マイボーム腺機能不全(MGD)によるドライアイのIPL治療の効果は?

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ドライアイの主な原因はマイボーム腺機能不全(MGD)です。

MGD診療ガイドラインでは、新たな治療としてIPL治療が有効であるとされています。

この記事では、医師監修の下、MGDが原因のドライアイや霰粒腫のIPL治療の効果やプロセス、安全性などを幅広くご紹介します。

 

<IPL治療の主なメリット>

✓ 根本原因へのアプローチ: マイボーム腺の詰まりを直接解消

✓ 非侵襲的: メスを使わない安全な治療

✓ 短時間: 1回約15分の施術

✓ ダウンタイムなし: 治療直後から通常生活が可能

✓ 継続的効果: 定期的な治療で症状の根本改善が期待

 

<IPL治療をおすすめする方>

✓従来の点眼治療で改善が不十分な方

✓ドライアイの症状が日常生活に支障をきたしている方

✓霰粒腫を繰り返している方

✓より根本的な治療を希望される方

 

1.マイボーム腺機能不全(MGD)とは?

マイボーム腺

マイボーム腺とは、まつ毛の生え際にある腺のことです。

涙は、油分・水分・ムチンの層からできており、水分が蒸発しないように、表面に一層薄く油層がのっています。

その油を分泌しているのがマイボーム腺です。

 

このマイボーム腺の働きが、なんらかの原因で低下してしまう病気が、マイボーム腺機能不全(Meibomian Gland Dysfunction, MGD:以下、MGD)です。

MGDの定義は、『さまざまな原因によってマイボーム腺の機能が瀰漫性に異常をきたした状態であり、慢性の眼不快感を伴うもの』とされています。

 

MGDの自覚症状は、眼精疲労、ゴロゴロする、ショボショボする、眼脂が出る、眼が乾く、べとつく、不快感がある、痛い、涙が出る、痒い、充血しやすい、眩しい、瞬きの回数が多い、眼を開けていられない、ものもらいがよくできる、等で日常生活において様々な支障をきたします。

 

MGDの有病率は40歳を超えた頃から急激に増加し、50歳以上の日本人の47.5%にMGDがあるとされています。

特に、高齢の方や脂質異常症の内服をしている方、コンタクトレンズ装用をしている方もMGDになりやすいといわれています。

2.MGDとドライアイ・霰粒腫

1)MGDとドライアイ

ドライアイの分類

ドライアイは、涙の量が不足したり、涙の質のバランスが崩れることによって涙が均等に行きわたらなくなる病気です。

中には、目の表面に傷を伴うことがあります。

高齢化、エアコンの使用、パソコンやスマートフォンの使用、コンタクトレンズ装用者の増加に伴い、ドライアイ患者さんも増えてています。

ドライアイの患者数は、ドライアイ研究会によると2,200万人ともいわれています。(*1)

 

そんなドライアイには、涙の質の異常(蒸発亢進型ドライアイ)、涙の分泌量が減ることが原因のドライアイ(涙液減少型ドライアイ)、涙の安定性の異常(BUT短縮型ドライアイ)の3つの種類があります。

このようなドライアイのうち86%はMGDが関連する蒸発亢進型ドライアイと考えられています。

つまり、ドライアイの原因の多くはMGDなのです。

 

<参照元>

*1 ドライアイ研とは?(ドライアイ研究会)

2)MGDと霰粒腫

霰粒腫のイラスト

霰粒腫とはまぶたの中にできた小さな固い腫瘤で、まぶたの腫れや異物感などが主な症状です。

典型例では痛みも赤みもなく、眼瞼にコロコロとしたできもの(腫瘤)を触れます。

急には大きくなりませんので、しばらくの間は経過を見ていても構いませんが、自然に治ることはまずありません。

炎症を伴った場合は麦粒腫と似た症状が出ることがあり、これを急性霰粒腫と呼びます。

霰粒腫の原因は、マイボーム腺の出口がつまり、その中に粥状の分泌物がたまって肉芽腫を形成してしまうことです。

つまり、霰粒腫の原因は、MGDそのものなのです。

3.MGDの治療

2023年に「マイボーム腺機能不全診療ガイドライン作成委員会」によって、マイボーム腺機能不全診療ガイドラインが作成されました。

診療ガイドラインとは、「診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのあるシステマティックレビューとその総体評価、益と害のバランスなどを考慮して、患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書」です。(小島原典子、他:Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017。公益財団法人日本医療機能評価機構EBM医療情報部、2017)。

 

「マイボーム腺機能不全診療ガイドライン作成委員会」は、Medical Information Network Distribution Service(Minds)の形式に則り、MGDの診療上で重要な課題を6のバックグラウンドクエスチョンおよび30のクリニカルクエスチョンとし、これらに対してシステマティックレビューを行い、推奨を提示しています。

 

ここでは、MGD診療ガイドラインの治療の推奨のポイントを紹介します。

推奨レベル治療法
強く推奨温罨法
弱く推奨眼瞼清拭, meibum圧出, アジスロマイシン点眼, ステロイド点眼, オメガ3脂肪酸内服, 抗菌薬内服, intense pulsed light(IPL), thermal pulsation therapy(Lipi Flow)

 

推奨の基準を決める際には, エビデンスに基づく有効性・安全性以外に, 保険適用があるかといった点も考慮されました。

従って推奨が弱いからといって効果が低いというわけではありません。

また、高い効果の期待できる治療法であっても自費診療の対象となる場合は弱い推奨になっています。

 

今、挙げた治療に関して、温罨法や眼瞼清拭、オメガ3脂肪酸内服はホームケアで可能です。

他は眼科など医療機関での治療で、アジスロマイシン点眼, ステロイド点眼,抗菌薬内服は薬を使う治療、meibum圧出, intense pulsed light, thermal pulsation therapyは施術による治療です。

 

今回、ご紹介するIPL治療は、MGD診療ガイドラインの治療で推奨される治療の1つです。

 

<参照元>

MGD診療ガイドライン

4.MGDの診断

MGDの診断には、イナミ社の「idra」という検査機器を使います。

idraはMGDやドライアイに関わる各検査を一台でこなすことができる複合機です。

非侵襲かつ定量化が可能で、コンパクトで場所を取らないのが省スペースが特徴です。

 

イナミ社の「idra」

 

油膜の動態撮影による厚み計測、マイボーム腺の形態を赤外線にて高解像度撮影し4段階のマイボスコアにて評価、涙液メニスカスの深さ測定、涙液が乾くまでの時間(ブレークアップタイム)の自動計測、瞬きの程度、質を評価、マイボーム腺の開口部の状態や血管拡張の程度を撮影できます。

この検査結果によりMGD、ドライアイの詳細なタイプ診断ができ、点眼薬の種類、治療法を個別に考えることができます。

 

また、IPLや点眼、温罨法などの治療後の経過観察に最適で、患者様に適切なインフォームを行うことが可能です。

5.IPLによるMGD治療とは?

1)IPLとは

IPL(Intense Pulsed Light)とは、特定の波長を持つパルス状の光を照射することで、皮膚や眼周囲の血管・細胞に働きかける治療法です。

フォトフェイシャルとも呼ばれ、シミや赤ら顔の治療、肌質改善など皮膚科や美容皮膚科などで自由診療で使われている機器です。

最近では、ドライアイや霰粒腫の改善に効果を発揮することが分かり、眼科でも使用されるようになりました。

2)OptiLight M22とは?

OptiLight M22

 

眼科領域で使われる治療機器は、LUMENIS社の「OptiLight M22」だけです。

この治療機器は、日本で唯一MGD治療を目的として厚生労働省より承認を取得したIPL治療機です。

 

血管性病変改善による異常血管の凝固、マイボーム腺からの分泌脂(マイバム)の融解による閉塞解除、サイトカイン抑制による抗炎症作用、熱刺激によるコラーゲンの再構築、というメカニズムで、MGDによる様々な眼症状を改善します。

 

OptiLight M22には、次のような特徴があります。

①非侵襲的な治療

メスを使わずに光エネルギーを利用して行うため、皮膚を切開する必要がなく、痛みもほとんど感じません。そのため、外科的な処置に抵抗がある方でも安心して受けることができます。

②短時間で施術可能

1回の施術が約15分程度と短時間で済みます。施術後も特別な処置は不要で、ダウンタイム(施術後の回復期間)もほとんどないため、日常生活に支障をきたすことなく治療を継続できます。

③継続的な治療でドライアイ・霰粒腫の根本改善が期待できる

MGDの根本原因に働きかける治療です。

1回の施術で効果を実感できることもありますが、継続的に受けることでマイボーム腺の機能が回復し、症状の再発を防ぐことが期待できます。

治療は約15分で完了し、2~4週間おきに4回1クールの治療を推奨しています。効果には個人差があり、症状に応じて継続治療が必要な場合があります。

2025年9月現在、日本では保険適用外の自由診療となるため、費用は全額自己負担となります。

6.IPL治療のドライアイへの効果

ドライアイ

OptiLight M22のIPL治療は、特殊な光のエネルギーを使って、ドライアイの根本的な原因にアプローチする治療法です。

ドライアイの多くは、このマイボーム腺が詰まってしまい、油分が正常に分泌されなくなることが原因です。

IPL治療では、光エネルギーがマイボーム腺を適度に温めることで、固まってしまった油分を溶かし、詰まりを解消します。

1) 皮脂分泌のバランスを整える

IPLの光エネルギーが皮脂腺の働きを正常化し、マイボーム腺からの過剰な皮脂分泌を抑制します。

また、再び詰まりにくい健康な状態を維持します。

2) 炎症を抑えて不快感を軽減

マイボーム腺が詰まると、まぶたの血管が広がり、炎症が起こります。これがドライアイをさらに悪化させる原因となります

IPL治療は、異常に拡張した血管を正常化します。

 

その結果、ドライアイの次の症状を改善します。

  • 炎症を鎮静化
  • 目の赤みや腫れを軽減
  • 乾燥感、異物感、目の疲れを改善

7.霰粒腫への効果は?

霰粒腫は、マイボーム腺の詰まりが長期間続くことで、まぶたにしこりができる病気です。IPL治療は霰粒腫に対しても効果的です。

1) 炎症を抑えて自然治癒を促進

まぶたの血管拡張を改善し、慢性的な炎症を鎮静化することで、霰粒腫の自然な回復をサポートします。

2) 再発予防効果

マイボーム腺の詰まりを根本から解消し、脂質の滞留を防止します。

そのため、繰り返し霰粒腫ができる方の予防治療としても有効です。

3) 皮脂バランスの正常化

過剰な皮脂分泌を調整し、霰粒腫ができにくい健康なまぶたを維持します。

4) 顔ダニ(デモデックス)の減少

まぶたには目に見えない小さなダニ(デモデックス)が住んでいることがあり、これがドライアイや霰粒腫の悪化要因となることがあります。

IPL治療の強力な光エネルギーは、デモデックスの数を減少させ、まぶたの清潔さを保つことで、炎症やかゆみを軽減をサポートします。

8.治療後の注意点と起こりうる症状

注意のイメージ画像

1)治療後に気をつけていただくこと

①紫外線対策を必ず行ってください

治療後は肌が紫外線に敏感になるため、紫外線対策が必要です。

日焼け止めクリームを使用

帽子やサングラスで物理的に紫外線をブロック

特に治療後1週間は入念な対策を

②洗顔・メイクについて

治療当日から洗顔・メイクは可能です

ただし、強くこすったり、刺激を与えないよう注意しましょう。

2)起こりうる症状(副作用)

軽微な症状(多くの方に起こる可能性があります)

①治療中の痛み・刺激感

輪ゴムで軽く弾かれるような感覚

ピリピリ、ヒリヒリとした刺激

通常は治療中のみで、終了後すぐに治まります

②治療後

まぶたや照射部位の軽い赤み

ほてり感や温かさ

軽い違和感や異物感

目の乾燥

ほとんどの場合、数時間~1日以内に自然に落ち着きます

③稀な症状(注意が必要)

稀ですが、色素沈着を起こすことがあります

紫外線対策を怠ると起こりやすくなります

次のような症状がある際は、すぐに医師にご相談ください

  • 強い腫れや痛みが続く
  • 著しい赤みが数日経っても改善しない
  • その他、気になる症状がある場合

9.来院前から治療完了までの流れ

1)通院前の準備

IPLの光は、黒い色に反応するため顔のうぶ毛、ひげは剃っておく必要があります。

IPL治療は、メイクや日焼け止めなどを落としてする必要があります。ノーメイクで受診するか、クリニックでメイクを落とします。

2) 診察・検査

ドライアイの診察をする医師

目の状態を詳しく診察します。

Idraでマイボーム腺の詰まり具合をチェックし、IPL治療が適しているかを判断します。

その後、医師から治療内容や注意点について説明があります。

3) 治療前の準備

コンタクトレンズを外します。

まぶたや目の周りのメイク・日焼け止めを落とします。

4) 目の保護

専用のアイシールド(保護具)を両眼に装着し、目を光から完全に保護します

5) 専用ジェルの塗布

IPLの光を均一に浸透させるため、まぶた周辺(下まぶた~こめかみ)に専用ジェルを塗布します。

6) IPL照射

OptiLight M22を使用して下まぶた、こめかみ、頬の一部にIPLを照射します。

所要時間は、20分程度です。

7) 治療完了

ジェルを優しく拭き取り目元を整えて治療完了です。

治療直後からメイク可能です。

8)治療後の過ごし方

入浴、洗顔、マッサージなどの制限はありません。

ただし、当日は激しい運動や長時間の入浴は控えめにしましょう。

紫外線対策を忘れずに継続してください

10.MGDに対するIPL治療についてよくある質問

よくある質問

Q1. IPL治療の治療費はどのくらいかかりますか?

MGDに対するIPL治療は、自由診療のためクリニックによって料金が異なります。

料金相場は、5,000円~10,000円程度です。

また、別途、検査費用が3000円前後かかります。

Q2.施術後も点眼は必要ですか?

IPL治療と併せて点眼薬や温罨法(温めるケア)を継続していただくことで、症状の改善がよりスムーズになります。医師の指示に従って継続してください。

Q3.OPTILIGHT M22を受けられない場合は?

次のような場合は、施術を受けることができません。

  • 妊娠および授乳中の方
  • 光過敏症もしくは、光過敏性を高める薬剤をご使用中の方
  • 日焼けしている方
  • てんかん発作の既往歴がある方
  • ケロイド体質の方
  • 血液凝固に異常のある方
  • 前がん病変、皮膚がん、または皮膚がんの既往がある方

その他、医師が不適当と判断した場合は施術を受けることができません。

Q4.治療の際に痛みはありますか

軽い刺激程度で、耐えられない痛みではありません

多くの患者様は「輪ゴムで軽く弾かれる程度」の刺激と表現されます。

痛みの感じ方には個人差がありますが、麻酔が必要になるほどの痛みではありません。

ご心配な方は事前にご相談ください。

Q5.施術後すぐに仕事や日常生活に戻れますか?

はい、IPL治療後は、すぐに仕事や日常生活に戻ることが可能です。

IPL治療にはダウンタイム(回復期間)がほとんどありません。治療直後からお仕事や日常生活に支障なく戻れます。

メイクも当日から可能ですが、紫外線対策だけは必ず行ってください。

Q6. コンタクトレンズはいつから使用できますか?

治療当日から使用可能です

特別な制限はありませんが、治療後一時的に目が敏感になることがあります。違和感がある場合は、しばらく眼鏡に変更することをおすすめします。

Q7. どのくらいで効果を実感できますか?

個人差がありますが、多くの方が1〜2回目から改善を実感されます。

1回目:軽度の改善を感じる方が多い

2〜3回目:症状の明らかな改善

4〜5回目:持続的な改善効果

ただし、症状の程度や個人差により異なりますので、医師と経過を確認しながら治療を進めます。

11.まとめ

マイボーム腺機能不全(MGD)は、ドライアイや霰粒腫の主要な原因です。

従来の点眼治療だけでは改善が難しい症状に対して、OptiLight M22によるIPL治療は新しい治療選択肢となります。

現在は自費診療となりますが、日本で唯一MGD治療目的で厚生労働省の承認を得た治療機器による安全で効果的な治療です。

 

OptiLight M22によるIPL治療は継続的な治療により、MGDの根本的な改善を目指す治療法です。

1回の施術でも効果を実感いただけますが、4週間ごとに4〜5回の治療コースを完了することで、より持続的で安定した効果が期待できます。

ドライアイや霰粒腫でお悩みの方は、OptiLight M22を導入している眼科を受診することも良い選択肢です。

 

<謝辞>

本記事に使用の写真やイラストは、「医療法人 聖明会 坪井眼科」様に提供いただきました。あらためて厚く御礼申し上げます。

同院では、マイボーム腺機能不全に対して、OptiLight M22によるIPL治療を受けることが可能です。

院名医療法人聖明会 坪井眼科
院長坪井 俊児
ドライアイ

霰粒腫 IPL治療

https://www.tsuboi-eye.co.jp/dryeye-chalazion.html
住所〒550-0014

大阪市西区北堀江1-3-2 Being四ツ橋ビル3F

アクセス大阪メトロ四つ橋線 四ツ橋駅から

6番出口南へスグ(階段のみ)

エレベーターが必要な方は3番出口南へ徒歩5分

大阪メトロ御堂筋線 心斎橋駅から

8番出口西へ徒歩8分

大阪メトロ長堀鶴見緑地線 西大橋駅から

4番出口東南へ徒歩10分

電話06-6538-4644

 

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