ジャルプロは、ヒアルロン酸にアミノ酸やペプチドを組み合わせた注入製剤で、肌質改善をめざす「肌育注射」の一つです。この記事では、クラシック・HMW・スーパーハイドロの違い、期待できる効果と持続期間、ダウンタイムや副作用、そして現時点で確認できるエビデンスと限界を医師監修で解説します。
| <看護師アドバイザー>
<執筆>
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「ジャルプロって、結局ヒアルロン酸注射と何が違うの?」
肌育注射に興味を持って調べはじめると、必ずといっていいほど目にする製剤名ですが、説明を読んでも違いがつかみにくい——そう感じていませんか?
ジャルプロは、イタリアの研究者がアミノ酸の役割に着目したところから生まれた注入製剤です。ヒアルロン酸そのものの保湿力に加えて、コラーゲンの材料となるアミノ酸を一緒に届けるという考え方に特徴があります。
一方で、「ジャルプロ=コラーゲンが増える」という説明だけを見ると、どこまでが確かめられていて、どこからが期待なのかが分かりにくいのも事実です。そこでナールス美容医療アカデミーでは、査読付き論文をもとに、良い点も限界も包み隠さずお伝えします。
この記事でわかること
こんな疑問を持っていませんか?
「ジャルプロにいくつも種類があるけれど、どれを選べばいいの?」「本当にコラーゲンは増えるの?」「リジュランやプロファイロとどう違うの?」——ネットで検索してもクリニックの施術ページばかりで、根拠まで踏み込んだ情報にたどり着けないとお悩みの方は多いのではないでしょうか。
この記事では、ナールス美容医療アカデミーが以下の内容を詳しくお伝えします。
1)ジャルプロの成分と3タイプの違い
クラシック・HMW・スーパーハイドロで、配合されているアミノ酸やヒアルロン酸の分子量、想定される部位がどう違うのかを一覧で整理します。
2)査読論文でわかっていること・わかっていないこと
ヒアルロン酸とアミノ酸の複合製剤に関するメタアナリシス、ジャルプロそのものを評価した観察研究、そして皮膚を採取して調べた組織学的研究を取り上げ、どこまでが確かめられているのかを整理します。「組織では変化があるのに、超音波では厚みに差が出なかった」という研究結果もあわせてご紹介します。
3)他の肌育注射との使い分け
リジュラン、プロファイロ、ピンクグローと比べたときのジャルプロの位置づけを、成分とエビデンスの両面から整理します。
4)この記事の対象読者
- ジャルプロの施術を検討していて、種類の選び方を知りたい方
- リジュランやプロファイロと迷っている方
- 「肌育注射」の効果がどこまで確かめられているのかを知りたい方
- すでに受けたことがあり、継続すべきか判断したい方
ジャルプロとは?アミノ酸+ヒアルロン酸の「肌育注射」

近年の美容医療では、シワを「埋める」ヒアルロン酸から、肌そのものの質を整える「肌育(はだいく)」という考え方へのシフトが鮮明になっています。ジャルプロ(Jalupro)は、その流れのなかで比較的古くから使われてきた製剤です。スイスのProfessional Derma社が展開しており、メーカー資料では、欧州で医療機器としてCEマーキングされた製品とされています。ただし、CEマーキングは日本の薬機法上の承認や米国FDAの承認と同じ意味ではありません。
肌育という考え方の全体像は、「肌育とは?効果・種類・おすすめの肌育注射とスキンブースターを徹底解説」で詳しく解説しています。
1)開発の背景 ─ アミノ酸研究から生まれた製剤
メーカー資料によると、ジャルプロの開発背景には、イタリアの医師・薬理学者であるフランコ・コンティ博士による、人体におけるアミノ酸の役割の研究があるとされています。皮膚の主要な構造タンパクであるコラーゲンは、グリシンやプロリンといったアミノ酸が繰り返し連なった構造を持ちます。そこで、ヒアルロン酸に「コラーゲンの材料」を組み合わせて皮内に届けるという発想が生まれました。
この「材料を補う」という考え方は、PLLAやCaHAなど、注入後の組織反応を介してコラーゲン産生を促すバイオスティミュレーターとは、成分構成と想定される作用機序が異なります。
2)ヒアルロン酸フィラーとの違い

一般的なヒアルロン酸フィラーは、架橋処理を施したヒアルロン酸などを目的に応じた層へ注入し、しわの溝を埋めたり輪郭に立体感を出したりする「かたち」への治療です(詳しくはヒアルロン酸注射の肌への効果・持続期間はいつまで?ボトックスとの違いも解説!をご覧ください)。
一方でジャルプロは、主に非架橋のヒアルロン酸とアミノ酸などを組み合わせた製剤で、水分量やハリ、キメといった「質」にアプローチする設計です。同じ「ヒアルロン酸を注射する」でも、目的も注入層も異なります。
3)「バイオリバイタリゼーション」という考え方
欧州では、こうした治療をバイオリバイタリゼーション(biorevitalization)と呼びます。細胞が本来持っている働きを支える成分を補い、細胞外マトリックス(ECM)の環境を整えるという考え方です。日本で使われている「肌育」という言葉は、この考え方に近いものと理解するとわかりやすいでしょう。
ただし注意したいのは、「肌育」も「バイオリバイタリゼーション」も、医学的に統一された厳密な定義がある治療名ではないという点です。2026年に公開されたスキンブースターの総説でも、定義や分類、臨床研究の条件が統一されていないことが課題として指摘されています【1】。
ジャルプロの成分と作用メカニズム
1)配合されているアミノ酸の役割

ジャルプロの中心となるのは、グリシン、L-プロリン、L-リジン、L-ロイシンといったアミノ酸です。スーパーハイドロなど一部の製品では、基本となるこの4種類にL-アルギニン、L-アラニン、L-バリンを加えた7種類のアミノ酸が配合されています。
①コラーゲンを構成するアミノ酸
グリシンとプロリンは、コラーゲン分子を構成する主要なアミノ酸です。コラーゲンの三重らせん構造は、グリシンが3残基ごとに繰り返し現れることで成り立っています。
②架橋に関わるアミノ酸
リジンは、コラーゲン線維どうしを結びつける架橋反応に関わります。線維が架橋されることで、皮膚の強度や弾力が保たれます。
③「材料を補えば増える」とは限らない
ここまでを読むと「材料を注射すればコラーゲンが増える」と考えたくなりますが、そう単純に言い切れるわけではありません。線維芽細胞が実際にどれだけ活性化し、それが見た目の変化にどうつながるのかは、後述するとおり研究ごとに結果の示され方が異なります。また、投与したアミノ酸がどの程度コラーゲン合成に直接利用されるかも、臨床研究だけでは十分に解明されていません。
2)高分子・低分子ヒアルロン酸の使い分け
ヒアルロン酸は分子量によって粘弾性や生物学的な作用が異なるとされています。ジャルプロでは、対象部位に応じて分子量の異なるヒアルロン酸を使い分けたり、高分子量と低分子量を組み合わせたりする設計がとられています。
3)ペプチド配合タイプについて
スーパーハイドロなど一部の製品には、アセチルデカペプチド-3、オリゴペプチド-24、アセチルテトラペプチド-5という3種類のペプチドが配合されています。これらは細胞の働きを支える目的で加えられています。
ただし、「配合していること」と「その配合によって効果が上乗せされたことが臨床試験で示されていること」は別の話です。この区別は、広告表現を読むうえでも大切なポイントになります。
ジャルプロの種類と違い

ジャルプロには複数のタイプがあります。ここでは、日本の医療機関で比較的紹介されることの多い3タイプを中心に整理します。なお、メーカーの現行ラインナップには、目周り用のYoung Eyeもあります。流通している製品ラインナップは国や時期によって異なるため、実際に使用される製剤名は医療機関でご確認ください。
1)ジャルプロ クラシック
アミノ酸と低分子量ヒアルロン酸を組み合わせたタイプです。顔、首、デコルテ、手、腹部、大腿など幅広い部位で用いられる製剤です。メーカーは、製品開発の背景として創傷治癒分野との関係を説明しており、現在のメーカー情報では特にボディの肌質改善、瘢痕(きずあと)へのアプローチ、頭皮への使用が紹介されています。
2)ジャルプロ HMW
HMWはHigh Molecular Weight(高分子量)の略で、高分子量ヒアルロン酸とアミノ酸を組み合わせたタイプです。顔、首、デコルテといった、より保湿感とハリを重視したい部位が主な対象になります。
3)ジャルプロ スーパーハイドロ
高分子量と低分子量のヒアルロン酸(合計80mg)に、7種類のアミノ酸と3種類のペプチドを組み合わせたタイプです。真皮だけでなく、その下にある皮下の結合組織(リテイナキュラ・キュティス)にも働きかけることを想定して設計されており、より深い層への注入が想定されています。
4)3タイプの比較表
| 製剤 | 主な構成 | 想定される部位 | 狙いのイメージ |
| クラシック | アミノ酸+低分子量HA | 顔、首、デコルテ、ボディ、瘢痕、頭皮 | 皮膚・結合組織環境へのアプローチ、きずあと |
| HMW | アミノ酸+高分子量HA | 顔、首、デコルテ | 保湿感とハリ、肌のキメ |
| スーパーハイドロ | 高・低分子HA 80mg+アミノ酸7種+ペプチド3種 | 顔(より深い層まで) | 真皮および真皮下の結合組織を想定した設計 |
※製品ラインナップおよび配合は改訂される可能性があります。施術時には、医療機関で現物の添付資料や製品情報をご確認ください。

ジャルプロで期待できる効果とエビデンス
ここからが、この記事でもっともお伝えしたい部分です。ジャルプロについて「何が確かめられていて、何がまだ確かめられていないのか」を、順を追って見ていきます。
1)シワ改善についてのメタアナリシス
2026年にJournal of Cosmetic Dermatologyに掲載されたシステマティックレビューとメタアナリシスでは、ヒアルロン酸とアミノ酸を組み合わせた注入製剤について、11件の臨床研究が統合されました【2】。
結果として、シワの重症度を評価するWSRS(Wrinkle Severity Rating Scale)では、治療前後の比較で平均2.15点の低下(改善)が示されました(95%信頼区間2.00〜2.30、p<0.0001)。これは対照群との差ではなく、治療前後の変化を統合した値である点に注意が必要です。施術3か月後の総合的な美容的改善(GAIS)も有意に向上しています。
ただし、評価項目によって研究間のばらつきの大きさは相当に異なります。WSRSでは異質性が小さかった(I²=22%)一方、GAISではI²=99%、有害事象ではI²=94%と非常に高く、論文の著者らはGRADE評価でこの2項目のエビデンスの確実性を「very low(非常に低い)」と分類しています。つまり「WSRSについては統計学的な異質性が比較的小さかった一方、総合的な見た目の評価や安全性の集計は研究ごとの差が大きい」ということです。ただし、異質性が小さいことだけでエビデンスの確実性が高いとはいえず、研究規模やデザイン上の限界も踏まえて読む必要があります。
また、統合された11研究は2014年から2024年に発表されたもので、そのうちランダム化比較試験は3件のみ、症例数は10〜75名、追跡期間は約1.4か月から12か月と幅がありました。さらに著者らは、11研究のうち3件が同一の研究グループによるもので、5件がイタリア発であることも、結果を一般化するうえでの限界として挙げています。
つまり「一定の方向性は見えているが、質の高い比較試験はまだ限られている」という段階です。
2)ジャルプロそのものを評価した研究
製剤そのものを対象とした研究としては、2025年に報告されたスーパーハイドロの観察研究があります【3】。25〜65歳の女性28名に対して月1回・計4回の注入を行い、専用の測定機器と高解像度超音波で評価したものです。
この研究では、角層水分量(corneometryによる評価)の上昇と皮膚の弾力の改善に加えて、高解像度超音波の反射強度から推定したコラーゲン密度の指標が、真皮および真皮下・リテイナキュラ・キュティス領域で上昇したと報告されました。この指標はベースライン比で最終施術30日後に20.27%、120日後に16.71%の上昇です。ただし、皮膚を採取してコラーゲン量を直接定量した結果ではありません。有害事象は軽度で、表在性の内出血が3例、注入時の軽い痛みが一部にみられた程度でした。
ただしこの研究は、対照群を置かない単施設の観察研究で、対象は28名です。GAIS評価で悪化と判定された参加者はいなかったことは示されていますが、他の製剤と比べて優れているかどうかを示すものではありません。
※この研究は研究資金の提供を受けていませんが、使用した製剤はメーカーであるProfessional Derma SAから提供されています(同社は研究デザインおよび原稿作成には関与していないと明記されています)。
3)組織学的に見えてきていること ─ と、見えていないこと

2024年のJournal of Ultrasound誌の研究では、低分子量ヒアルロン酸とアミノ酸を組み合わせた製剤を、平均45歳の女性20名にメソセラピーで投与し、施術前と3か月後に皮膚を採取して顕微鏡で観察しています【4】。なお、この研究で用いられた製剤はジャルプロではありません。そのため、結果をジャルプロ各製品の効果として直接当てはめることはできませんが、低分子量ヒアルロン酸とアミノ酸を組み合わせる治療概念に関する参考データです。
その結果、線維芽細胞の活性化とⅢ型細網コラーゲンの産生、血管の増加、表皮の肥厚が確認され、病的な炎症細胞は認められませんでした。組織のレベルでは、たしかに変化が起きているということです。
興味深いのは、同じ研究のなかで超音波による皮膚の厚みを測定したところ、頬部・オトガイ部・下顎角のいずれも治療前後で統計学的な有意差が認められなかった点です。
つまり、組織学的変化が確認された一方で、超音波で測定した皮膚厚には有意な変化が検出されなかったということです。両評価の不一致については、変化量や測定感度など複数の要因が考えられます。この落差は、期待と実際のギャップを考えるうえで示唆に富んでいます。
4)エビデンスの限界を整理すると
- ランダム化比較試験が少なく、多くが単群・対照群なしの研究である
- 症例数が10〜75名と小規模で、対象の多くが女性である
- 評価指標(超音波、コルネオメーター、視覚スケール、組織検査)が研究ごとに異なり、比較しにくい
- 製剤のタイプ(クラシック/HMW/スーパーハイドロ)ごとの研究が十分に分かれていない
- 追跡期間が最長でも12か月程度で、長期の安全性データは限られている
これらは「効果がない」という意味ではありません。「効果を期待できる根拠はあるが、最適な製剤・量・回数まで確立したとは言いにくい」という段階だ、ということです。

施術の流れ・回数・持続期間

1)回数と間隔の目安
回数や間隔は、使用する製剤や施術部位、医療機関の方針によって異なります。参考として、前述のスーパーハイドロの研究では、4週間おきに計4回という設計がとられていました【3】。
実際の施術では、初回に複数回のコースを組み、その後は数か月おきのメンテナンスを提案されることが一般的です。ご自身の場合に何回必要なのかは、必ず担当医に確認してください。
2)効果を実感しはじめる時期

注入直後には、製剤の水分保持や注入に伴う一時的な膨らみを感じる場合がありますが、これを持続的な肌質改善効果と同一視することはできません。コラーゲンの産生には時間がかかり、研究でも、評価が行われているのは施術後4週以降であることがほとんどです。1回で劇的に変わる治療ではなく、回数を重ねながら少しずつ整えていく治療と考えるのが現実的です。
3)持続期間
前述の研究では、最終施術から120日後(約4か月)の時点でも、水分量、弾力性、超音波によるコラーゲン密度指標がベースラインより改善した状態にありました【3】。ただしこれは特定の製剤・特定のプロトコルでの結果であり、すべての人に同じ持続期間が当てはまるわけではありません。
ジャルプロの料金の目安

ジャルプロは自由診療のため、料金は医療機関ごとに設定されています。ここでは複数の医療機関が公表している料金をもとに、幅を持たせた目安をご紹介します。
1)製剤タイプ別の料金相場
| 製剤 | 1回あたりの目安(税込) | コースの目安(税込) |
| クラシック | 約40,000〜80,000円(2.5〜3.0cc) | 3〜4回で約150,000〜300,000円 |
| HMW | 約50,000〜90,000円 | 3〜4回で約150,000〜300,000円 |
| スーパーハイドロ | 約40,000〜90,000円(2.5cc) | 3回セットで約120,000〜180,000円 |
※2026年8月時点で、複数の医療機関が公表している料金をもとに算出した目安です。実際の料金は医療機関によって異なります。
※HMWは料金を公表している医療機関が比較的少なく、クラシックと同程度からやや高めに設定されていることが多いようです。
2)料金が変動する要因
- 注入量(cc数・本数):量が増えれば費用も上がります
- 注入方法:医師の手打ちか、水光注射などの機械注入かで料金が異なります
- 部位:全顔か、目周りなどの部分かによって使用量が変わります
- 麻酔代・初診料:表面麻酔は3,000円前後が別途必要な医療機関もあります
- モニター価格・キャンペーン価格:条件付きで通常料金より安く設定されている場合があります
3)料金を見るときの注意点
比較するときは、「1回いくら」だけでなく、製品名、1回の使用本数、総容量、施術方法、コース総額をそろえて見ると、医療機関ごとの違いが見えやすくなります。同じ「1回◯◯円」でも、使用量が2.5ccと1.0ccでは意味がまったく違い、製品によって構成品や調製方法も異なるためです。
また、正規の入手経路か、製品名・ロット・使用期限を確認できるか、メーカー指定の方法で調製・使用されているかを確認しておくと安心です。未承認医療機器である以上、どこから入手した製品なのかを説明できる医療機関を選ぶことが大切です。
なお、美容目的のジャルプロは自由診療であり、健康保険は適用されません。医療費控除の対象にもならないのが原則です。
ダウンタイム・副作用・リスク

1)報告されている有害事象
報告されている副作用は、注入部位の内出血、腫れ、赤み、注入時の痛みなど、注射に伴う一般的なものが中心です。スーパーハイドロの28名の観察研究で報告された有害事象は、表在性の内出血3例と軽度の注入時痛でした【3】。ただし小規模な研究であり、まれな重篤合併症の頻度を評価できるものではありません。
一方、ヒアルロン酸を含む注入治療一般では、感染、結節・しこり、血管内注入に伴う皮膚壊死や視覚障害などが報告されており、製剤の性状や注入部位・深さによってリスクは異なります。トラブル時にどう対応してもらえるかを、事前に確認しておくことが大切です。
2)受けられない人・注意が必要な人
- 製剤の成分にアレルギーのある方(原則として施術を避けます)
- 注入部位に感染や炎症がある方(治まるまで施術を延期します)
- 妊娠中・授乳中の方(原則として施術を避けます)
- 抗凝固薬・抗血小板薬を服用中の方(内出血が出やすくなります。自己判断で中止せず、処方医と施術医に必ず申告してください)
- ケロイド体質の方(医師への申告と個別判断が必要です)
該当する可能性がある場合は、必ず事前に申し出てください。
他の肌育注射との違い
ジャルプロ、リジュラン、プロファイロ、ピンクグローは、いずれも「肌育注射」としてまとめて紹介されることがありますが、中心となる成分も、蓄積しているエビデンスの量も異なります【5】。
1)主な肌育注射の位置づけ
| 製剤 | 主な位置づけ・成分 | 狙いのイメージ | エビデンスの見方 |
| ジャルプロ | HA+アミノ酸(+ペプチド) | 保湿とECM環境へのアプローチ | HA+アミノ酸としてのメタアナリシスあり。製剤別の研究は限られる |
| リジュラン | ポリヌクレオチド(PN)系 | 肌質・小ジワ・組織環境 | PN全体のレビューあり。製品ごとの研究を分けて見る |
| プロファイロ | 高・低分子HAの安定化ハイブリッド複合体 | 保湿、弾力、密度 | システマティックレビューあり。利益相反に留意 |
| ピンクグロー | HA+ビタミン・グルタチオン等の複合型 | 保湿、明るさ、質感 | 製剤自体の査読付き臨床エビデンスは限定的 |
| プルリアル | ポリヌクレオチド(PN)系 | 目周りの肌質、毛穴、赤み | 製剤固有の前向き観察研究あり。比較試験ではない |

2)それぞれの製剤をもっと詳しく
①リジュラン注射
リジュランはサケ由来のポリヌクレオチド(PN)を主成分とする製剤です。コラーゲンの材料を補うジャルプロに対し、組織の修復環境そのものに働きかける設計で、目元の小ジワやキメを目的に使われます。PN全体のレビューはありますが、製品ごとの研究は分けて見る必要があります。
詳しくは、「リジュラン注射とは?効果やメリット、ダウンタイムやデメリット」をご覧ください。
②プロファイロ
プロファイロは高分子量と低分子量のヒアルロン酸を安定化させたハイブリッド複合体で、アミノ酸は含みません。「バイオリモデリング」という考え方で保湿・弾力・密度を狙います。製品別のシステマティックレビューがありますが、著者にメーカー関係者が含まれる点は押さえておきたいところです。
詳しくは、「プロファイロの効果や持続期間は?メリット・デメリットも解説!」をご覧ください。
③ピンクグロー
ピンクグローは非架橋ヒアルロン酸に、ビタミン、アミノ酸、グルタチオンなど多数の成分を組み合わせた複合型です。うるおいやハリに加えて、くすみや色ムラといった明るさの悩みも意識した設計ですが、製剤そのものを評価した査読付き臨床エビデンスは限られています。
詳しくは、「ピンクグロー注射とは?効果・成分・副作用・ダウンタイムを医師監修で解説」をご覧ください。
④プルリアル
プルリアルもPN系で、目周り専用の「シルク」と、非架橋ヒアルロン酸とマンニトールを加えて顔全体を想定した「デンシファイ」があります。シルクについては42例の前向き観察研究がありますが、対照群のない研究であるため、他の製剤と比べて優れているかを示すものではありません。
詳しくは、「プルリアル注射とは?シルクとデンシファイの違い・効果・副作用を医師監修で解説」をご覧ください。
<参考記事>
【独自採点83.7点】湘南美容クリニックの女優注射・肌育注射の口コミ・評判を10項目で徹底評価!効果・料金・ダウンタイムまで解説
3)製剤名より先に考えたいこと
大切なのは、製剤名を横並びで比べる前に「自分は何を改善したいのか」を整理することです。乾燥なのか、細かなシワなのか、弾力の低下なのか、肌の質感なのか。目的が決まってはじめて、その目的にどの製剤が向いているのかを医師と検討できます。
そのうえで、なぜその製剤なのか、どの層にどのように注入するのか、どの程度のエビデンスがあるのかを確認する。この順番で考えると、広告の印象に流されにくくなります。
国内での承認状況と確認したいこと

1)ジャルプロは国内未承認の医療機器
ジャルプロは、日本国内では医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく承認を受けていない未承認医療機器です。国内で使用されている場合、医師の責任のもとで個人輸入されたものが用いられています。
厚生労働省は、個人輸入した未承認医薬品・医療機器について、日本の基準に基づく品質・有効性・安全性の確認がなされていないこと、副作用等が生じた場合に対処法が不明なことがあることなどを注意喚起しています。
また、未承認の製品では、日本国内で承認された医薬品・医療機器と同じ公的な安全性・有効性の確認が行われているわけではありません。健康被害が生じた場合も、医薬品副作用被害救済制度などの公的な救済制度の対象とはなりません。この点も理解しておく必要があります。
2)カウンセリングで確認したい6つのこと
- 使用する製剤の正式名称とタイプ(クラシック/HMW/スーパーハイドロなど)
- 国内での承認状況と、その医療機関での入手経路
- 同一の成分・性能を持つ国内承認製品があるかどうか
- 期待できる効果と、期待できないこと(限界)
- 起こりうる副作用・合併症と、その場合の対応
- 健康被害が生じた場合に、公的な救済制度の対象となるかどうか
医療広告ガイドラインでは、未承認医薬品等を用いた自由診療をウェブサイトに掲載する場合、未承認であること、入手経路、国内承認品の有無、諸外国における安全性等の情報などを明示することが求められています。上記の6項目は、これらを踏まえて患者側から確認したいポイントを整理したものです。ウェブサイトにこうした記載があるかどうかは、医療機関を選ぶ際の一つの目安になります。

ジャルプロのご相談で多いのは、「どのタイプを選べばいいですか」というご質問です。ただ現場で見ていると、同じ製剤でも注入する層や量、回数で感じ方はずいぶん変わります。カウンセリングでは製剤名よりも先に、乾燥なのか、細かいシワなのか、ハリなのか、いちばん変えたいところを言葉にしておくと話が早く進みます。ダウンタイムについては、注入部位の赤みや小さなふくらみは当日から翌日にかけて出やすく、内出血が出ると1週間ほど残ることもあります。大切な予定の直前は避けてください。そして効果の判定を焦らないこと。コラーゲンへの働きかけには時間がかかるので、1コース終えたところで写真を見比べて判断するくらいがちょうどよいと思います。
ジャルプロに関するよくある質問
1)ジャルプロは1回でも効果がありますか?
ヒアルロン酸による保湿感は比較的早く感じられることがありますが、コラーゲンへの働きかけには時間がかかります。研究でも複数回の施術を前提とした設計がほとんどで、1回で完結する治療とは考えないほうが現実的です。
2)顔にはどのタイプを使うのですか?
クラシックも顔に使える製剤ですが、顔では目的に応じてHMWやスーパーハイドロが選択されることもあります。現在のメーカー情報では、クラシックについてボディや瘢痕、頭皮への使用も紹介されています。医療機関ごとに使い分けの方針が異なるため、どのタイプを、どの層に、どのくらいの量を注入するのかを確認してください。
3)ヒアルロン酸注射とどちらがいいですか?
目的が違うため、優劣の比較にはなじみません。しわの溝を埋めたい、輪郭に立体感を出したいという「かたち」の悩みには従来のヒアルロン酸フィラーが、乾燥や肌のキメといった「質」の悩みにはジャルプロのような製剤が候補になります。
4)アレルギーの心配はありますか?
ヒアルロン酸とアミノ酸は体内にも存在する成分ですが、製剤に含まれるすべての成分についてアレルギーが起こらないと断言することはできません。過去に注入治療でトラブルがあった方は、必ず事前に伝えてください。
まとめ

ジャルプロは、ヒアルロン酸に「コラーゲンの材料」であるアミノ酸を組み合わせるという発想から生まれた注入製剤です。クラシック、HMW、スーパーハイドロというタイプがあり、それぞれ想定される部位も配合も異なります。
エビデンスとしては、ヒアルロン酸とアミノ酸を組み合わせた製剤全体についてはメタアナリシスでシワの改善が示されており、製剤そのものを対象とした観察研究でも保湿と弾力の改善が報告されています。一方で、ランダム化比較試験は少なく、組織学的な変化と画像上の変化が必ずしも一致しない例もあるなど、慎重に読むべき点も残っています。
そのうえで大切なのは、製剤名から入るのではなく、自分が何を改善したいのかを整理し、その目的に対してなぜその製剤なのか、どの程度の根拠があるのかを医師に確認することだと考えています。
※注意:「肌育」は通称的な表現で、製剤ごとに成分、承認状況、適応、注入方法、リスクが異なります。施術を検討する場合は、国内での承認状況、使用する製剤名、期待できる効果と限界、副作用・合併症、代替治療について医師から説明を受けてください。
参考文献(エビデンス)
本記事の科学的根拠として、以下の査読済み論文・レビューを参照しています。
【1】Yi K-h, Kang H, Song JK, et al. Skin Boosters: 2026 Updated. Journal of Cosmetic Dermatology. 2026;25(6):e70875.
DOI: 10.1111/jocd.70875
日本語要旨:ヒアルロン酸、ポリヌクレオチド、各種バイオスティミュレーターなどを分類し臨床応用を概説する一方、定義や治療プロトコル、エビデンスの不均一性を課題として指摘したレビュー。
【2】Mosteirin M, Ardila AG, Calomarde RG, Mariscal G. Efficacy and Safety of Amino Acid–Enriched Hyaluronic Acid in Facial Rejuvenation: A Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of Cosmetic Dermatology. 2026;25(3):e70741.
PMID: 41724989 DOI: 10.1111/jocd.70741
日本語要旨:ヒアルロン酸とアミノ酸の複合製剤を従来のヒアルロン酸またはプラセボと比較した研究を対象とし、11研究を統合したメタアナリシス。組み入れ研究にはランダム化比較試験と前向き・後ろ向きの非ランダム化研究が含まれる。治療前後の比較でWSRSの有意な低下(平均差2.15、95%CI 2.00〜2.30、p<0.0001、I²=22%)を報告。一方、GAIS(I²=99%)と有害事象(I²=94%)では研究間の異質性が非常に高く、GRADE評価ではいずれもエビデンスの確実性が「very low」とされている。対象研究は2014〜2024年発表でランダム化比較試験は3件、症例数10〜75名。
【3】Shelemba E, Olshanska O, Benoit AG, Rumyantseva E. Safety and Efficacy of an Injectable Solution Enriched With Sodium Hyaluronate, Amino Acids, and Peptides in Relation to Superficial Facial Connective Tissues (Dermis and Retinacular Cutis). Journal of Cosmetic Dermatology. 2025;24(1):e16586.
PMID: 39279301 DOI: 10.1111/jocd.16586
日本語要旨:Jalupro Super Hydroを用い、25〜65歳の女性28名に4週間おき計4回の注入を実施した単施設観察研究。角層水分量、弾力に加え、高解像度超音波で評価したコラーゲン密度指標の上昇(最終施術30日後 20.27%、120日後 16.71%)を報告。生検によるコラーゲン量の直接定量ではない。有害事象は軽度で表在性内出血3例。対照群のない単群研究であること、製剤がメーカーから提供されている点に留意が必要。
【4】Scarano A, Qorri E, Sbarbati A, et al. The efficacy of hyaluronic acid fragments with amino acid in combating facial skin aging: an ultrasound and histological study. Journal of Ultrasound. 2024;27(3):689-697.
PMID: 38913131 DOI: 10.1007/s40477-024-00925-5
日本語要旨:平均45歳の女性20名に低分子量ヒアルロン酸+アミノ酸をメソセラピーで投与し、施術前と3か月後に生検を実施。線維芽細胞の活性化とⅢ型細網コラーゲンの産生、血管数と表皮厚の増加を確認した一方、超音波による皮膚厚は頬部・オトガイ部・下顎角のいずれも有意差を認めなかった。
【5】Rho N-K, Kim H-S, Kim S-Y, Lee W. Injectable “Skin Boosters” in Aging Skin Rejuvenation: A Current Overview. Archives of Plastic Surgery. 2024;51(6):528-541.
PMID: 39544509 DOI: 10.1055/a-2366-3436
日本語要旨:注入型スキンブースターに対象を限定し、種類、作用機序、臨床応用を体系的に整理した総説。加齢に伴う皮膚変化などに対する有効性と安全性のエビデンスについても評価している。
参考資料
・Jalupro 公式サイト(Professional Derma SA) https://www.jalupro.com/
・厚生労働省「医薬品等の個人輸入に関するQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/faq.html
※製品の配合成分・ラインナップ・仕様は改訂される可能性があるため、公開時には最新のメーカー資料および国内医療機関の実使用製品情報を再確認してください。
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