脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)とは、シミ(老人性色素班)がイボのように盛り上がったもので、老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)、年寄りイボ、出っ張りジミなどとも呼ばれます。
高齢者によく見られる皮膚疾患です。
この記事では、脂漏性角化症の症状や原因、予防、診断と治療法をご紹介します。
- 脂漏性角化症は、老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)などともと呼ばれるイボで、老人性色素班から大きくなることもあります。皮膚の良性腫瘍で、痛みやかゆみはありません。外見が気にならなければ治療の必要はありません。
- 脂漏性角化症は、シミと同じく加齢や紫外線ダメージが原因と考えられています。また、加齢が進むと太陽光線にさらされない部位でも発症することから、遺伝も関係していると考えられています。
- 脂漏性角化症の予防のための手段は紫外線対策です。若い頃から日焼け止めなどでしっかり紫外線対策を行うことが大切です。
- 脂漏性角化症の診断は、視診のみでできる場合も多くあります。他の皮膚の病気と鑑別診断するには、ダーモスコピー検査が有効な手段です。
- 脂漏性角化症の治療法には、液体窒素を使う治療、炭酸ガスレーザーによる治療、手術での切除、電気メスでの切除、電気焼却する方法などがあります。
京都大学農学部卒医薬品業界歴30年以上の専門家の執筆記事
ナールスエイジングケアアカデミーには月間数十万ページのアクセスがあります。
皮膚科医河本英恵先生
ナールスコム店長 村上清美
メーカー営業、エステティシャンを経て、現在、ナールスゲン入りエイジングケア化粧品「ナールス」の公式サイト「ナールスコム」の店長として、ナールスブランドに関わる業務全般を担当。
<保有資格>
コスメコンシェルジュ
◆日本化粧品検定1級
◆日本エステティック協会認定エステティシャン
◆日本エステティック業協会上級認定エステティシャン
◆ソワンエステティック協会認定ビューティーセラピスト
*しみの原因と対策の全てがわかる!|エイジングケア化粧品のナールス
CONTENTS [非表示]
1.脂漏性角化症が気になるあなたへ
「脂漏性角化症とは?症状・原因・診断と治療を一挙公開」をお届けします。
脂漏性角化症は、老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)と呼ばれるイボです。
年寄りイボ、出っ張りジミなどとも呼ばれ、イボの表面はザラザラ、ボツボツして膨らみを持っているのが特徴です。
30代のころから発症しはじめ、シミの1つである老人性色素班がイボのように盛り上がったり、また、同時にできたりと、加齢とともにだんだん増えていきます。
手の甲、顔、頭をはじめ全身にできてしまいます。
幸いにも良性の皮膚腫瘍なので、治療しなくてもそれほど心配はありません。
しかし、脂漏性角化症が目立つと美肌からは遠ざかってしまいます。
そんなことから、治療を望む方も少なからずいます。
この記事では、脂漏性角化症の症状や原因、予防法、また診断と治療法についてご紹介します。
「脂漏性角化症の症状や特徴を詳しく知りたい!」
「原因は何なの?教えて!」
「脂漏性角化症は予防できるの?おすすめの対策は?」
「老人性のシミとどう違うの?」
「脂漏性角化症の診断や治療は?リスクや費用などは?」
などが知りたいエイジングケア世代の女性は、ぜひ、続きをチェックしてくださいね。
<紫外線対策で脂漏性角化症を予防するなら>
赤ちゃんでも使えるほど優しくて、しっかり紫外線対策ができる!
しみ治療のメニューが豊富で全国にある品川美容外科&湘南美容クリニック!
2.脂漏性角化症の症状
脂漏性角化症は、医学的には皮膚の良性腫瘍です。
シミには、老人性色素斑、ソバカス、肝斑、炎症性色素沈着、後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)などがありますが、脂漏性角化症は特に症状が違います。
症状としては、最初は1〜2mmくらいの大きさですが、放置しておくと少しずつ大きくなってきます。
直径は、1cm~3cmのものが多いですが、5cm以上になることもあります。
色は、淡褐色から茶褐色、黒色のものもあり、形は円形か楕円形で、平らなものから隆起しているものまで、さまざまあります。
皮膚にぴったりと貼り付いたように見えて、表面はイボ状ですべすべしているか、ボツボツとかさついています。
通常は、痛みやかゆみがないので、見た目以外には気になることはありません。
高齢者で紫外線を浴びた部位を中心に全身に現れます。
お肌内部では、メラニンが沈着し、表皮の基底細胞によく似た小型細胞が増殖しています。
ただし、かゆみを伴う急速な脂漏性角化症は、「Leser-Trelat (レーザートレーラー)症候群」と呼ばれる内臓がんに伴って発生する病気です。
この場合は、注意が必要なので、シミのようなイボでかゆみを感じたら、すぐに皮膚科を受診しましょう。
<症例紹介>
シミから変化したものが多い。全ての方にほぼ100%起こる
良性の皮膚腫瘍。表皮が異常増殖した状態
3.脂漏性角化症の原因
脂漏性角化症の原因は明確になっていませんが、主に2つあると考えられています。
普通の「いぼ」はウィルスが原因ですが、脂漏性角化症は肌の老化の1種で、シミと同じく加齢や紫外線ダメージが原因と考えられています。
日焼けサロンに行く人では、20歳後半からは、シミがさらにすすんだ脂漏性角化症がでることがあることからも、紫外線の影響があることがわかっています。
顔、手足のシミは、長い期間、紫外線にさらされることによって、皮膚の表皮基底細胞の遺伝子に異常が起こることで発生します。
そして、異常な表皮基底細胞が増殖して皮膚表面から盛り上がるようになってしまうのが、脂漏性角化症です。
また、遺伝も脂漏性角化症の原因の1つであると考えられています。
なぜなら、高齢の方では、紫外線にさらされない脇の下、脇腹、腹部、鼡径部(股)、陰部などにも脂漏性角化症が発症することがあるからです。
これは、紫外線の影響ではなく、加齢によって表皮の遺伝子に異常がおこってできたものと考えられます。
4.脂漏性角化症の予防
脂漏性角化症は、加齢や紫外線ダメージが原因なので、予防のための手段は紫外線対策です。
紫外線対策は、脂漏性角化症だけではなく、シミをはじめしわやたるみ、ほうれい線の予防にもなります。
若い頃から日焼け止めやUV化粧下地などでしっかり紫外線対策を行うことが大切です。
また、衣類や帽子などファッションによる紫外線対策を行いましょう。
さらに、目から入る紫外線が皮のメラニンを増やすことがわかっています。
UVカットサングラスなどによる目の紫外線対策もおすすめです。
もちろん、夏の紫外線対策だけでなく冬でも紫外線対策を行いましょう。
特に屋外でのスポーツや作業をすることが多い方は、強く意識的に行うことが大切です。
また、日焼けサロンも脂漏性角化症だけではなく、肌に良くないので控えましょう。
一方、顔、手足以外の紫外線にさらされないパーツは予防法がないのが現状です。
<参考記事>
*日焼け止めの使い分けと選び方は、年齢・季節・利用シーンで!
*春の紫外線対策。しっかりブロックして日焼けの無い美肌をキープ!
*秋も紫外線対策は大切!斜め横からの光線を日焼け止めでブロック
5.脂漏性角化症の診断
脂漏性角化症の診断は、その特徴的な所見から視診のみでもできる場合が多くあります。
他の皮膚の病気を鑑別診断する検査としては、ダーモスコピー検査が有効な手段です。
ダーモスコピー検査を行う際は、まず、脂漏性角化症の病変のある部位に超音波検査用のジェルを塗布します。
その後、ダーモスコープという特殊な拡大鏡を皮膚に当て、そこに分布するメラニン色素や毛細血管の状態を調べる検査法です。
検査は簡単で、皮膚の状態を機器でチェックして、デジタルカメラで記録するだけです。
また、10分程度で済んで、痛みは全くありません。
ただし、検査前にはクレンジングでメイクを落す必要があります。
検査後、もしジェルが洋服に着いた場合は、水洗いします。
ごく稀に検査の翌日以降に、検査した部位に赤みを帯びたり、かゆみを感じることがあります。
なお、ダーモスコピー検査でも悪性腫瘍などの可能性を捨てきれない場合には、組織を一部採取または全部切除して、病理検査を実施することがあります。
6.脂漏性角化症の治療
1)脂漏性角化症の治療の前に
脂漏性角化症は、外見を気にしないなら治療の必要はありませんが、気になる方もたくさんいます。
加齢に伴うイボに効能が認められて健康保険が使える医薬品はありませんが、幸いにも健康保険で可能な他の治療法があります。
どの治療法も多少の傷跡が残る可能性がありますし、全くキレイにイボがなくなるわけではありません。
治療後に炎症性色素沈着を起こしたり、時間がたてば再発する可能性もあります。
脂漏性角化症の治療を受ける際には、皮膚科医などの専門家と十分に相談しましょう。
2)脂漏性角化症の治療法
ここでは、脂漏性角化症の治療法をご紹介します。
①液体窒素を使う治療
液体窒素は、見た目だけで診断が確実な脂漏性角化症によく用いられる治療法です。
液体窒素で病変を凍結する治療法ですが、1回でイボが取れることは少なく、通常数回の治療が必要です。
つまり、凍結と解凍をくりかえすことで、イボを物理的に破砕するのです。
ほとんどの皮膚科外来で簡便に行えます。
また、麻酔や手術が必要ないことから、高齢者の脂漏性角化症でよく用いられる治療法です。
副作用としては、治療後の1〜2日は痛みを伴うことがあります。また少し水ぶくれができることがあります。
また、他のデメリットとしては、表面上、イボが小さくなっても、その後再発することが比較的多いことです。
②炭酸ガスレーザーによる治療
炭酸ガスレーザーを用いて脂漏性角化症を削り取る治療法です。
治療後の皮膚をなるべく綺麗に保つことができることがメリットです。
また、局所麻酔の注射をしてから治療を行うため、施術中の痛みはほとんどありません。
ただし、治療後に皮膚の保護が1~2週間程必要にはなります。
また、術中は髪の毛が焼けたようなにおいがします。(排煙機を使用すれば、においを最小限に抑えることが可能)
③イボを手術で切除する方法
手術でイボを切り取る治療法です。
局所麻酔を使って行い、日帰りが可能です。
術後は、傷を縫い合わせ約1週間後に抜歯をします。
切り取った組織で病理組織診断を行うことにより、正確な診断をつけることができます。
また、再発の可能性が少ないことがメリットです。
術後は、1週間程度ガーゼを当てておく必要があり、それでも傷跡は残ることがデメリットです。
④電気メスでの切除、電気焼却
電気メスを使って、イボを薄く表皮からはぎ取ったり、焼却する方法です。
浅く削ると再発、深くけずると瘢痕を残す危険性があります。
電気メスを使う皮膚科はあまり多くありません。
⑤IPL(フォトフェイシャルなどの光治療)
0.5mm未満のわずかに盛り上がった程度の脂漏性角化症は、光老化の治療も用いられるIPL(フォトフェイシャルなどの光治療)治療を用いる場合があります。
IPLは、いったんイボが消えても半年から1年程度で再発することが多々あります。
<参考記事>
⑥Qスイッチ・レーザー
Qスイッチ・レーザーでは、隆起が小さな軽い脂漏性角化症の治療が可能です。
YAG(ヤグ)、アレキサンドライト、ルビーのいずれの波長のQスイッチ・レーザーでも施術後に傷を残さず治療が可能です。
ただし、基底部に細胞が残った場合は、数ヶ月から数年で再発する可能性があります。
<参考記事>
YAG(ヤグ)レーザーは3種類!シミへの効果やダウンタイムは?
アレキサンドライトレーザーとは?シミへの効果や費用について解説
3)脂漏性角化症に効果が無い治療法
脂漏性角化症は、ウイルスが原因の疣贅(イボ)ではありません。そのため、漢方薬であるヨクイニンの内服や市販のイボコロリ、皮膚科で処方されるオキサロール軟膏は効果がありません。
また、トレチノインも効果がありません。
他にも、ドライアイスでの冷凍は表皮の奥の基底部まで凍らせることができないため、効果が限定的で再発リスクが高いです。
<参考記事>
7.脂漏性角化症治療の実際
まゆりなクリニック名古屋栄のCO₂レーザーによる脂漏性角化症除去の2か月後の症例を
ご紹介します。
施術前後で脂漏性角化症の状態の変化がよくわかります。
【施術内容】ほくろ・イボ除去(CO₂レーザー)
【治療回数】1回
【リスク】CO₂レーザー:出血、腫れ、熱感、感染症、痛み、ケロイド、肥厚性瘢痕、色素沈着
【料金】3mm以下
1個 ¥9,800(税込)
~5個 ¥29,800(税込)
~10個 ¥49,500(税込)
~20個 ¥86,000(税込)
21個以上5個毎(各3mm以下)¥25,000(税込)
※3mm以上は1mm毎に¥2,500(税込)/個
※個数は部位ごとに計算します。(顔・首・両腕・両下肢・体幹前・体幹後)
例)顔に2個・腕に3個の場合 ¥29,800×2=¥59,600(税込)
※顔を含めた全身の黒子・イボ取り放題(各6mm以内)¥1,280,000(税込)
※モニター(5㎜程度の黒子やイボのみ。要審査。)5%OFF
※モニターは治療部位を含めた周囲の写真のみ。顔の場合は目元は隠します。
※治療した部位が再発した場合の2回目照射⇒1年以内であれば、半額で治療
<提供>まゆりなクリニック名古屋栄
また、実際に全国の皮膚科や美容皮膚科で脂漏性角化症を治療した口コミを集めたサイト「caloo」をご紹介します。
こちらも参考にしてください。
8.脂漏性角化症のよくある質問
Q1.脂漏性角化症はどうやって取りますか?
最も確実なのは、炭酸ガスレーザーとエルビウムヤグレーザーによる治療で取る方法です。炭酸ガスレーザーが使われることが多いですが、軽度な場合は肌へのダメージが小さいエルビウムヤグレーザーが使われることもあります。
Q2.脂漏性角化症は自分で取れますか?
脂漏性角化症に除去の効果が期待できる市販薬やセルフケアで切り取る機器はありません。したがって、自分で治療することはできません。
Q3.脂漏性角化症は癌になることがありますか?
脂漏性角化症は悪性化してがんになることはありません。
しかし、脂漏性角化症だと思っていたものが、もともと悪性黒色腫(メラノーマ)、基底細胞がん、日光角化症といった皮膚の癌であることがあります。
Q4.脂漏性角化症の塗り薬はありますか?
脂漏性角化症には、医療用医薬品でも市販薬でも取り去る塗り薬はありません。
また、飲み薬もありません。
Q5.脂漏性角化症は自然に取れる?
脂漏性角化症は自然に取れて無くなることはありません。
液体窒素やレーザー治療による治療、メスでの切除で除去するなど皮膚科や美容皮膚科で対処することがおすすめです。
9.まとめ
脂漏性角化症とはどんな皮膚の病気か、またその症状や原因、予防のための対策、診断と治療法をご紹介しました。
また、クリニックのご協力いただき症例の提示や口コミも紹介しました。
そのため、脂漏性角化症の治療のイメージも分かったのではないでしょうか?
脂漏性角化症は、老人性色素班などと同じく紫外線が原因と考えられるイボです。
幸いにも良性で痛みやかゆみもありません。また、治療法もあるので皮膚科などで改善も可能です。
それでも、紫外線対策をして予防する方がよいですね。
脂漏性角化症はもとより、他の肌の老化や病気を予防するためにも、しっかりと紫外線対策を行いましょう。
この記事「脂漏性角化症とは?症状・原因・診断と治療を一挙公開」が、ナールスエイジングケアアカデミーの読者の皆様のお役に立てば幸いです。
<謝辞>
本記事への症例提供をいただきましたつくば・土浦鶴町皮膚科クリニック副院長鶴町宗大(つるまち むねひろ)先生及びまゆりなクリニック名古屋栄院長加藤成貴(かとう まさき)先生に感謝申し上げます。
著者・編集者・校正者情報
(執筆:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。
医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。
一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト
著作(共著)
(編集・校正:エイジングケアアカデミー編集部 若森収子)
大学卒業後、アパレルの販促を経験した後、マーケティングデベロッパーに入社。
ナールスブランドのエイジングケア化粧品には、開発段階から携わり、最も古い愛用者の一人。
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
そんな中で、「これは!」という、みなさまの健康づくりのご参考になるような情報ご紹介したり、その時期に合ったスキンケアやエイジングケアのお役立ち情報をメールでコンパクトにお届けしています。
ぜひご登録をお待ちしております。
▶キレイと健康のお役立ち情報が届く、ナールスのメルマガ登録はこちらから
nahlsエイジングケアアカデミーを訪れていただき、ありがとうございます。
nahlsエイジングケアアカデミーでは啓発的な内容が中心ですが、
ナールスコムでは、ナールスブランドの製品情報だけでなく、
お客様にご参加いただいた座談会や
スキンケア・エイジングケアのお役に立つコンテンツが満載です。
きっと、あなたにとって、必要な情報が見つかると思います。
下記から、どうぞ。
ナールスゲン配合エイジングケア化粧品なら「ナールスコム」
SNS Share
\ この記事をシェアする /