マンジャロは最新のGLP-1ダイエット！効果・メリットとリスクは？

この記事の監修

まゆりなclinic名古屋栄

院長

加藤 成貴先生

1.マンジャロとは？

マンジャロとは、インクレチンと呼ばれる２つのホルモンであるGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の作用を持つ、世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬です。

2型糖尿病治療薬として2023年4月に日本イーライリリーと田辺三菱製薬から発売された新薬で、一般名は「チルゼパチド」です

現在、日本では2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mgの６種の用量が発売されており、週1回の皮下注射として使用します。

従来から、GLP-1にはインスリン分泌促進作用や食欲抑制作用があることが知られ、GLP-1受容体作動薬が糖尿病治療薬として使われていました。また、メディカルダイエットにも使われていました。

マンジャロは、GLP-1様作用だけではなくGIP様作用を発揮することで、強力なHbA1c低下効果と体重減少効果があることが報告されています。

そのため、新たな糖尿病治療の選択肢として期待されています。

また、自由診療ではメディカルダイエットの新たな手段として注目され人気が高まっています。

マンジャロは、メディカルダイエットでは次のような方におすすめのです。

この記事では、マンジャロのメディカルダイエットのメリットや効果、効果発現のタイミング、他の薬剤との違い、リスクや副作用、デメリット、注意点などについて詳しく解説します。

<今話題の最新ダイエット施術！マンジャロが受けられるクリニック>

2.マンジャロの７つのメリット

マンジャロがメディカルダイエットで人気な理由は従来のダイエット法に比べてメリットが多いからです。ここではマンジャロの7つのメリットを整理します。

1)無理なくダイエットできる

マンジャロを注射することで、自然に食欲も減り、満腹感も得られやすいため無駄なカロリー摂取が少なくなります。そのため、無理なくダイエットできるというメリットがあります。

2)食欲が減る

マンジャロは脳に働きかけることで、食欲を抑制するはたらきがあります。その結果、自然と摂取カロリーが減ります。

3)満腹感が得られやすい

マンジャロは、消化管の動きを抑えることで食事の満腹感がでます。その結果、自然と摂取カロリーが減ります。

4)血糖コントロールによる体重維持

マンジャロは血糖値の急上昇を抑えるはたらきがあります。そのため、太りにくくなります。

5)脂肪燃焼・分解促進で太りにくくなる

褐色脂肪細胞に働きかけ脂肪燃焼を促します。また、白色脂肪細胞に働きかけ脂肪分解を促します。

6)正しく使えば安全

マンジャロは、医師の管理・指導の下、適応を守って正しく使えば、比較的安全です。もちろん、副作用やリスクはあるので、医師による副作用の有無の確認や定期的な採血検査などを行うことが大切です。

7)使用法が便利

マンジャロは、週1回の注射で効果が得られます。曜日を決めるなど工夫することで注射が忘れにくくなります。

マンジャロは、このようにメリットの多いメディカルダイエットですが、デメリットやリスク・副作用もあります。

メリットだけに目を奪われないようにしましょう。

ここからは、マンジャロについてより詳しく掘り下げていきます。

3.マンジャロのメディカルダイエットの効果は？

マンジャロの効果は大きく３つに分かれます。

1)体重減少効果

マンジャロの最も魅力的な効果は高い体重減少効果です。また、高用量で使うとより効果が高くなります。研究報告(*1)では、次の通りの体重減少効果が得られています。

＜参照論文＞(*1)

N Engl J Med. 2022 Jul 21;387(3):205-216. doi: 10.1056/NEJMoa2206038. Epub 2022 Jun 4.

Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35658024/

2)食欲の抑制

マンジャロには、食事後の満腹感を長時間維持する効果を発揮します。また、胃の内容物の排出を遅らせる作用もあります。そのため、食事量が減少し、総カロリー摂取量を減らせるサポートをします。それによって、体重減少効果が得られます。

3)代謝が改善する

マンジャロは、体全体の代謝を改善する効果があります。脂肪細胞にはエネルギーを貯蔵する働きと、エネルギーを使用し熱を作り出す働きがあります。マンジャロは熱を作り出す働きを促進し、基礎代謝を向上させるため、結果的に太りにくい体質に近づけるのです。

ただし、効果の現れ方には個人差があり、生活習慣の改善と併せて継続的に使用することが重要です。また、医師の診断と指導のもとで適切に使用することが不可欠です。

4.マンジャロの作用メカニズムは？

マンジャロはインクレチン（GIPとGLP-1）の作用により効果を発揮します。

インクレチンであるGIPとGLP-1は食事をとると小腸から分泌されるホルモンです。インクレチンは空腹時には効果を発揮せず、食事によって血糖値が上昇したときにのみ働くという非常に特異的な作用を持っています。このインクレチンが、膵臓のインスリン分泌を促し血糖値を下げるのです。

GLP-1受容体は膵臓の他に胃や脳にも存在しています。膵臓だけでなく胃や脳のGLP-1受容体に作用することで、胃の運動抑制や食欲低下をもたらすことで効果を発揮します。

また、GLP-1は、余分なエネルギーを細胞内に蓄える「白色脂肪細胞」に働きかけ、脂肪の分解を促します。さらに、GLP-1には、余分なエネルギーを熱に変える「褐色脂肪細胞」を増やす効果があります。これにより、脂肪の燃焼が促進され、基礎代謝が上がるのです。

＜マンジャロの体重減少のメカニズム>

5.マンジャロと他のGLP-1受容体作動薬との違い

マンジャロと他のGLP-1受容体作動薬との違いは、その作用機序と効果です。マンジャロはGIPとGLP-1に対して作用しますが、他はGIPには作用しません。マンジャロの臨床効果を検証するために、2型糖尿病の患者1879人を対象に行われたSURPASS-2試験では、平均年齢56.6歳、平均体重93.7㎏の方たちの試験40週目の体重の変化を評価しました。その結果、オゼンピックと比較しても強いHbA1c低下効果、体重減少効果があることが示されました。(*2)

また、他の糖尿病治療薬と比べて低血糖のリスクが比較的低いとされています。ただし、スルホニルウレア剤やインスリン製剤との併用は低血糖のリスクが増加するため、マンジャロとの併用は推奨されていません。

マンジャロは、効果以外にそれぞれのメリット・デメリットなども考慮する必要があります。

＜参照論文＞

(*2)J Obes Metab Syndr. 2023 Mar 30;32(1):25-45. doi: 10.7570/jomes22067. Epub 2023 Feb 8.

Efficacy and Safety of Tirzepatide in Type 2 Diabetes and Obesity Management

＜参考記事＞

GLP-1ダイエットは本当に効果的？忙しい女性におすすめの理由も解説

5.マンジャロの効果発現はいつから？いつまで続ける？

1)効果はいつから期待できる？

年齢や体質、生活習慣によって個人差がありますが、、早ければ2週間～数週間程度で食欲が抑えられたり、食後の満腹感の増加を感じ始める方が多いです。そのため、摂取カロリーが自然に減少し、初期段階で体重減少の兆しが現れることもあります。(*3)

＜参照論文＞

Clin Diabetes. 2023 Summer;41(3):367-377. doi: 10.2337/cd22-0060. Epub 2023 Mar 2.

Tirzepatide:

A Novel Glucose-Dependent Insulinotropic Polypeptide/Glucagon-Like Peptide 1 Receptor Agonist for the Treatment of Type 2 Diabetes: The First Twincretin

2)いつまで続ける？

マンジャロの体重減少効果は、個人差はありますが、3〜6ヶ月かけて徐々に現れます。The SURMOUNT-4 Randomized Clinical Trialと呼ばれる臨床試験では、6ヶ月後に平均7〜11kg程度の減量が報告されています。3～6か月続けて、目標体重に達したらマンジャロを止めても問題ありません。

ただし、その後もバランスのとれた食事など生活習慣の改善なども行いましょう。もし、マンジャロを一定期間続けても、効果が不十分な場合は、医師の判断で増量さることがあります。

＜参照論文＞

Original InvestigationDecember 11, 2023

Continued Treatment With Tirzepatide for Maintenance of Weight Reduction in Adults With Obesity　The SURMOUNT-4 Randomized Clinical Trial

6.マンジャロのリスクや副作用・注意

マンジャロは医薬品なので副作用やリスクがあります。また、使えない方もいます。ここではマンジャロを使う前の医師に伝えるべきことや副作用や注意などを解説します。

1)マンジャロを使う前に

次のような方は注意が必要な場合があります。必ず医師に伝えてください。

• 以前に薬や食べ物で、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たことがある。
• 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡、1型糖尿病がある。
• 重症感染症、手術などの緊急の場合。胃不全麻痺などの胃腸障害がある。
• 膵炎にかかったことがある。
• 脳下垂体異常、副腎疾患、十分な食事を摂取していない、衰弱している、激しい運動をしている、酒を大量に飲んでいる。
• 増殖糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、急性期治療を要する非増殖糖尿病網膜症にかかっているまたはかかったことがある。
• 妊娠または授乳中

他に薬などを使っている（お互いに作用を強めたり、弱めたりする可能性もありますので、他に使用中の一般用医薬品や食品も含めて注意してください）。

2)マンジャロのリスクや副作用

マンジャロの注射の際に、針が刺さる時に痛みを感じます。痛みの感じ方は個人差がありますが、耐えられる範囲です。

主な副作用として、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退などが報告されています。これらは、マンジャロを始めた最初に起こりやすく、体が薬に慣れてくれば次第に無くなっていくことが多いです。

ただし、異常が認められたら中止する副作用として、急性膵炎などが報告されています。

下記のような症状があらわれ、次の副作用の初期症状である可能性があります。このような場合には、使用をやめて、すぐに医師の診療を受けてください。

• 低血糖

高度な空腹感、冷汗、手足の震え

• 急性膵炎

激しい上腹部の痛み、または腰背部の痛み、発熱、吐き気、嘔吐、食欲の低下

• 胆のう炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸

上腹部、特に右季肋部の痛み、発熱、皮膚や結膜などの黄染（黄色くなる）

• アナフィラキシー、血管性浮腫

じんましん、目や口唇周囲の腫れ、呼吸困難（気道のむくみによる）

以上の副作用はすべてを記載したものではありません。

上記以外でも気になる症状が出た場合は、すぐに医師に相談してください。

7.マンジャロの正しい使い方と保管方法

1)マンジャロの使い方

①使用頻度

マンジャロは、週1回、同じ曜日に皮下注射として使用します。

注射をし忘れた場合は、次の注射予定日までの期間が3日間（72時間）以上であれば、気づいた時点ですぐに注射し、その後はあらかじめ定めた曜日に注射してください。次の注射予定日までの期間が3日間（72時間）未満であれば注射せず、次のあらかじめ定めた曜日に注射してください。絶対に2回分を一度に注射してはいけません。誤って多く注射した場合は、医師に相談してください。

②使い方

注射は使い捨てで、自分で薬液の量を調節する必要はありません。しかし、清潔操作や注射部位の選択など重要なポイントがあります。

注射を開始する前に添付されている取扱説明書を必ず読んでください。注射部位を清潔に保つために、注射前に手洗いとアルコール綿での消毒を徹底し、感染リスクを抑えましょう。注射部位は腹部・太もも、または上腕の外側が推奨されますが、注射部位は毎回異なる場所に変えることで、皮膚の損傷や硬結を防ぎます。

2)保管方法その他

• マンジャロは、乳幼児、小児の手の届かないところで保管してください。
• 凍結を避け、2〜8℃（冷蔵庫など）で光を避けて保管してください。なお、凍結した場合は、使用しないでください。
• 室温で保管する場合は、30℃を超えない場所で外箱から出さずに保管し、21日以内に使用してください。
• 使用済みおよび残った薬は、保管しないで廃棄してください。
• 廃棄には注意が必要なため受け取った薬局や医療機関に相談してください。
• 絶対に他人に渡さないでください。

8.マンジャロの料金相場

マンジャロは、メディカルダイエットで使う場合は、健康保険が適用されない自由診療です。クリニックによって料金が異なりますが、相場は次の通りです。

別途、診察料や検査代などがかかります。料金の詳細は、受診するクリニックで確認してください。

9.マンジャロについてのよくあるQ&A

Q1.マンジャロに内服薬はありますか？

現時点でマンジャロの内服薬はありません。

Q2.マンジャロの使用中に避けるべき食べ物や飲み物はありますか？

マンジャロ使用に特定の食べ物や飲み物を完全に避ける必要はありませんが、バランスの良い食生活を心掛けることが大切です。

ダイエット効果を期待する意味でも健康のためにも、マンジャロ使用中も使用後も、高糖質、高脂肪の食品やアルコールの摂取は控えましょう。

Q3.マンジャロは毎週同じ時間に注射する必要がありますか？

マンジャロは週に1回、曜日は決める必要があります。しかし、同じ曜日なら、朝昼晩、いつ注射しても問題なく、食事の影響もありません。

Q4.マンジャロの注射の中に気泡がありますが、問題ありませんか？

マンジャロの注射の気泡は気にする必要はありません。消えるのを待たず、注射して問題ありません。

Q5.マンジャロはオンライン診療で入手可能ですか？

オンライン診療を行っている医療機関なら入手可能です。ただし、医療機関以外での購入は避けましょう。

Q6.マンジャロを使えばダイエットは失敗しませんか？

いいえ、マンジャロでもダイエット効果が現れないケースもあります。

例えば、次のような場合です。

• BMIが5に近い
• マンジャロだけで痩せると期待している
• 摂取カロリーの過剰
• 運動不足
• 治療期間が短い
• 用法・用量が適切でない

マンジャロでダイエットに失敗しないためには、医師の指示・アドバイスを守って正しい使用を心がけましょう。また、良い生活習慣を続けることが大切です。

Q7.マンジャロのダイエットでリバウンドのリスクはありますか？

マンジャロは、リバウンドしにくいメディカルダイエットです。しかし、ダイエット終了後に食生活や生活習慣が乱れると、リバウンドする可能性があります。マンジャロをやめた後こそ、良い生活習慣を維持することが大切です。

Q8.GLP-1について詳しく教えてください。

GLP-1（グルカゴン様ペプチド-1）は、主に食事を摂取した際に腸から分泌されるインクレチンと呼ばれるホルモンの１つです。

血糖値の調節や食欲の抑制に関与しており、次のような働きを持っています。

Q9.GIPについて詳しく教えてください。

GIP（グルコース依存性インスリン分泌促進ポリペプチド）は、主に小腸上部から分泌されるインクレチンと呼ばれるホルモンの１つです。食事中の脂肪や糖分を摂取した後に分泌され、次のような働きを持っています。

Q10.マンジャロと併用する際に注意する薬剤はありますか？

マンジャロとインスリン製剤を併用する場合、低血糖のリスクが増加する可能性があるため、インスリンを減らすなど注意が必要です。

ま特にスルホニルウレア剤や速効型インスリン分泌促進剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するリスクがあります。

さらに、DPP-4阻害剤との併用は、有効性や安全性は確認されていないため、併用できません。

他には、ピル（経口避妊薬）やワーファリンと併用すると、これら薬の効果が低下する可能性があります。

使用中の薬がある場合は、メディカルダイエットでマンジャロを使う前に必ず、医師に伝えましょう。

10.まとめ

世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬マンジャロのダイエット効果やメリットとリスクや副作用、注意点を紹介しました。

マンジャロは、保険診療においては、新しいタイプの2型糖尿病治療薬として血糖降下作用に加えて、体重減少効果を持つ薬剤として注目されています。

また、その効果やはたらきから自由診療でメディカルダイエットでもメリットが多く人気となっています。

しかし、使用に際しては副作用やリスクなどもあるため、医師の指導の下、適切な使用が大切です。

また、ダイエット成功のためには、マンジャロだけに頼らず、バランスの良い食生活や適度な運動などを心がけることも大切です。

＜マンジャロに関する注意＞