顔のたるみを引き上げ、若々しい顔に近づけられる「フェイスリフト」。フェイスリフトには、糸リフトと切開法の2種類の治療法があります。
たるみ改善ができるのは嬉しいですが、フェイスリフトに失敗があるのかどうかは、気になりますよね。
そこで本記事では、糸リフトと切開法それぞれの失敗例と、失敗を回避する方法について解説します。フェイスリフトを受けるか迷っている方、糸リフトと切開法どちらを受けるか決めかねている方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。
長崎大学医学部卒業後、長崎大学形成外科入局
長崎大学病院・長崎医療センター・福岡徳洲会病院で形成外科勤務
福岡大学形成外科 レーザー外来・美容医療担当
2016年に形成外科・美容皮膚科 みやびクリニック 開院
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1.フェイスリフトとは?糸リフトと切開法の特徴
フェイスリフトとは、顔のたるみを引き上げる治療法のことです。
たるみをリフトアップすることで、マリオネットライン(唇の両側から顎にかけてのシワ)や、ほうれい線を目立たなくさせ、若々しい顔に近づける効果が期待できます。
フェイスリフトには二種類あります。
一つ目は、皮膚に糸を入れて引き上げる「糸リフト」、二つ目は、皮膚にメスを入れて筋膜や皮膚のたるみを引き上げる、「切開法」です。
どちらもたるみ解消効果が期待できますが、施術方法はもちろん、効果の持続期間なども違います。それぞれにメリット・デメリットがあるので、ご自身の希望に合う方を選びましょう。ここでは、糸リフトと切開法の特徴について解説します。
1)糸リフトは糸(スレッド)を利用したリフト方法
糸リフトは、皮膚の下にトゲのついた糸を入れ、引っ張り上げることでたるみを解消する施術法です。
糸リフトで使う糸には複数の種類があり、施術後数年かけて「溶ける糸」と、リフトアップ効果が切れても体内に残る「溶けない糸」があります。
溶ける糸
溶ける糸は、コラーゲンの生成を促すため、ハリやツヤの効果が見られる上に、糸が体内に残らず吸収されるなどのメリットがあります。一方で、効果の持続期間が短い点がデメリットです。
今では、多くの美容クリニックが溶ける糸を採用しています。
溶けない糸
溶けない糸は、リフトアップ効果が長く続くのがメリットです。
一方、体内に糸が残る、感染症を起こす可能性が高くなる、などのデメリットがあります。
クリニックによって使用する糸は違うため、ご自身の希望が叶う提案をしてくれるクリニックを選んでください。
<糸リフトの効果>
<糸リフトはどんな人に向いている?>
糸リフトは切開法のように、皮膚を切開する施術ではないため、気軽に受けられる施術です。しかし、たるみが強く出ている方は、糸だけではリフトアップ効果が見られない可能性もあります。しっかりとしたリフトアップ効果を求めるなら、皮膚の下にあるSMAS(スマス)筋膜を引き上げる「切開リフト」を選びましょう。 糸リフトはたるみが少ない方や、短いダウンタイムで効果を感じたい方におすすめです。 |
<切開リフトと比べた糸リフトのメリットとデメリット>
メリット | デメリット |
・施術直後にリフトアップ効果を実感 ・ダウンタイムが短い ・コラーゲンの生成が活性化され美肌効果も ・傷跡が目立たない | ・切開リフトよりも効果が実感しにくい ・効果の持続時間が短い ・深いたるみには十分な効果がでない |
糸リフトの相場価格
クリニックや糸の種類、本数によって金額がことなります。
※糸の種類によりますが15,000円~66,000円が相場です。
低価格の糸は片方20本くらいずつ入れることが多く、引き上げ力の強い高価格の糸などは片側4本くらい入れます。そうすると、共に片側30万くらいが現実的です。
2)切開リフトは皮膚組織を切開するリフト方法
切開リフトは、皮膚にメスを入れて、顔のたるみを全体的に引き上げる施術です。切開リフトにも種類があり、主な施術法に、SMAS法とリガメント法の2種類があります。
SMAS法
SMAS法は、耳の付け根あたりを切開し、皮膚の奥にあるSMAS筋膜とたるみを引き上げ、余分な皮膚を切り取る施術です。リガメント法と比較すると、体への負担が小さく、比較的自然な仕上がりになります。
リガメント法
リガメント法は皮膚と骨をつなぐ役割をしているリガメントを切って、たるみを引き上げてから、再度固定する施術です。顔のたるみが強い場合、リガメントが元の位置に戻そうとする力が働き、充分に引き上がらないケースがあります。そこで、リガメント法はリガメントを切り離してから、たるみを引き上げ固定。これにより、SMAS法よりリフトアップ効果が高まり、たるみが元に戻りづらくなる効果が期待できます。
<切開リフトはどんな人に向いている?>
SMAS法もリガメント法も、糸リフトよりもリフトアップ効果を長く実感でき、たるみが強く出ている方でも効果が出やすい施術です。 一方でダウンタイムが長く、皮膚に傷跡が残ってしまうため、休みが取れない方や、傷を残したくない方には向きません。また、たるみがそれほど目立たない場合もあまりおすすめできません。 |
<切開リフトのメリットとデメリット>
メリット | デメリット |
・深いしわやたるみにも効果がある ・一回の手術で効果がある ・たるんだ皮膚を切除できる ・必要に応じて脂肪吸引が同時に行える ・効果の持続期間が長い(5~10年) | ・侵襲がある ・手術時間が5時間と長い ・ダウンタイムが長い ・全身麻酔で行う必要がある ・永続的な効果はない |
切開リフトの相場価格
クリニックや、切開する部位や手術によって金額が多少前後することはありますが、
切開リフトの相場価格は50〜200万円と言われています。
2.糸リフトの主な失敗例
糸リフトは、切開リフトよりもダウンタイムが短く、気軽に受けられる施術です。しかし、実際に施術を受けた方の中には、失敗してしまったと感じている方もいます。糸リフトで見られる、主な失敗例について紹介します。
1)顔がひきつれる
糸リフトの失敗で多いのが、顔がひきつれる症状です。
これは、糸でたるみを引き上げすぎたことによって起こる症状で、つっぱり感を感じたり、表情が不自然になったりします。
施術後1ヶ月で、顔の違和感はなくなると言われていますが、ひきつれの症状が続く場合は、クリニックを受診してください。またこの間、顔のマッサージは控えるようにしましょう。さらにひきつれる感覚が強くなる可能性があります。
2)ぼこつきが目立つ
糸リフトをすることで、顔の表面にぼこつきが目立つことがあります。
考えられる主な原因は、医師の技術不足です。糸リフトには、糸を入れる向きや深さ、糸を入れる本数などの、細かな調整が必要です。医師の技術・経験不足でこれらの判断を誤ると、ぼこつきが目立つことがあります。
また、まれに糸による異物反応により、しこり・腫れなどの症状が出て、肌表面がぼこつくケースがあります。ぼこつきが目立つ場合、症状を悪化させないためにも、顔のマッサージは控えるようにしましょう。
3)糸が透けて見える
太い糸を使用した際に、肌表面に糸が透けて見えたり、触った時に糸のトゲを感じたりすることがあります。これも医師の技術不足が原因です。糸の太さを考慮せず、糸を皮膚の浅い位置に埋め込んだために起こります。
糸を埋め込む際には、一人ひとりの皮膚の厚みを考慮し、皮膚が薄い方は、糸を皮膚の奥の層に入れるといった配慮が必要です。糸リフトの経験が浅い医師が、糸を入れ込む位置の判断を誤ると、糸が透けて見える可能性が高くなります。
また、太い糸を使用することで、糸が透けて見えるケースもあります。こうした失敗を防ぐためにも、施術前にしっかりカウンセリングを行い、きめ細やかな施術ができるクリニックを選ぶことが大切です。
4)たるみが改善されない
糸リフトをしても、たるみが改善されない方もいます。
糸リフトは、糸で皮膚を持ち上げる施術のため、たるみが強く出ている方は効果が思うように出ない場合があります。頬の脂肪が多い方や、たるみが強く出ている方は、切開リフトの方が効果を得やすいでしょう。
また、医師の糸の挿入部位が適切でない場合も、たるみがうまく引き上がらず、しっかり効果を感じられない場合もあるでしょう。
5)術後の痛みが長引く
糸リフトのダウンタイムは1週間程度ですが、ダウンタイム後も糸の挿入部位やこめかみに、違和感・頭痛が続く場合があります。これは糸の挿入が深すぎることが考えられますので、医師に相談しましょう。
6)毛髪が抜ける
施術時に、糸の挿入部位の毛根が傷つくと、毛髪が抜ける可能性があります。
糸を埋め込む際は、髪の生え際やこめかみから挿入しますが、糸を固定する際に毛根が傷ついたり、血行障害が起こって血流が悪くなると、髪が抜けてしまいます。
毛根が傷ついた場合は、髪の再生は難しいでしょう。血行障害の場合は、糸が吸収されるにつれて、髪の毛も再生されます。
<参考記事>
糸リフトで失敗しないために知っておきたいメリット・デメリット
3.切開リフトの失敗例
切開リフトは、皮膚にメスを入れる施術のため、失敗や後遺症が気になるかもしれません。切開リフトで実際に見られる、失敗例について紹介します。
1)傷跡が目立つ
切開リフトは、皮膚にメスを入れるため、必ず傷跡が残る施術です。髪の生え際から耳たぶあたりまでを切開することが多いので、傷跡は目立たない場所にできますが、稀に目立って残る場合があります。
もともとケロイド体質の方は、傷跡が残りやすいため、カウンセリング時に医師に相談し、施術を受けるかどうか、慎重に検討してください。皮膚の縫い方はクリニックによって違うため、目立たない縫い方をしてくれるクリニックを選ぶことも大切です。
カウンセリングの際に、どの程度の傷跡なら許容できるのか、医師と話し合っておくのも良いでしょう。
2)耳の形が変わる
切開リフトは、正しい処置をしないと、耳の形が変わることがあります。
たるみを持ち上げる際に、SMAS筋膜をしっかり持ち上げられれば問題ないですが、皮膚だけを引っ張り上げてしまうと、耳たぶに力がかかり、福耳のような形になってしまうことも。
また、耳の穴の前にある耳珠が引っ張られると、耳の穴が広がってしまうこともあります。
耳の変形は、医師の技術不足が原因であることが多いので、切開リフト経験が多い医師の元で、施術を受けましょう。
3)理想のデザインと異なる
施術後の顔が、理想のデザインと異なってしまう場合もあります。
これは、医師の技術不足や、カウンセリング時に医師にイメージが正しく伝わっていなかったことが、原因として考えられます。
経験が豊富な医師を選ぶのはもちろん、症例写真などをもとに、自分の理想のイメージをしっかり伝えるようにしてください。
4)感染を起こす
まれですが、縫い合わせた傷口に細菌がつき、感染を起こすことがあります。
施術後は化膿止めが処方されますが、傷口を清潔にしない、触り過ぎてしまうなどが原因で、感染症が起こる可能性があります。
感染が起こると最悪の場合、皮膚が壊死する可能性もあるため、クリニックの注意事項を守るようにしてください。
5)神経を損傷する
施術中に神経を損傷し、しびれなどの症状が出る場合があります。
フェイスリフトで持ち上げるSMAS筋膜の下には、顔面神経が通っているため、施術中に傷付くと、しびれや知覚鈍麻などの症状が起こる可能性があります。
これらの症状は稀ではありますが、神経損傷のリスクがあることを知っておきましょう。
4.フェイスリフトで失敗しない方法
糸リフトと切開法のどちらを選択しても、施術が失敗する可能性はゼロではありません。そのため、失敗リスクは少しでも下げたいところ。ここからは、フェイスリフトで失敗しない方法を解説します。
1)技術力の高い医師を選ぶ
フェイスリフトを受ける際には、技術力の高い医師を選びましょう。フェイスリフトは、糸リフトでも切開法でも、医師の技術と経験が必要になります。
美容クリニックのホームページには、施術実績や症例写真が見られる場合も多いので、必ず確認するようにしましょう。
2)カウンセリングでイメージのすり合わせを行う
カウンセリング時は、医師とイメージのすり合わせを行いましょう。医師と完成後のイメージが合っていないと、仕上がりに納得できない可能性が高まります。
カウンセリング資料にしっかり目を通すのはもちろん、完成後の理想の写真を用意して、言葉だけでなく、イメージが視覚的にも伝わるようにしてください。
3)ダウンタイム中のケアをしっかり行う
ダウンタイム中のケアは、しっかり行いましょう。
糸リフトのダウンタイムは、1週間程度です。その間は、腫れや内出血の症状が軽減できるよう、入浴や激しい運動は控えるようにしましょう。
肌をしっかり保湿することが必要ですが、ぼこつきや糸が透ける原因になるため、顔のマッサージは控えてください。
切開法は、糸リフトよりもダウンタイムが長引きますが、赤みや腫れは2週間程度でおさまります。
施術後1週間ほどで抜糸をおこなうため、クリニックへの再訪が必要です。傷跡は徐々に薄くなっていきますが、目立たなくなるまでは1年ほどかかるでしょう。
施術後に、クリニックからダウンタイム中のケアについて指示があるため、必ず守って生活してください。
5.まとめ
フェイスリフトで失敗しないためには、医師選びをしっかりと行い、自分に合った方法を選択する ことが大切です。
フェイスリフトの種類は、糸リフトと切開リフトがあります。
糸リフトは、皮膚に糸を入れて引っ張る方法のため、ダウンタイムが短く、気軽に受けられる施術です。しかし、効果が持続する期間が1〜2年ほどと短いのが、デメリットでしょう。
切開リフトは、皮膚にメスを入れる施術のため、ダウンタイムが長く、傷跡も残ってしまいますが、その分顔のリフトアップ効果は長く感じられます。
どちらにもメリット・デメリットがあり、失敗のリスクがあります。
それぞれの施術を良く理解して、ご自身の希望に合う施術法を選択するようにしてください。
また、フェイスリフトはどちらの施術法でも、医師の技術が出来栄えを大きく左右します。
美容クリニックのホームページや美容医療の口コミサイトを見たり、実際にカウンセリングを受けたりして、安心してお任せできる医師を選ぶことが失敗を防ぐコツです。
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