい」という段階です。
3)PNとヒアルロン酸を直接比べた試験

数少ないランダム化比較試験として、目周りでPNと非架橋ヒアルロン酸を左右で比較したスプリットフェイス試験があります【4】。27名を対象に、2週間間隔で計3回の注入を行い、二重盲検で評価したものです。
結果は興味深いものでした。患者による視覚アナログスケール(VAS)評価では、PN側とヒアルロン酸側で有意な差は認められませんでした。研究者による総合的美容改善スケール(GAIS)評価も多くの時点で有意差がありませんでしたが、16週時点ではPN側が有意に高いと報告されています。一方で、皮膚の弾力と水分量の改善率はPN側のほうが高く、肌のきめの粗さと毛穴の体積の改善率もPN側が上回りました。ただし真皮密度の改善率には、両群で有意な差はありませんでした。
「見た目の評価はおおむね同等(GAISは16週時点のみPN側が有意に良好)だが、機器で測る肌の質のパラメータではPNに分がある」——この結果は、PN製剤に何を期待すべきかを考えるうえで示唆に富んでいます。なお対象は27名と小規模である点には留意が必要です。
4)メーカー公表データの読み方
クリニックのサイトでは、「メーカーの調査で、2回の施術により肌年齢が平均で7歳若返ったと報告されている」といった数値を目にすることがあります。
こうしたデータは、肌画像解析機器を用いたメーカー側の調査に基づくものであり、査読を経た学術論文として発表されたものとは性質が異なります。数値そのものを否定するものではありませんが、「査読付き論文で確かめられたこと」と「メーカーが公表しているデータ」は、分けて受け取るのが安全です。
この区別は、プルリアルに限らず、あらゆる美容医療の情報を読むときに役立ちます。
5)エビデンスの限界を整理すると
- 製剤そのものを評価した研究は対照群のない観察研究が中心である
- ランダム化比較試験は存在するが、症例数が27名程度と小規模
- シルクとデンシファイそれぞれについての研究が十分に分かれていない
- PDRNとPNという用語自体の定義が統一されておらず、研究間の比較が難しい
- 長期の安全性データは限られている
これらは「効果がない」という意味ではありません。「期待できる根拠はあるが、確立したとは言いにくい」という段階だ、ということです。
施術の流れ・回数・持続期間

1)回数と間隔の目安
回数や間隔は、使用する製剤や施術部位、医療機関の方針によって異なります。国内の医療機関では、3〜4週間おきに3回程度を初回のコースとして提案されることが多いようです。
研究における設計を参考にすると、目周りを対象とした前述の研究では、2回の施術を終えた3か月時点で改善と満足度がもっとも大きくなっていました【2】。また、PNとヒアルロン酸を比較した試験では、2週間間隔で計3回という設計がとられています【4】。
2)効果を実感しはじめる時期
デンシファイはヒアルロン酸を含むため直後から変化を感じやすいとされますが、PNによるコラーゲンへの働きかけには時間がかかります。1回で劇的に変わる治療ではなく、回数を重ねながら少しずつ整えていく治療と考えるのが現実的です。
3)痛みと痛み対策
PN製剤は、肌育注射のなかでは注入時の痛みが出やすいとされています。医療機関によっては、クリーム麻酔、極細針、振動による痛みの緩和装置などを組み合わせて対応しています。痛みが心配な方は、カウンセリングの段階で対策を確認しておくとよいでしょう。
プルリアルの料金の目安
プルリアルは自由診療のため、料金は医療機関ごとに設定されています。ここでは複数の医療機関が公表している料金をもとに、幅を持たせた目安をご紹介します。
1)製剤別の料金相場
| 製剤 | 1回あたりの目安(税込・2mL) | コースの目安(税込) |
| プルリアル シルク | 約35,000〜110,000円 | 3回で約150,000〜300,000円 |
| プルリアル デンシファイ | 約50,000〜110,000円 | 3回で約150,000〜300,000円 |
※2026年8月時点で、複数の医療機関が公表している料金をもとに算出した目安です。実際の料金は医療機関によって異なります。
※医療機関によっては、デンシファイ2ccを1回280,000円台に設定している例もあり、肌育注射のなかでも価格差が大きい製剤です。
2)料金が変動する要因
- 注入量(cc数・本数):量が増えれば費用も上がります
- 注入方法:医師の手打ちか、水光注射などの機械注入かで料金が異なります
- 部位:目周りのみか、全顔かによって使用量が変わります
- 麻酔代・初診料:表面麻酔や初診料が別途必要な医療機関もあります
- モニター価格・コース契約:条件付きで通常料金より安く設定されている場合があります
3)料金を見るときの注意点
比較するときは、「1回いくら」だけでなく、「1mLあたりいくら」「1シリンジ(通常2mL)あたりいくら」「コース総額でいくら」という物差しを持つと、医療機関ごとの違いが見えやすくなります。同じ「1回◯◯円」でも、使用量が2mLと1mLでは意味がまったく違うためです。
また、料金だけでなく、使用する製剤の正式名称、使用量、国内未承認であること、入手経路、施術者、麻酔代や診察料の有無もあわせて確認しましょう。未承認医療機器である以上、どこから入手した製品なのかを説明できる医療機関を選ぶことが大切です。
なお、美容目的のプルリアルは自由診療であり、健康保険は適用されません。医療費控除の対象にもならないのが原則です。
ダウンタイム・副作用・リスク

1)報告されている有害事象
報告されている副作用は、注入部位の内出血、腫れ、赤み、注入時の痛みなど、注射に伴う一般的なものが中心です。前述の目周りの研究でも、有害事象は軽微だったと報告されています【2】。
PN製剤では、これまでの臨床研究で重篤な有害事象は多く報告されていません。ただし、顔面への注入手技である以上、感染や誤注入などのリスクを完全には否定できません。血管閉塞は一般的なフィラー注入で知られる重篤な合併症ですが、PN製剤についての発生頻度や製剤固有のリスクは十分に明らかになっていません。特に目周りは血管が豊富で皮膚が薄い部位のため、解剖に習熟した医師のもとで受けることが重要です。
2)サケ由来成分に関する注意
PNはサケ由来のDNAから精製された成分です。サケ由来成分に対するアレルギーがある方は、使用できない場合があります。高度に精製された製剤でもアレルギー反応の可能性を完全には否定できないため、魚介類のアレルギーがある方は、必ず事前に医師へ申し出てください。
3)受けられない人・注意が必要な人
- 製剤の成分にアレルギーのある方
- 注入部位に感染や炎症がある方
- 妊娠中・授乳中の方
- 抗凝固薬を服用中の方(内出血が出やすくなります)
- ケロイド体質の方
該当する可能性がある場合は、必ず事前に申し出てください。
他の肌育注射との違い

1)リジュランとの違い
リジュランも、サケ由来のPNを主成分とする代表的な肌育注射です。プルリアルとは、主成分の考え方という点では共通しています。
違いとして挙げられるのは、開発元と製造国、PNの濃度や添加成分、そして各製剤について蓄積されている臨床研究の内容です。「同じPN製剤だから同じ」ではなく、製品ごとの研究を分けて見る必要があります。実際に使用される製剤について、どのようなデータがあるのかを医師に確認するのが確実です。
詳しくは、「リジュラン注射とは?効果やメリット、ダウンタイムやデメリット」をご覧ください。
2)主な肌育注射の位置づけ
ひとくちに肌育注射といっても、主成分も作用の考え方も、蓄積されている臨床データの量も一様ではありません【5】【6】。
| 製剤 | 主な位置づけ・成分 | 狙いのイメージ | エビデンスの見方 |
| プルリアル | PN系(デンシファイは非架橋HA・マンニトール併用) | 目周りの肌質、毛穴、赤み | 製剤固有の前向き観察研究あり。比較試験ではない |
| リジュラン | PN系 | 肌質・小ジワ・組織環境 | PN全体のレビューあり。製品ごとの研究を分けて見る |
| プロファイロ | 高・低分子HAの安定化ハイブリッド複合体 | 保湿、弾力、密度 | システマティックレビューあり。利益相反に留意 |
| ピンクグロー | HA+ビタミン・グルタチオン等の複合型 | 保湿、明るさ、質感 | 製剤自体の査読付き臨床エビデンスは限定的 |
| ジャルプロ | HA+アミノ酸の複合型 | 保湿、ハリ、ECM環境 | HA+アミノ酸のレビュー・メタ解析あり |
3)それぞれの製剤をもっと詳しく
①リジュラン
同じサケ由来のPNを主成分とする製剤ですが、開発元と製造国、PNの濃度や添加成分が異なります。プルリアルのシルクが目周りを主な想定部位として設計されているのに対し、リジュランは顔全体の肌質や小ジワまで幅広く用いられます。
詳しくは、「リジュラン注射とは?効果やメリット、ダウンタイムやデメリット」をご覧ください。
②プロファイロ
PNではなく、高分子量と低分子量のヒアルロン酸を安定化させたハイブリッド複合体です。「バイオリモデリング」という考え方で保湿・弾力・密度を狙います。製品別のシステマティックレビューがありますが、著者にメーカー関係者が含まれる点は押さえておきたいところです。
詳しくは、「プロファイロの効果や持続期間は?メリット・デメリットも解説!」をご覧ください。
③ピンクグロー
非架橋ヒアルロン酸に、ビタミン、アミノ酸、グルタチオンなど多数の成分を組み合わせた複合型です。うるおいやハリに加えて、くすみや色ムラといった明るさの悩みも意識した設計ですが、製剤そのものを評価した査読付き臨床エビデンスは限られています。
詳しくは、「ピンクグロー注射とは?効果・成分・副作用・ダウンタイムを医師監修で解説」をご覧ください。
④ジャルプロ
ヒアルロン酸に、コラーゲンの材料となるアミノ酸を組み合わせた製剤です。組織の修復環境に働きかけるPN系のプルリアルに対し、材料を補うという設計思想の違いがあります。HA+アミノ酸としてのメタアナリシスはありますが、製剤別の研究は限られます。
詳しくは、「ジャルプロ注射とは?効果・成分・種類の違い・副作用を医師監修で解説」をご覧ください。
4)製剤名より先に考えたいこと
大切なのは、製剤名を横並びで比べる前に「自分は何を改善したいのか」を整理することです。目の下のクマなのか、毛穴なのか、赤みなのか、全体の質感なのか。目的が決まってはじめて、その目的にどの製剤が向いているのかを医師と検討できます。
そのうえで、なぜその製剤なのか、どの層にどのように注入するのか、どの程度のエビデンスがあるのかを確認する。この順番で考えると、広告の印象に流されにくくなります。
<参考記事>
【独自採点83.7点】湘南美容クリニックの女優注射・肌育注射の口コミ・評判を10項目で徹底評価!効果・料金・ダウンタイムまで解説
国内での承認状況と確認したいこと

1)プルリアルは国内未承認の医療機器
プルリアルは、日本国内では医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく承認を受けていない未承認医療機器です。欧州でCEマークが付されていることと、日本国内で承認されていることは別の話です。国内で使用されている場合、医療機関が個人輸入等によって入手していることがありますが、実際の入手経路は医療機関ごとに確認する必要があります。
厚生労働省は、個人輸入した未承認医薬品・医療機器について、日本の基準に基づく品質・有効性・安全性の確認がなされていないこと、副作用等が生じた場合に対処法が不明なことがあることなどを注意喚起しています。
2)カウンセリングで確認したい5つのこと
- 使用する製剤の正式名称とタイプ(シルクかデンシファイか)
- 国内での承認状況と、その医療機関での入手経路
- 同一の成分・性能を持つ国内承認製品があるかどうか
- 期待できる効果と、期待できないこと(限界)
- 起こりうる副作用・合併症と、その場合の対応
医療広告ガイドラインでは、未承認医薬品等を用いた自由診療をウェブサイトに掲載する場合、未承認であること、入手経路、国内承認品の有無、諸外国における安全性等の情報などを明示することが求められています。上記の5項目は、これらを踏まえて患者側から確認したいポイントを整理したものです。ウェブサイトにこうした記載があるかどうかは、医療機関を選ぶ際の一つの目安になります。

プルリアルに関するよくある質問
Q1.シルクとデンシファイは併用できますか?
医療機関によっては、部位に応じて使い分けたり組み合わせたりする方針をとっています。ただし併用による上乗せ効果を示した臨床試験があるわけではないため、なぜその組み合わせなのかを医師に確認してください。
Q2.目の下のクマには効果がありますか?
シルクは目周りを想定して設計された製剤で、前向き観察研究でも下眼瞼と目尻の評価スコアの改善が報告されています【2】。ただし、この研究は青クマ・茶クマ・影クマを分類して有効性を検証したものではありません。「クマ」には血管が透けて見えるタイプ、色素沈着のタイプ、影によるタイプがあり、原因によって適した治療が異なります。まずはご自身のクマの種類を診断してもらうことが先決です。
Q3.リジュランとどちらがいいですか?
同じPN製剤であり、直接比較した質の高い試験は現時点で見当たりません。したがって「どちらが優れているか」を科学的に断言することはできません。使用したい部位、医師の経験、費用などを含めて相談するのが現実的です。
Q4.何回続ければいいですか?
国内では3〜4週おきに3回程度を初回コースとする医療機関が多いようですが、研究でも最適な回数が確立しているわけではありません。1コース終えた時点で変化を評価し、継続するかどうかを判断する進め方が現実的です。
まとめ

プルリアルは、サーモン由来のポリヌクレオチド(PN)を主成分とする注入製剤です。ヒアルロン酸を含まず目周りを想定した「シルク」と、非架橋ヒアルロン酸とマンニトールを組み合わせて顔全体を想定した「デンシファイ」があり、配合も対象部位も異なります。
エビデンスとしては、シルクについて目周りを対象とした前向き観察研究で患者評価の改善が報告されており、PNとヒアルロン酸を比較したランダム化比較試験でも、肌の弾力や水分量、きめの粗さでPN側の改善率が上回ったと報告されています。一方で、対照群のない研究が中心であること、症例数が小規模であること、PDRNとPNという用語の定義自体が統一されていないことなど、慎重に読むべき点も残っています。
そのうえで大切なのは、製剤名から入るのではなく、自分が何を改善したいのかを整理し、その目的に対してなぜその製剤なのか、どの程度の根拠があるのかを医師に確認することだと考えています。
※注意:「肌育」は通称的な表現で、製剤ごとに成分、承認状況、適応、注入方法、リスクが異なります。施術を検討する場合は、国内での承認状況、使用する製剤名、期待できる効果と限界、副作用・合併症、代替治療について医師から説明を受けてください。
参考文献(エビデンス)
本記事の科学的根拠として、以下の査読済み論文・レビューを参照しています。
【1】Marques C, Porcello A, Cerrano M, et al. From Polydeoxyribonucleotides (PDRNs) to Polynucleotides (PNs): Bridging the Gap Between Scientific Definitions, Molecular Insights, and Clinical Applications of Multifunctional Biomolecules. Biomolecules. 2025;15(1):148.
PMID: 39858543 DOI: 10.3390/biom15010148
日本語要旨:PDRNとPNの分子量は概ね50〜1500kDaとされてきたが、近年の研究では1kDaから10,000kDaまで幅が広がっていることを整理。文献上「PDRN」と「PN」が互換的に用いられてきたことが混乱を招いていると指摘している。
【2】Ziade G, Keyrouz E, El Maalouf J, et al. Prospective Observational Study of Polynucleotide Injections for Periorbital Rhytides. Journal of Cosmetic Dermatology. 2026;25(2):e70736.
PMID: 41689167 DOI: 10.1111/jocd.70736
日本語要旨:Pluryal Silk(7.5mg/mL)を1回あたり2mL皮内注入し、FACE-Qで評価した前向き観察研究。42例で下眼瞼と目尻の評価スコアが全時点で有意に改善(p<0.001)。2回施術後の3か月時点で改善と満足度が最大、有害事象は軽微。対照群がなく、さらなる対照試験が必要と結論づけている。
【3】Lampridou S, Bassett S, Cavallini M, Christopoulos G. The Effectiveness of Polynucleotides in Esthetic Medicine: A Systematic Review. Journal of Cosmetic Dermatology. 2025;24(2):e16721.
PMID: 39645667 DOI: 10.1111/jocd.16721
日本語要旨:2010〜2024年のPN美容医療研究9報、219人を評価。シワ、肌質、弾力などに有望な結果が報告されたが、研究の質は低〜中等度で手技にもばらつきがあり、より質の高い研究が必要と結論づけている。
【4】Lee YJ, Kim HT, Lee YJ, et al. Comparison of the effects of polynucleotide and hyaluronic acid fillers on periocular rejuvenation: a randomized, double-blind, split-face trial. Journal of Dermatological Treatment. 2022;33(1):254-260.
PMID: 32248707 DOI: 10.1080/09546634.2020.1748857
日本語要旨:27名を対象に、目周りでPN製剤と非架橋ヒアルロン酸を左右で比較したランダム化二重盲検スプリットフェイス試験。2週間隔で計3回注入。要旨では視覚アナログスケールと総合的美容改善スケールに群間差なしとまとめられているが、本文では16週時点のGAISがPN側で有意に高いと報告されている。皮膚の弾力・水分量、きめの粗さ、毛穴体積の改善率はPN群が上回った。真皮密度の改善率には有意差なし。
【5】Yi K-h, Kang H, Song JK, et al. Skin Boosters: 2026 Updated. Journal of Cosmetic Dermatology. 2026;25(6):e70875.
DOI: 10.1111/jocd.70875
日本語要旨:ヒアルロン酸、ポリヌクレオチド、各種バイオスティミュレーターなどを分類し臨床応用を概説する一方、定義や治療プロトコル、エビデンスの不均一性を課題として指摘したレビュー。
【6】Rho N-K, Kim H-S, Kim S-Y, Lee W. Injectable “Skin Boosters” in Aging Skin Rejuvenation: A Current Overview. Archives of Plastic Surgery. 2024;51(6):528-541.
PMID: 39544509 DOI: 10.1055/a-2366-3436
日本語要旨:注入型スキンブースターに対象を限定し、種類、作用機序、臨床応用を体系的に整理した総説。加齢に伴う皮膚変化などに対する有効性と安全性のエビデンスについても評価している。
参考資料
・MD Skin Solutions(Pluryal)公式サイト https://www.mdskinsolutions.com/
・厚生労働省「医薬品等の個人輸入に関するQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/faq.html
※製品の配合成分・ラインナップ・仕様は改訂される可能性があるため、公開時には最新のメーカー資料および国内医療機関の実使用製品情報を再確認してください。
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