広尾皮フ科クリニックの脂腺増殖症治療|炭酸ガスレーザーと脂腺摘出の特徴・料金・経過を解説

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広尾皮フ科クリニックの脂腺増殖症治療は、炭酸ガスレーザーで皮膚を薄く削ったうえで、増殖した脂腺をピンセットで一つずつ目視で摘み取る手技です。この記事では、再発と凹みを避ける考え方、料金、施術の流れ、かさぶたが取れるまでの経過、ほかの治療との違いを、根拠と限界を交えて解説します。

 

<執筆>

ナールス美容医療アカデミー編集長 富本充昭

富本充昭

 

広尾皮フ科クリニックは、東京メトロ日比谷線「広尾」駅から徒歩5分、広尾枡儀アネックスビルにある皮膚科クリニックです。2005年の開院以来、院長の和泉達也先生が「皮膚に美容的な処置をすることは、皮膚の健康のためにとても良いことである」という考えのもと、一般皮膚科と美容皮膚科の両方の診療にあたっています。
紫外線によるシミも、額や目じりのしわも、ニキビ痕も、単なる老化現象や美容の問題としてではなく、皮膚とその周辺の組織に起きた不健康な変化として捉える。
皮膚の老化研究に携わった経験を持つ皮膚科専門医ならではの視点です。
額や頬に、黄色っぽく、中心がわずかに凹んだ数ミリの盛り上がりがいくつも出てくる。ニキビでもイボでもなさそうで、市販薬を塗っても変わらない。
それが脂腺増殖症(しせんぞうしょくしょう)です。毛穴の中で皮脂をつくる脂腺が、ぶどうの房のように増殖して盛り上がったもので、中年以降に多くみられます。

良性の病変であり、放置して命に関わるものではありません。ただ、数が増えるにつれて顔全体の印象が変わってくるため、治療を希望される方は少なくありません。
海外の総説でも、外見上の悩みが心理面に大きな影響を及ぼしうると指摘されています【1】。
やっかいなのは、この病変が皮膚の表面ではなく真皮のなかにあることです。表面だけを凍らせたり削ったりしても、奥に残った脂腺から再び盛り上がってきます。かといって深く削れば、今度は凹みや瘢痕が残る。「足りなければ残り、やりすぎれば凹む」という難しさが、脂腺増殖症の治療にはあります。

実際、査読論文のレビューでも、再発を防ぐには脂腺そのものを完全に破壊する必要があり、従来の凍結療法・電気焼灼・掻爬・削り取り・トリクロロ酢酸には皮膚の色調変化や瘢痕のリスクが伴うと整理されています【2】。
広尾皮フ科クリニックが行っているのは、局所麻酔のうえ炭酸ガスレーザーで皮膚を薄く削り、露出した脂腺を先のとがったピンセットで目視しながら一つずつ摘み取るという方法です。

最後に、出血している部分だけを、同じ炭酸ガスレーザーでピンポイントに止血します。機器による周囲への熱のダメージを極力抑えることで、傷を目立ちにくくする狙いがあります。レーザーで削ったうえで物理的に取り切るという組み合わせは、査読論文でも報告されている考え方です【3】。
一方で、この治療は局所麻酔を要する外科的な処置です。施術後は7〜14日ほどかさぶたが続き、その間は抗生物質などの外用剤の塗布が必要になります。また、脂腺増殖症には体質的な背景があるため、治療した部位以外に新しい病変ができる可能性は残ります。

本記事では、脂腺増殖症という病変の成り立ちから、広尾皮フ科クリニックでの治療手技の特徴、料金、施術の流れ、ダウンタイム、ほかの治療法との違いまでを、査読論文も参照しながら詳しく解説します。顔のぶつぶつが気になっている方、液体窒素などで治らなかった方は、ぜひ参考にしてください。

脂腺増殖症とは?

脂腺増殖症の臨床写真(額に多発した黄色い小丘疹。中心が点状に凹んでいるのが分かるもの)

1)毛穴の脂腺が増えてできる良性のできもの

脂腺増殖症(sebaceous hyperplasia)は、毛穴の中にある皮脂をつくる脂腺が増えてできる、良性のできものです。大きさは数ミリ程度で、見た目は黄色っぽくわずかに盛り上がり、中心部が点状に凹んでいます。肥大した脂腺が毛穴の周囲を取り囲むように、ぶどうの房状に増殖しているため、このような形になります。
中年以降の顔面、とくに額や頬に多くみられ、多発することもあります。

正常な毛穴と脂腺増殖症で肥大した脂腺の違いを示す皮膚断面図

良性の病変ですので、放置したからといって悪性化するものではありません。それでも治療を検討する方が多いのは、顔の目立つ場所に、時間とともに数を増やしながら現れるからです。

2)なぜ中年以降に増えるのか

皮脂の分泌は、加齢に伴って変化します。女性では閉経後に低下する傾向がある一方、男性では高齢になるまで大きく変化しないとの報告もあります。それでも、脂腺そのものは加齢とともに大きくなっていくことが知られています【4】。皮脂をつくる細胞の入れ替わりが遅くなり、腺の中に細胞がたまっていくことが、脂腺増殖症の背景にあると考えられています。
紫外線も関与します。額や頬という好発部位は、日常的に日光を浴び続ける場所です。文献でも、広範囲に及ぶ脂腺増殖症は男性と、より光老化の進んだ皮膚に多いことが指摘されています【3】【4】。

3)似ているできものとの違い

顔にできる小さな盛り上がりは、脂腺増殖症以外にもいくつもあります。代表的なものを挙げます。

稗粒腫(はいりゅうしゅ)白っぽく硬い1〜2mmの粒。中身は角質で、中心の凹みがない。
脂漏性角化症(老人性いぼ)茶色〜黒褐色で、表面がざらついたいぼ状。色調で見分けやすい。
ニキビ(面皰)炎症を伴い、数日〜数週で変化する。脂腺増殖症は年単位で変わらない。
汗管腫目の下に多い、肌色〜わずかに黄色の小丘疹。中心の凹みがない。
基底細胞癌悪性腫瘤。黒色調を伴うことが多いが、非典型例では鑑別が難しい。

4)自己判断が危険な理由

脂腺増殖症そのものは良性ですが、見た目が似ている病変のなかには、治療方針がまったく異なるものがあります。とくに注意が必要なのが基底細胞癌です。
脂腺増殖症31例をダーモスコピー(拡大鏡)と反射型共焦点顕微鏡で観察した研究では、非典型例において毛芽腫や基底細胞癌、その他の腫瘍との区別が難しい場合があると明記されています【5】。この研究では、全例で病変の中央に白黄色の分葉状構造が認められ、61.3%に中心の陥凹、35.5%に病変を取り囲む王冠状の血管(crown vessels)が観察されました。これらの所見を非侵襲的に確認することが、正確な臨床診断の裏づけになると結論づけられています。
つまり、この病変では「治療の前にまず診断」という順番がとりわけ重要になります。市販薬やセルフケアで様子を見続けるのではなく、皮膚科を受診して診断を受けることが第一歩です。

皮膚科医がダーモスコピーを使って顔のできものを診察している様子

広尾皮フ科クリニックとは?

広尾皮フ科クリニックの受付

1)クリニックの特徴

① 一般皮膚科と美容皮膚科を同じ窓口で

広尾皮フ科クリニックは、アトピー性皮膚炎やいぼ、水虫といった一般皮膚科(保険診療)と、シミ・しわ・たるみ・医療脱毛などの美容皮膚科(自由診療)の両方を行っています。
和泉院長は、皮膚の美容も、皮膚の健康を保ち、あるいは取り戻すためのものである以上、一般皮膚科と同じ診療のスタンスが必要だという考えを示しています。脂腺増殖症のように、良性でありながら見た目の悩みとなり、かつ悪性腫瘍との鑑別も必要な病変では、この立ち位置が活きてきます。

② 皮膚科専門医が診断から担当

和泉院長は1987年に慶應義塾大学医学部を卒業後、同大学医学部皮膚科学教室に入局。市中病院で皮膚科全般の臨床経験を積み、1993年に皮膚科専門医を取得しました。その一方で、皮膚の老化の研究にも携わってきた経歴を持ちます。
脂腺増殖症は加齢に伴う脂腺の変化と関連する病変です。皮膚老化の研究経験を持つ皮膚科専門医が診療を行っている点も、クリニックの特徴の一つです。

③ ビジュアルカルテで経過を客観的に記録

診察室では、全顔を正面・側面から撮影し、患者一人ひとりのビジュアルカルテを作成しています。治療効果を主観ではなく画像で判定する仕組みです。
脂腺増殖症のように、かさぶたが取れてから数か月かけて仕上がりが決まっていく病変では、施術前の状態が画像で残っていることの意味は小さくありません。

広尾皮フ科クリニックの診察室

④ 広尾駅から徒歩5分、土曜も診療

東京メトロ日比谷線「広尾」駅から徒歩5分。「広尾病院前」バス停(新橋→渋谷方面)は目の前です。平日は19時30分まで、土曜も18時まで診療しています。
また、しみ・しわ・アンチエイジング・にきび・ほくろ除去については、メールでの無料相談を24時間受け付けています。

2)医師プロフィール

氏名主な資格・経歴
和泉 達也(いずみ たつや)先生
広尾皮フ科クリニック 院長 和泉達也先生
医学博士。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。
1987年 慶應義塾大学医学部卒業/同大学医学部皮膚科学教室入局。1989年 清水市立病院(現・静岡市立清水病院)出向。1993年 皮膚科専門医取得。1994年 国家公務員等共済組合連合会立川病院出向。1996年 練馬総合病院医長就任。2005年 広尾皮フ科クリニック開設。
勤務医として皮膚科全般の臨床経験を積む一方、皮膚の老化の研究にも従事。

3)基本情報

広尾皮フ科クリニックの受付サイン

医院名広尾皮フ科クリニック
住所〒150-0012 東京都渋谷区広尾5-25-5 広尾枡儀アネックスビル1・2F
アクセス東京メトロ日比谷線「広尾」駅より徒歩5分/「広尾病院前」バス停(新橋→渋谷方面)目の前
診療時間月〜金 10:30〜14:00・16:00〜19:30/土 10:30〜14:00・16:00〜18:00
休診日日曜日・祝日
電話番号03-5795-1112
診療形態一般皮膚科(保険診療)/美容皮膚科(自由診療)。電話予約・WEB予約に対応

広尾皮フ科クリニックの脂腺増殖症治療の特徴

炭酸ガスレーザーで薄く削ってから脂腺を摘み取る手順の図解(①局所麻酔 →②レーザーで薄く削る →③脂腺を摘出 →④ピンポイント止血)

1)「削る」だけでなく「摘み取る」

広尾皮フ科クリニックの脂腺増殖症治療は、次の手順で行われます。
まず、病変一つひとつに局所麻酔の注射を行います。次に、炭酸ガスレーザーで皮膚を薄く削ります。ここまでは多くの医療機関と共通していますが、この後が異なります。先のとがったピンセットを使い、露出した脂腺を目視しながら一つずつ摘み取っていきます。そして最後に、出血している部分だけを、削る際と同じ炭酸ガスレーザーでピンポイントに照射して止血します。
この方法で処置することで、機器による周囲への熱のダメージを極力抑え、傷を目立ちにくくすることを目指しています。
使用している炭酸ガスレーザーは、ジェイシスメディカルジャパン株式会社の「エッジワン(Edge ONE)」です。医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく承認を受けた医療機器です(承認番号:23000BZI00037000)。

2)なぜ「削るだけ」では足りないのか

脂腺増殖症の主体は、皮膚の表面だけではなく、真皮に存在する脂腺にあります。そのため、主として表皮に変化が生じるイボ(尋常性疣贅)などとは、病変の構造や治療の考え方が異なります。
表面だけを削った場合には、病変を構成する脂腺が十分に処置されず、病変が残ったり再び目立ったりする可能性があります。一方、レーザーで深く処置しすぎると、周囲組織への熱影響によって凹み、瘢痕、色素沈着などのリスクが高まります。「足りなければ残り、やりすぎれば凹む」というトレードオフが、この病変の治療の核心です。
文献レビューでも、再発を防ぐには脂腺そのものを完全に破壊する必要があると整理され、従来の凍結療法・電気焼灼・掻爬・削り取り・トリクロロ酢酸には皮膚の色調変化や瘢痕のリスクが伴うことが指摘されています【2】。
この課題に対する一つの答えが、「レーザーで削って病変を露出させ、そのうえで物理的に取り切る」という組み合わせです。46名を対象とした介入研究では、まずパルス炭酸ガスレーザーを2〜4パス照射して病変を縮小させ、細く鋭利な使い捨てのキュレット(鋭匙)で摘出する方法がとられました。この手法により、病変を容易かつ正確に、完全に除去できたと報告されています【3】。
用いる器具はキュレットで、広尾皮フ科クリニックのピンセットとは異なります。ただ、「レーザーで熱をかけ続けて破壊しきるのではなく、縮小させたうえで物理的に取り除く」という設計思想は共通しています。

脂腺増殖症治療で表面だけを処置した場合、適切な深さで脂腺を確認しながら取り除く場合、深く処置しすぎた場合の違いを示す図

3)熱ダメージを抑えることが仕上がりを左右する

止血を全体ではなく出血部だけに限定するのも、周囲への熱の広がりを抑えるためです。
前述の研究では、美容的な結果を3段階で評価したところ、最もよい区分(瘢痕がほとんどなく、色素の増減もない)だったのは46名中35名(76.1%)でした。一方で、施術1か月後の時点で14名に中等度以上の色素沈着、6名に瘢痕がみられ、12か月後にもそれぞれ7名、5名で残っていました【3】。

炭酸ガスレーザーと掻爬を組み合わせた46名の研究における一定の美容的結果と12か月後の色素沈着・瘢痕の残存割合

この方法でも、色素沈着や瘢痕を完全に防げるわけではありません。とくに色素沈着を起こしやすい肌質では、施術後の紫外線対策や創部のケアが重要です。同研究では、FitzpatrickスキンタイプII・IIIの方で、より良い美容的結果が得られる傾向が報告されています【3】。

4)病変一つひとつに局所麻酔を行う

広尾皮フ科クリニックでは、病変ごとに局所麻酔の注射を行います。麻酔クリームを塗るだけの方法に比べて手間はかかりますが、十分に麻酔を効かせることで、患者さんの痛みに配慮しながら、目視で一つずつ脂腺を摘み取る処置を進めることができます。

広尾皮フ科クリニックの脂腺増殖症治療の料金

料金は病変の大きさによって決まり、1か所ごとの設定です。

病変の大きさ料金(1か所あたり・税込)(税抜)
直径2ミリ未満8,800円8,000円
直径5ミリ未満11,000円10,000円
直径5ミリ以上17,600円16,000円

※税込価格は消費税10%を加算した金額です。
※広尾皮フ科クリニックでは、脂腺増殖症の治療はすべて自由診療(保険適用外)です。
※取り残しなどで同一部位を再処置する場合は、上記料金の半額で行っています。
多発している場合は個数分の費用がかかるため、まとまった金額になることがあります。1回の来院で治療できるのは、5〜10か所程度が目安です。何か所をどの順番で治療するかを含めて、診察時に相談することをおすすめします。

こんな方におすすめ

鏡を見ながら額のぶつぶつを気にする男性

1)額や頬のぶつぶつが年々増えてきた方

脂腺増殖症は、時間とともに数が増えていく傾向があります。病変の数が少ないうちに相談すれば、1回の治療で済む範囲に収まりやすく、費用の総額も施術の負担も抑えやすくなります。

2)液体窒素などで治らなかった方

脂腺増殖症に対して液体窒素による冷凍凝固術が行われることもありますが、病変の深さや治療条件によって効果が異なり、色素変化や瘢痕などのリスクもあります。液体窒素などの治療で十分な改善が得られなかった場合には、別の治療法について皮膚科で相談することが選択肢になります。

3)治療後の凹みや傷跡が気になる方

顔の目立つ場所の治療ですから、治療後の凹みや傷跡を気にされる方は少なくありません。広尾皮フ科クリニックの方法は、周囲への熱影響をできるだけ抑えることを意図した治療法ですが、瘢痕や色素沈着などのリスクがなくなるわけではありません。リスクを含めて、診察時に十分な説明を受けることが大切です。

4)まず診断をつけてほしい方

自分のできものが何なのか分からない、という段階の方こそ、皮膚科専門医の診察が有用です。基底細胞癌など、治療方針がまったく異なる病変が隠れている可能性を除外する必要があります【5】。
広尾皮フ科クリニックでは、ほぼすべてのケースでダーモスコピー(拡大鏡)による観察を行っています。

5)保険診療と自由診療の両方を相談したい方

顔にできものがある方は、同時に湿疹やニキビなど保険診療の対象となる悩みを抱えていることも少なくありません。一般皮膚科と美容皮膚科を同じ窓口で相談できる体制は、こうした場合に便利です。

ほかの治療法との違い

脂腺増殖症の主な治療法を炭酸ガスレーザー+脂腺摘出、レーザー単独、電気焼灼・高周波、凍結療法、イソトレチノイン内服で比較した図

1)液体窒素(冷凍凝固術)との違い

液体窒素は、超低温で組織を凍結・破壊する治療です。主に表皮に変化が生じるイボ(尋常性疣贅)などに用いられますが、真皮の脂腺が主体となる脂腺増殖症では、凍結の深さをコントロールしにくいという難点があります。
文献レビューでも、凍結療法は治療選択肢の一つとして挙げられる一方、皮膚の色調変化や瘢痕のリスクが指摘されています【1】【2】。

2)サージトロン(高周波メス)との違い

サージトロンは高周波(ラジオ波)を利用して組織を切開・凝固する機器で、出血が少ないという利点があります。一方で、治療条件によっては周囲組織への熱影響にも配慮する必要があります。
広尾皮フ科クリニックでは、液体窒素やサージトロンによる治療も脂腺増殖症の選択肢として認識したうえで、炭酸ガスレーザーで削って脂腺を摘み取る方法を採用しています。

3)電気焼灼との違い

病変内に電極を刺して電気凝固を行う方法で、簡便に実施できます。ただし深さの見極めが難しく、文献レビューでは、電気焼灼を含む従来の方法には皮膚の色調変化や瘢痕のリスクが伴うと整理されています【2】。総説でも治療選択肢の一つとして挙げられる一方、患者背景に応じた選択が必要とされています【1】。

4)内服治療(イソトレチノイン)との違い

病変が非常に多い場合には、イソトレチノインの内服が用いられることがあります。ただし、イソトレチノインの内服のような長期の全身療法は、費用がかさみ、合併症も多く、患者の協力を得にくいと指摘されています【3】。なお、イソトレチノインは日本国内では承認されていない医薬品です。

5)光線力学療法(PDT)との違い

アミノレブリン酸(ALA)など、光感受性物質のもととなる薬剤を塗布し、光を当てて脂腺を選択的に障害する治療です。文献レビューでは、PDTと炭酸ガスレーザーまたは色素レーザーによる前処置を組み合わせることで、単独治療より高い治癒率が、より少ない回数で得られたと報告されています【2】。
一方で、PDTは複数回のセッションと専用の設備を必要とし、多くの医療機関では実施できないという現実的な制約があります【3】。

6)皮脂腺を狙う新しい波長のレーザー

近年、皮脂そのものに吸収されやすい波長を使い、脂腺だけを選択的に加熱するというアプローチが研究されています。皮脂に含まれる脂質のCH₂結合が赤外域に吸収帯を持つことから、1710〜1720nm付近では、人工皮脂は水のおよそ2倍、ヒト脂腺では約1.5倍の加熱が確認され、約1700nmの照射で表皮への損傷を抑えながら脂腺に選択的な熱損傷を与えられる可能性が基礎研究で示されました【6】。
文献レビューでは、1720nm付近の波長を用いて脂腺を選択的に加熱する方法が報告されています【2】。ただし、脂腺増殖症に対する臨床エビデンスはまだ限定的で、機器を導入している施設も限られます【3】。今後の選択肢として注目しておく段階といえます。

脂腺増殖症治療の流れ

脂腺増殖症治療の流れの図解(STEP1〜STEP5)

1)STEP1:カウンセリング・診察

医師が病変を確認し、脂腺増殖症かどうかを診断します。似た見た目のできものとの鑑別、治療する部位と個数、費用、ダウンタイム、リスクについて説明を受けます。
広尾皮フ科クリニックでは、ほぼすべてのケースでダーモスコピー(拡大鏡)による観察を行い、診断を確かめています。病理検査は通常行っていませんが、ほかの病気との鑑別が必要な場合には実施することがあります。

2)STEP2:局所麻酔

病変一つひとつに局所麻酔の注射を行います。

3)STEP3:炭酸ガスレーザーで削る

炭酸ガスレーザーで皮膚を薄く削り、増殖した脂腺を露出させます。

4)STEP4:脂腺の摘出

先のとがったピンセットで、露出した脂腺を目視しながら一つずつ摘み取ります。

5)STEP5:止血・アフターケア

出血している部分だけを、同じ炭酸ガスレーザーでピンポイントに照射し、止血します。施術後の外用剤とケアについて説明を受けて終了です。
施術時間は病変の大きさによりますが、1か所あたり2〜3分ほどです。1回の来院で5〜10か所程度までであれば、まとめて治療が可能です。

施術後の注意・ダウンタイムの目安

【ALT:施術後のかさぶたと経過のイメージ図】

1)かさぶたが取れるまで7〜14日

施術後はしばらくかさぶたができ、取れるまでに7〜14日ほどかかります。その間は抗生物質などの外用剤を塗布します。
この期間は、査読論文の報告ともほぼ一致します。46名を対象とした研究では、修復までの平均は11.5±1.9日(範囲8〜15日)でした。また、病変が限局している場合は平均9.2日、非常に多発している場合は平均13.8日と、病変の数が多いほど修復に時間がかかる傾向も示されています【3】。

2)施術後の注意

かさぶたを無理にはがさないこと、処方された外用剤を指示どおり使うこと、そして紫外線対策を徹底することが基本です。
とくに紫外線対策は、色素沈着を残さないうえで重要です。前述の研究でも、創部の適切なケア、とりわけ日光を避けることが、色の濃いスキンタイプにおいても満足のいく仕上がりにつながると結論づけられています【3】。メイクや日焼け止めを再開できる時期は、施術時に必ず確認してください。

3)再発と取り残しについて

前述の研究では、12か月の追跡期間中に再発は認められませんでした。一方で、とくに病変数の多い症例では、取り残しによる残存病変で再受診するケースがあり、その場合は追跡期間中に追加治療が行われています【3】。
広尾皮フ科クリニックでは、取り残しなどで同一部位を再処置する場合、費用は通常の半額です。また、病変が深くまで及んでいて、一度に治療すると凹むリスクがある場合には、あえて2回に分けて処置することもあります。
また、脂腺増殖症には加齢と体質という背景があるため、治療した部位以外に新しい病変ができる可能性は残ります。「一度治療すれば一生できない」という治療ではない、という点は理解しておく必要があります。

脂腺増殖症治療後の再発、取り残し、治療部位とは別の場所にできる新しい病変の違いを示す図

4)治療を受けられない場合

広尾皮フ科クリニックでは、妊娠中・授乳中の方は治療を受けられません。また、ケロイドの既往、イソトレチノインの内服歴、治療部位の炎症・感染、創傷治癒に影響する疾患や状態がある場合などは、治療の可否について事前に医師へ相談する必要があります。前述の46名を対象とした研究では、直径10mmを超える病変、妊娠中・授乳中の方、過去6か月以内にイソトレチノインを内服した方、創傷治癒に異常のある方などが研究対象から除外されていました【3】。ただし、これは研究上の除外基準であり、そのまま広尾皮フ科クリニックの治療基準を示すものではありません。実際の適応については、診察時に確認してください。
なお、直径10mmを超えるような大きな脂腺増殖症は非常にまれです。

脂腺増殖症治療の概要(施術内容・料金・リスク)

施術内容炭酸ガスレーザーによる切削+脂腺摘出
施術回数・時間1か所2〜3分程度(大きさによる)。1回の来院で5〜10か所程度まで。病変が深い場合は2回に分けて処置することあり
料金8,800円〜17,600円(1か所あたり・税込)。自由診療(保険適用外)。同一部位の再処置は半額
考えられるリスク・副作用痛み、出血、腫れ、かさぶた、色素沈着、瘢痕、凹み、取り残し、新たな病変の出現 など

※上記はあくまで目安であり、個人差があります。

広尾皮フ科クリニック 院長 和泉 達也先生
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広尾皮フ科クリニック 院長 和泉 達也 先生 コメント

広尾皮フ科クリニック

院長 和泉 達也先生

顔の小さなできものは、ご自身では判断がつきにくいものです。脂腺増殖症は良性ですが、見た目のよく似た病変のなかには、治療方針がまったく異なるものもあります。まず診断を確かめる。そこから始めるのが皮膚科医の役割だと考えています。
治療では、炭酸ガスレーザーで皮膚を薄く削ったあと、露出した脂腺をピンセットで一つずつ摘み取ります。レーザーだけで奥まで焼き切ろうとすると、周囲に熱が広がり、凹みや色素沈着の原因になります。手間はかかりますが、目で見て確かめながら取り除くほうが、仕上がりはきれいになると考えています。
施術後は、かさぶたが7日から14日ほど続きます。この期間の紫外線対策が、最終的な仕上がりを大きく左右します。気になることは遠慮なくご相談ください。

口コミ・評判をチェック|良い点と気になる点

クリニックの口コミを調べる人

広尾皮フ科クリニックは、一般皮膚科と美容皮膚科の両方を行っているため、口コミも皮膚科としての評価と美容医療としての評価が混在しています。
ただし、口コミの投稿件数自体は多くありません。また、脂腺増殖症の治療に限定した口コミは、現時点では見当たりませんでした。ここでは、クリニック全体の評価傾向を良い面・気になる面の両方から整理します。

1)良い口コミ・評判の傾向

・皮膚科専門医としての診断力を評価する声(湿疹と思っていたものを、痛みが出る前の帯状疱疹と見抜いてもらった、など)
・受付スタッフや看護師の対応が感じ良いという声
・広尾駅から近く、立地がよいという声

2)気になる評判の傾向

・いぼなど、回数のかかる治療で通院が長引いたという声
・美容専門クリニックほど設備が揃っているわけではない、という声
・診療にあたる医師について、事前に見た情報と異なっていたという声

3)口コミ・評判の分析

口コミの母数が少ないため、これだけで治療の質を判断することはできません。とくに脂腺増殖症の治療に関する口コミが見当たらない以上、口コミを効果の判断材料にするのは適切ではないでしょう。
口コミを見るときは、星の数よりも「どの治療を受けたのか」「説明は十分だったか」「不満の内容が具体的に書かれているか」を確認することをおすすめします。脂腺増殖症のように、治療の前に診断が必要で、かつ仕上がりが数か月かけて決まる病変では、施術そのものに加えて、診断と説明の丁寧さや術後の相談のしやすさも、満足度を左右する要素になります。

広尾皮フ科クリニックの脂腺増殖症治療に関するよくある質問

Q1. 痛みはありますか?

局所麻酔の注射を行ったうえで処置しますので、施術中の痛みは抑えられます。麻酔の注射そのものには痛みを伴います。

Q2. 1回で取り切れますか?

レーザーで削ってから脂腺を目視で摘み取るため、その病変については1回で取り切ることを目指す治療です。ただし、病変数が多い場合には取り残しが生じ、追加の治療が必要になることがあると報告されています【3】。また、病変が深くまで及んでいて、一度に治療すると凹むリスクがある場合には、あえて2回に分けて処置することもあります。なお、同一部位の再処置は通常料金の半額です。

Q3. 再発しますか?

46名を対象とした研究では、12か月の追跡期間中に再発は認められませんでした【3】。ただし、脂腺増殖症は加齢と体質を背景とする病変ですので、治療した部位以外に新しい病変ができる可能性はあります。

Q4. 傷跡は残りますか?

周囲への熱のダメージを抑えることで、傷を目立ちにくくすることを目指した治療です。ただし、まったく残らないわけではありません。前述の研究では、施術12か月後の時点で46名中5名に瘢痕、7名に色素沈着が残っていました【3】。

Q5. 保険は使えますか?

保険は使えません。広尾皮フ科クリニックでは、脂腺増殖症の治療はすべて自由診療(保険適用外)です。

Q6. 何か所まで一度に治療できますか?

施術時間は1か所あたり2〜3分ほど(大きさによる)で、1回の来院で5〜10か所程度までであれば治療が可能です。それ以上多発している場合は、診察のうえ、治療する範囲と回数を相談することになります。

Q7. メイクはいつからできますか?

治療部位以外のメイクは、施術の翌日から可能です。治療部位は、かさぶたが自然に取れるまで(7〜14日ほど)はメイクを控え、かさぶたが取れてから再開するのが目安です。日焼け止めは、かさぶたが取れた後、早めに再開して紫外線対策を徹底してください。

Q8. 放置してはいけないものですか?

脂腺増殖症そのものは良性であり、放置しても悪性化するものではありません。ただし、見た目が似た病変のなかには基底細胞癌のように治療方針が異なるものがあり、非典型例では鑑別が難しいことが報告されています【5】。一度は皮膚科で診断を受けておくことをおすすめします。

まとめ

広尾皮フ科クリニックの脂腺増殖症治療について診断から施術と術後ケアまでをまとめた図

脂腺増殖症は、毛穴の脂腺が増えてできる良性のできものです。命に関わるものではありませんが、額や頬という目立つ場所に、年齢とともに数を増やしながら現れるため、治療を希望される方が少なくありません。
治療の難しさは、病変が真皮のなかにあるという点にあります。表面を削るだけでは残り、深く削れば凹む。この「足りなければ残り、やりすぎれば凹む」というトレードオフをどう解くかが、仕上がりを決めます。
広尾皮フ科クリニックの答えは、炭酸ガスレーザーで薄く削って脂腺を露出させ、ピンセットで目視しながら一つずつ摘み取り、出血部だけをピンポイントで止血するというものです。熱を加え続けて破壊しきるのではなく、縮小させたうえで物理的に取り除く。この考え方は、査読論文でも報告されています【3】。
一方で、色素沈着や瘢痕が生じる可能性はゼロではなく、施術後7〜14日のかさぶた期間と、その後の紫外線対策が必要です。また、治療した部位以外に新しい病変ができる可能性も残ります。魔法のような治療ではありません。
だからこそ、まず診断から入ることが大切です。1987年から皮膚科の臨床に携わり、皮膚の老化を研究してきた皮膚科専門医が、一般皮膚科と美容皮膚科の両方の目で診る。顔のぶつぶつが気になっている方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。

参考文献(エビデンス)

【1】Hussein L, Perrett CM. Treatment of sebaceous gland hyperplasia: a review of the literature. J Dermatolog Treat. 2021;32(8):866-877.
PMID: 32011918 DOI: 10.1080/09546634.2020.1720582
日本語要旨:英国の皮膚科医による、脂腺増殖症の治療法を横断的に整理したレビュー。電気焼灼、外科手術、凍結療法、イソトレチノイン内服、レーザー、局所PDTまでを比較している。高齢者と、臓器移植後などで長期にシクロスポリンを投与されている患者に多く、外見上の悩みが心理面に大きな悪影響を及ぼす場合があると指摘。病変の数・部位・患者背景に応じて治療法を選ぶ必要があるとまとめている。
【2】Simmons BJ, Griffith RD, Falto-Aizpurua LA, Bray FN, Nouri K. Light and laser therapies for the treatment of sebaceous gland hyperplasia a review of the literature. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2015;29(11):2080-2087.
PMID: 25731611 DOI: 10.1111/jdv.13066
日本語要旨:脂腺増殖症に対する光線力学療法(PDT)とレーザー治療を対象とした文献レビュー。再発を防ぐには脂腺全体を破壊する必要があり、従来の凍結療法・電気焼灼・掻爬・削り取り・トリクロロ酢酸には皮膚の色調変化や瘢痕のリスクが伴うと整理している。脂腺に選択的な1720nm波長のレーザーに関する報告も取り上げているが、臨床報告は少数例にとどまる。また、PDTと炭酸ガスレーザーまたは色素レーザーの前処置を併用すると単独治療より高い治癒率が少ない回数で得られたと報告。ただし、いずれも大規模な前向き研究による確認が必要と明記されている。
【3】Kavoussi H, Rezaei M, Azimi M, Kavoussi R. Combination of CO2 laser therapy and curettage for sebaceous gland hyperplasia. Acta Dermatovenerol Alp Pannonica Adriat. 2019;28(1):11-14.
PMID: 30901063 DOI: 10.15570/actaapa.2019.3
日本語要旨:炭酸ガスレーザーで病変を縮小させたうえで、細く鋭利なキュレットで摘出する併用法を46名(女性32名・男性14名、平均39.9±5.7歳)に実施した介入研究。修復までの平均は11.5±1.9日(範囲8〜15日)で、病変が限局した例は9.2日、非常に多発した例は13.8日と差がみられた。美容的結果を3段階(fair/moderate/poor)で評価し、最もよい区分(fair:瘢痕がほとんどなく、色素の増減もない)が76.1%。スキンタイプII・IIIで良好な結果が多く、IVではpoorが多かった。1か月後に14名で中等度以上の色素沈着、6名で瘢痕がみられ、12か月後にもそれぞれ7名・5名で残存した。12か月の追跡で再発は認められなかったが、多発例では取り残しによる残存病変での再受診があった。本記事で紹介する「削ってから摘み取る」という考え方を支持する中心的な文献。ただし用いられた器具はキュレットであり、ピンセットを用いる手技そのものを検証したものではない。
【4】Zouboulis CC, Boschnakow A. Chronological ageing and photoageing of the human sebaceous gland. Clin Exp Dermatol. 2001;26(7):600-607.
PMID: 11696064 DOI: 10.1046/j.1365-2230.2001.00894.x
日本語要旨:ヒトの脂腺における加齢変化と光老化を扱ったレビュー。脂腺は内因性の老化と外因性の老化の両方を受け、加齢に伴って形態と機能が変化する。皮脂分泌は、とくに女性では閉経後に低下する一方で、脂腺そのものは肥大していくという現象を整理している。「なぜ中年以降に脂腺増殖症が増えるのか」を説明する基礎的な文献。
【5】Lin EY, Rao L, Wang WJ, Chen YF. Detection of sebaceous gland hyperplasia with dermoscopy and reflectance confocal microscopy. Front Med (Lausanne). 2023;10:1194748.
PMID: 37457586 DOI: 10.3389/fmed.2023.1194748
日本語要旨:脂腺増殖症31例をダーモスコピーと反射型共焦点顕微鏡で観察した研究。ダーモスコピーでは全例に病変中央の白黄色分葉状構造がみられ、61.3%に中心の陥凹、35.5%に周辺の王冠状血管(crown vessels)を認めた。共焦点顕微鏡では全例に表皮の蜂巣状パターンと真皮の桑実状の脂腺小葉がみられた。非典型例では毛芽腫や基底細胞癌などとの鑑別が難しい場合があり、これらの非侵襲的な画像診断が正確な臨床診断の基盤になると結論づけている。
【6】Sakamoto FH, Doukas AG, Farinelli WA, Tannous Z, Shinn M, Benson S, Williams GP, Gubeli JF 3rd, Dylla HF, Anderson RR. Selective photothermolysis to target sebaceous glands: theoretical estimation of parameters and preliminary results using a free electron laser. Lasers Surg Med. 2012;44(2):175-183.
PMID: 22170298 DOI: 10.1002/lsm.21132
日本語要旨:皮脂に多く含まれる脂質のCH₂結合が赤外域に吸収帯を持つことを利用し、脂腺を選択的に加熱できるかを検証した基礎研究(マサチューセッツ総合病院ウェルマン光医学センターほか)。天然および人工皮脂の吸収スペクトルを200〜3,000nmで測定し、1,210nm、1,728nmなどに吸収ピークを確認。1,710〜1,720nmでは人工皮脂の加熱が水のおよそ2倍、ヒト脂腺では約1.5倍となり、約1,700nm・100〜125ミリ秒のパルスでは表皮を傷めずに脂腺へ選択的な熱損傷が生じた。近年の脂腺選択的レーザーの理論的基盤となった研究。

※本記事は美容医療に関する情報提供を目的としたものであり、診断・治療方針の決定は必ず医療機関での診察に基づいて行ってください。

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